【復刻】ソロモンの白狼になって宙を駆ける   作:5の名のつくもの

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鞍替えは迅速に

自由ジオンの最高権力者にして国家元首ミネバ・ラオ・ザビ及び摂政ハマーン・カーンとの謁見を終えた4人の内でカミーユ、ファ、フォウの3人は自由ジオン軍加入が正式に決められた。サカイ少尉はシン・マツナガ少佐が偽装した姿のため、里帰りのような形で自由ジオン軍に復帰する。何はともあれ最高権力者から許しを頂き自由ジオン軍に鞍替えした3人は(ソロモンの)白狼と呼ばれるエースの傘下に入った。彼以外の下に入ることは到底考えらず、誰もがさも当然と考えているから問題ない。

 

「少佐は艦も持っているんですね」

 

「あぁ、シャ・ルルド・ゴールは私の艦だが、所詮は民間のコロニー間連絡用大型貨物船を流用した急造品だからな。そこらの最新鋭艦であるムサイⅢ級に比べれば火力面で劣っている。その代わりに貨物船譲りの圧倒的な積載量と航続距離で特殊作戦に従事した。これだけの積載量ならカミーユ君のZガンダム、ファ君のネモ、フォウ君のキュベレイ。そして、私のガンダムMK-Ⅲを満足に扱えるだろう」

 

「ZとMK-Ⅲはアーガマじゃないと…」

 

「問題ない。前提としてシャ・ルルド・ゴールは積載量に裏打ちされた空母に匹敵する運用能力が確保された。そして、ジオンはアナハイム社と手を組んでいるから整備等の技術的なことはちゃんと把握している。事実としてZガンダムで培った技術と経験を融通してもらって『バウ』と言う可変機を開発した。だから、君の心配には及ばない」

 

グワダンを後にした4人は大事な雑談をしながら連絡船でシン・マツナガ少佐が持つ軍艦であるシャ・ルルド・ゴール(改)に向かった。本艦は前の戦争時に深刻な軍艦の不足に直面した旧ジオン軍が民間船を徴用して改造した急造艦である。基がコロニー間で大量の物資を長距離輸送する大型貨物船のため、大きさの割には圧倒的な積載量を誇った。持て余してしまう程の内部スペースは機動兵器を運用する区画に直したことにより一部MAの運用ですら可能にしてしまう。MSでは大きさによるがガンダムMK-Ⅲ、Zガンダム、ネモ、キュベレイの計4機を満足に運用できた。アクシズ主力艦隊を構成するムサイⅢ級を凌駕するため、アナハイム社渾身の超高性能MSですら何ら苦労することなく整備する。なお、これは同社から技術の融通し合いが行われ、且つ独自改良を加えた機体の開発を行ったことから可能にしていた。

 

今更ながら、4人がエゥーゴのアーガマからジオン軍のシャ・ルルド・ゴール(改)に移って機体も回収されることは後に伝達される。向こうが強硬に拒む可能性は高いと予想されたがイニシアティブはジオンが握っていた。どうしても拒んだら協力を破談とした上で第三勢力としてエゥーゴに襲い掛かる用意を整えてある。卑怯だと言われても構わない。勝てばよろしかった。

 

「私のキュベレイは?」

 

「それも大丈夫だ。先に用意しておいて入念な調整がされている。もちろん、実際に乗ってみて、更に慣らし運転してみての各段階を踏んでから完全な状態で実戦投入になるだろう。基本的に戦闘はカミーユ君とフォウ君で正面を張り、ファ君が2人(機)を援護する格好に決まった。別に私がワンマン運転するわけではないが、私に追従しても振り回されるだけだ」

 

「承知しました」

 

3人の関係性も考えてカミーユ・ファ・フォウのトリオが組まれた。普段の仲を活かした連携で敵軍を破壊する。Zガンダムは単騎で射撃戦から格闘戦を担うことが出来るが完璧ではなく、昔から面倒を見ていたファのネモが細かく支援を行った。そして、真打のフォウのキュベレイが意識外の奇襲を仕掛ける。

 

「まぁ、百聞は一見に如かずと言うからね。私の艦でメカニックから説明を受ければな」

 

