【復刻】ソロモンの白狼になって宙を駆ける   作:5の名のつくもの

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アンケートが意外と大差ついているので投稿日翌日には更新します。


毒ガスは許されない

ティターンズは何度目か数えられない暴挙に手を染めようとしている。ラグランジュポイントL4に位置したコロニー群サイド2に兵を送り、反抗を見せた市民を無理やり抑え込もうとした。よりにもよって、悪魔のG3毒ガスを使用した無差別攻撃である。連中の標的になったのは25バンチと判明したため、直ちにエゥーゴはアーガマとラーディッシュを派遣し阻止に打って出た。

 

しかし、これは月からエゥーゴを引き離す陽動作戦と危惧が呈される。毒ガス攻撃とインパクトの大きな攻撃作戦を敢えてチラつかせ、否が応でも月から戦力を割かせたいのではないかと指摘された。確かに十分あり得ることであるが毒ガス攻撃を無視するわけにはいかず、且つ執拗に狙われる月を隙だらけにすることも出来ない。二兎を追う者は一兎をも得ないため、ここは最近結ばれた協定を活用しジオン軍に代行をお願いした。ジオン軍も月を拠点とする都合で戦力を多く置いておりエゥーゴの依頼は快諾してくれる。

 

かくして、アーガマ&ラーディッシュはサイド2へ後顧の憂いを断って向かった。

 

~サイド2・25バンチ周辺宙域~

 

「敵MS隊を確認。各機、警戒せよ」

 

毒ガス攻撃は極めて強力であるが取り扱いに最大限注意が必要とされる関係で作業に従事する機は無防備になった。大容量タンクをコロニーに突き刺す際は一切の武器を携行できないため護衛は必須になる。経験のあるティターンズはエゥーゴ艦隊の接近を察知すると直ちに迎撃機を発した。接近する敵機を確認したアーガマ隊及びラーディッシュ隊はそれぞれ分かれ戦闘に入る。敵迎撃隊はラーディッシュのネモ隊が引き受け、肝心の毒ガス攻撃隊はアーガマ隊が対応した。

 

アーガマ隊はクワトロ大尉の百式を筆頭にしてカミーユのZガンダム&エマ中尉のFAMK-Ⅱ(WR形態でSFS運用)、アポリーとロベルトのリックディアス、サカイのMK-Ⅲが送り込まれた。それ以外はアーガマ直掩のため居残りを強いられる。

 

「優先すべきは毒ガスのタンクだが迎撃が厚いな…無理をせず確実に敵機を落とせ」

 

いくら毒ガス攻撃が陽動の意味でも成功させたかった。アーガマ隊に対する迎撃は激しい。ハイザックとマラサイが多数接近してくるが中には特異な大型機が混じった。未確認機を捕捉し警戒を強めたがカミーユは苦い思い出を掘り起こす。まさか大気圏に満足せず宇宙空間まで出張ってくるとは思いもしなかった。

 

「行ってくださいエマ中尉。あの機体は簡単に落とせません」

 

「戦ったことがあるようね。わかった、任せるわよ」

 

FAMK-Ⅱを切り離したZガンダムはMS形態に移り戦闘に臨んだ。あの機体はムラサメ研究所で刃を交えた飛行型MSである。三次元的な高機動は大苦戦を強いられ立体機動戦は相手の得意分野だと予想された。ここは宇宙空間のため同じフィールドだが油断ならない。ましてや、重武装と重装甲で鈍いFAMK-Ⅱとの相性は最悪のため新鋭機Zガンダムで対抗を狙った。エマ中尉を送ってから飛行型MSの格闘戦に臨むカミーユである。

 

分厚い迎撃にクワトロ大尉からアポリー&ロベルトまで阻まれたが、常軌を逸した機動を発揮したサカイのMK-Ⅲは振り払うことに成功した。とにかく絶対に毒ガス攻撃だけは阻止しなければならない。30バンチ事件と同じ轍を踏んでは済まされなかった。

 

「ザクのモドキと後継では話にならん。人体の動きまで再現する本機と比べる意味もなかったか」

 

全天周囲モニターを確認せずとも敵機が置いてけぼりにされることが分かる。自機MK-Ⅲは徹底的に速度と機動性を磨いた。シンプルな武装と引き換えに得た機体性能は量産機を圧倒する。しかし、待ち構えていた敵機は引き離すも何も無く戦うしか選択肢は用意されなかった。

