【復刻】ソロモンの白狼になって宙を駆ける   作:5の名のつくもの

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本作のメインがシン達なのでア・バオア・クーの戦闘など残りの一年戦争は大きく省略させていただきます。一年戦争について誤差はありますが、大きな骨は原作(テレビ版)そのままですので皆様で省略部分の補完をお願い致します。

よって、本話はソロモン陥落から約2年経った頃となります。1年近い移動を書いては終わりませんのでご容赦ください。更に次話も2年先になり、一気に時間が飛びます。

以上のこと、ご理解を賜りますようお願い申し上げます。

※ちょっと、まだ内容が足りないので、今日も二話目投稿する予定です


アクシズ自由ジオン(0083)&章間
アクシズのジオン


戦いは終わった。

 

ソロモン陥落によりジオンはア・バオア・クーの最終決戦に挑んだ。旧ソロモン軍を受け入れて戦わせる命を発したが、彼らは規定の計画に則り大迂回してアクシズまでの長旅にある。命令が届いた時にはア・バオア・クーから相当に離れており、全軍の到着には最低でも1週間を見込み、どうしても間に合わないことは明白だった。また、旧ソロモン軍はあれだけ増援を要請したのにも関わらず、うんともすんとも言わずソロモンを見捨てたア・バオア・クー及び本国を許すわけがなかった。熱狂的な信者を除いた残存兵の9割は帰還を拒み、ミネバ・ラオ・ザビ様を首領とするミネバ軍となりアクシズを目指す。

 

結果的に旧ソロモン軍の大戦力は裏切りをそっくりそのまま返してやった。ア・バオア・クーは手持ちでどうにかしなければならかったが、ジオンにも切り札が存在する。

 

ソーラ・レイである。

 

艦隊を消滅させる威力が連邦軍艦隊に向けられ、恐ろしいことに和平交渉を狙ったデギンを巻き込んで焼き尽くした。連邦軍強硬派トップを艦隊ごとを消したことは大戦果だが、デギンを巻き込んだことは後に「兄妹間のいざこざ」と言う「自滅」をもたらすのである。

 

12月31日に行われたア・バオア・クー決戦は激闘の末に地球連邦軍が勝利した。ソーラ・レイにより戦力は70%に減じ、ア・バオア・クー守備隊の防御に阻まれ大苦戦を強いられたが、途中で内乱が発生して指揮系統は混乱し突破口を自ら作り出してしまう。一挙に雪崩れ込んだ連邦軍の物量によって守備隊は次々と壊滅し、残存兵は宙域から撤退を開始して事実上の敗北が決定した。

 

1月に入ってからジオン臨時政府は地球連邦と様々な交渉を行った末に両国間で終戦条約が締結され、ジオン公国の独立が認められ、国軍の保持、安全保障等々が定められた。

 

一年戦争は終わった。ジオンは破滅の道を歩んだが共和国として国を保っている。

 

しかし、忘れはしないだろう。

 

本当のジオンはサイド3の裏切り者達ではない。

 

我ら、ミネバ・ラオ・ザビ様の自由ジオンこそが本当のジオンである。

 

~0081年5月・アクシズ~

 

「ソロモン以外から逃亡して来た残存兵力は全体の約7割です。残りは茨の園でデラーズ軍に吸収され、よからぬ企みを講じていますが、エンツォら強硬派を押し付けられたためか動きは鈍くあります」

 

「デラーズ軍が動き地球連邦を圧迫した隙に我々自由ジオンはソロモンとア・バオア・クーを奪還し、アクシズ地球圏突入の土台を作らなければならない。彼らには悪いが良いように使わせてもらうだろう。まだ残存兵力の寄せ集めに過ぎない我々は大人しくしているしかない」

 

ここアクシズ内で開かれた会議に入る前に今の宇宙とアクシズを確認しよう。

 

アクシズは五か年計画を策定して拡大を続けた。約2年前のソロモン戦以前から将来を見据えた受け入れ態勢を整え、1年以上かかる移動の時間を有効活用してアステロイド帯の小惑星を追加して本体を大きくする。内部は掘削工事と工場から居住区まで建設工事を進めた。

 

そうして、ソロモンやア・バオア・クー、グラナダ等の残存兵力が到着した頃には肥大化しているも、10万近い人間を格納することは難しかった。優先度が低いと判断された者は補給艦での生活を余儀なくされる。予定では2年後の0083年始めには拡張の第一段階が終わり全員を仕舞いこみ、5年後の0086年には五か年計画を完了して大戦略を発動させた。

 