連絡船はグワダンから少し離れた特設巡洋艦シャ・ルルド・ゴール改に下った。

 

~シャ・ルルド・ゴール改~

 

外から見たシンの艦は本当に民間船だった。軍艦特有のゴテゴテした大砲や対空機銃、ミサイルなどの武装は見られなかった。一応は対空機銃やミサイルを搭載しているらしいが格納式で偽装してあるらしい。ただ、あくまでも対空用の武装のため対艦戦闘はご法度とされた。

 

「お待ちしておりました。そして、お帰りなさい。少佐」

 

「あぁ、ちょうど戻った。ジェイ、悪いんだが先にキュベレイを案内してやって欲しい。内部は後回しにする」

 

「わかりました。それでは格納庫にご案内します」

 

案内人が歩き出そうとしたが直ぐに停止した。

 

「これは失礼しました。申し遅れましたが、僕はジェイ・アーランドと言い、職業はMSのメカニックです。主に少佐の機体を担当していますが皆さんの機体もお任せください」

 

「彼の腕は私が保障する。荒く使っても壊れないからね」

 

必要最低限の挨拶を済ませてから格納庫に向かった。本来は民間船なだけはありすれ違いざまに確認する艦内は充実している。超長距離を長期間航行する都合上、船員たちの士気低下を防ぐ目的で軍艦以上に居住性は高かった。アーガマが悪いとは言わない。ただ、信頼が置けて目指すべき大人がいる本艦が面白く思われた。そんなことを思っていると格納庫に到着してラックに固定されている大型機を確認する。やはり、MSの大型化は着実に進んでいるようだった。

 

「こちらがフォウ少尉専用のキュベレイです。厳密には本当の機体をデチューンした関係で量産型としますが、まぁ気にしないでください。調整が未完了なので実際に乗ってもらいますが、それでも圧巻の性能を有していますよ。言ってしまえばサイコミュ兵器を完全にMSに納めました」

 

「ついに完成したか…」

 

キュベレイは自由ジオン軍が総力を結集させて開発したニュータイプ及びニュータイプに準ずる者専用の機体である。原則として携行兵装を一切持たず機体に武装を内蔵するか備え付けにした。武装は両腕部ビームガン、背部ビームカノン2門、ビームサーベル2本、ファンネル12機と大型機に恥じない武装と胸を張って言える。ビームガンとビームカノンで射撃戦を担い、ビームサーベルで近接戦を行うことが想定された。機体本体の性能はフレキシブル・バインダーのおかげで極めて高い機動性を発揮し量産機ではとても追いつけない。

 

しかし、キュベレイの真髄はファンネルだった。ジオンが生み出した完全遠隔操作でアウトレンジの意識外攻撃を可能にしたサイコミュ兵器はMSに搭載できる大きさまで小型化される。本機は新技術であるバイオ・シグナル・エンハンサーを搭載することでMSでありながらオールレンジ攻撃すら容易にした。4機セットのコンテナを3個持つ合計12機のファンネルで敵機を絡め取る。パイロットに左右されるがファンネルと固定兵装の同時併用を行い隙の無い攻撃を行えてしまう程に完成度は高かった。なお、ファンネルはコンテナに回収することでエネルギーを再充填する。再充填を挟んでの再攻撃が可能とされたが、機体の機動に影響が出ないようジェネレーターから独立したコンデンサを持った。

 

「私がこれを」

 

「思い出したくもないサイコガンダムに比べれば遥かにマトモな兵器だと自負している。要望があればジェイに幾らでもぶつければいいぞ。彼なら満額で回答する」

 

「はい、僕に任せてくださいね。ジェイ・アーランドの名に懸けて」

 

キュベレイもサイコガンダムのようなサイコミュ搭載型の機動兵器であるが、いくら何でもサイコなガンダムよりかは幾分かマシだった。パイロットを常時監視して時には矯正・強制する非道は全く無い。火力では大きく劣ったが機動性に富むためバーターであろうか。

 

「カミーユ、私もこれなら戦える。あなたと一緒に」

 

(若いなぁ…)

 

(少佐、後でアイナ様が待っていますよ)

 

(あっ…はい)

 

続く

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