ようこそ雪ノ下雪乃がいく教室へ   作:ゆうき35

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放課後①

入学式が終わり、クラスメイトがこれから遊びにいく計画を立てている中、私は1人職員室を訪れた。

 

「1年Dクラス雪ノ下雪乃です。

 茶柱先生はいらっしゃいますでしょうか」

 

「え?サエちゃん?

 えーっとね、さっきまでいたんだけど」

 

振り返った先生は、セミロングで軽くウェーブのかかった髪型の今時の大人って感じの人だ。親しそうに茶柱先生の名前を呼ぶ。年齢も近そうだし友達なのかもしれない。

 

「ちょっと席をはずしてるみたい。

 中に入って待ってたら?」

 

「いえ。廊下で待っています」

 

「私は1年B組の担任、星乃宮知恵っていうの。佐枝とは高校からの親友でね。サエちゃん、チエちゃんって呼び合う仲なんだ〜。凄いでしょ〜。ほえ〜雪ノ下さん、凄く美人だね〜。一之瀬さん以上かも…。彼氏できた〜??」

 

「入学して初日でできるものではないと思いますが?また、仮にできたとしたら私はここにいないのではないでしょうか」

 

「何やってるんだ、星乃宮」

 

茶柱先生が突然現れ、クリップボードの角で星乃宮先生の頭をしばいた。小気味の良い音が鳴り、ちょっとだけ担任に感謝する。

 

「いったぁ!何するのサエちゃん!」

 

「お前がうちの生徒に絡んでいるからだろ。悪いな雪ノ下、こいつはこういう奴なんだ、諦めてくれ」

 

「いえ、非常に遺憾ではありますが、あね…身内に同じようなタイプがいますので対処は慣れています」

 

「なによ。サエちゃんが不在の間、応対していただけじゃない。雪ノ下さんも私の扱い雑じゃない?これでも、いちおー先生だよっ」

 

「茶柱先生、早速ではありますが、質問させて頂いてもよいでしょうか?」

 

「無視〜!」

 

「ああ、構わないぞ。このうるさいのが邪魔なら場所を変えるがどうだ」

 

「特に聞かれて困る内容ではありませんので、このまま続けさせてもらいます。この学校で部活動もしくはそれに準じる組織を立ち上げる為にはどのような手続きが必要になりますか」

 

「この学校では通常新たな部活動・同好会の設立は認めていない」

 

「……」

 

(今、茶柱先生は『通常』と言ったわね。では、『通常ではない』方法なら可能というわけね)

 

「では、その権利は何ポイントで購入可能でしょうか」

 

「どういう意味だ。説明しろ」

 

「先程、先生は『通常は認めていない』とおっしゃいました。であれば、『通常ではない』方法が存在する。また、ホームルームで『敷地内で買えないものはなく、学校内でもそれは同様』と言及されていた事から新たな部活動を設立する権利も『購入できる』と考えたのですが」

 

「はっはっはっ。少しヒントを出しすぎたか?お前の言う通りだ、雪ノ下。部活動を設立する権利はポイントで購入可能だ。もちろん、公序良俗に反しない事が前提になるがな。入学初日だからサービスだ。同好会5万ポイント、部活にする場合は20万ポイントでいいぞ。在席人数は問わない。あとは活動する教室と顧問となる教諭を指定してくれればいい。で、どんな部活を作るつもりだ?」

 

「中学の時に所属していた『奉仕部』を作りたいと考えています」

 

「なになに?雪ノ下さんがご奉仕してくれるの〜」

 

バシッ。星乃宮先生は再度茶柱先生にクリップボードでしばかれる。同情の余地はない。

 

「活動内容は主に生徒からの悩み相談や依頼を解決をする。コンセプトは魚を与えるのではなく、魚のとり方を教える事。つまり、依頼者の手伝いをして、自立を促す事です。あと成功報酬としていくらかのポイントをもらうつもりです。依頼者が納得しなかった場合は無償とさせてもらいます」

 

「活動内容は問題はないようだな。ただ、生徒間でのポイントの授受はトラブルになる事も少なくない。活動の結果、ポイントの授受が発生する場合は契約書の作成および顧問が立ち会う事を条件にする。あと、生徒会の活動とも一部重複する可能性がある。事前に話を通しておくべきだろう」

 

「分かりました。条件については問題ありません。また、この後生徒会へも説明に伺いたいと思います」

 

「あとは活動場所と顧問だが…」

 

「はいは〜い。顧問は私がやってもいいよー。場所も保健室を使って。最近は怪我や病気だけでなくお悩み相談も多いからね〜。手伝ってもらえると私も助かるからねっ」

 

「お断りします」

 

「え〜なんで〜。好条件だと思うけどな〜」

 

「この場で説明するのは差し支えがありますが…」

 

「構わん。言ってみろ」

 

「では…星乃宮先生は一見生徒にフレンドリーに接していますが、口調や仕草など全て計算されているものと思います。こういったタイプは信用に値しないと考えています。また、先生の手伝いについても都合よく使われるのは明らかですので私のメリットがありません」

 

「へ〜。ねぇ、サエちゃん。この子、頂戴」

 

「無理に決まっているだろう」

 

「そうね。私の手伝いについては月に3万ポイントを定額で払うわ。1ヶ月間依頼が無くてもよ。これでどうかしら?」

 

「依頼に関して私に取捨選択の権利を頂けるでしょうか?」

 

「おっけ〜。それでいいよ〜。

 これからよろしくね〜」

 

「はぁ…でどうする?あとはポイントを払えば今日からでも活動は可能だが」

 

「では、5万ポイント支払わせてもらいます。この後、生徒会室へ伺いますので、詳細は明日以降にお願いします」

 




長くなりそうでしたので前後半に分けます。
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