(冗談だろ……? あいつ……頭のネジが数本のレベルじゃなく外れてるぞ……!)
タバサに援護を任されたリーナは、彼女の背中を守ることを担当し、迫りくるイーサーコラプションを相手にしていた。
だがそうしながらも、互いに背中を預け合っている相手の方がどうしても気になってしまっている。そして、先のような感想を抱くに至った。
まあそれも仕方がないだろう。
緑色のイーサーの炎に全身を焼かれながらも、タバサは怯むこと無く前に出続けていたのだから。
フレッシュウィーバーから放たれるイーサーファイアだけでなく、「エネルギーの供給源」と予想したイセリアルセンチネルからも時折イーサーの光が降り注ぎ、それが燃え上がる。
だがまるで気にした様子も、苦しむ素振りも見せず、今も目の前の障害となっているイセリアルオークを叩き斬っている。
それも淡々と、だ。戦う前に感じられた苛立ちや怒りのような感覚は薄れているように思え、まるで凪いだ心のまま敵を殺戮し続けているとさえ錯覚する。
(こいつは機械か何かか!? なんでそんな作業をするかのように戦闘を続けられて、しかも体をそこまで危険に晒せるんだ? 普通ならば間違いなく死の恐怖を感じる。よしんばその感覚が麻痺しているとして、それほどまでして戦おうとする理由は何だ……?)
リーナからすればイセリアルもタバサも、どちらも怪物とさえ思えた。それほどの異様な光景である。
しかし、街を破壊しようとしているか、それを結果的に止めようしているか。どちらかにつくとなれば間違いなく後者につく。確かに恐ろしくはあったが、味方であるうちは心強いことはこの上ない。
そしてとうとうリーナがどうにか食い止めていたゾンビ連中の大半が消え去った。彼女が倒したわけではない。タバサが使役者を片付けた、ということだ。
さらには駆けつけたノマド兵士も増えてきている。これなら雑魚はそちらに任せ、いよいよデカブツに集中できそうだ。
そんなことを考えつつリーナがタバサの方を振り返ると、彼女は膝を付き肩で呼吸をしているのがわかった。傍目にも無茶と分かる戦い方をし、ようやく厄介な敵を倒せたのだ、無理もないと思う。
「おい! 大丈夫か!?」
デカブツ以外に周囲に敵の影が無いことを確認し、リーナはタバサの元へと駆け寄った。
「……大丈夫。問題、ない……」
「ないわけないだろ! あいつらからあれだけの炎食らって大丈夫なわけ……あ、あれ?」
「今ポーションを飲んだ……。それにこちらの攻撃である程度体力を吸収したから……。もう少ししたら動けると思う……」
「体力を吸収……?」
リーナの問には答えず、
「私の剣による攻撃には与えたダメージを体力に還元する能力が備わってる。加えて、そのときに発動する天界の力……“ツインファング”の加護も受けている。剣先から飛び出す赤い針のようなエネルギー体を通して、通常の攻撃より多くの体力を吸い取れる。それからネックスに備わった、ツインファングと似た能力の“シャドウボルト”と、オルタスに備わった“ヒーリングライト”もある。……だから炎に焼かれても、相手を斬ることさえできれば死にはしない」
わからない言葉が多くでてきたが、要は回復できるのだから体を危険に晒そうが問題ない、という類のことを言っているとリーナは理解した。
「だからといってこんな戦い方は……!」
「やられる前にやる。……それが私の戦い方」
だとしてもあまりにも危うすぎる。なおもリーナが話を続けようとした、その時。
「あっ! 危ない!」
視界の端で何かを捉えたリーナは咄嗟にタバサを押し、自分もその場を飛び退く。一瞬遅れてそこにイセリアルセンチネルからのイーサーの光が降り注ぎ、その場に緑色の炎を燃え上がらせた。
「くそぅ、このデカブツめ! いい加減斬り倒してやる!」
「待って。敵が来てる。……こいつ、残存戦力をかき集めてでも私たちを止めるつもりだ」
タバサの言葉にリーナが視線を移すと、確かにここに近づいてくる敵集団が目に入った。しかしそれほど多い数ではない。これならタバサを休ませているうちに自分だけでどうにかできる。
そう思ってサクラブロッサムを構えたリーナだったが。
「えっ……!?」
近づいてきたその物体は、子供のように見えた。おぼつかない足取りでこちらに近づきながら、赤ん坊が発するような声を上げている。
だがその姿は明らかに異形だった。頭と体は肥大化し、そこに不釣り合いな手足は緑色に変色している。
「リーナ! 近づかれる前にそいつを斬って!」
タバサの焦ったような声が聞こえる。しかし――。
「相手は子供……じゃないのか……? それを斬るなんて……」
「くっ……!」
背後からタバサが猛スピードで飛び込んでくる気配を感じた。目の前の子供のようなモノを殺すつもりだ。
「待っ……!」
