【復刻】ソロモンの白狼になって宙を駆ける 作:5の名のつくもの
(175) 完全(ストーリーと機体など全て)に採用
(28) ストーリーだけ採用
(198) 機体だけ採用
(29) センチネルは全て採用しない
以上となりましたので機体だけ採用しますが、極々僅かにセンチネルの話が入ります。
ご了承ください。
ティターンズ艦隊を超えグリプス2を直接叩くためシン以下のMS隊は突貫を図る。戦闘圏内に侵入した以上は各地から艦艇の対空砲火が撃ち込まれた。しかし、MSは飛躍的な技術の向上とパイロットの熟成によって簡単に捕まらない。特に可変機であるZとバウは高速性を発揮し照準を置いてけぼりにした。通常型の量産型キュベレイは長射程の背部ビームキャノンで巡洋艦を叩き、ガンダムMK-Ⅲは圧巻の高機動で機械の目を捉えさせない。やはり艦隊で少数精鋭のMS隊を撃墜することは困難のため餅は餅屋理論を振りかざして同じく精鋭のMS迎撃隊を差し向けた。
「噂の新型量産機か」
「任せます!」
「合点だ」
現れたのはティターンズの新型量産機バーザムである。一般兵が扱うハイザックやマラサイに代わって開発された。ガンダムMK-2の量産化を図られたたため性能は相応に高く侮れない。ビーム兵器の併用は当然に可能とされて強力だったが、総じて高く纏まったことは一芸が無く面白みに欠けた。Zガンダムとバウの強行突破に引きずられ、後埋めのMK-Ⅲとの戦闘に巻き込まれると限界を露呈する。
「確かに優れたモビルスーツだが、いかにもつまらん」
衝突した両機は一旦は相互にヘッドオンを回避してやり直した。バーザムは手持ちのビームライフルを撃ち放つも軽々と回避されカウンターを想定して動く。直後に自機があった所を光線が通過して安堵するが僅かな間に撃ち込まれる二射目に被弾して爆散した。MK-Ⅲは携行式のビームライフルと背部ビームキャノンの射撃兵装を二種類有しているため、仮にライフルを外しても直ちにキャノンでカバーを行える。キャノンは機体から独立したエネルギー供給システムが組まれ高機動中でも何ら問題なく使用できた。更には高性能射撃コンピューターとパイロットの技量が加わりカタログ以上の威力を誇る。対して、バーザムは汎用的な量産機だった。ライフル以外にはバルカンしか持たず安易な射撃戦闘は禁物だった。
(機械の助力を得ないといけないとは私も古い人間だ)
あっさり敵機を撃墜したシンは自嘲した。彼は「ソロモンの白狼」や「ミネバ・ザビの白刃」と恐れられるが、それは鬼神の如き近接戦闘(特に格闘戦)に起因しているのであって射撃はいっぱしである。客観的には優れた射撃の腕前は機体の射撃コンピューターのおかげで一切誇れなかった。世間はニュータイプ神話で敵機を見ていなくても撃墜できる等の伝説が築かれる中で古い兵士こそが彼だろう。
「だが、それでも格闘戦は負けん」
若い兵士は戦場の空気に飲み込まれまいと気を張るがベテランは冷静を貫いている。飲み込まれることは論外だが逆に張り詰め過ぎて焦っては意味を為さなかった。爆散した友軍機を見て射撃戦は不毛と見た敵は近距離で確実に仕留めると意気込んだが悪手に尽きる。相手がやけに白く塗装されたMSと見て逃げる又は仲間を集めるべきと指摘できた。
ビームサーベルの斬撃の前に物理的なショルダータックルが決まる。嘗てのザクのスパイクは無いが機体の運動に物言わせて体勢を崩した上でビームサーベルの銃剣で突き刺した。MK-Ⅲの専用品はZの専用品を倣いビームの銃剣を形成している。これはキャノンとサーベルの兼用を止めた代替処置とされたが銃剣の方が性に合った。サーベルと比較してリーチが短いため距離感を誤ると空振り三振する弱点こそあれどライフルから持ち変えずに使用できる絶大な利点が強い。
(敵機を撃墜。そのまま行ってください)
