結局、僕は何を求めていたんだろうか?
僕は大人だ。
だから知ってる。
頑張っても報われないこと。
空回りばかりなこと。
期待されても成果を出せないこと。
そしてこんな田舎に飛ばされた。
でも、こうしてビールを飲みながら土手で川を見ていると、なぜだろうここが僕の居場所なんだと思える。
今は、そう思えるんだ。
前は違っていた。
こんな何もない田舎……でも、どうしてだろうな。
本当は自分が見ないだけにしてたんじゃないかって、今は思える。
ありふれた田舎さ。
何もない……そう思っていたのは間違いだった。
それはさっきのこと。
「あっれー? 足立さんじゃーん。ちーす」
「あ、サツのヘタレじゃん」
そう、僕の嫌いな彼らの友達。
タヌキに族潰しの除け者。
そんな彼らが、一人で酒飲んでた僕に話しかけてきた。
「足立さんさぁ、青龍伝説見る?」
「はあ? 何それ」
アチョーとたぬきは格好をとる。
「僕がさあ、なんていうの? カンフー映画? 好きなように見える?」
「今は見えないかな。昔は好きだった。憧れてた。そう見える」
何も言い返せなかった。
銃が使えるから。それは嘘。
本当は彼のような正義の味方に憧れてたところはあった。
族潰しは言う。
「さっきヘタレって言った手前悪いんすけど、実はしつこい奴がいるんすよ。警察でなんとかしてくれませんかね」
なんだコイツら。
縁も恩もない俺を頼ろうってのか?
どうする?
いや、どうしたい?
本当は僕はどうしたいんだ。
「あーそうね、青龍伝説だっけ。見てみるよ、族のしつこいのもなんとかしてやるよ」
俺は何を言っているんだろうか?
うるせーな、一人にさせろ。
そう、言いたいはずなのに……
「マジっすか! あ、じゃあ足立さんこれあげますよ」
なんだ? と思ったらジュネスの割引券だった。
「俺野菜食わないんでどうしようかと思ってたんす。野菜だけの割引券なんすよね。キャベツはなんと8割引なんすよ」
「8割ぃ!?」
思わず手渡された割引券を見る。
確かに野菜だけの割引券でキャベツは8割引きだった。
「これから足立さんは予定あんの?」
「ん? あー、鳴上くんとこで寿司かな。ななこちゃんと。堂島さん遅くなるらしくてね」
「あ、逃げてんすね」
「そーそー」
この族潰しは実は嫌いではなかった。
自分にとても近い匂いを感じていた。
鳴上くんよりも、むしろ似ている。
僕を受け止めてよー!
あれは傑作だったな。
そして、乾いた笑いが出たんだった。
僕は一人だった。
マガツイザナギ。
強いだろう? 当然さ。
僕の心は本当はそこまで強い。
鳴上くんの操るイザナギなんて、それだけじゃあとても届かない。
「あ、そういやあ足立さん。りせちーがここでコンサートするらしくて俺ら特別席で見れるんすよ。よかったらきてくださいね」
「そういえば探偵王子も久々に来るらしいねー」
興味をそそられるような、呆れるような。
つまらないような、面白いような。
そんな話を彼らはしていた。
僕は聞いてみた。
「アレはどうなったのさ。あのクマのマスコット」
「ああ、アイツは帰りましたよ。時々こっちにきますけどね」
「ふーん」
「雪子の旅館でもバイトしてるしねー」
さして興味もない。
いや……
僕の罪は裁けない。
しかし、背負おうじゃないか。
悪人として自覚して生きようじゃないか。
数多ある生き方? ないさ。
運命? 違う。
僕の選んだ生き方さ。
だがなぜだろう、とても罪深く後悔し、同時に清々しい。
俺は強い。
それが今は、よく分かる。
そして、一人じゃないんだよな。
彼女たち二人のことは永遠に忘れない。
咎人だ。俺はな。
神に弄ばれたわけじゃない。
俺が選んだ、俺の道だ。