リーナがそう言うより早く。タバサの2本の剣は相手を貫いていた。
直後、その相手が爆発する。一瞬早くその場を飛び退いていたタバサだったが、爆風から完全に逃れきることはできなかった。少し転がった後で膝をついて起き上がる。
「お、おい! 大丈夫か!?」
「……“イセリアルインプ”。今の敵。イセリアル化された子供。でも元が子供だから戦闘能力自体は低い。だから、その分を補うために……」
突如敵の説明を始めたタバサ。だが、リーナはそれを息を呑んで聞いていた。
この後何を言うかはなんとなくわかる。彼女自身目にしたことだ。つまり――。
「……最終的には内部に溜め込んだイーサーエネルギーを爆発させ、自爆して相手を巻き込む存在として作り出されている」
「外道共がッ!」
予想できてもなお突きつけられた事実に、リーナは怒りを抑えきれず、地面を殴りつけていた。
「子供を、命を何だと思ってる! 死者を弄ぶなどと! こんな……こんなことが許されてたまるか!」
その様子を見つめていたタバサだったが、呼吸を整ったことを確認して立ち上がった。
「リーナは下がってて。あのイセリアル化された集団はおそらく……この街の、この地域にいた人間の成れの果て。……あなたにそんな存在を斬れ、なんて言うべきじゃなかった。ここは私が……」
「いや……逆だ……。だからこそ、私がやるべきだ……!」
普段の陽気な雰囲気とは真逆。怒りで声を震わせながら、リーナはサクラブロッサムを構えた。
「……本当にいいの?」
「ああ。せめて私の手で安らかな死を迎えさせてやりたい。それがヨミハラの魔界騎士として、今私がやるべきことだ……! ハアアッ!」
気合の声とともにサクラブロッサムの真の力を解放する。まるで変身を思わせるかのように身に纏った衣装が変化し、剣の刀身のような色合いを基調としたものへ。
“百花繚嵐”。彼女はこの姿をそう呼んでいた。
しかし今のリーナの顔にそんな花のような明るさはない。沈痛な面持ちのまま、静かに口を開く。
「……私にできることはこれぐらいしかない。すまない……。だが仇は必ず討つ。だからどうか、安らかに眠ってくれ。たああーっ!」
敵陣へとリーナが飛び込む。未だ迷いかねない心を押し殺し、彼女は必殺の剣を振るった。
「吹き荒べ、桜吹雪ッ!」
その名の通りの美しい花びらが大量に舞い、嵐のような風が巻き起こる。それはこの街にいた不幸な人々の成れの果てを包み込み、そして斬り裂いていった。
言うなれば死者への葬送の花。リーナの怒りと哀悼を込めた花の嵐によって、死してなお弄ばれた者たちが解放されていく。
「……死が始まりであってたまるか」
そんな光景を見つめながら、タバサはポツリと呟いていた。
大技を出し終えたリーナは肩で呼吸をしていた。が、昂ぶる感情が疲労を上回っているらしい。硬い表情のまま、すぐにタバサの方へと振り返った。
「これでデカブツに集中できるはずだ。いい加減、こいつを叩き潰すぞ!」
「賛成。こいつがぶっ倒れても建物に影響がない方向から攻撃を……」
タバサがそこまで言った、その時。
突然、天を衝くイセリアルセンチネルの先端付近がゆらゆらと揺れ、そこにあるクリスタルから辺りに衝撃波のようなものを放った。
「チッ……!」
「うわ、なんだこれ……! 急にめまいが……」
タバサは踏みとどまったものの、リーナは体のバランスを崩してサクラブロッサムに体を預けている。
「音波攻撃か!? それとも精神攻撃……」
「違う。おそらくイーサーの衝撃波、といったところだと思う。……そして、それで少しでもいいから時間を稼ぎたかった、と」
そう言ったタバサの視線の先。新たなイーサーコラプションが2体、イセリアルセンチネルから生み出されていた。
“イセリアルビヒモス”。オークよりも巨大な体を持ち、筋骨隆々としたその姿はまさに
「新手だ。自分の体を削ってまで生み出してきた」
「なっ……。私がさっき倒したので終わりじゃないのか? ……うぅ」
まだイーサーの衝撃波によるダメージが抜けきらないのだろう。辛そうにリーナが答えた。
そんな状況を理解しているのか、はたまた偶然か。イセリアルビヒモスが猛然と突撃してくる。
「まずい、来る。飛び退いて」
「気軽に言ってくれるけどな、まだ頭がグラグラしてて……。くうっ……!」
タバサは左に、リーナはかろうじて右に飛び退いてその突進を避けることに成功した。
しかし2匹目。未だ立ち直れずにいるリーナが目標にされた。
「リーナ! もう1匹!」
「えっ……!? ちょ、まっ……!」
カバーに行きたくとも、分断される形で立ちはだかった1匹目のビヒモスが邪魔でタバサは飛び込めない。咄嗟にネメシスとブレイドスピリットを行く手を遮るよう指示を出しはしたが――。
(無理だ、あれじゃ止められない……!)
