【復刻】ソロモンの白狼になって宙を駆ける   作:5の名のつくもの

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アンケートの推移を見て書いておりますので、正史から逸脱することにご理解の程よろしくお願いいたします。


鐘の音が聞こえる

連邦内部のゴタゴタ騒ぎに静観を貫いた。

 

南洋同盟に対しては「部分的な共同戦線」を調整した。

 

今のジオンは一時的な平穏を享受して、地盤固めと軍備増強に尽力する。本国はアクシズと小惑星で資源を採掘しては工場に回した。前線基地にソロモンとア・バオア・クーを置いて不測の事態に備える。なお、ア・バオア・クーについては事実上の吸収を受けた旧エゥーゴのブレックス准将が指揮を執った。エゥーゴ主力の大半が元ジオンや帰順した等のため、親ジオンの色が濃く自然とジオンに吸収されている。もっとも、組織としては独立を保持し続けゼダンの門を占領すると本拠地として運用した。スペースノイドの一大独立勢力を為したが、便宜的に現エゥーゴはジオンと同一視されている。

 

それでは地球連邦はというと、ティターンズを解体して直ぐに新しく少数精鋭の部隊を発足させた。地球連邦を牛耳ったティターンズの反省から、非常時に限り軍から分離して広範な独自権限を掲げ自由に行動させる。しかし、与える艦艇やMSは最新鋭でも数は極々少数に留めて最大でも一個小艦隊が精々だった。確かに、ティターンズの反省が活かされていると言えよう。基本的には防衛よりかは各地を転々として、反地球連邦勢力や南洋同盟に対抗する遊撃戦闘を担った。

 

そんな超が付く少数精鋭部隊は通称名が与えられる。

 

「ロンドベル…ついに動き出したぞ。その鐘の音が聞こえるよ…」

 

「何か仰りましたか?」

 

「いや、ちょっと連邦の動きが不穏だからね、さて、どうしようかと思っていた」

 

「ロンドベル隊ですね。一年戦争の英雄であるホワイトベース隊やカラバなど、ティターンズと刃を交えた敵を採用するとは大胆と思います。その戦力は一個小艦隊ながら数個大艦隊に匹敵し、ジオンにとって明確な脅威と成り得る存在かと」

 

その名は『ロンドベル』であり、サイド1のコロニーから名を頂戴したらしい。ロンドベルの数自体は一個小艦隊でも秘める力は最強と評した。主力の軽巡洋艦は消耗に対する補充が追いつかず、やむなく旧ティターンズの艦を使用する。もちろん、艦の設計は優秀で砲戦とMS戦を両立させた高性能を誇った。更に、艦長は伝説的英雄であるブライト・ノア氏を置き、搭載するMS隊はあの伝説のニュータイプであるアムロ・レイ氏を筆頭に腕利きが集結する。

 

まず、ブライト・ノア氏はなし崩し的にエゥーゴに身を寄せたが、ティターンズを解体しロンドベルを結成するに際して名誉回復と共に彼を復帰させた。アムロ・レイ氏はカラバにより幽閉から脱出を果たしティターンズと戦った。彼は旧カラバの引き抜き及びブライト・ノア氏に誘われて参加する。

 

両者共に元地球連邦の軍人であり、復帰は当然と言えば当然だった。

 

ここで捕捉を挟ませていただく。

 

ジオンと共に戦ったエゥーゴやカラバの全員がジオンに帰順した事はあり得ない。戦場の都合で地球連邦軍の再編に直接参加した、自分の信念から地球連邦への帰化を選んだ、元々地球連邦の軍人だった等々の理由は様々に存在する。ジオンはそれぞれの理由を理解且つ尊重して、帰順を強いることは一切しなかった。

 

寛大な処置は対ジオン感情の緩和に繋がっている。

 

~ロンドベル隊軽巡洋艦サン・マリノ~

 

「ジオンは策士だ。今は大人しくしているが、いつ牙をむき出しにするか分からない。一日でも早く新型ガンダムを取り寄せたいところだ。しかし、上層部はロンドベルを創設するだけで満足し、アムロを強く警戒して締め付けている」

 

「結局のところ、ブライトも俺も何ら変わらなかった。これで勝てるわけがないよ」

 

