BEASTLORD   作:タマヤ与太郎

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この作品を考えてた時、こういうの書きたいな……というところをようやく書けました。
基本ノリは軽めでお送りしたい。(たまにシリアスにならないとは言わない)



6:じゅうおうのおしごと!

 

 

―――アベリオン丘陵―――

 

 

「…………」

 

天幕の屋根の上に寝そべりながら、メコン川は流れゆく雲をただ見つめていた。

時折手を空にかざし、動きを確かめるように何度か拳を握っては開き、

そしてまたただ雲を見つめる。

そんな時間が暫く過ぎた頃、自分を呼ぶ声に起き上がると屋根から飛び降りた。

 

 

 

「ようお前ら、集まったみたいだな」

 

メコン川の前には4人の亜人。ロケシュ、バザー、ヴィジャー、ムゥアー。

アベリオン丘陵にその名を轟かす十傑のうち4人だった。

あれから数か月が経った。あの時の降伏勧告に、ひと悶着はあったものの全員が降伏。

メコン川を盟主とし、その下に他の者、その配下の部族が入る、という形で連合を組み、

アベリオン丘陵部族連合、『ナインズ・オウンゴール獣王連合』が誕生した。

 

その後は連合に他の部族を傘下に取り込んだり、反目する部族との小規模な戦いを乗り越え、

傘下に収めた部族は丘陵全体の八割に上る。

多くは『強きに従う』という気風の者達だったため従えてからの混乱は少なく、

また人を食う者達も『人しか食えない』ものはおらず、現在は聖王国から輸入した牛や豚、

あるいは水産物などを食べるようになっている。

 

元々が「亜人を聖王国に攻め込ませない」としてメコン川が立ち上げたものであり、

傘下の者達を縛る法は多くはない。「むやみに人を襲わない、食うのは厳罰」に始まり、

「連合傘下・協力関係にある部族(聖王国含む)を襲わない」

「連合に部族の規模に応じた税(食料・薬草などの物納)を納める代わり、

 飢饉や疫病、魔獣の襲撃などへの援助を行う」など。

まだまだ問題は山積みだが、ひとまずの形はできた、はずだ。

 

「うむ、メコンガワ殿。今期分の報告に参った。道中こ奴らの支配域を通るのでな、

 序でに連れて来た。各々報告事項があるそうでな」

 

「おう、それぞれ頼みごとをしててな。まあ中に入れよ」

 

天幕に入るよう促し、揃って中へと入ってゆく5人。

なお、便宜上の(必要があれば天幕を畳み移動することもあるため)「首都」は

数か月前に亜人連合軍の陣があった場所に置かれている。

ここにはメコン川(とルプスレギナ)が住む家や軍議用の天幕、

各種物資の保管庫や傘下の部族が駐在する天幕などが置かれ、

多少なり聖王国との交易も始まっているため、それなりに賑わっている。

 

「それじゃ、報告を聞こうか」

 

上座に座り、一同を見回すメコン川。

いつの頃からか、こうして月に1度ほどは初期メンバーであるこの5人で集まり、

報告会をするのが通例となっていた。

当初は逆らえば殺される、という重圧で悲壮な決意で集まっていたものだが、

メコン川としては明らかに人間に悪意を持っていたあの2人を見せしめとして除ければ良く、

強きに従う、という風潮の強い亜人の性分もあり、親分と舎弟のような関係となっていた。

 

初手はロケシュ。

人に敵対的ではないが好意的でもないため連合に参加していなかった種族、

豚鬼(オーク)が連合の傘下に入る事を了承した、という事を中心に、

傘下の部族の現状や伝達事項など。

元々実力者で亜人連合軍の総大将を務めていたのもあり、

獣王連合に属する亜人部族長のまとめ役を担っている。

 

次はヴィジャーとムゥアー。

近頃丘陵の外、東の方面から狂暴な魔物が流れてくることが多く、

王国への交易路が塞がれかねない、との事。

獣王連合としては未だ王国との国交はないが、後の交易のため、

また聖王国から王国までの陸の交易路を守るためにも助勢が欲しいらしい。

 

「お、豚鬼もついに折れたか。まあデメリットはねえからなぁ。助かるぜロケシュ。

 そんで、東の方から魔物か……確かエルフの住む森林地帯があんだよな?

