【復刻】ソロモンの白狼になって宙を駆ける   作:5の名のつくもの

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リメイクしても「何を書こうとしたのか」「何を書きたいのか」「なぜ書いているのか」等々と無限階段に陥り、筆と言いますかキーボードを叩く手がぱったりと止まりましたが、今更になって「もう何でもいいや」と開き直りました。

定期的な更新はおろか頻繁な更新もございません。

気が向いた時に開き直って書いていきます。

そして、何を書こうとしたのか忘れており、良くも悪くも接続は滅茶苦茶です。

ご了承ください。


ルナ危機

私はドズルに帰投して直ちに軍医に攫われては点滴を打たされている。疲労回復に点滴なんて贅沢を極めるが、仕事をほっぽり投げるわけにもいかないため、軍医の許可を得て点滴中に報告を受けた。副官のグレミー・トトが真剣に説明する。

 

「先日の偶発的な戦闘はルナ危機と宣伝されました。親ジオンの息が掛かったマスコミが腕を振るい、工作員の活動もあり、市民は反連邦とサイド共栄圏に傾きました」

 

「傾きつつあるんじゃないのか?」

 

「誰かさんのせいで」

 

「私が悪いのか?」

 

「シン大佐が悪いかどうか、さておきましょう」

 

ドズルとエンドラ、ミンドラは快速を鳴らした。悪燃費を承知して逃げに専念する。先の超局所的な戦闘は不完全燃焼に終わったが、地球連邦軍が月に全面介入することを回避するため、プロパガンダ放送はプロパガンダ放送で終わらせる。

 

実際のところは地球連邦も自由ジオンもお互い様だ。私は非常にブラックに近いグレーを衝いた。どちらが正義でどちらが悪であるかは判別のつかない。これを判断するは月で生活する市民だが、自由ジオンはグラナダを拠点に設けており、ここから月の至る所まで「サイド共栄圏思想」を浸透させていった。シーマに代表される工作員が暗躍も暗躍し、じんわりとじっくりと染めていき、今回の不運で不幸な衝突を契機に急加速を始める。

 

「今回の一件は通称ですが『ルナ危機』と呼ばれています。地球連邦と自由ジオンは非難の応酬です。月の状況は決して芳しくないものの、地球連邦軍が暴走するか、市民が暴走するか、どちらにしても介入は必至と思われます」

 

「私が入ることは」

 

「いけません。こういった仕事は専門の業者に任せましょう」

 

「シーマか。女傑に相応しい」

 

月はあくまでも中立の立場を崩さなかった。交戦禁止のエリアを定めており、高度な自治権により地球連邦も自由ジオンも関係なく、喧嘩両成敗と言わんばかり。しかし、今回ばかりは事情が異なった。親地球連邦と親ジオンの争いが勃発して対処に追われる。今のところは「地球連邦軍が介入する」又は「親ジオンが蜂起する」の如何を問わなかった。月の行く末はとうの前に決められている。サイド共栄圏思想は月をも呑み込んだ。

 

私はその一端を担ったに過ぎない。

 

「それで次はどうする」

 

「今は安静に努めてください。マシュマーとキャラ、白薔薇が護衛します。これを崩す兵力を用意できるわけがありません」

 

「本国からの増援が白薔薇とは聞いていない。エルピー・プルよ」

 

「ハマーン様に命じられたから。それだけ」

 

「軍人としては正解だな」

 

私とEx-sガンダムの戦闘に乱入するはF機関の『白薔薇』である。ジオンの秘密研究機関が目に見える研究成果と打ち出した。ニュータイプやらサイコミュやらの研究は当然ながら軍事に抽出される。色々と思うところがあろうと口出しは慎んだ。オールドタイプがあれやこれやと言っても的外れなことが多い。

 

そして、地球連邦軍の圧倒的な物量に対し、自由ジオンは少数精鋭を極めて対抗した。苦し紛れの策と言われようと革新的な兵器と技術は侮れない。ジオンはモビルスーツの登場で地球連邦をあと一歩まで追い詰めた。その少数精鋭もいわゆるエースパイロットからニュータイプや強化人間へ移り変わる。

 

「ハマーンのキュベレイにゼクシリーズか?」

 

「私のモビルスーツはキュベレイMK-Ⅱだから。私が連れるモビルスーツはゼクフィーア」

 

「ほ~う」

 

