【復刻】ソロモンの白狼になって宙を駆ける   作:5の名のつくもの

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10万UAありがとうございます。

※今更ですが本編と時系列等が変わっています


伝説の帰還

ジャブロー基地を脱したエゥーゴは本来の戦場である宇宙へ戻るために連絡シャトルを手配した。地上の反ティターンズ組織で協力してくれるカラバの誘導を受け、打ち上げが行われるケネディへ・スペースポートと向かう。道中は巧みな誘導のおかげで追撃を逃れ、無事に残存兵力はセンターに到着することが出来た。用意されたシャトルには多数の兵とMSが乗り込み、後はアーガマ隊が入るだけの状況となる。

 

しかし、連邦軍はジャブローの件を揉み消すため刺客を送り込んだ。ここでエゥーゴを消し去さらん。

 

「急速に接近する機影を確認した。私は置いてけぼりにされても構わない。残りシャトルを守る」

 

「付き合います」

 

「2人がその気なら私も付いていこう」

 

MSにしては高速のため敵機はSFSを使用していると読んだ。SFSはMSを乗せて飛行することができ、MSの航続距離を飛躍的に向上させるだけでなく戦術の幅を拡大させた。カメラからの映像で連邦軍のハイザックが乗ったSFSを視認し、クワトロとカミーユはガルダ級超大型輸送機のド・ダイ改で出撃する。弾かれたサカイは地上でリコリスに付随する背部マイクロミサイルで撃墜を試みた。機体サイズが大きすぎることや機体設計が少し古いことが足を引っ張り、ド・ダイ改の運用を難しくさせてしまう。余裕のない現在は対空ミサイルと化するしかなかった。

 

「ミサイルで敵機の動きを阻害するが、相手は可変機を投入して来たな。あれはアッシマーだ」

 

「連邦軍の可変機。厄介な」

 

敵機隊はSFSのハイザックと初見の機体と確認した。それは『アッシマー』と呼ばれる連邦軍が初めてマトモに実用化した可変機だった。SFSに頼らず自力で高空まで飛び自由自在に空中戦を行える可変機は極めて厄介である。MK-Ⅱも百式も既存機の範囲に収まるため新進気鋭と相性が悪かった。しかし、可変機としては初期のアッシマーはそこまで怖いのだろうか。クワトロとカミーユは「新しいから」の理由で警戒したが、サカイはアッシマーの恐ろしさを知っているから敵機をミサイルの優先攻撃目標に設定した。

 

それは実際に戦う2人の驚きから察せるだろう。

 

「人型に!」

 

「アッシマーを舐めるな!」

 

飛行形態から滑らかにMSへ変わった。高高度でありながらMS形態で縦横無尽に動き回る敵機は決して侮れない。ビームライフルの一撃は盾を粉砕し、カウンター射撃は掠る程度では意味を為さなさい堅牢さを見せつけられた。

 

そう、アッシマーは可変機の中でも総合性能がずば抜けて高かった。飛行形態からMS形態への変更はマグネット・コーティングの恩恵で僅か0.5秒で完了し、大推力スラスターとリフティングボディなど全体的に空中機動戦向けに洗練される。高高度から降下して戦うアッシマーは従来のMS戦闘を覆す驚異的な機体なのだ。防御力もクレイバズーカが掠った程度では全く動じず、ビームライフルも当たり所では無効化する重装甲と完成され尽くされた可変機と言えよう。

 

「ぬぅ!小癪なミサイルが!」

 

「たとえ効かずとも面倒だろうよ」

 

SFSを使う都合で制約が生じる百式とMK-Ⅱはアッシマーに対して劣勢である。新世代の戦闘は言わずもがなであり、尚且つ敵パイロットは熟達された機動で2人を圧倒した。高度や体勢が悪いと0.5秒で可変し急上昇して離脱したかと思えば急降下に転じる。ビームを放つ以外にも果敢に格闘戦を仕掛けた。戦い方のバリエーションが豊富だった。よって、苦戦を強いられる2人を援護するべく地上のリコリスは背部マイクロ・ミサイルを連射する。核兵装をオミットして生まれた余裕に様々な追加兵装を与えており、今回は面制圧を目的とした多連装小型ミサイルを持った。あくまでも制圧が目的の小型ミサイルのため威力は期待できないが、地上から延々と送られるミサイルは上空のアッシマーには煩わしかった。効かないとは言えコックピット内でアラートが鳴り響き、少しでも注意を引っ張られてしまう。

