パンチュ•パカブラ   作:ヤングコーン

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下水道から出て、日輪と影忍者の因縁に決着をつけて、いよいよパンツと食料を調達しに出かけた俺。出た所が悪かったか町ではこんな夜遅くまでイベントはやってて人は沢山いるし、家はどこも戸締まりしっかりしてるで防犯対策はバッチリ。

しかしよく見ると皆仮装してるもので、俺みたいなのが下手にこそこそするより堂々とと出歩いた方が目立たないと思った矢先変な連中に絡まれてしまった。困ってると、狼男の着ぐるみ着て俺をパパと呼ぶ幼女に手を引っ張られてもう大変。俺、童貞なのにパパになるのか…


11話 娘を名乗る幼女

非常に困った。今夜は何かイベントがあったらしく人はちらほらいるし、家は戸締りがしっかりしてある。漁火達の地元とは訳が違う。こんな夜に洗濯物を干している家も見かけないし、どうしたものか…。

 

人を避けながら何とか入り込めそうな家を探す。しかし、この辺りはおかしな格好をした人を多く見かける。この中ならこそこそする方が不自然な気がする。

 

「敢えて堂々とど真ん中を歩いてみるか…」

 

そう思って隠れるのをやめた。すると俺を見かけた人の数人が集まって来る。

 

「すみません、写真いいですか!?」

 

「凄いリアル!え、プロの方ですか?」

 

「何で頭にパンツ被ってるんです?」

 

しまった、妙なのに絡まれてしまった。

 

「すまん、先を急ぐんだ通してくれ」

 

「1枚だけ!お願いします!」

 

案外としつこい。しかも俺を見かけた通行人も集まって来た。まずいなこれは…。そう思ってると向こうから小さな狼男みたいな格好した子が走って来る。

 

「もう、パパったら迷子になったダメって言ったでしょ!ママはこっち!」

 

俺は狼男の格好をした幼女に手を引っ張られる。案外と腕力が強い。でも人込みの中から抜けられた。後ろではほのぼのとした笑い声や写真を撮る音が聞こえた。とりあえずの窮地は避けられたが…。

 

適当な所でその子の掴む手を放そうとするが、その子は俺の手を強く握って放してくれない。

 

「おい、誰だか知らないが俺はお前のパパじゃないぞ。人違い(?)だ」

 

「私はジェーンに頼まれて来た協力者だ。今はおとなしく私の親を演じて欲しい」

 

「じぇ、ジェーンに?」

 

先ほどの幼げな舌足らずな声はどこへやら、大人びた口調で俺にそういう幼女。途中で手を離すとどこかへ道案内してくれる。やがてボロい宿屋についた。ドアの前で「レプタイル」と言うと「どうぞ」と聞こえた。

 

中に入るとカウンターにミーシャがいた。あの店が彼女の家じゃなかったのか?…そう思ってるとミーシャは目を開く。

 

「あれ、この匂い…」

 

「ミーシャ、目を開いちゃダメだって」

 

「ごめんロレッタ」

 

ロレッタ…それがこの子の名前か。

 

彼女の隣を通り奥の廊下へ進む。気のせいか、今ミーシャがこちらを目で追った気がする。

 

「目が見えないんじゃなかったのか…?」

 

「30cm以内なら。でもそれ以上先はぼやけて大雑把にしか識別できない。訳あって全く見えないフリをしているんだ。あまり大きな声で言わないで欲しい」

 

「ああ…」

 

やがて彼女は部屋の前で止まった。ドアノブを捻って中に入る。部屋の中は独特のにおいがした。あまり綺麗な内装ではないが宿泊施設としては充分に整っている印象だ。彼女はベッドに座ると着ぐるみを脱ぎ始めた。中には白衣?を着ていた。

 

金髪でロング、青い瞳だった。彼女は狼男の着ぐるみを脱ぎ捨てるとベッドに寝転がった。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「まさか君の方から接触があるとは思わなかったよ、ジェーン。無事で良かった」

 

「君と同じで隠し事は性に合わないようだカブラン君。君こそ無事で良かった」

 

あれからずっと連絡が取れなかったが、まさかジェーンの方から接触してくるとは思わなかった。罠かもしれないと身構えていたので俺も緊張の糸が解けてその場に座り込む。彼女はベッドの下からカバンを取り出すと中からお菓子やパンを取り出す。

 

俺にも食べていいと分けてくれた。ミーシャが売っていた食べ物で見たような商品用のパッケージに入っていない。どうやら手作りの様だ。俺はお礼を言ってそれを食べる。

 

「どうして最初からジェーンって名乗らなかったんだ?」

 

「馬鹿正直に言えば君は信じたかい?」

 

ジェーンはミーシャと同じぐらいの年に見える。通信連絡していた時、まさか話している相手がここまで幼い容姿をしているだんんて思わなかった。状況を整理すればこそ彼女がジェーンだと分かったが、そうでなければ信じなかっただろう。

 

「そうだな、たぶん信じなかった」

 

「だろうね。でもどのみち今後の作戦のために直接会っておく必要があった。その上でどうやったら私がジェーンだと君に信じて貰えるかとても悩んでいたよ」

 