大戦略を発動させるためには軍事力強化が必須である。現在は残存兵力の寄せ集めに過ぎず、ドズル派のラコック少将(昇進)が纏め上げに尽力していた。基本的にアクシズは英霊ドズル・ザビのご息女であるミネバ様が実権を握り、旧ドズル派がマハラジャ・カーンを通じて統率する。旧ア・バオア・クーの強烈なギレン派や旧グラナダの熱心なキシリア派はアクシズ撤退を拒み、地球連邦への復讐を叫んで別の残党軍に合流してアクシズと分離した。

 

「デラーズ軍は馬鹿にできない戦力だ。しかし、彼らと付き合う義理もない。程よく援助を与えて傀儡として扱い、機を見て切って浮き上がった益を掻っ攫えば上々である」

 

「政治に手馴れているマハラジャ殿は悪い知恵が働く」

 

「奇策を講じガンダムを追い詰めたシャア大佐に言われるのは光栄です」

 

アクシズにて政治及び外交は変わらず最高責任者マハラジャ・カーンが担当し、軍はドズル派筆頭ラコック少将が纏めた。しかし、旧ドズル・旧ギレン・旧キシリアと3勢力が集合したため混乱が予想される。表向きはミネバ様を元帥として一個に統合されたが、実際は幹部が設置されて3個体制が敷かれた。もちろん、各首脳が戦死したため分裂状態は生じておらず、痛い敗戦が教訓となって誰もが一致団結することの重要性を知る。

 

そうしてアクシズは最終的に偽物のジオン共和国を呑み込んで自由ジオンを宇宙に掲げなければならなかった。軍を纏めたからと言って即座に発車することは無理である。策を練りに練って且つ力をたっぷりと溜め、そして開放するつもりだった。幸いにも遠く離れたアクシズであれば地球連邦の手は届かない。

 

アクシズの内政を行うマハラジャは意外にも外交の手腕も優れた。水面下で連邦と接触し外交による平和的手段を講ずる。連邦は遠いアクシズを気に留めなかった。近場には空っぽのジオン共和国しかなく、とてもだが恐れる必要は無かった。今のうちに宇宙艦隊を再構築しておき、軍の威信を取り戻すことを優先する。しかし、内政には問題が山積みであって、無茶苦茶な軍の再編を進めると困窮する市民が続出した。連邦軍はこの戦争で人材を失い過ぎ、安全地帯に籠っていたモグラ軍人や高級官僚が牛耳るようになる。行政は腐敗が続いて民衆救済は一向に進まず、次第に不満が噴出し噴火を予想させた。

 

皮肉なことに勝った地球連邦ではなく、負けて逃げたジオン軍が優れた。

 

さて、お待たせした。会議について見ていこうではないか。基本的に政治のトップである摂政マハラジャ・カーンと軍のトップである代表ラコック少将が相互に話し合う。無論ながら2人以外にもいるため賑やかだった。政治にはマハラジャの娘にして軍人でもあるハマーン・カーン女史、軍にはシャア・アズナブル大佐が追加される。

 

「マハラジャ殿、世代交代は着実に進んでいると」

 

「まぁな…エンツォら強硬派をデラーズ軍に押し付けて安定が得られたが、私は働きすぎてしまったらしい。もう長くないと自分が一番分かっている。軍には迷惑をかけるかもしれないが、娘ハマーンなら自由ジオンを引っ張ることが出来た。特異な才能も秘めていると聞く。軍人としても働き輝かしい栄光をもたらすと信じている」

 

「確かに若いが私よりも遥かに優れる。自分の若かりし頃を思い出すと恥ずかしくなる。素晴らしいことだ」

 

働きづくめのマハラジャは病に侵されていた。まだまだこれからなのに悔しい限りである。ただし、彼には後継者が存在した。実の娘ハマーン・カーンだった。10代前半の少女でありながら、ずば抜けたカリスマ性を有し、宇宙を俯瞰して最善手を打つ切れ者として知られる。マハラジャを凌駕する切れ味は次期摂政が確実視された。また、軍人としてはフラナガン機関にて世紀の逸材と呼ばれ、覚醒した際の戦闘力はエースを圧倒するらしい。

 

何ともまぁ、げに恐ろしき少女だった。

 

そんな彼女だが弱点と言うべきか、少女らしい点も見られる。誰よりも早く新たな出席者を感知し、入室する前から扉を凝視している。そして、入って来た人物から目を離さずロックを外さなかった。

 

なお、その視線はやけに好意的であり直撃する本人は黄金仮面で防ぐ。

 

「シン・マツナガ、ただ今参りました」

 

続く




二話目は夜頃だと思います。
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