【復刻】ソロモンの白狼になって宙を駆ける   作:5の名のつくもの

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ソロモン防衛戦2『再戦と突破』

シンはソーラ・システムの第一射を妨害することは叶わなかったが、自然を利用するため再チャージに時間を要する間を突いて第二射を阻まんとした。一枚一枚のミラーを破壊することは骨折り損のくたびれ儲けであり、とてもだが効率的とは言えないため、全体を統制するコントロール部を叩いて不可逆に追い込もうとする。これだけの規模の兵器を宇宙で運用するためには大型艦が必須であり、連邦軍が使う艦艇の中で満足に処理が行える物はただ一つになった。

 

「マグネットコーティングを受けたガンダムならっ!」

 

「ぬぅ動きが段違いに速くなったな!」

 

ソーラ・システムの様々な処理を行うコントロール艦を狙い連邦軍第二艦隊に突っ込んだ。変に味方がいるより単騎の方が動きやすい。濃密な対空砲火を掻い潜り、数多もの迎撃に来た正式量産型のジムを蹴り上げた。敵将ティアンムが座乗するマゼラン級を発見した瞬間に今までの比ではない迎撃を被った。そして、モニターの端から猛スピードで迫る白いMSを視認する。

 

言わずもがな、連邦軍の伝説的エースのガンダムである。ガンダムとはサイド6でのコンスコン特攻に便乗して戦闘したことがあった。あの時のガンダムは補給を受けられず消耗しており、こちらに極めて有利な戦いであと少しまで追い詰めることができたが、現在は潤沢な補給を受けて万全を期した。したがって、普通にビームライフルを携行して撃ち放てる。更に言えば、白狼との戦闘で機体本体がパイロットに追従できないことを知り、軍が誇る天才MS技師からマグネット・コーティングを施してもらっていた。これは恐ろしいテクノロジーである。ガンダム施すと以前の倍近い機動性を発揮した。

 

「この距離でビームを撃てるなら撃つがいい。味方の戦艦に当たるがな」

 

「くっ…」

 

確かに有利な要素が多いガンダムだが、決して必勝にはいかない。ザク程度ならビームライフルの一撃で爆散させられるだろう。アムロも百発百中の射撃を見せようと試みた。しかし、互いの周りには連邦軍の第二艦隊が広がっている。対空砲火は誤射を回避するため静かになり存分に戦えるはずだ。アムロは銃口を向けはしても即座に撃つことは躊躇した。それもそのはず、なんせあっちこっちに味方艦がいるため誤射を恐れ撃てなかった。ビームライフルは一撃で戦艦を沈める威力を秘め、回避できない鈍重な友軍戦艦に当たっては冗談に済まされない。何もない虚の宙に撃てばいいかもしれないと言えども、敵機は上手く逃げて背に味方を置いては間接的に人質を確保してあった。

 

「真っ正面切っての戦闘は苦手かな?」

 

「なにをぉ!」

 

ビームライフルを持つことは忘れず、誤射の心配が無いビームサーベルに切り替えて白いザクを襲った。以前と同じの格闘戦になってしまったがマグネットコーティングを施してもらって機体は自分について来てくれる。化け物じみた機動を見せる白いザクに食らいつけた。

 

「瞬発力では私が上だ!」

 

「こ、こいつ!前より速くなっている!」

 

「白兵戦に特化したMSと聞いたがこの程度か」

 

ガンダムは白兵戦に特化したMSであることは周知の事実だろう。地球でも宇宙でも恐ろしい性能を遺憾なく発揮した。だが、対面する改良型ザクのエース機の前には圧倒を知らない。大規模な改良を経て反応力を増したのにも関わらず若干遅延を余儀なくされた。追い付けているつもりだが向こうも速くなっている。

 

ソロモン防衛の局地戦に適合するべくスラスターを増設したR型ザクは新鋭機を凌駕した。瞬間的な加速力は抜群であって余程の反射神経がなければ起きたことを理解できない。アムロの天才的な才能は辛うじて対応したが余裕は無かった。高機動中に撃ちこまれる弾丸を躱しカウンターを試みるも離される。

 

アムロとガンダムの苦戦を目の当たりにしてかティアンム率いる第二艦隊は決断した。

 

「ソーラ・システムの二射目を待たず突撃を始めただと。第三艦隊に加わり一挙に押し込む気だな」

 

