真選組の沖田さん(ドS)と型月の沖田さん(病弱) 作:芋けんび
まさかマダオがこんな所にいるなんてビックリしたな…。咄嗟に「あっ、マダオだ」って言いそうになったから危なかった。
相手からすれば、俺は初対面のお巡りさんでしかないからね。
下手に余計な事を喋ると後で色々面倒だし…。それに、あんな負のオーラ全開でベンチで体育座りされたらこっちも気になって話しかけるしかなかった。
困ってる人がいたら見過ごせませんよ。なんたって沖田さんは善良なお巡りさんですからね。(2回目)
マダオは最後まで俺を男だと思ってたみたいだし、そーちゃん直伝のこの男装は思いのほか上手くいってるみたいでホッとした。
「別にわざわざ男装する必要ないのに」と言ってみたが、そーちゃん曰く「『所詮は女』と女を舐め腐った輩もいやすからね。姉上を馬鹿にした連中の出っ鼻をへし折ってみるのも一興でさぁ」と大魔王のような不敵な笑みを浮かべながらそんな事を言われたらこちらも首を縦に振らざるおえなかった。
「んん?」
ふと、ベンチで行儀よく座る中華服の子供が目に入る。この世界で中華服って言ったらゲロインこと神楽か、その兄貴の神威くらいだろう。
ーー率直に言うと神威とはなるべく出くわしたくない。あんな夜兎の本能に忠実なバトルジャンキーに目をつけられたら命がいくつあっても足りはしない。
象を一瞬で混濁させる毒矢をあんなにその身に受けながら死なない奴だぞ。
ただの人間でしかない沖田さんではまともに殺り合えるような相手じゃない。
え?そーちゃん?
あの子は俺なんかより遥かに強いからきっと大丈夫。
「お前ここら辺じゃ見ない顔アルな。その格好ってことは税金泥棒の仲間?」
「お前、じゃありません。沖田さんには沖田桜之進っていう超絶キュートな名前があるんですよ」
「ダサいネ」
「辛辣っ!?」
一言でバッサリ切り捨てるその容赦のない毒舌。間違いなくこの子は神楽ちゃんだ。
「沖田ってことはあのいけ好かないサドの兄弟アル?」
「そうですそうです。貴女の話はよくそーちゃんから聞いてますよ。『万事屋の生意気なじゃじゃ馬のガキ』と」
「あのサドォォ!自分の方がガキのくせによく言うアル!今度会ったら絶対にタダじゃおかないネ!」
両足をバタバタさせて怒りを露わにする。鉢合わせれば喧嘩が絶えない犬猿の仲なのは原作通りらしい。
それはそうと、神楽ちゃんを見るとノッブと呼びたくなるのは何故だろうか。
「貴女はこんな所で一人ポツンと何をしてるんですか?もし迷子だったら沖田さんが交番まで案内しますよ」
「神楽ネ」
「へ?」
「私の名前アル。あのサドは生理的に受け付けないけど、お前とは仲良くやれそうな気がしたネ」
「神楽ちゃん…!」
花の咲くようなニコニコ顔でそんな事言われたら感動で泣きそうになるよ沖田さん。でも、君のパピーに嫉妬で殺されそうだからその笑顔はやめて。
「もしかしたら、あのサドの弱みを握ることができるかも知れないアルからな」
いや、それが目的かい!?