 

(マシンガンで戦っていた頃が懐かしい。射撃は得意じゃないが、射撃コンピューターを信じよう)

 

サカイは格闘戦に特化したパイロットであることを裏返すと射撃戦が苦手とされる。決して下手ではないのだが仲間と比べれば劣った。それを覆す怪物じみた格闘戦だが今回は射撃を試す。MK-Ⅲは高度な射撃コンピュータ及びAIが組まれており、メカニック曰く「トリガーだけ引けばいい」と言わしめる正確さを誇った。乗り込む者は考える通りに機体を動かすだけでよく、個人的に丁度いいタイミングで引き金を引くだけである。

 

長銃身ビームライフルから放たれた光線は真っ直ぐ進みマラサイを貫いた。ハイザック後継機のマラサイは総じて高く纏まったがビームの前には無力が否めない。本機の物は百式用とMK-Ⅱ用を組み合わせた高威力のため防ぎきれなかった。どう足搔こうとも無駄と言える。

 

「良い物だな…これは」

 

何となくのタイミングで発射したが寸分狂わず敵機を捉えた。もちろん、敵機に銃口を向けていたがコンピュータが勝手に修正してくれる。想像以上の出来には感嘆を漏らした。しかし、まだまだ敵機は多くあり戦闘は終わらない。ビームライフルだけでは火力不足なことは至極当然だ。お次はこいつだと言わんばかりに背部ビームキャノンの狙いを絞る。2門あるため1門ずつで2機を狙うが回避機動の途中で当たるかどうか疑問が残った。

 

(なんとねぇ。良い機体じゃないか)

 

2本のビームはハイザックとマラサイを焼いた。ビームキャノンと称するだけはあり貫徹力は高い。自機は割と大きな機動をしていたが正確な射撃を行ったことに驚きを隠せなかった。ビームは数を稼げない都合上、正確な狙いが求められ繊細な武器である。格闘大好きパイロットには不向きでもコンピュータに頼ればどうとでもなった。文明の利器は存分に活かすべきと思われる。ただし、射撃一辺倒ではサーベルさんが嫉妬してしまうだろう。

 

「私に格闘戦を挑むとは良い度胸だ!」

 

射撃戦では埒が明かないどころか一方的に蹂躙されると見たハイザックがビームサーベルを構えて突っ込んだ。携行したバズーカは生憎回避されてしまい意味を為さなかった。予備弾倉の補充をする暇は無く格闘で決めるしかないと腹を括るティターンズ兵にしては随分と思い切りが良いが相手が悪すぎた。

 

「御免!」

 

MK-Ⅲは現代機の中でも究極的に人体の動きを再現してあった。人の動きに近づけば近づく程に近接戦闘は磨かれ、パイロットが頭で考えたことをそっくりそのまま再現してしまう。もはや職人技である格闘は圧巻に尽き、ハイザックは何が起こったのか分からないまま両断された。周囲の機体もあっという間の被撃墜にギョッとして追撃できない。MK-Ⅲはこれ幸いと素通りして25バンチに張り付いた毒ガス攻撃隊を探した。

 

自慢の機動性の高さを活かしコロニーに纏わりつき索敵を続け、現在進行形で毒ガス注入準備を行うハイザックを発見した。阻止するべく機体ではなく毒ガスタンク本体に照準を付けるが最終防衛の機体が妨害する。標準兵装と化したビームをシールドで防ぎながら専用ビームライフルのチャージを開始した。専用は2つのEパックを同時並行してエネルギーを充填し、極めて強力な一撃を放つことが可能とされる。戦艦を容易く破壊してしまう代償に再使用まで長時間の矯正冷却が必要のため適切を心がける必要があった。

 

「貴様らの暴挙に終止符を打つ!」

 

戦艦の主砲と同等かそれ以上の威力を持った一撃はG3ガスタンクを完膚なきまで破壊した。内部の毒ガスは超高熱で焼却すれば毒性を無効化する。焼却を免れたガスも広大な宇宙空間に広がれば濃度は限りなくゼロに近くなり害は出ないだろう。作業に従事したハイザックも連帯責任として焼かれており貧弱な武装と思えない火力が発揮された。

 

「次だ!」

 

MK-Ⅲはティターンズの大虐殺を全て阻止する大立ち回りを演じる。

 

その舞踊は見る者を魅了した。

 

続く

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