 たしかそこで今ドンパチやってるらしいから……それで追いやられた連中かねえ。

 で、バザー。出来た(・・・)んだな?」

 

うむ、と頷くバザー。この丘陵には亜人だけしか住んでいないわけではなく、

少数だが山小人(ドワーフ)の近縁種、闇小人(ダークドワーフ)が住んでいる。

バザーは各種のマジックアイテムで武装しているが、大半は彼らに作らせたものである。

そんな闇小人に伝手のあるバザーを通して交易用の魔法武器の製造を依頼していたのだ。

その際に入れる刻印……獣王連合の紋章はアインズ・ウール・ゴウン時代に

メコン川の紋章として使われていたものをそのまま使っている。

 

「まずは獣王連合の刻印入りの魔剣を30本。

 量がある代わり魔化は単純に鋭さの強化だけだが……十分だろう。

 いつもなら捕虜を奴隷として引き渡すんだがな、獣王殿からの依頼だと言ったのと、

 聖王国の酒と魚介と香辛料で手を打ってくれた。あいつらも大喜びだったさ。

 あとはこれは俺が懇意にしている職人が獣王殿に、とな」 

 

卓を滑らせてメコン川に寄越されたのは、鞘に獣王連合の刻印の入った1本の剣。

抜いてみれば、その刀身にはおぼろげに光る文字が1つ刻印されていた。

 

「へえ、ルーン文字か」

 

「知っているのか? なんでもかつて小人(ドワーフ)の一族で主流だった技術でな。

 生産性が良くないので現在の手法の魔化に押されて消えかかった技術らしいが、

 材料費がほとんどかからんという技術だそうだ」

 

「ま、そういう文字がある、って聞いた程度だがな。昔のダチとつるんでた頃、

 そういう武器をいくつか見た記憶があるぐらいさ。

 だがまあ、面白いし、レアってのは価値だぜ。金の匂いがしてきたな」

 

「悪い顔をしているぞ、獣王殿?」

 

「お前の厳つい顔にゃあ負けるさ。ま、手空きの時に作ってほしいと頼んでみてくれ。

 剣はカッコイイんだが俺、使うのはメイスやフレイルの類なんだよなぁ。

 ま、貰っとくけど」

 

バザーと軽口を叩きながらアイテムボックスにルーンの剣を放り込み、

ヴィジャーらの求めにはバザーの配下から応援を出すことで対応する。

その後は雑談に興じ、暫く経った後、天幕の入り口から何者かが入って来た。

おかっぱに切りそろえた黒髪に狐の面を被り、袴の丈の短い巫女服を着た少女だ。

 

「あるじ様、ルプスレギナ様とカルカ様がお着きです。あるじ様の御宅にお通ししても?」

 

鈴を転がすような声。亜人(と異形種)ばかりのこの場にはそぐわない姿であったが、

彼女もまた異形種。と言ってもNPCではなく召喚モンスターだ。

ウカノミタマ。レベル85にもなる精神魔法を多用するモンスターで、

魔法に長けた少女形態、物理に長けた巨獣形態を持つ。

これからちょくちょく旅に出る関係上、留守を任せられる人材を、ということで

メコン川のクラス、「アヤカシ」の上位職業「ヒャッキ・ロード」のスキルで召喚され、

個体名として「ミクラ」という名を与えられている。

メコン川からすればタイマンで勝てる程度のモンスターでも、

この世界においては破格すぎるほどの強さを持った魔物であることは言うまでもない。

 

なお、レベルにおいてはルプスレギナを一回り以上上回っているが、

ルプスレギナはメコン川自ら丹精込めて創造したNPC、

自分はただの召喚モンスターとしてその下についている。

 

「おう、話し合いも終わったしな。じゃ、悪いなお前ら、先に上がるぜ。

 バザー、魔剣は倉庫に頼むわ、確認はミクラにさせるからよ」

 

「分かった。ミクラ殿、頼めるか」

 

「畏まりました」

 

そうしてメコン川は天幕から出て自らの居宅へと向かい、

その場には獣王連合幹部とミクラが残される。

 

「……む、そういえば、ミクラ殿、例の……その、羊の件だが」

 

ほんの少しの間沈黙していたが、ヴィジャーがミクラに向けて話しかけた。

獣王連合においては人との争いや人食いが禁じられている。そもそも

「新鮮な人肉と牛馬の干し肉と比べれば人肉、そうでなければ牛や豚の肉が味としては良い」

という亜人の味覚であるため現在では(メコン川達がにらみを利かせているのもあり)

ほとんどが牛や豚の肉を食べているが、いくらかでも自給できた方が良い、

というメコン川の意志で、連合結成初期の頃から古くから丘陵の亜人で育てられている羊と、

聖王国から輸入した肉質の良い羊を掛け合わせ、それに専用の餌を与えることで

上質なラム肉、マトン肉を生産し特産品にしよう、という計画が持ち上がっていたのだ。

(闇小人にマジックアイテムの生産を依頼していたのも特産品づくりの一環である)

