ようこそ雪ノ下雪乃がいく教室へ   作:ゆうき35

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入学2日目

学校2日目、授業初日ということもあって、授業の大半は勉強方針等の説明だけだった。先生達は進学校とは思えないほど明るくフレンドリーで、多くの生徒が拍子抜けしたのが正直なところだろう。須藤にいたっては既に大物ぶりを発揮していて、殆どの授業で眠りこけている。教師達はそれに気づいていただろうけど、注意する気配はない。授業を聞くのも聞かないのも個人の自由だから教師は関与しない。これが義務教育になった高校生徒達への対応ってことなんだろうか。

 

弛緩した空気の中昼休みになった。生徒達は思い思いに席を立ち、顔見知りになった連中と食事へと消えていく。オレはそんな光景を少し羨ましそうに見つめることしかできなかった。

 

「哀れね」

 

そんなオレの様子に気づいていた隣人が冷笑の視線を向けてきた。

 

「……何だよ。何が哀れなんだ」

 

「誰かに誘ってもらいたい。誰かとご飯食べたい。そんな淡い考えが透けてみえたから。自分から動かないと何も変わらないわよ」

 

「雪ノ下だって1人だろ。同じように考えているんじゃないか?それとも3年間友達も作らず1人でいるつもりか?」

 

「…そうね。まずどこからどこまでが友達なのか定義してもらってもいいかしら?」

 

「そう言われるとちょっと難しい問題だな…。一般的に『友達』という言葉は広く使われているが、人によって解釈はまちまちだ。連絡先を知っているというだけで友達と呼ぶ場合もある。つまりオレは今まで理想の友達像を追いかけすぎてたのか?」

 

「そんなに真面目に考えられると困るのだけれども、結局は主観の問題なのよ。仮に相手が友達と思っていなくても、あなたが一方的に友達と思えば、あなたの中では友人関係は成立する。それに1人でも楽しい時間は過ごせるわ。1人が悪いという理屈のほうがおかしい」

 

「その理論で言うとオレ達は既にとも」

 

「残念ながら、それは無いわ」

 

その後、オレは結局学食を少し覗いただけで、コンビニに立ち寄りパンを買って教室に戻った。1人で食事を始めようとしたら、隣の席の住人はおそらく手作りであろう可愛らしい弁当を食べていた。

 

「自分で作ったのか?」

 

「そうね。家では1人で過ごす事が多かったからかしら。家事全般は嫌いじゃないの。それに節約しておくにこしたことはないわ」

 

「10万ポイントが毎月もらえるのにか?」

 

「未来の事はわからないもの。備えはあってしかるべきよ」

 

オレは雪ノ下の言葉にひっかかりを覚える。続けて質問しようとするとスピーカーから音楽が流れてき、本日午後5時から第一体育館で部活動の説明会が開催される旨のアナウンスが流れた。

 

「なあ雪ノ下…」

 

「私には既に不要なものよ」

 

「…まだ何も聞いてないだろう」

 

「では何かしら?」

 

「雪ノ下は部活に入らないのか?」

 

「鳥小路くん。あなたは3歩歩いたら物事を忘れるのかしら?私は昨日中学の時に所属していた『奉仕部』と同じような活動をしたいと話したはずよ。既に学校側へは申請済みで今日から活動を始めるつもり。それにこの学校に存在する部活動ならびに同好会は全て学校案内に書いてあったじゃない。全て把握済みよ」

 

「雪ノ下が作った部活かぁ。なら、オレもそこに」

 

「お断りするわ。私にも部員を選ぶ権利があるもの」

 

……

放課後、私は保健室を訪れると、既に星乃宮先生が待っていた。なお、堀北会長より受け取ったポイントの内、15万の支払いは済ませ、本日より部活動に昇格した。

 

「ゆきの〜ん、待ってたよ〜」

 

「仮にも先生が、生徒を渾名で呼ぶのはいかがなものかと」

 

「え〜こっちのほうが可愛くない?」

 

「はあ、もういいです。で、私はあの窓際の席でよいのでしょうか」

 

「そうだね〜。怪我や病気の生徒に邪魔にならないよう少し離れた所にしたけど、だいじょうぶ?」

 

「はい。そのほうがこちらもありがたいです。昨日のうちに掲示板に部の紹介をあげたのですが、おそらく認知されるのに時間はかかりますので、当面は何もすることはないと思います。何かありましたら声をかけて下さい」

 

「も〜ゆきのんは真面目ね〜。誰もいない時はおしゃべりしようよ〜。恋バナとか?」

 

「お断りします。星乃宮先生が男を弄んでいる話とか興味ありませんから」

 

「ねぇ?やっぱりうちに来ない?あなたと一之瀬さんがいれば最強のクラスになると思うけど?」

 

「はあ、昨日茶柱先生に嗜められたばかりでは?」

 

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