【復刻】ソロモンの白狼になって宙を駆ける   作:5の名のつくもの

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今更にはなりますが0083は飛ばし飛ばしなので省略箇所が多くなります。一年戦争の時と同様に補完をお願い致します。宇宙の戦いが変わるだけで地上戦は変わりません。

また、アンケートが2選択肢の競合となっていることを鑑みた話となります。2選択肢を前提になりますのでご注意ください。

※路線変更に伴い内容を小幅修正しました


シーマの暗躍※

~11月~

 

戦場は宇宙へと変わり始めた。

 

ガンダム試作二号機を奪取した部隊はキンバライト基地降伏と引き換えに宇宙へ飛び、待機していた艦隊に収容されると暗黒宙域まで逃げ去った。その際にアクシズ自由ジオンの刺客であるシーマ独立艦隊はデラーズ・フリートと虚偽の共同戦線を張っていることを理由にして、彼らの追撃を試みた地球連邦軍のサラミス級2隻及びアルビオンと交戦する。歴戦の猛者が揃ったシーマ独立艦隊は一世代前のゲルググMとザクⅡFを押し立てサラミス級2隻を撃沈し、アルビオンのガンダム試作一号機を首領シーマ・ガウハラのゲルググM(指揮官機)が大破せしめる。長らく通商破壊と言う名の海賊行為で戦い方を心得ていた裏の精鋭部隊にヒヨッコが勝てるわけがなく、アルビオンはやむを得ず月面のフォンブラウン市のアナハイム社工場に籠るしかなかった。

 

さて、痛快な勝利を納めたシーマ独立艦隊は補給艦から簡単な補給を受けると月へ向かった。逃げたアルビオンを追うのではなく、前々からパイプを繋いでいたグラナダへ降りている。ただし、今回は艦隊は事前の取引で用意してもらった民間ドッグに隠しておき、代車となる民間船舶に乗り換えてグラナダ市へと赴いた。到着したグラナダ市にある港では停泊する貨物船に続々と荷物が積み込まれる。その作業を一望することが可能な建物の一室で三者面談が開かれた。学校の三者面談とはかけ離れた、社会の裏に位置する面談だった。

 

「事前の密約通りケリィ・レズナー大尉、貴方はアクシズ自由ジオン軍へ正式に編入された。隠し通したヴァル・ヴァロについては接収させてもらうけど代金は支払っておくよ。そして、2人分のアクシズへの直行便を手配したわ」

 

「心遣いに感謝する」

 

「言っておくけどね。アクシズでの身の振り方には気を付けるんだ。あそこは思った以上に厳しい場所さ。変に睨まれたら消されるよ」

 

「その通りだろうな。これでもスパイの真似をやって来たが…よく理解させられた。シーマ中佐の忠告痛み入る」

 

三者面談の中で片方に座るのがシーマ・ガウハラ中佐、もう片方がケリィ・レズナー大尉だった。後者は言わずもがなアクシズの密者としてグラナダ市で働き、アナハイム社との仲介の接続を行い続けた。その功績が認められたことに加え、彼が隠し通した試作大型モビルアーマーを年貢に収めることでアクシズへの編入が家族と一緒に承認される。彼は今回の騒ぎに参加せずに2人で民間船に乗ってグラナダ市を脱出する予定だった。

 

「そして、あたしのガーベラとサイサリスβは納入してもらえるのでしょう?」

 

「えぇ、もちろん。喜んでお渡しします。厳重に梱包しておいたので奴らの目には引っ掛かりません。私共としてはデラーズ・フリートのくだらない取引を受ける気は毛頭なく、地球連邦の月を軽視する態度には辟易しています。大切にしてくれる穏健派ジオンの方がビジネスパートナーに値しました」

 

「よろしい。グラナダについてはデラーズの連中が何をしでかすか分からないから保留になっている。申し訳ないけど、蜂起は未定になった」

 

「いえいえ構いません。良い商売が出来ればそれでいいのです」

 

三者面談だからもう一人が必要であるが、敢えて言わずもがなだろう。そのもう一人とはアナハイム社グラナダ工場の責任者だ。かねてからケリィ・レズナーを通じてアクシズと交渉し、様々な製品に割引を適用して売り出しては関係を深めた。グラナダ市がジオン色の濃い都市であることから様々な秘密計画が練られるがデラーズ・フリートの動きと連邦軍の対抗によって崩れる可能性があって保留となる。