この計画はミクラを中心に、ミクラの傘下とされた魔現人の一族を用い、

魅了や支配などの魔法を用いた効率的な種付け、品種改良を行っていたのだ。

 

「ああ、その件なら順調に第1陣が孕んだところですよ。何分生き物のことなので、

 そうすぐには生まれてきませんし育ちません。植物のようには行きませんねえ」

 

ころころと笑うミクラ。ミクラの種族、ウカノミタマは精神系の他、

植物の生育に影響を及ぼす森祭司(ドルイド)系のスキルや魔法がいくつか使える。

(これはウカノミタマが神話においては穀物の神、と呼ばれている事から設定された、

 あるいはそのように書かれているフレーバーテキストが『設定』と判定され実現した、

 とメコン川は考えている)

それを利用して良質な穀物を餌として育て、与えているのだ。

ヴィジャーが急かすようにしているのは、サンプルとして輸入された聖王国の食用羊を

いたく気に入り、幹部4人の中で最もこの計画に乗り気であったからだ

 

余談だが、ここから数年後、満足のゆく水準に仕上がった羊が、

聖王国の羊を祖先に持つことから『聖王国丘陵羊(アベリオンシープ)』と命名され、

獣王連合の特産品として各地へ輸出されていくこととなるが、それはまた別の話である。

 

 

 

 

少し後。メコン川の居宅として作られた家、

厳密には「マヨイガ」と呼ばれる拠点系アイテムを使用した家の応接間では、

メコン川とカルカが向かい合い、首脳会談を行っていた。

メコン川の後ろにはルプスレギナ、カルカの後ろにはケラルトとネイア。

マヨイガの周囲には聖騎士団と神官団、

そして獣王連合の亜人達が配備され、万一のことがない様に警護を行っていた。

連合での月一回の会合に合わせたこの首脳会談は交互にお互いの領域で行われており、

先月は聖王国で行われたため、今回は獣王連合での開催と相成った。

 

「そういや、今日はあの……レメ……騎士団長殿はいねえのか。

 毎度やいのやいの言いながら押しかけて来てたのに」

 

会談のさなか、ふと気が付いたようにメコン川は周囲を見回すと、

いつもならむっつりとした顔で控えているレメディオスがいないことに気付く。

 

「姉様はその……勉強中です。折角情勢が落ち着いてきているのだから、

 この際最低限度の知識は叩き込みます! とグスターボ副団長が息巻いてまして」

 

「あー……まあ、だろうなあ……苦労してそうだもんなあいつ……

 それにまあ、いつまでも誰かが教えてくれる、じゃあれ以上は育たんよ。

 棒切れ振り回してるそこらのガキじゃねえんだ」

 

それを聞いて、メコン川は納得したように何度も頷く。

次いで口をついた厳しい言葉に、カルカは怪訝そうに首を傾げた。

 

「……メコンガワ様はレメディオスには少し当たりがきついようですが、

 彼女が何か……その……思い当たる節はたくさんありますが……」

 

「まあ、それもあるがな……

 まず、知恵を捨てて武を手に入れようって性根が気に入らねえのよ。

 戦いってのはカンだけで出来るもんじゃあねえ。

 剣の振り方、足さばき、鍛錬だけ見ても、考えるからこそ強くなれんのさ。

 それを何だ、頭使わねえからこそ強くなれた? 冗談もここまで来ると笑えてくるぜ!

 ……っとすまねえ、熱くなっちまったな。 俺も殴り合いには一家言あってね。

 強くなるって事を舐めてるやつを見ると腹立ってくんだよな……」

 

「そうっす! 人の上に立つんなら頭を使えなきゃ務まらないっすよ。

 それに、聖騎士名乗るんならたっち・みー様ぐらい強くなってから言うっすよ!」

 

照れ臭そうに頭を掻くメコン川に、それに追従するルプスレギナ。

すぐに「考えなしとかお前が言うか?」とメコン川に言われしゅんとなったが。

 

「タッチ・ミー? メコン川様のご友人にも聖騎士がいらっしゃるのですか?」

 

「まあな。たっちさんは……俺が昔つるんでたダチの1人でな。

 俺が襲われたところを助けてもらった大恩人さ。真面目で正義感の強い人でな、

 頭も良くて腕っぷしも強い。仲間内じゃあ最強の騎士だったよ。

 あの人見てるからな……余計団長殿に腹が立つのかもしれねえ」

 

