【復刻】ソロモンの白狼になって宙を駆ける   作:5の名のつくもの

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おわびの二話目投稿です。

かなり衝撃的ですが、ご容赦くださいませ。


終わりは無く始まるだけ

この場での戦いはジオンの完全勝利に収まった。

 

しかし、指揮系統が混乱したが故にティターンズ内部では離反が相次いだ。ジオンへの降伏を除いて地球へ撤退(逃亡)する者や圏外に脱出する艦艇、独立して独自勢力を名乗る隊と多岐にわたる。全て挙げてはキリがなく、とりあえずジオンが勝ったと認識してほしい。

 

この後はミネバ様を代理した摂政ハマーンが地球連邦と調整を行う。ティターンズの扱いも面倒なため基本的に全部押し付けた。元はと言えば、地球連邦内部のゴタゴタ騒ぎだろう。この戦争の後始末をつけるべきは親玉の地球連邦なのだ。したがって、降伏した兵は原則として強制送還し処分は連邦に一切任せる。処分内容について干渉や文句を言うことは慎んだ。

 

そのバーターとしてジオンは幾つか要求した。要求は主として二つの柱から構成される。一つ目にミネバを主とした、旧ドズル派の「ジオン公国復古を認めること」があった。当然と言えば当然で「地球再侵攻を放棄する」という意味を併せている。二つ目は奪還したソロモン(コンペイトウ)やア・バオア・クー(ゼダンの門)を「ジオン公国に譲渡すること」だった。現在は実効支配のため正式にジオンへ組み込みたい。その他の細々とした点は省略させてもらう。

 

地球連邦としては再侵攻の恐れを消しただけで大きかった。また、ティターンズの後始末を任された点は「ティターンズの業を揉み消すこと」の容認を得たに等しい。したがって、高度にして政治的な妥協という歩み寄りが図られた。ジオンと地球連邦間の奥底で後に語られることのない、極めてドロドロとした交渉が行われた。

 

とにかく、ジオンはグリプス戦役に勝利したことは違いない。第三勢力として介入して美味しい所を拾った汚い戦略でも歴史は常に勝者が紡ぐだろう。消費した戦力も地球連邦(ティターンズ・エゥーゴ含め総じての意味)よりは遥かに少なく済んだ。そして、エゥーゴを相互合意の下で吸収して月面大都市とパイプを繋ぎアナハイム社の大工場を入手している、

 

完全なる勝利と言わずしてどうするのか。

 

~高速戦艦ドズル~

 

「ここから先はハマーンの仕事だ。ゼダンの門はエゥーゴに任せ、我々はソロモンへ帰投する」

 

「了解」

 

降伏したティターンズが残るゼダンの門はエゥーゴに任せた。シンの率いるミネバ親衛隊はソロモンへの帰路についている。ジオンよりエゥーゴの方が奴らの扱いに長けてゼダンの門はジオン内部の自治組織エゥーゴ管轄になる予定だ。

 

「よくやったな。カミーユ君にファ君、フォウ君。ミネバ様は大変喜ばれて軍大学校への入学が認められた。数年は平穏が続いて動乱に巻き込まれることなく、存分に勉学と運動にうち込めるはずだ。卒業後は高級士官で働いてもらうが」

 

「わかっています。白狼に拾われた以上は精一杯に努める所存です」

 

「別に硬くならなくていい。エゥーゴ時代にはサカイとカミーユのコンビで戦った仲だろう。軍大学校では私のバッジを付けていれば、変な虫は寄り付かないさ。面倒があれば私の名前を出しなさい」

 

「はい」

 

栄光の将来を約束されたカミーユらにシンの保護下にあることを示す、白狼をモチーフにした特製バッジが与えられている。これはシン・マツナガと特に近しい者を主張した。法的拘束力は一切ないがミネバ・ザビの後見人の知り合いであれば、学校特有なおかしな学生も大人も寄り付かない。下手を犯せば国家元首に対する反逆に捉えられた。

 

「しかし、シロッコを取り逃がしたことは悔やまれる。まさか南洋同盟が介入してくるとはな…」

 

「傍観者を貫いた国家が傍観者を救うとは皮肉でしょうか」

 

「恐らく逃げ場所を確保していたのだろう。南洋同盟は連邦にもジオンにも属さない。よって、来る者は拒まず、勢力の保持と拡大のためには厭わない」

 

