【復刻】ソロモンの白狼になって宙を駆ける   作:5の名のつくもの

85 / 113
アンケート結果を踏まえた導入となります。


章間(諸々の外伝だったり)
やっぱり強奪されるガンダム(?)


ジオン公国復古から積極的な行動は慎み地盤固めに尽力する中に、各地で散り散りになった残党軍の回収がある。暗礁宙域などティターンズら地球連邦軍が手を出し難い所で潜伏する残党軍は多かった。もちろん、多くがアクシズに合流して所属を改める。アクシズが地球圏に突入する際に回収は後回しにされて、掬い切れなかった残党軍を取り込んだ。

 

グリプス戦役が終わりジオンが復古したと宇宙に知れ渡る。すると、ジオンへの帰属を求める残党軍が急増した。旧ギレン派や旧キシリア派、派閥を持たない・入らない勢力、その如何は問わない。その代わりに実力を測って処遇を決める。ドズル派は完全な実力主義のため派閥や家柄は気にしなかった。しかし、個々の実力を測る。パイロットに向かなくても指揮官適性が良好である、前線より軍内部が向好ましい、政略に長けて特殊工作員が良い、等々の振り分けを挟ませた。

 

よって、必ずしも以前と同じ待遇とは限らない。

 

ただし、例外は設けられている。それは旧エゥーゴでブレックス准将保護の都合で羽振り良く、且つ残党軍よりも高待遇でジオンの同志に迎え入れた。これはエゥーゴがジオンになっても、実は高度な自治権を認められた構成組織なことが理由にある。ブレックス准将指揮の下で従来通りにスペースノイドのため戦う。なお、艦艇やMSに代表される武器弾薬は連邦製からジオン製へ切り替えた。

 

話を戻し、残党軍の回収は単純ではなかった。反乱のリスクを摘み取るため時には特殊工作部隊が粛清する。厳格な審査を通過して厚遇を得たいのなら、ミネバ様に忠誠を示すべきだ。古来から忠誠を示す手段として一般的なのは貴重な「物品」や「情報」だろう。

 

今回は前者も後者も携えて首を垂れる残党軍一派が見られた。

 

~ソロモン~

 

(こうも棚から牡丹餅で利益を吸い取れるとは、余程にティターンズはガタガタと見て取れる)

 

私はソロモンで帰属希望者の品定めに同席した。本国で数日の休養を経てソロモンに派遣される。高速戦艦ドズルを含めたミネバ親衛隊の演習が主目的だが、ジオン最強精鋭部隊の演習は地球連邦に掣肘を加えた。

 

その日に丁度面接が開かれ「白狼にも同席してほしい」とラコックさんから頼まれた。最初から現場に身を追い続けた都合で人事は分からない。彼はドズル閣下の副官のため人事経験を豊富に有した。人事に現場の視点を入れたいのはよく言われて聞かれることだが、正直言って、あまり意味はないと思われても頼まれた以上は断らない。

 

しかし、こうも面白いことになろうとは予想していなかった。

 

「ティターンズのガンダムを鹵獲して、これを提供すると?」

 

「はい、残党軍の一派としてゲリラ戦に興じ、因縁のあるガンダムを鹵獲することに成功しました。是非とも、これを提供させていただきたく」

 

「データから高度試験機に間違いないようだ。貴重な連邦製であるため、ありがたく頂戴する」

 

(よくもまぁ、魔改造した骨董品で戦ったものだ)

 

残党軍一派はザンジバルを拠点にゲリラ戦を展開した。そして、素晴らしい土産を持参してジオンに接触する。これ自体は特に珍しいことではないが、問題は土産というのがティターンズのガンダムという点に収束した。データ解析からティターンズが秘密裏に開発を進めた仮称ガンダム(不正確なため)であり、後身のデータ取りの範疇を遥かに超えた高度な試験機と判明する。

 

捕縛したティターンズ兵の証言から、名称はガンダムTR-6と知った。

 

「それで、ガブリエル・ゾラ大尉は何を希望するのか聞こう。これだけの土産を持参したことを高く評価した。我々は満額回答する用意がある」

 

「それでは…私どもをミネバ親衛隊に組み入れさせていただきたく、存じ上げます」

 

「要はソロモンの兵になりたいと。全く問題ないが、ザンジバルと改造機では戦えない。新型巡洋艦と量産機を希望の改造を施した上で与えよう」

 