「助かる」
背後から奇襲を仕掛けた一機はファンネルに絡め取られた。強化人間のフォウはサイコミュ兵器の適性を見せつけ、幾分かデチューンされた量産型仕様を器用に扱い包囲殲滅する。ジオンの摂政専用機である素キュベレイの物に比べ要求される技量は数段階低いが、比例して有効射程距離や運動性能も下げられ簡素化されていた。それでも十分に強力であることは言うまでもない。
援護を受け背後を気にしなくてよいことはありがたかった。
「集められるだけの艦を集めたようだ。この防空網を突破することは難しいか。各自で連携して敵艦隊の壁を突破しグリプス2に強襲するように」
(了解)
本来は相互に支援し合うため多少の誤差を含めた一定距離を保って行動したかったが、ティターンズ艦隊の防空網は密度が濃く集まると一網打尽にされる恐れが生じる。したがって、やむを得ず各自の自由行動にシフトした。なお、各自と言うが実際はカミーユとロザミア、フォウの3名は固まって残りのファは小惑星に身を潜めた。よって、可哀想なことにシンのワンマン運転と化する。彼が離脱して残った3人はお互いの強みを活かして弱みを補う戦闘で圧倒したが、白狼の所以たる戦いぶりを見せつけられ気持ちの高揚を余儀なくされた。
(あれが白狼の戦い方…まったく追い付けない)
(お兄ちゃんが勝てないと断言するだけはある)
(古兵なんて嘘なんだ)
フォウとロザミアは以前にカミーユと戦ったことがあるため、全力ではなくともアムロの再来と称されたニュータイプを味わっている。一転して共闘することになり彼の覚醒を見届けるがシン・マツナガは次元が違った。本人は古兵と自らを卑下するのだが全く信憑性に欠けており苦笑いする。カミーユでさえ近接戦闘は赤子同然に落とされる実力は常軌を逸した。彼ならばニュータイプを抑え込めてしまうと断言しよう。
「私はミネバの白刃!ここで止められる切れ味ではないわぁ!」
どこぞの艦長もニンマリ笑う濃密な対空弾幕でエゥーゴのMS隊を封殺する艦隊は一部が大苦戦を強いられていることを受け火消しに動いた。十中八九でアーガマと思われたが実際は派遣されたジオン軍で驚愕するも仕事は変わらない。しかし、捕捉した機体は全体的に白で塗装した上に白狼のマークが施されたガンダムだ。
「懐かしきソロモンの後悔!ここで晴らす!」
全てが始まったに等しいソロモンの戦いでの後悔を晴らされるサイド2宙域は青天の霹靂であり、ティターンズ艦隊は冗談で済ませて欲しい話だが聞いてもらえないことは明白だろうに。極限の機動性を目指したガンダムMK-Ⅲが急激に迫り気づいた時には艦橋をビームライフルで貫かれていた。嘗ては大型ヒートホークで切れているバター状態にしたがビームライフルがあるなら使わない手は無い。
久方ぶり敵艦を撃沈して勢いを増したシンは一気にグリプス2強襲を狙ったが熟練者特有の第六感で回避した。ミノフスキー粒子が撒かれている中であるが僅かでも殺気を探知した彼は元凶を突き止める。彼の鋭い視線の先には超大型の敵機がいた。
「サイコガンダムの宙域戦闘仕様…いわばサイコガンダムMK-Ⅱがお出でなすった。なるほど、正しきモビルフォートレスであるよ。ホンコンの無差別攻撃は常用外であって拠点の防衛が主任務だがね」
それは悪魔の超兵器サイコガンダムである。ホンコンを無慈悲に焼き払った悪の権化はサイド2に出現した。面白いことは計画に則った正しい使い方をされていることである。モビルフォートレスは移動要塞として各地の拠点を転々として防衛に充当された。つまり、グリプス2防衛に投入されることは間違いを与えられないのである。
ここで足止めされてはコロニーレーザー発射を阻止できないため、シンは覚悟を決めて絶対的に困難な対モビルフォートレスの戦いに身を投じた。
(こういうのは得意じゃないんだが…)
続く