まあ、分からないではない……と一同が頷く。

しかし、カルカ達聖王国の者達が思い浮かべている「聖騎士タッチ・ミー」と、

メコン川やルプスレギナが思い浮かべている「純銀の聖騎士たっち・みー」

には大きな違いがあった。

メコン川がたっち・みーの種族に言及しなかったのもあり、

カルカ達は「カワウソが鎧を着こんで剣と盾を持っている図」を想像していたのだ。

加えてメコン川の言う「昔つるんでた他の仲間達」もこれまた種族の言及がなかったため、

メコン川同様のカワウソが集まった群れのようなものと思われていた。

この誤解が解けるのはこれまたしばらく先になるのだが、それもまた別のお話となる。

 

その後は話が本筋に戻り、

本来話し合うべきだった両国の関係や輸入品目について、

先の連合の会合で話し合われた東からの魔物の流入、

連合に豚鬼が加わったことの報告などがなされ、

聖王国からは王国との交易、そしてそのルートの保持の依頼などがなされた。

そして会談が終わりに向かいつつあったその時、一同の視線が1人……

レメディオスの代理、というよりはカルカやケラルトの従者として同席していた

ネイアへと集まる。

会談の間ずっと難しい話にはこたえられないので気配を消していたネイアだったが、

一つだけ聞いてみたいことがあり、小さく挙手をしていたのをルプスレギナに見つかったのだ。

 

「おお? なんか聞きたい事があんのかい、ネイアちゃん。

 言って見な、何事も経験さ。カルカにケラルト、構わんな?」

 

2人の了承を得た上で、メコン川はあらためて用件を聞く。

メコン川としても、ネイアの話を聞くことに否やはない。

要塞線に詰めていた時期、幾度か彼女の父パベルと語り合う機会があった。

その時にいやという程彼女の話をされているため、

少しぐらいは話を聞いてやってもいい、という気にはなっていたのだ。

 

「ええと……個人的な事で、申し訳ないんですけど……

 聖騎士として強くなるには、どうしたらいいでしょうか。

 母が聖騎士で、それに憧れて、ずっと聖騎士になりたかったんです。

 でも、たくさん訓練しても腕が上がらなくて……

 元々父にも母にも、お前は弓の方が向いているって言われてて。

 ……その、諦めた方が、いいんでしょうか……」

 

聖騎士に憧れる少女が打ち明けた悩みに、一同は沈黙する。

カルカもケラルトも、魔法詠唱者としては才があり、

カルカに至ってはネイアぐらいの年頃には既に第4位階に到達していた。

ルプスレギナに至っては元々そのように作られたNPCである。

それに対してメコン川はいくつかの情報系、探知系魔法でネイアを観察し、

ネイアに聖騎士のクラスが備わっていないことを知り、伝える。

 

「そう、ですか……やっぱり、諦めた方が、いいのかな」

 

「まあ、その方は効率は良かろうがな、いいんじゃねえの、別に。

 お前さんはまだ若いしよ、死ぬ気で訓練すりゃ、身につくかもしれんぜ?

 それにまあ、セイクリッド・アーチャーってクラスもある。

 攻撃に聖なる力を宿すのが、剣だけって事はあるめえよ」

 

その言葉に、ネイアは少し考え込み……メコン川に目を向ける。

 

「私に、出来るでしょうか」

 

「そいつはお前さん次第よ。ああ、ちなみに教えとくが、

 俺だって魔法職が得意だったわけじゃないんだぜ?

 さっきも言ったが、元々得意だったのは殴り合いさ。

 でもまあ、魔法職をやりたくてな、勉強もしたし、レベリング……

 まあ、訓練もしたんだ。死ぬほどな。

 ダチの中にもよ、シーフ系の職業の方が適性あったのに、

 タンク……みんなの盾になって戦うスタイルを通したやつもいた。

 俺がその時やり合って強ぇと思った奴には、一本筋が通ってたもんさ。

 俺だってそうあっていたつもりだ。こうなりたい、こうしたい。

 いや、こうなる(・・・・)こうする(・・・・)んだ。

 そんな意地を通した馬鹿(・・)だけが、本当に強くなれる。

 ……なあ、ケラルトよ」

 

「何です?」

 

「俺はもう少ししたら旅に出るつもりだ。その旅に、この子を連れてっていいか?」

 

「「えっ!?」」

 