「ありがとうございます」

 

彼らはザンジバルと改造旧式機でティターンズのテスト部隊であるT3部隊を下した。その実績だけでゲリラ戦の高練度、隅々まで統率の取れた戦闘が窺い知れる。ソロモンへ迎え入れて全く申し分ない。旧式機はザクⅡにリック・ドム、ゲルググMが基とし、基本的にウィンチ・ユニットを追加した上に個別の特化を与えた。ザクにはゲルググ用ビームライフルを固定装備、リック・ドムには小型機雷散布装置を追加、ゲルググMは素が優秀なため機動性に特化させる。

 

苦境の残党軍ならではの改造でピーキーな機体に仕上がった。彼らは熟練兵による技術を以てガンダムを仕留める。とても並大抵の部隊ではなく、ラコックの与える評価は極めて高い。彼らの希望は満額回答で装備の刷新まで約束した。部隊そのままにゲリラ戦を専門とする特殊部隊に格上げする。平時は地球連邦圏内の各地を転々として情報収集と海賊行為に従事し、一時的でも交戦状態に入った場合は後ろ盾を得て存分に戦わせた。

 

つまり、事前のヒアリングや戦闘記録から面接前に合否は決まっていたのである。

 

「そんなゾラ大尉に捕縛されたのを建前にし、T3部隊のマーフィー大尉はどうしたいか。元ティターンズだが地球連邦への復帰を望めば捕虜交換で身柄は送ることができる。残念ながら、君たちのガンダムはもらっていくが」

 

「自分達の置かれている状況は理解している。本来は帰らせてほしいところだが、地球連邦の元ティターンズに対する風は厳しい。それにT3部隊は抹消された上にガンダム開発の責任を擦り付けられた。地球の上層部は変わっていない」

 

「身内に手厳しいのだな。地球連邦軍に戻りたくても、逮捕されるのが必然か」

 

今更ながら時系列を整理しよう。

 

まず、ゾラ大尉のジオン残党軍は自由ジオンに呼応してティターンズを襲撃した。その仲でガンダムを運用するT3部隊と因縁を構築し、長きにわたりガンダムの呪いに苛まされる。しかし、ティターンズが解体されてT3部隊も丸ごと抹消された。仮に帰還しても元ティターンズへの風当たりは劣悪で強い。ガンダムの責任を擦り付けられると、裁判にかけられる危険は誰の目からも明白だった。ガブリエル・ゾラ大尉は戦いを通じて築き上げた関係を活かし、戦闘ではなく対話の末に投降を建前にT3部隊の生き残りを保護している。

 

この特異な事情を知っているため、特例として寛大な処置を想定した。

 

「帰るべき所も抱いた正義は何処にもない。私がどうなろうと構わないが、どうか部下だけは助けてもらいたい。部下に責任は無く私にあるのだ」

 

「ティターンズから切り捨てられた、いわゆる罪なき末端を撃つような真似はしない。やむを得ず、ジオンに下る決断は尊重した。しかし、ゾラ大尉とは違い外様でジオンの仇敵ではおいそれとはならない。よって、テストを行うが受けるかな?」

 

「その内容次第だ」

 

「命を賭せとは言わない。なに、内容は簡単でマーフィー小隊とジオン側代表で模擬戦を行う。模擬戦闘に勝利するか互角以上の戦いを見せてくれれば認めよう」

 

要は実戦形式の試験を課すということ。

 

(随分と余裕綽々だが誰を出すつもりだ?)

 

「私は負傷しているため、小隊からエリアルド、カール、オードリーの3名を提示する」

 

マーフィー大尉は負傷のため見送られて部下3名が提示された。

 

「それでは、ソロモンからは我らの『白狼』ことシン・マツナガ大佐を出そう。総合的に勘案してシン大佐1名のみとする」

 

(ほ~う、ラコックさんに嵌められたよ。まぁ、模擬戦闘なら散るリスクは無いし、ガンダムTRシリーズと真っ向勝負できる。せいぜい、食いついてもらおう)

 

「どうか?」

 

「私は命に従うだけですが、機会が機会ですので、模擬戦闘と雖も全力の本気で行かせてもらいますが」

 

「頼んだぞ」

 

さてさて、見積もらせてもらいますかな。

 

続く




アンケートは後に更新する予定です。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。