 

「それとコロニーの会社には話を通しておきました。復旧作業のため牽引するコロニーは連邦軍の護衛が付きますが、彼らもまたコンペイトウと同じく愛想をつかした同志達ですから。皆さんのご心配には及びません。まぁ、表向きには戦闘によって全滅扱いになりましょう」

 

「フフッ…工作員が天職じゃない。幾らでも斡旋してあげられるわ」

 

「そうですな。本社から辞令が降りた時にはお願いします。まぁ、その時にはグラナダ工場がもぬけの殻となっていますがね」

 

笑いがこぼれる三者面談は何ら支障なく進んで円満に終わった。面談後に荷物の積み込み作業が完了すると民間船は急いで出発した。連邦軍に訝しまれぬようにアナハイム社が緊急で行っているとしておいた。相手がアナハイム社だと連邦軍は強く出辛く臨検も難しくなる。したがって、ニコニコした顔をした船員たちは何も気にせず宇宙へ飛び立って行った。また、彼らは輸送先のコロニーに到着するなり戦闘服に着替える予定である。

 

~民間ドッグ~

 

「お帰りなさい。シーマ様」

 

「どうだった。デラーズは動くか?」

 

「へい。デラーズ・フリートは茨の園から出てきた後続を迎えソロ、コンペイトウに向かい始めました。フォンブラウン市の商人と話を合わせてやるつもりです。俺らは密約に則ってコロニーの受け取りに向かえばいいんですかい」

 

「あぁ、そうなる。お守りの連邦軍はアクシズに下ることになった。コンペイトウの動乱に加担してくれるだろうよ」

 

シーマらがグラナダで三者面談を行っている頃にデラーズ・フリートは決戦に動き始める。コンペイトウに集まる連邦軍艦隊を叩き、尚且つ地球連邦へ痛撃を与える大作戦を間近に控えた。潜伏地点茨の園を出撃した後続の艦隊は旧ソロモンであるコンペイトウを目指すが、シーマ独立艦隊も共同戦線を建前に一仕事を経て合流する手筈が組まれている。

 

「それにしても、またコロニー攻撃ですかい。複雑な気持ちになりますよ」

 

「まぁね。それは否定しないよ。だが、アタシたちがやらなきゃ逆に食われるんだ。食われる前に叩き潰すのさ。それが戦争の掟だよ。綺麗なことは誰だってなんだって言える。大事なことはどんな手を使ってでも生き抜くこと。それが出来ない奴が散って行く」

 

「まったくです。ただ、それも見せかけになるんでしょう。アクシズの上はとことんまともでしてね。それより、あの例のガンダムはどうですかい?」

 

「乗らなくてもある程度分かる。あれは良い機体だよ。アタシのガーベラテトラはね」

 

シーマは長らくゲルググM(指揮官機)を操ったが、あくまでも一年戦争末期の機体のため最先端の機体には難しい勝負を強いられた。前回のガンダム試作一号機との戦闘も決して楽ではなく、相手と同程度の機体を欲しても特段贅沢には思われない。そこで彼女は独自のパイプを用いてアナハイム社から廃棄とされたガンダム試作四号機を譲渡してもらった。ガンダム試作四号機は汎用機として設計されるも前述の一号機と重なる点が多くあり、敢えて同じ物を2つ作らなくてよいと判定され廃棄扱いにされた。しかし、裏取引でシーマへの譲渡が決定しており、各種改修作業を経たガーベラテトラとして生まれ変わった。

 

「ですが、念のためでゲルググMは取っておきます。気分で変えてくだせぇ」

 

「あぁそうさせてもらうよ。アタシらは輸送船の護衛を交代して直ちにコロニーの譲渡ポイントに向かうよ。連邦軍が阻止しに来ることは無いと思いたいけどあり得る話さ。絶対に気を抜くんじゃないよ、お前達」

 

「へいへい」

 

アクシズへ向かう別働隊を仮装巡洋艦に任せたらシーマ独立艦隊は輸送中のコロニーと落ち合う。そこで密約に則った契約の履行が行われ、それから再びデラーズ・フリートと合流する手筈だった。共同戦線を以てしてコンペイトウを目指すが、シーマの本当の目的は何だったのか。それは部下との会話にて登場している。

 

そう…ソロモンの動乱である。

 

続く

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