それからジェーンはカバンの中からパンツを3枚取り出して俺に渡した。

 

「はい、これ。さすがにパンツを重ね着して過ごすのはちょっと大変だったよ」

 

「助かる」

 

俺はパンツを受け取るとポーチの中に入れた。

 

「そろそろ気になっているだろうから、通信が取れなくなってから何があったか、君が今後どうすべきかについて話すよ」

 

 

 

 

連絡が取れなくなった理由はそう深刻ではなかった。ジェーンはミランダ教授の助手ではなく実の娘だった。ミランダ教授は忙しいので滅多に顔を合わせる事はないのだが、珍しくディナーに誘われ断れなかったのだという。親に不審がられては計画が危うくなる。仕方がない。

 

その後、俺がつけているインカムの位置情報から場所を特定して接触しに来たらしい。パンツがなくなりそうだった事もあり大変助かる。それからジェーンは食料確保に困らなくていい様に栄養価の高い保存食をいくつかくれた。

 

そしてようやく本筋に入った。

 

「…君には信じがたい事だと思うが、言わなきゃいけない事がある。母の研究には強力な後ろ盾がいるんだ。君のよく知る人物だよ」

 

「タベル大佐か」

 

「!!…知ってたの?」

 

「そんな気はしていた」

 

そうでもなければ俺の宇宙船が地球人の科学技術力で捕捉、撃墜できるはずがない。それに、下水道で俺を落としたあの謎の人影。あの戦い方は俺に格闘を教えてくれたタベル大佐のものだった。頭を打って姿はあまりはっきり思い出せないが間違いない。

 

ただどうにも腑に落ちない。どうしてタベル大佐が地球にいて、俺を襲って来るのか。俺は彼を師の様に尊敬していたし、親の様に慕っていた。恨まれるような覚えはない。彼はいつだって優しかった。

 

「詳しい事情は分からないけど、彼は母の研究を手伝っている。カーグを捕まえる事にも協力していた。前から聞いていたから妨害しようとしたけど、君の宇宙船をミサイルで撃ち落としたのも…」

 

「大佐…どうして…」

 

「私はこれから一度君と別れ、船を修理するためのパーツを直ぐに盗める様に工作するつもりだ。それから大学内で君と合流して一緒にパーツを盗み大学を出る。帰りは私が移動手段を確保する。そこは安心していい。…ただ、このまま計画を続ければ君はタベル大佐と対峙する事になるかもしれない」

 

タベル大佐が地球にいる予定はない。俺が母星に帰っても、大佐はその事について直接触れる事はないだろう。だが再び地球で会う事があれば、争いは避けられない。理由は分からないが大佐は俺を殺す気でいる。俺だって殺したく無いが、生きてやるべき事がある。

 

「覚悟はできてる。続けようジェーン」

 

「分かった。君を全力でバックアップするよ。他に足りない物はあるかな」

 

「食料もパンツも充分だ。いつでも発てる」

 

「私は遅れてここを出るから君は先に下水道から聖ブディング大学へ向かってくれ。カメラ工作は完了している。中庭の倉庫で落ち合おう」

 

「了解」

 

俺は部屋を出て外へ向かう。玄関でミーシャが机に突っ伏していた。物音か、匂いか彼女は俺に気が付いてこちらを向く。…彼女は関係上妹にあたる。ひとことぐらい何が言った方がいいとは思ったが、一から説明するとジェーンがいつまでも部屋から出られない。

 

後ろ髪引かれる思いはあったが、先を急ごうとドアノブに手をかけた。

 

「あまり姉を待たせないであげてくださいね、兄さん」

 

「!」

 

俺は驚いて振り返る。

 

「地下は食料には困りませんが、調味料は不足しがちでして。父亡き後、出て来た姉と再会しまして。それからと言うもの、たまに取引しているのです。姉から話は聞きました」

 

「…なら話が早い。いつかまた俺はこの星に帰って来る。その時、ソロルも連れて帰るつもりだ。ミーシャ、お前が良ければ連れて行きたい」

 

ミーシャは首を横に振る。

 

「ここの皆、粗野で言葉遣いも荒いんですけど私に優しく接してくれるんです。本当の家族みたいに思ってます。ロレッタの事もありますし、私はこの星を離れる事はできません」

 

「そうか…。残念だ」

 

「ふふ、気を落とさないでください兄さん。私達は同じ屋根の下で生まれ、星を隔てて離れ離れになり、お互いに素性も知らず再会し、こうしてまた巡り会えたんです。一度は奇跡。二度は偶然。三度は必然。私達の絆の強さはもはや運命です。もしこの星に未練がなくなったら、私をどこへでも連れ去ってください」

 

彼女は妖しげに微笑む。ミーシャの言う通りかもしれない。もしかしたら、漁火も、虚も、ジェーンも…また会えるかもしれない。俺の生涯は自分が思ってるより悲観的になる必要はないと信じていいかもしれない。

 

俺は頷いた。

 

「またな、ミーシャ」

 

「またね、兄さん」

 

俺は今度こそドアノブを捻り、外へ出た。




身内が星砕きのラダーン撃破しました。召喚サイン出す癖に出て来ても何もせず元の世界に帰るパッチで笑った。
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