天使のような悪魔の笑顔で物凄いこと暴露されたんだが。マッチのミッドナイトシャッフルもビックリの強かさだよ。まだ子供なのに世渡り上手か。
「今後ともよろしくアル、おっきー」
「はい、よろしくお願いします…って、おっきー?何ですかそれは?」
「渾名ネ。それとも
「冗談で言ったのにそんな本気にならなくてもいいのに」と、酢昆布を食べながら悪戯っぽく笑う。全然冗談に聞こえなかったんですけど。絶対一瞬だけFateの第六天魔王が憑依してたぞ今…。
あっ、そうだ。万事屋メンバーの誰かに会ったらやりたい事があったんだった。
「神楽ちゃん、1つお願いがあるのですが…いいですか?」
「何アルか?」
「一緒に写真撮りませんか?」
「は?急に何言ってるネ?」
「実は沖田さん、万事屋さんの大ファンなんですよ。ですから、一緒に写真でも撮れたらなぁってずっと思ってたんです」
「私達のファン…?おっきーかなり変わり者アルな。中々いないヨ。メタルスライム並の激レアの人物ネ」
真顔で皮肉を言うが、よくと顔を見れば頬がほんのりと赤く染っている。照れを誤魔化す為に敢えてそうしたんだろうと思うと、なんだか微笑ましくなった。
「?何で頭を撫でるネ?」
「いやぁ、撫でやすい頭が丁度目の前にありましたので」
「子供扱いすんなアル!」
『ガキ扱いすんじゃねぇ!』
そういえば、そーちゃんにも昔そんなこと言われたっけ。懐かしいなぁ。そーちゃんとは昔は結構仲が悪かった。ミツバさんがいなければ今もひょっとしたら仲が悪いままだったかも知れない。
土方さんは茶化して反抗期は終わったのか、なんて言ってたけど。
「あり?お前こんな所で何やってんだ?」
「あっ、銀ちゃん。銀ちゃんこそ公園で何してるアルか?」
「ジャンプの最新号はまず公園で読むって決めてんだよ。…てか、職質されるとか何やらかしたんだよお前」
会話に割って入ったのは、特徴的な銀髪に、やる気を一切感じない死んだ魚のような目。『洞爺湖』の銘が入った木刀を腰に差した人物だった。
偶然とはいえ、こんな所で主人公と邂逅することになるなんて。
「神楽ちゃんの保護者の方ですか?近頃は子供を誘拐してお金を巻き上げようとする犯罪グループもいると聞きますし、子供からは目を離してはダメですよ?」
「こんな怪力娘を誘拐しようなんて考える奴はいねーから大丈夫だろ。それに、こいつァ夜兎だしな」
「オイ、聞こえてんぞ天パ。誰が怪力娘アルか。少しは私の心配をしろヨ」
「ん?つーか、その格好ってこたァお宅って真選組なのか?」
「あ、はい。真選組八番隊隊長の沖田桜之進と言います。気軽に沖田さんって呼んでくださいね」
「沖田だぁ?…ああ。ひょっとしてあいつの言ってた姉上ってのはアンタか」
「え!?おっきーって女だったアルか!?」
お前、女だったのか。
よくある薄い本やR―18指定じゃ、実は女でしたー的な展開は脅迫のネタとなって、汚いおっさんやチャラ男にあんな事やこんな事をされてしまうのだが、そんな鬱展開は御免蒙る。沖田さんはそんなチョロくないんで。
「そーちゃんに会ったんですね。ええ、訳あって男っぽい格好をしてますが、私はれっきとした女ですよ」
「確かにサラシで誤魔化しちゃいるが、こりゃ間違いなく女だな」
「あの、ナチュラルに人の胸を触るの止めてくれませんか?お巡りさん相手にセクハラなんていい度胸してますね」
「違ぇんだよ。俺の両手がまるで吸い込まれる様に沖田の胸によぉ」
「人のおっぱいをダイソンみたいに言わないで下さいよ!?」
「おま、女が人前でおっぱいとか言うなよ…」
「おっきー下品アル」
ゲロインにだけは絶対に言われたくない。何なんだこの人達は。いや、こんな事は銀魂じゃ日常茶飯事だったわ。
ツッコミし出したらキリがない。
「何でこっちが悪いみたいになってるんですか…」
「そんな露骨にこいつらめんどくせぇみたいな顔すんなよ。悪かったって。俺は坂田銀時っつーもんだ。困ったことがあったら『万事屋銀ちゃん』をよろしくな。言っとくが、依頼料はちゃんと貰うぞ」
「改めて、社員2号の神楽アル。仲良くするヨロシ」
「ご丁寧にありがとうございます。そーちゃん共々、今後ともよろしくお願いしますね」
「銀魂の女キャラには有るまじき淑やかさでビックリなんだが。ゴリラ急に路線変えたのか?清楚なキャラ出せば売れるとでも思ったの?」
「清楚なキャラは自分でおっぱいなんて言わないネ。おっきーも立派なこっち側の人間アル」
喧しいわ。誰がそんな事を言わせたのか考えてみろ。誰が1番悪いのか考えてみろ。ん?あれ、待てよ。最初におっぱいって言ったのは自分だったっけ…?
コロナに感染してしまったので、暫く更新できません。
すまぬ…。回復したら執筆を再開するので待っててくだされ!