その予想通り、タバサの召喚獣を無視してビヒモスは突進する。
今の体の状態で剣を振るったところで勢いを止めるほどの攻撃は放てない。そう悟ったリーナの目前に巨体が迫り、ダメージを覚悟して目を閉じ身構えた、その瞬間――。
「魔界の炎よ! 焼き尽くせ!」
リーナを避けるように伸びてきた炎の波が、イセリアルビヒモスの突進を食い止めつつ飲み込んだ。
「この声……そして炎……! ということは……!」
期待とともにリーナが振り返る。
果たして彼女の期待通り。褐色の肌に桃色の髪、裏地が黒の赤いマントを羽織り、魔剣“ダークフレイム”を手にした美女がそこに立っていた。
ノマドの大幹部であると同時にリーナの直属の上司にして憧れの人、そして剣の師とも言える魔界騎士。その彼女は、高々と名乗りを上げた。
「魔界騎士イングリッド、推参!」
steamハロウィンセールが始まってるみたいです。現地時間の11月1日ぐらいには終了するようで結構短めです。
Grim Dawnもセール対象で、本体のみだと771円、必須級のDLCであるAoMとFGにおまけのクルーシブルが入ったDefinitive Editionが2628円と、10連ガチャ我慢するとお釣りが来る非常にお得な金額となっております。
皆も乗っ取られになろう!(ダイマ)
……あ、本作のサバターは慣れて資産貯まってから作った方がいいビルドなんで、最初は雑に強いウォーロード(ソルジャー+オースキーパー)か、プライマルストライクで雑魚を蹴散らせるヴィンディケイター(シャーマン+インクィジター)辺りで資産を貯めるのがオススメです。日wikiに丁寧な解説つきのビルド例もあるので参考になると思います。
ヘルス変換
「与えたダメージの○%をヘルスに変換」する能力。ライフリーチや、英訳のAttack Damage Converted to Healthの頭文字を取ってADCtHと呼ばれることもある。
ライフスティールもほぼ同義であり、ステータス画面にもその表記があるのだが、敵だけの能力にライフスティールが存在するために一応の差別化を測って主に上記のような呼ばれ方をされているらしい。
自発回復が難しく、ポーションも使用後にリチャージが発生して連続使用できない本ゲームにおいては生存性を左右する大きな機能。
通常は武器でダメージを与えないとこれが機能しないため、武器殴りのビルドは多少なりともこれを稼いで殴って回復するのが基本であり生命線となる。
特に高火力低耐久の二刀ビルドの場合は依存するところが大きく、「死にたくないならとにかく剣を振れ」の精神でヘルスを維持するスタイルになりがちなため、ヘルスバーが激しく上下動しまくる心臓に悪い現象も珍しくない。
ツインファング
天界の力、つまり星座スキルのひとつ。
Tier1の「蝙蝠」の星の最後の部分に位置し、5ポイントで取得可能。
アサインしたスキルでヒット時20%の確率で発動、100%貫通する「赤い針のようなエネルギー体」を2本並行に飛ばす。が、正直見えにくい。
低めの武器参照ダメージと刺突・生命力ダメージの複合なために得意属性の場合にようやく補助火力になる程度のダメージ量ではあるが、発動間隔0.5秒と100%貫通のために直線上の範囲攻撃としてはそこそこ。
しかし、このスキルの本命は「このスキルで与えたダメージの最大40%をヘルス変換」するところにある。
つまりFSのような左クリックセットのメインスキルや多段ヒットするスキルにアサインすることで頻繁に発動し、簡単に言えば敵からヘルスを吸収して生存性を高めてくれる。
40%と高いヘルス変換を誇るために得意属性でない場合でも結構有用で、あるかないかで生存性が変わってくる場合すらある。
実際本ビルドも補助火力として非常に優秀な炎の奔流を泣く泣く諦めてこっちにした結果、安定性が比較的マシになっている。
他に武器攻撃をしないビルドにおいてもこのスキルによってヘルス変換が可能になるために取得するビルドは少なくない。
星座の道中に3%ヘルス変換があるのも武器ビルドには非常にありがたい。
総じて取りやすさもあってTier1でのオススメの星座のひとつであり、初心者が最初に取る星座で困ったらまずこれを取得してもいいと個人的には思ったりしている。