 

「邪魔が入る…リコリスが飛べないと思うなよ」

 

アッシマーは地上の対空ミサイルを黙らせるためハイザック隊を差し向けた。SFSの高機動を活用してバズーカやマシンガンを発射するハイザックはリコリスを甘く見ている。確かにSFSを使えない致命的な弱点があったことは否定しない。しかしながらグラナダ工場の技術力を笑わない方が身のためだった。撃ち尽くしたマイクロ・ミサイルを投棄した上で機体全身に増設された大小のスラスターにフレキシブル・スラスター・バインダーを最大出力で噴射すると恐ろしく重いはずのリコリスは大ジャンプした。

 

まさかの大ジャンプに驚いたハイザック隊はすかさず回避機動に移るが間に合わない。怒り滾る高出力ビームサーベルが無慈悲にSFSごと切り裂いた。まさか格闘で僚機が撃墜されると思わず他は離脱に専念するも見逃してもらえるだろうか。いいや、そんな甘い話があるわけがなかった。リコリスの頭部バルカンがSFS本体を貫いた。口径は60mmの低威力バルカン砲でも飛行性能を持たせるため装甲が無いSFSには致命傷を負わせるに十分である。高連射によって蜂の巣にすることから対空性能が高いと言っても差し支えなかった。

 

「2丁上がりだ」

 

「くそっ!なんてパイロットだ。スペースノイドが重力に引かれてしまえ!」

 

アッシマーを操るパイロットはティターンズの兵には含まれることを嫌った。主導権を奪い去ったエリート集団を快く思っていなかった。ティターンズの撃ち漏らしを貰うことに悪寒が走った。しかし、母地がティターンズに鞍替えしたことから強制的に変更させられた。全てが好ましくなく嫌悪感を抱かざるを得なかった。

 

それでも、よくよく考えたら元凶はスペースノイド達に辿り着くのである。元よりスペースノイドに対し良さげな印象を持たなかったため。渋々ティターンズとしてスペースノイドを叩き潰すことを受け入れる。

 

「アッシマーの動きについてこれないだろう!ここで終わらせる!」

 

飛行から急降下に移るアッシマーは盾を剥がされたMK-Ⅱを狙った。対空ミサイルが静かになった時が千載一遇のチャンスとなる。ハイザック隊は撃破されたが仕事は果たしたため、彼らに見合うだけの戦果を提げなければなるまいて。慣れない空中戦でアッシマーと違い自由が限られるMK-Ⅱは窮地に陥った。

 

「可変機構の弱点を突く!」

 

「うおぉ!?」

 

MS形態に変わる僅かな時間に生じる弱点の胸部を撃ち抜かれた。どれだけ堅牢でも損傷して煙を出すアッシマーは素早く可変し直して離脱する。配下を失い孤立して更に自機が損傷した以上は腕利きでも逃げることを掴まされた。優れた指揮官で戦場を俯瞰する能力を持つパイロットは高速性を活かして撤退する。

 

「危機一髪だったな。とにかく間に合ってよかった」

 

「あなたは?」

 

クワトロ及びカミーユの通信に入り込めると言うことはエゥーゴ機だった。それ以前にアッシマーを撃退したら味方機である。同じくド・ダイ改を乗り回す機体はクワトロの百式と酷似した。思わずカミーユは「百式がもう一機?」と言いかけたが引っ込める代わりに味方の確認を取る。しかし、相手が答える前にクワトロが正体を看破してしまった。

 

「お前は!アムロ!」

 

「そう、俺はアムロ・レイ。今はカラバで戦っている」

 

空中で衝撃が走るのを地上で眺めていたリコリスは眉をひそめる。変わらない馬鹿げた戦闘センスに感嘆すると同時に波乱を予期した。ただ、一先ずは殿を務めあげシャトルを無事に宇宙へ送ったことを安堵している。

 

一通り安堵し切ってから呟いた。

 

「伝説の帰還か…」

 

続く

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