そしてメガネは神になった   作:なかみゅ

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最終話 神位継承

「……生まれ変わっても、また残酷な悲劇に見舞われるとしてもか?」

「えっ!?」

 ピカオはビクッと身震いしたが、それでも彼は言う。

「はい。それでもです」

「そうか。いいだろう」

 私はピカオを元の場所へ送り返す。彼の姿はスゥーっと透けて見えなくなる。ここに来る前にピカオが漂っていた場所。生前ピカオが勤めていた会社の敷地に返したのである。

 私が前任の神であるウサギに力をもらい受けた時、強制的に神にさせられたことは私のトラウマだった。 

 だから私が次の神予定の者に神の力を与える時には選択肢を与えてやろうと思っていた。ピカオが生まれ変わっても悲劇的なメガネ生を送ることには変わりないが、それでも彼は強く生きていくだろう。

 

 断られてしまうと次の神を誰にするか新しく考えるのが面倒だ。そういう訳であまり説明しなくても神になってくれそうな者を適当に次の候補にした。

 この時代から数十年後の時代に飛ぶ。ピュア・クリア(本名カクタ・キラロウ)の霊はメガネ通りのまばらな街道を漂っていた。彼は四角いレンズでクリアフレームのメガネだ。

 ここはピュア・クリアが事故死した後の時代である。彼は事故死した後も自分が死んだことに気づかず逃げ続けているのだ。ピカオが濡れ衣で罪を被り、もう彼を捜索する追っ手すらいないというのに。

 それでもピュア・クリアは不安という名の見えない追跡者から逃げ続けている。彼もなかなかに哀れなメガネだった。

 私はピュア・クリアに金縛りをかける。

「!? ……! ……!!」

 ピュア・クリアは突然動けなくなった事に驚愕しどうにか体を動かそうとピクピク震えている。彼を候補に選んだのはあまり丁寧に接さなくてもよさそうだったからでもある。なにしろ彼はマイケル暗殺の主犯である。私は後ろから彼にレーザーを突きつける。光の塊が瞬く。

「ひいぃ!?」

 気付いたピュア・クリアが恐怖に満ちた声を上げる。

 レーザーは他のメガネには見えないようにしてある。私自身はウィルスなので元から誰にも見えない。ピュア・クリアにも見えないがそれはもう面倒なので気にしない。私は手っ取り早く用件を告げる。

「私は神だ。お前に神の位を譲る」

「はいぃ!?」

「ごちゃごちゃ言うな!」

 最早会話をするのも面倒なので余計なことは喋らせない。しかし選択肢は一応彼にも与える。

「お前に問う。神になりたいか!? イエスかノーで答えろ!」

「な!? それはどういう」

 ピュア・クリアは状況を全く理解していないが、私は構わず迫る。

「早く答えろ! イエスかノーだ!!」

「え……えっと、イエス!!」

「……その言葉、確かに聞き届けた。今からお前が神だ」

 

 そしてメガネは神になった。

 

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