エアグル「鈍器?・・・殺人事件か?」
スズカ「え?」
エアグル「え?」
「ドンキって結構便利よね。ほら、安い値段で買えるし」
(鈍器・・・?鈍器って・・・ハンマーとかか?ハンマーっていくらくらいするんだ?
いくらかは知らないが、かなりするんじゃなかろうか。・・・それが安い値段・・・?
まぁ私たちにはレースなりなんなりで得た賞金があるから、そこから考えれば安いのかもしれないが・・・)
「というかそもそも何に使うんだ?・・・まさかグラスワンダーあたりを相手に使うんじゃないだろうな」
「?・・・なんでグラスさんに使わなきゃいけないの?」
(む・・・違うのか。さすがに先頭狂なこいつもその程度の常識と理性は持っていたか・・・
・・・いや待てよ?まさか、グラスワンダー相手には鈍器を使うまでもないと言うことか?)
「お前・・・すごい自信だな」
「なにが?」
(・・・いや待つんだ。もう一度よく考えろ。何も殺人事件に出てくる凶器ポジションのものは、全部が全部鈍器というわけではない。ナイフとか、包丁とか、ナイフとか、まぁ色々あるはずだ。グラスワンダー相手には鈍器は使わないというだけで、鈍器以外のものを使用する可能性は大いにある。
特にナイフとか包丁とかはキッチンを探せばいくらでも入手が可能な訳である。可能性は高い・・・スズカにそれを使わせるのを防ぐためには・・・えっと・・・)
「スズカァッ!!」
「えっ!!なっ・・・なに・・・?」
「いいかよく聞け、明日からお前の食事は全部私が作る!!朝昼晩はもちろん、おやつとお夜食付きだ、だからいいか、わかったら調理器具全部渡せ!!」
「え?う・・・うん・・・」
(ふ~・・・危ない危ない、これでひとまずグラスワンダーの身の安全は確保された・・・はず)
「あっそうそう、ドンキってすごくいいと思うのだけれど、よく迷っちゃうのよね~」
「迷う?・・・鈍器で?」
(さすがにこいつも、鈍器を使うことに対して精神的な葛藤とか罪悪感に悩まされたりとか、そういうことがあるんだろうか。そりゃあるだろうな。もしそれがなかったら、それはもうサイコパスの領域だ・・・。
・・・いや待てよ?鈍器ってハンマーだけなのか?ハンマー以外にも鈍器って色々あるはずでは?
・・・となってくると、こいつは鈍器を使うことに迷っているのではなく、どの鈍器を使うのかを迷っているという可能性もあるのか・・・?
月明りのさしこむ深夜の自室とかで、ベッドの上に鈍器たちを並べて、きっとすごくにっこにっこしながら、こいつはどの鈍器を使うのか考えているのだろうか。・・・なんかすごくサイコパスだなこれ・・・)
「どうして・・・どうしてそんなになる前に私に相談してくれなかったんだスズカ・・・」
「えっ・・・ちょっ・・・どうしたの・・・?」
(こんなサイコパスになるだなんて、スズカの過去にいったい何があったというんだ・・・そしてなぜそれに気づけなかったんだ私・・・!!)
「というかさっきから気になってたのだけれど・・・ドンキで殺人事件なんて起こるの?」
「そりゃ鈍器だから起きるに決まってるだろ・・・というかお前、もしかしてミステリーとか読まないのか?」
「いやミステリーは読むのだけれど・・・ドンキが出てくるミステリーは知らないって言うか・・・」
「なにっ!?・・・鈍器が出てくるミステリーってかなりメジャーだと思っていたが・・・
・・・まぁでも確かに、ミステリーで鈍器というと使われ過ぎたネタ感は否めないから、最近のミステリーには鈍器は採用されないのかもしれない・・・」
「いったい何の話をしているの?」
(・・・というか待てよ?『鈍器で殺人事件が起こる』ということを知らないという事はつまり、『殺人以外の目的で鈍器を使用する』ということだともとれるわけだ。・・・殺人以外の目的で鈍器を?いったい何の目的で・・・
はっ!!まさか・・・『相手を殺さない程度に痛めつけるため』に鈍器を使うつもりか・・・?うわぁそれなんてサイコパス・・・)
「スズカァッ!!」
「えっなっ・・・なに!?」
「お前が・・・お前がそれでいいなら私は・・・地獄の底までついていってやるぞ!!」
「え?う・・・うん!!うん・・・?」