シロッコとの一騎打ちは何とも言えない結果に終わる。フラッシュグレネードを絡めた奇手奇策で追い詰めた。ヒートソードの斬撃を与えることに成功するが、コックピットまであと一歩が足りなかった。シロッコは辛うじて脱出に成功すると第三勢力に次ぐ第四勢力に救出されて場を離れる。

 

当時のシンには追撃する余裕がなく、逃亡を見ているしかできずに臍を噛んだ。

 

「交渉の場でも南洋同盟について出てくるはずだ。禁忌の技術の拡大を防ぐという、もっともらしい看板を掲げ、ジオンと連邦で相互に共通の敵を作ることで衝突を避けたい」

 

「不穏ですね」

 

シロッコを取り込んだ勢力の増長はジオンと連邦にとって好ましくなかった。

 

(まずいな。旧リビングデッドにティターンズ残党が加わるとは予想していなかった。南洋同盟は新しい国家となりつつある。その特性上瓦解することは難しいが、ラスプーチンのような狂人に転覆されるかもしれないぞ)

 

斬撃によって半壊したジOは突如として出現した謎のジオン機(?)に回収されていく。集中力を欠いた一般兵にはジオン機が捕縛したと勘違いして見逃してしまった。ジオンらしい機体はは全て味方というバイアスが働いている。ただ幸いなことに不審な友軍機として記録が残っており、そのデータを切り取って写真に現像した。

 

写真は上層に染み渡り「もしかしたら」と勘の鋭い者は手を打つ。

 

(サイコガンダムは失われたはずだが、恐るべきことに南洋同盟に渡っている。これから火星の残党軍に連邦軍の更なる内乱が始まるというのになぁ)

 

渋さに満ちた内心を見透かしたのかカミーユは頷き促した。今考えるべきことはジオン復古の祝いであり、これから先のことはハマーンら政治関係者に任せる。シンは職業軍人のため政治に絡むことは原則許されない。

 

「まぁ、少しは休めるかな」

 

激闘を終えて一度の休息を得られる各自だが、誰よりも影なる役者を務め上げたシンは疲労困憊である。

 

休息期間も短い内にジオン本国に復権したサイド3では復古を祝う軍事パレードが開催された。

 

~サイド3~

 

戦車や装甲車が戦闘を走り最新型のMSはトレーラーで移動した。大通りには市民が溢れかえりティターンズら地球連邦からの解放を喜んだ。良くも悪くもサイド3は利用されてきた事実があり、市民は不満を募らせていたのである。

 

「我らはスペースノイドの団結を示した。ミネバ・ラオ・ザビ様の下でスペースノイドは真なる独立を勝ち取った!自由ジオンは嘗てのジオン公国ではない!」

 

ギレンやキシリアではなくクリーンなミネバであるが故に大歓迎である。若いと清廉潔白なイメージが勝手に付随して実情が隠されても気にならない。また、大元の旧ドズル派はザビ家で最もマシだった。内部では完全な実力主義が採られて家柄は関係ない。シン・マツナガが政治一家ながら唯一の軍人として大成したのが証拠だろう。

 

むしろ、家柄で重用されたと批判もゼロではない。もっとも、最初は普通の一般兵だった上に自らの技術と質実剛健を以て上り詰めた。それにドズル・ザビ中将は副官に地味が過ぎるラコック大佐(当時)を置いている。彼はソロモン大撤退では艦隊を最小限の被害でアクシズまで逃した功績が存在した。

 

ドズル・ザビの慧眼が光ったと言って差し支えない。表向きの副官にして後継ラコックに懐刀のシン・マツナガを引き抜いたのは「流石」に尽きた。現在の自由ジオンの基礎を作り上げたのは彼らのため疑いを挟む余地はない。

 

(ジオンの復権はなったが不確定にして不安な要素がおおい。これから暗躍という暗躍が続くはずだ。シーマら工作活動に留まらず拡大が続くから闘争の日々は終わらないか)

 

「おじ様」

 

「ん?」

 

まだ小さいためミネバが飽きて話しかけて来る。

 

ドズルから託された彼女は私が言うことではないが立派に育て上げるつもりだ。

 

戦乱が続いても私のやることは変わらない。

 

続く

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