私は思わず気の抜けた返事をしているが、副官のグレミーは資料探しに忙殺され、プルという少女はドヤ顔を決め込んだ。点滴だけが一定のリズムで栄養剤を投下してくれる。Ex-sとの戦闘中にチラリと視認したモビルスーツはキュベレイMk-Ⅱとゼクシリーズという推測は正解のようだ。

 

「ハマーン様のキュベレイと性能は大差ない。デチューンしたって言うけど」

 

「キュベレイの量産化計画を耳にしたことがある」

 

「こちらです」

 

グレミーは私の権限を使って機密情報にアクセスする。

 

キュベレイMk-Ⅱはグリプス戦役に登場したキュベレイのマイナーチェンジに括られた。キュベレイは事実上のハマーン・カーン専用機と言え、彼女以外に動かせない非効率性を含んでいるため、将来的な量産化を見据えた。キュベレイにデチューンを施した機体をMk-Ⅱにする。いくらデチューンしたところで元々が常軌を逸していた。Mk-Ⅱをマトモに操縦できる者はプルぐらいであり、キュベレイMk-Ⅱも司令官専用機に準ずる。

 

本機はF機関の兵士を率いるに丁度良い。サイコミュ兵装を積み込んだ高級量産機のゼクフィーアを従えて白薔薇の象徴と崇められた。白薔薇と称するにもかかわらず、黒色の塗装はハマーンと区別するためと加え、白色の塗装が宇宙空間では目立ちやすいことも指摘される。

 

「ファンネルの飽和攻撃は見事だった。あのように言っておきながら、本当は私の格闘戦に合わせて動かし、敵機の回避機動を制限している。やはり、時代はニュータイプとサイコミュなのだろうか」

 

「ゼクフィーアの友達はシン・マツナガこと白狼の格闘戦に驚きを隠せていなかった」

 

「お互いに褒め称えよう。私はいわゆるロウガイになるつもりは毛頭ない」

 

(オールドタイプとニュータイプが理解と高め合う。F機関の兵士は曲者ぞろいであり、監視役を拝命したが、エルピー・プルの方がシン大佐を敬愛してやまない)

 

「それでゼク・フィーアというのは?」

 

「このグレミーが説明します。ゼク・シリーズの四番目であり、一番目の汎用性と二番目の火力を融合し、三番目の調整を踏まえて良い塩梅に調整したのがゼク・フィーアです」

 

ゼク・フィーアはゼクアイン系統の現時点で正規の末っ子だった。ゼクシリーズは高い汎用性をコンセプトに設定した割に迷走が否めない。ゼク・ツヴァイは2倍の性能を目指して巨大化と肥大化した。ゼク・ドライは原点回帰とゼク・アインに帰投する。ゼク・フィーアはアインとツヴァイ、ドライと三種の反省とサイコミュ技術が融合と開発された。

 

ゼク・アイン(第一種)を踏襲した基本的な本体に実弾兵装を積み込むが、多彩な火器の制御にサイコミュ技術を流用して最適化を図り、ツヴァイの追加ユニットの増設に対応する。いかなる状況下に置かれても、いかなる作戦に充当されても、単独で遂行できる高性能を確保した。その代償と非常に高価で大量生産に適さない上にサイコミュに適性のあるパイロット以外に動かせない。自由ジオン軍では必然的にF機関の専用機に置いた。

 

「この時代に実弾兵装は侮られるかと思った。己の認識を素直に改めてよう。実弾兵装はビーム兵装に比べて密度の高い弾幕を展開できる。例のモビルスーツは煙たがっていた。自機に絡みつくファンネルと無造作に撃ち込まれる実弾のコンビネーションは偉大である」

 

「昨今のビーム兵装の信仰に異を唱えるの?」

 

「そうは言わない。ビームと実弾は利点と欠点を確認できた。適材適所で運用する。地球連邦軍もゲリラ掃討の治安維持部隊にマシンガンを持たせた。コロニーのようなソフトな環境ではビームが予期せぬ事故を引き起こすから」

 

「へ~」

 

やけに馴れ馴れしいように思うが特段気に留めなかった。グレミーは叱責を喉元で抑え込んでいる。彼女を下手に叱責しても悪い方に流れる。具体的には、キュベレイMk-Ⅱを持って『アニメじゃない』に下るはずだ。自由ジオン軍の最高戦力に準ずる彼女をみすみす手放す真似は冗談にもならない。

 

「あのね」

 

「なんだい」

 

「シン・マツナガ大佐は何と呼べばいいの?」

 

「そのまま呼べば…」

 

グレミーを静止した。

 

「好きなように呼べば良いだろう」

 

「マツナガのおじさん」

 

続く

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