突然の言葉に驚いたのはネイアとルプスレギナ。

最も驚きの理由はそれぞれ違い、ネイアが『私がついて行っていいんですか!?』に対し、

ルプスレギナのそれは『メコン川様と二人っきりのいちゃらぶ二人旅じゃないんすか!?』

だったが。勿論、ルプスレギナは後に怒られてまたもしょげ返ることになる。

 

「武者修行とでも思ってくれや。

 この子が伸び悩んでいるのは環境もあるのかもしれん。

 そう長旅にはならねえだろうが、旅を通して、実戦で鍛えさせてやりてんだ」

 

「この子は聖騎士団の従者なので私やカルカ様の管轄ではないのですが……

 まあ、イサンドロさんは外にいらっしゃいますから、話は通せます。

 貸し一つですよ? メコンガワ」

 

「おうよ。闇小人の魔法武器生産が軌道に乗ったらそっちにも回すからよ。

 ……あ、そういう話になったんだが……ネイアちゃん、構わんか?

 国元を離れるのが嫌なら別の手を考えるしよ」

 

ネイアはしばらくうんうんと唸っていたが最終的にそれを了承し、

メコン川達の旅に、聖騎士団従者、ネイア・バラハが加わる事となった。

 

 

 

そしてその夜。カルカ達が帰途につき、首都に住む亜人達も寝静まったころ。

マヨイガの中のメコン川達は応接間で地図を見ていた。

 

「こう、交易路沿いに北上して王国に行こうか、とは考えてるんだよな。

 一応カルカから通行手形は貰ってるが……通れるか? 俺」

 

目下の最大の問題はそれである。

人狼ではあるがほぼ人であるルプスレギナはともかく、

ぱっと見亜人というか喋るカワウソであるメコン川は、

正規の手段で入国可能かどうかが最大の問題であった。

 

「ペット扱いでそのまま……入れないっすかね?」

 

「いや無理だろ。うーむ、サイズ感狂うからやりたくねえんだが、

 化けるしかねえか?」

 

「あ、なら今すぐ化けて体を動かす練習……とか、どうっすか?」

 

「ステイ! ステイな! 服をはだけない! お客さん見てるから!」

 

『え!?』と周囲を見回すルプスレギナに、メコン川は部屋の隅を指す。

そこには初めは何もいないように見えたが、

メコン川が指をさすと幕を取り払うように何者かの姿が現れる。

 

「……で、こんな夜分に不法侵入とはふてえ野郎だ。

 名前と用件ぐらいは聞いてやるよ、名乗りな」

 

現れたのは、竜を象った意匠の施された白金の全身鎧。

それに殺気すら混じった視線を叩きつけながら、メコン川は問う。

全身鎧は少し考え込むようなしぐさを見せた後、

メコン川の視線を真っ向から受け止めながら、言葉を発した。

 

「……そうだね、私の名は、リク=アガネイア―――いや、

 あの事態を最小限の流血で収めた君に敬意を表し、名乗るとしよう。

 私はツァインドルクス=ヴァイシオン。

 白金の竜王(プラチナム・ドラゴンロード)と呼ぶものもいるよ」

 

 

 

 




初期の構想だともうちょっと後で出てくる予定だったんですが、ツアーさん登場です。
次回ツアーさんとお話して王国編……と行きたいところですが、どうなるやら。
今月中にいけるかな……

・獣王連合について
まあそもそもは文中で言ってる通り「亜人をまとめ上げて侵攻をさせない」というのが第1にあるので、それがなされていれば硬いことは言わない感じです。
「人を襲わなきゃ大体自治でいいし、困ったことがあったら助け合おうな」
ぐらいの緩いつながり。
まあ怖いお目付け役もいるので早々事は起こらないでしょうが。
幹部の証として嫉妬マスク配ろうか……とか考えたりもしましたが絵面がアレなのでやめました。
余談ですが、ルプー以外の人達は「獣王(という通称の)」メコンガワ、という名前だと思っている。
(本来「獣王メコン川」で一つの名前)

・ウカノミタマ
ウカノミタマはちょっと出したかったんですよね……描写から察する格好が結構好み。
ミニ袴なのは趣味です。
アインズ様で言う所の<アンデッドの副官>みたいなスキルで召喚されてます。

・ネイアちゃん同行
ネイアちゃんが……好きなので……!
その割に出番が今までほとんどなかったので今回同行。
レンジャースキルが役立つときもある……はず。
本編だとシズとネイアちゃんがお友達になりましたが、
本作だとルプーにおちょくられるエンリぐらいの立ち位置にしたい所。

それでは、あんな引きにもしちゃったので次回も早めにお送りしたいところです。
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