前略 トレセン学園のトレーナーですがブラック労働過ぎて今日もまたロイヤルビタージュース   作:雅媛

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第二話 どんなに困難な状況でも、努力と友情とロイヤルビタージュースがあれば大丈夫って、それブラック労働で解決するっていうだけですよね

「トゥインクルスター☆クライマックス?」

「そうです!! トレーナーさんにもぜひ協力していただきたくて!!」

「まあ、最強を決めるっていうコンセプトは面白いかもしれないですけどね」

 

 乙名史記者がトレーナーに提案したのは、トゥインクルスター☆クライマックス。

 最強を決めるレース、というコンセプトの本当にクライマックスなレースだ。

 トゥインクルシリーズの参加者も、ドリームトロフィーリーグの参加者も、その後のプロリーグの参加者も、地方の子もどこにも所属していないただのウマ娘も皆参加できる、本当に最強を決めるレース、というコンセプトである。

 距離も、芝の短距離・マイル・中距離・長距離 ダートの短距離・マイル・中距離となんと7種類も行うという、ちょっと狂気を感じる。

 

 アメリカのブリーダーズカップほどまではいかないがとんでもなくビックウイークなレースである。

 

「賞金も実施費用も莫大になるけど、どこから調達するんですか、これ」

「賞金はステークス方式、参加費をある程度とってそれを集める方式にして少しは足しにする予定ですが、メインは観戦料と広告収入と放映料ですね」

「まあお金の話は私は詳しくないので、めどが立っているのならいいです」

 

 賞金だけでもジャパンカップを10回やるぐらいになっている。

 本番レースだけで7回、予選も含めれば何十回というレースを行う、そのレース場を借りるのだってバカにならない金額だ。

 だが、それに見合う収入が得られるかどうかまではトレーナーにはわからなかった。

 どうやら乙名史記者と、ライトハローの方でそのあたりは算段が立っているらしい。

 

「一度見てみたいレースですが、私はいったい何をすれば?」

 

 トレーナーが次に疑問に思ったのはそれだった。

 最強を決めるレース、確かに素晴らしい。

 実施可能ならば自分だって見てみたい。

 だが、その実施にトレーナーができることが何かあるとは思えなかった。

 

「トレーナーさんには、学園とURAとの折衝をしていただければと思うんですが……」

「学園はまだしも、URAの方はほとんど伝手はないですよ」

 

 生徒会顧問は学園での権限は非常に大きい。

 さらに生徒会長であるカリスマ、シンボリルドルフとも懇意であり、トレーナーは生徒たちにはかなり知名度と信頼を得ていた。おそらく、学園との折衝とは参加者の確保だろう。確かにそのあたりならどうにかなる。

 だが、レースを主催するURAとの交渉なんてあまりしていない。せいぜいアオハル杯用の会場の交渉や、グランドライブ用のライブ会場を借りたり、そんな交渉ばかりだ。

 特に実績があるわけでもないトレーナーでは、URAとの大きな交渉は難しかった。

 

「お願いします、トレーナーさん。私やライトハローさんでは外部の人間なので、URAの反応が良くないんですよ」

「むぅ」

 

 まあ、URAにとって記者の乙名史や、ライトハローは完全外部の人間であり、一方でトレーナーは関連組織であるトレセン学園の職員である以上、関係はかなり強い。

 トレーナーはため息をついた。

 

「ひとまず、企画を教えてください。現状ではどうすればいいのか見当がつかないので」

「ありがとうございます!!」

 

 乙名史記者には、アオハル杯やグランドライブの広報に動いてもらわないといけない。

 だからその分こちらも動く必要がある。

 かなり大きな貸しだが、その分見返りは期待しておこう。

 分厚い企画書を受け取り、トレーナーのテンションは少し上がった。

 

 

 

 ひとまず学園に根回ししようということで、理事長のところに資料をもって向かうトレーナー。

 手土産はロイヤルビタージュースを使った手作りゼリーである。

 ロイヤルビタージュースは体には非常に良いが、味が絶望的に不味いため、人気のない商品である。なので、上手く調理して、少しでも摂取しやすくすればよいのではないかとトレーナーが試作したゼリーであった。

 試食したゴルシちゃんは口からレインボーを噴出したが、まあ、理事長はお疲れだろうし、分けて差し上げようというトレーナーの善意の代物であった。

 

「理事長~ 今よろしいでしょうか」

「トレーナー、ちょうどいいところに来た」

「なんですか? あ、たづなさん、これ手土産です」

「なぜか風呂敷越しですら禍々しいオーラを感じるんですが……なんですかこれ?」

「手作りゼリーですよ」

 

 理事長に勧められて、ソファーに座ったトレーナーの前で、手土産が開かれた。

 どす緑い個体に、たづなさんの意識は飛びそうになる。

 

「なんですか、これ……」

「ロイヤルビタージュースゼリー。工夫に工夫を重ねて、不味さは当社比90%減です」

「9割減ったぐらいでロイヤルビタージュースは人の口に入れていいものにはならないんですよ……」

 

 たづなさんは、手土産を遠くに追いやった。

 

「それで、理事長なんですか?」

「そ、そうだった。今回、URAファイナルズを実施する予定なので、手伝ってほしい」

「URAファイナルズ?」

 

 新企画らしい。こちらにたづなさんと樫本トレーナー手伝わせているのに大丈夫なのだろうか。

 そんなトレーナーの疑問を察した理事長が資料を渡しながら言葉を続ける。

 

「実はURAの方から提案された企画でな」

「まあ確かにURAってついてますもんね」

 

 さすがの理事長も、この状況で新規企画を立てるような無謀はしていなかった。

 だが、URAから強い要望で、こんな企画が降ってきてしまった。

 人手が足りない以上、トレーナーにも手伝いの要請が来たということだ。

 

「トゥインクルシリーズからドリームトロフィーリーグに移るメンバーでのレースですか」

「トゥインクルシリーズの見納めにといわれると確かにということにはなるのだが……」

「そうですね」

「そう言えばトレーナーも何か用があったのでは?」

「乙名史記者から、レースの企画をお願いされまして」

 

 そういいながら資料を渡すトレーナー。

 

「トゥインクルスタークライマックス…… 最強を決めるレース」

「面白いとは思うんですけどね」

 

 渡されたURAファイナルズの企画書を読みながらつぶやくトレーナー。

 実施時期がかぶっており、どうするかがかなり悩ましいが……

 

「まあ、すべてのウマ娘の幸せのためです、頑張って全部やりましょう」

 

 トレーナーはそう言い切った。純粋な目である。頑張ればどうなると本気で信じているのだろう。

 座右の銘は不退転。不撓不屈のロイヤルビタージュース中毒トレーナーは伊達ではないのだ。

 

「わ、わかった」

「ということで、企画書置いていきます。URAと会場の折衝とかしないといけないときにまた相談しに来ますね」

 

 そういって去っていくトレーナー。

 仕事を減らそうとしたら増えてしまった理事長は、現実逃避にロイヤルビターゼリーを食べて、1割の威力に負けてレインボーを口から逆流させたのであった。




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  • ゴルシちゃんのメイクデビュー
  • アオハル杯初戦
  • グランドライブ初戦
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