書きたい欲が我慢出来なくなり書きました。
かんたべりーでいずネタですが、season2のお話も含んでいるのでネタバレ注意です。

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かんたべりーべす

浮遊城 朝

 

「あークソっ…頭いてぇ…」

 

2日酔いでガンガンと痛む頭を抑えながらベッドから起き上がるのは元インヴェーダー第13師団長ダークメイガス ベス。

本来敵である彼女であるが、とある事情で今はここで暮らしている。

 

窓からは気持ちのいい朝日が射し込んでいるが、2日酔いの体には目がチカチカするだけで不快でしかない。

今日は仕事もなく、起きていたところでやる事はないのだ、気分も優れないので二度寝を決め込もうとする。

 

しばらくするとドアの開く音がしたので目を開ける。

入ってきたのはガーディアンの女騎士、実はここはベスの部屋ではなく女騎士の部屋である。

 

女騎士はトレイを持っており、その上には出来立てのお粥とコップに注がれた水があった、ロレインに頼んで作ってもらったらしい。

 

女騎士はそれらをトレイごとベスのところへと運ぶ。

無視を決め込んだところでずっとヘラヘラした顔を見つめてくるので、起き上がりお粥を平らげる。

食べた事で満足したのか女騎士は空の食器を持って再び部屋を出ていった。

 

「ちっ…」

 

ベッドに寝転び、何でこんな事になったのか思い出し始めるベス。

 

ことの始まりは半年前、ラー帝国にて救世主の予言を乱すガーディアンに大魔法を用いて別次元に飛ばした事だ。

 

その魔法は10年分のリソースを使うという大規模なものだった。

当然、たった1人の為にそんな事は出来ないと他の師団長から反発があったが、何とか承認まで漕ぎ着けガーディアンを次元の彼方へと追いやった。

 

その後は予言通りに事が進み、インヴェーダーも大規模な作戦の準備をしていたが、大魔法発動から3ヶ月後、ガーディアンがこの世界に戻ってきたのだ。

作戦に失敗し、更には10年分の戦略物資という大損害を出したベスは地位を追われ、着の身着のまま逃げるように魔界へ流れ着いた。

 

自暴自棄になり、ホームレス同然の生活で飲んだ暮れていたところを魔界にいた女騎士が発見し、酔っ払ったベスを浮遊城に連れてきたのであった。

 

酔いが覚め、浮遊城に来た事を理解した時は情報を引き出す為に拷問でもされるのかと思ったがそんな事は一切なく、不自由なく過ごしている。

 

現状問題があるとすれば…

 

「何故ダブルベッドなんだ‼︎」

 

1人部屋で大声を上げるが、自分の声が頭に響き、頭痛がするだけだった。

 

ここに来てまだ間もない頃、女騎士に同じ質問をした事がある、その時に帰ってきた答えは

部屋に空きがない事に加え、全員からの同室拒否。

シングルベッドの予備も無かったので、物置に眠っていたダブルベッドを持ってきたからと告げられた。

 

だからといって宿敵との同衾はどうかと思うし、隣にインヴェーダーがいるのに、スヤスヤと寝られる女騎士が理解できない、お人好しかそれとも何も考えてないのか。

慣れ始めている自分もどうなんだと改めて思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

ベスは現在、清掃の仕事に就いている。

愛用の武器であったプレデターは魔界に来て早々生活に困窮した時に質屋に入れていたのと、落ちぶれたとはいえ、かつての同胞と戦う気にはなれない。

 

女騎士も何となく事情を察しているのか冒険の同行に関しては声を掛けてはこない。

 

「あぁ…疲れた…」

 

仕事を終え、旅館に戻ったベスは見慣れたダブルベッドで眠る女騎士を見る。

 

「ふん…」

 

ベスは床に乱雑に置かれた酒瓶を1つ取り、中身があるか確認した後、部屋を出ようとする。

ふと振り返り、ベスは女騎士へと近づいた、呑気な顔でスヤスヤと眠る女騎士にゆっくり手を伸ばす。

 

「その手をどけなさい」

 

突如背後に未来姫が現れ、ベスの首元に魔力で形成された大鎌を向けていた

 

「やれやれ…保護者様のご登場か」

 

「無駄口はいい、騎士…ガーディアンに何をするつもりだったの?」

 

「別に、外で飲みに行く前にこいつにブランケットをかけてやろうとしただけさ」

 

「「…」」

 

両者は顔を合わせない中、部屋に殺気が立ち込める。

 

「んん〜…」

 

そんな一触即発な空気の中、緊張感のない寝息をたてる女騎士。

戦いの空気で無くなったのか、未来姫が武器を下ろす。

 

「ささっと出ていきなさい」

 

「言われなくてもそうさせてもらう」

 

手をヒラヒラさせ、もう片方の手で酒瓶を持ちながら部屋を出るベス。

 

(ここに来た時からだが、あの女の警戒っぷりは尋常じゃない)

 

ベスは浮遊城の外れで酒を飲みながらここに来たばかりな事を思い出す。

落ちぶれたとはいえインヴェーダーが浮遊城に住むと知らされた時、当然周りは動揺した。

驚く者、不安な者、敵意を向ける者ばかりで歓迎はされてなかった。

 

「なんで…どうしてアイツがここに…」

 

特にカンタベリーの小さな姫によく似た女は小さく呟くと、尋常ではない程の敵意で睨んでいた。

 

(あの女は私をインヴェーダーだからではなく、顔を見て動揺していた、普段はフードを被っていたから私の顔を知るものなどいるはずがないが、ガーディアン然り、あの女も私の事を知っているのか?)

 

そうこう考えていると瓶の中身が無くなっていた。

 

 

「もう空か、はぁ…部屋に戻るか」

 

空の瓶を持ち、部屋へと向かうベス、ふと先ほどの出来事を思い出す。

 

(よく考えたら、あの女はどうやって部屋に現れたんだ?私の背後にはクローゼットしかなかったが、もしやずっといたとか?いやまさかな…)

 

女騎士の部屋のドアを開けるベス。

 

「ハァハァ…騎士…最近はアイツが部屋にいるから一緒に寝れなかったけど今はいないし良いわよね…このベッドも私の匂いで上書きするんだから…」

 

可愛らしいアザラシのパジャマ姿で、熟睡する騎士に抱きつきながら荒い息でベッドに横たわる未来姫を目撃した。

 

「…」 

 

ベスは何も見なかった事にしてそっとドアを閉めようとするがドアに手をかけられそのまま開かれる、そこには顔を紅潮させた未来姫がいた。

 

「見たわね」

 

「見てない」

 

未来姫と向き合ったベスは咄嗟に嘘をつく。

 

「部屋に入る前にはノックが必要なの知らない?悪いけどあの姿だけは誰にも見られる訳にはいかないの」

 

掲げられたリベレーターに魔力が集結していく。

恐らくどう答えてもこうなっただろう。

 

「待て待て!私は自分の部屋に戻ろうとしただけで悪くないだろ!」

 

「消えなさい‼︎」

 

無慈悲な光がベスに降り注ぐ、その日、真夜中の浮遊城で大爆発が起きた。

 


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