ティターンズの巡洋艦を修理して改装した軽巡洋艦が旗艦を務める。砲戦とMS戦を両立させているが搭載するMSはカスタム機が占めた。また、アムロ・レイに与える機体は開発中の新型ガンダムが好ましい。いいや、それは敢無く蹴られてしまった。辛うじてZガンダムの量産型を受領することに成功するが、ロンドベル隊が充当される任務は反抗勢力の排除に留まる。

 

結局のところ、ティターンズより幾らかマイルドになっただけに過ぎないのだ。

 

そして、恐れた上層部はせっかくの切り札を縛り付け自ら無力化する。

 

しわ寄せは現場に及んだ。

 

「これではロンドベル隊も置物にならざるを得ない。何もできやしない」

 

「分かっているだろう。あの戦いからな。幸い、ジオンが地球再侵攻を放棄したおかげで、まだ何とかなっている」

 

せっかくのロンドベル隊はスペースノイドから「ティターンズの生まれ変わりじゃないか」と憎悪を叩きつけられた。全ては上層部が設定したことである。軍に在籍している以上は耐えなければならない。アムロは口惜しそうに愚痴を吐くが若さ故の離反は起こさなかった。ブライトは大人の一つ先を歩んでグッと抑える。

 

「今は南洋同盟という第三勢力が台頭し共通の敵が生じた。カウンターとなるムーア同胞団が存在しても安心はできない。その時に備えてくれよ」

 

「わかっている。今あるZプラスで頑張るさ」

 

ロンドベル隊が有名無実化しても機材は充実した。アムロを除いた精鋭一般兵向けにはジムⅢが先行配備されている。ジムⅢはジムⅡを更に改修した中継ぎ投手だが十分に戦える性能を有した。そして、素のジムⅢにスラスターや装甲を増設及び強化したカスタムが施される。これは後のジムⅢパワードへ繋がった。

 

アムロには妥協点のZプラスが与えられる。本当はアナハイム社と軍が開発する新型ガンダムを与えるのが最高だ。しかし、上層部はアムロが新型ガンダムを操り「反旗を翻すのではないか」と警戒している。よって、頑として認めようとしなかった。荒唐無稽な話だが、アムロを首領にニュータイプが一斉蜂起することを恐れる。

 

とは言え、Zプラスも決して悪い機体と評しない。カラバが開発を開始して高価で複雑なZガンダムを簡素化した。当初は一定数を量産する計画を立てるがティターンズ解体により、カラバが地球連邦に移るとスライドして開発は継続される。可変機構の信頼性が向上しても依然として高価であることに変わりなかった。各種試験用の少数生産で終わり実戦投入されるのはアムロ・レイ機だけである。その代わりとして、可能な限りのチューンが施され、アムロの技量と相まって誰も追いつけなかった。

 

ただ一人を除くが。

 

「ジオンはザビ家の生き残りであるミネバ・ザビを掲げた。その実態は摂政のハマーン・カーンが全体の総指揮をとっている。普通は私物化しているなどと内部から突き上げられるだろう」

 

「そうならないのが、あの白狼の存在か」

 

「あぁ、赤い彗星のシャアと並ぶ稀代のエースだ」

 

ミネバ・ザビが国家元首でも幼いことを理由に摂政が設置される。摂政ハマーンによる統治は私物化と突き上げられても仕方なかった。いや、地球連邦から確認できる範囲では全く見受けられないのは興味深い。

 

その訳は対極の存在が大きかった。

 

それこそがシン・マツナガである。彼はミネバの父親ことドズル・ザビから後見人に指名された。旧ソロモン時代からドズル・ザビの懐刀で知られ、絶対的な忠誠心という貫禄のある古き良き武人で鳴らしている。エースには珍しい性質を有しているためか内部の支持は厚くあり、アクシズ出身で外様のハマーンの刺激を中和してみせた。

 

表舞台は雄弁に政治を展開するハマーンと正に対極と位置する。シンは表こそ寡黙を貫き戦場で存在感を発揮した。しかし、アムロが経験したように裏では母国の利を追い求め、カミーユ達のスカウトを成功させるなど、歴史の裏でシン・マツナガというエースはらしからぬ暗躍を続ける。

 

ブライトはアムロから詳細な話を聞いて警戒感をシャア並みに引き上げた。

 

「今度は戦場で見えるのか…シャア以上に嫌な相手だ」

 

続く

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