第二艦隊は突如として前進を開始した。今までコロニー残骸を盾にしてソーラ・システムの照射を待ち、ソロモン周辺と本体を焼き尽くしてから突貫する予定であった。しかし、第一射が中途半端に終わり第三艦隊が想定外の苦戦を強いられており、目と鼻の先には敵軍のエースがガンダムと死闘を行っている。二射目を座して待つよりも変わることのない戦力差を活かし、古典的な力押しでジオン軍を押しつぶすことを決めた。コントロール艦が生きていれば二射目は発射可能であり、ミラーを置いてけぼりにしても単騎で破壊できる数はたかが知れている。

 

「まずいぞ…第三艦隊を押しとどめるだけで精一杯な守備隊が第二艦隊も加わると突破は時間の問題だ。逃げたって簡単に追いつけるが…」

 

機体の横を通り過ぎる光線に眉をひそめる。友軍艦隊が突貫を開始したことを受け、ガンダムは遠慮なくビームライフルの使用が可能となった。近距離では弾速の速さから即弾着となるため、冷や汗が浮かぶ程に回避を心掛けなければならない。また、優先すべきはコントロール艦を兼ねる旗艦マゼラン級のためガンダムと延々と戦う暇は無かった。

 

せめてガンダムを引っぺがすためにギアを上げる。戦艦ならば簡単に追いつけるため捨て置いても大丈夫だ。まずは面倒なMSを突き放して余裕を作っておきたい。だが、そうは問屋が卸さないとガンダムが猛追した。

 

「その意気やよし。だが、場数が違うのだよ!」

 

「あ、当たらない。なんて動きなんだ」

 

「弾切れが近くなるぞ。こういう時にマシンガンは輝く」

 

ビームライフルは戦艦の主砲並みの威力を持つ凄まじい兵器だったが、同時に致命的な弱点も存在しており如何ともし難かった。敢えて説明せずとも継続戦闘能力の低さだと理解できるだろう。エネルギーCAP技術が実用化されても一基あたり15発前後が限度で撃ち尽くしは早かった。憂いなく放てると言っても外せば弾切れが近づく。対して数個の弾倉を持参するマシンガンは継続戦闘力で勝った。威力は劣っても安定性や使い勝手の良さから新進気鋭のビーム兵器を嫌煙する者は少なくない。

 

「戦いは経験がモノを言う。君の射撃はまるわかりだ」

 

「なっ!?」

 

アムロの射撃は絶対の必中であるがこのザク相手には当たらない。なぜかと本人も考えたが答えを出せず、可哀想になった相手から明かされる羽目になった。相手曰く発射を読めてしまうらしい。幾度となく戦闘を経験して彼我の距離や周囲の状況から発射のタイミングを絞り、向ける銃口の位置やパイロットの心情と全てを勘案して読み切った。一聞して嘘のように思われるが旧地球歴の戦争ではエースパイロットが敵機の射撃タイミングを読み射撃を回避したと逸話を言い残している。

 

「これ以上時間はかけられない。こうなったら…一度に決めてしまう」

 

R型ザクの航続距離の短さとソロモンの劣勢を鑑みて一度に戦いを決する覚悟を決めた。ガンダムもまた第二艦隊に随伴しなければならないため一撃必殺を望んでいる。両者が通じ合ったのかザクは滾る大型ヒートホークを構え、ガンダムは輝くビームサーベルを両手で掴んだ。こういう時は考えることが同じであるのは興味深い。

 

「こういう時はいざ尋常に勝負とでも言うのかな。残念ながら、私はそこまで芸達者じゃない!」

 

「来るなら!」

 

一旦距離をとり直した両機はほぼ同時に爆発的な加速を見せたかと思えば、中間たる地点で大型ヒートホークとビームサーベルを振りかざして衝突しかけた。その結果は如何になったのか。実際に見て見た方が早かった。

 

「僕の勝ちだ!」

 

ビームサーベルはその熱量と機体のパワーから実体の格闘兵装を上回った。大型ヒートホークも戦艦を一刀両断する威力を秘めたがビームには敵わない。ぶつかった2つの格闘は互角で鍔迫り合うことなく、誠に遺憾にもビームサーベルが押し通してザクの本体を焼こうとした。

 

だが、熟練された技術と経験が若さに勝る。

 

「勝ったぞ!」

 

ヒートホークを持っていた左腕を溶断されたが、ザクは機体を捻ってルートを強制変更して胴体左部を焼かれるだけに済ませた。そして宙を浮いたヒートホークを右手で回収するとメインと補助問わず全てのスラスターを最大出力で点火してガンダムでも即座に対応できない瞬発力で駆ける。

 

そのアツアツのヒートホークが狙う先は連邦軍第二艦隊旗艦のマゼラン級戦艦だった。

 

続く




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