“乗っ取られ”の少女、対魔忍世界に迷い込む   作:天木武

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Act37 それでも敢えて言わせてもらうが、あいつに常識は通じない

 その日、五車学園の地下訓練場には対魔忍スーツに身を包んだ4人の対魔忍が集まっていた。

 全員がふうま小太郎によって直々に呼び出された、若いながらもまごうことなき実力者たち。小太郎が独立遊撃隊として組むことの多い蛇子と鹿之助に、タバサを加えて作り上げたチームによる、約1ヶ月に及ぶ集団戦の訓練の最終仕上げとして選んだ4人である。

 

「ったく、ふうまのやつ、私を向こうに入れなかったことを後悔させてやるんだから」

 

 学生対魔忍であるにも関わらず、中遠距離の火力においては対魔忍内でもトップクラスと名高い“雷撃の対魔忍”、水城ゆきかぜ。

 

「そう言うなよ。むしろこっち側で選ばれたことを誇るべきだと思うぜ」

 

 同じく中遠距離トップクラスの火力の持ち主である、先日火遁衆最年少筆頭となった“爆炎の対魔忍”、神村舞華。

 

「それはそうとして、この人選どうなってるかあいつにちゃんと聞いてみたいんだけど」

 

 ゆきかぜと舞華にとっては先輩に当たる、対魔忍の父親と鬼族の母親のハーフという“ハイブリッド対魔忍”、鬼崎きらら。

 

「それはあるかも。おえらいさんのオッケー出たからいいとはいえ、部外者の私を入れていいのかって感じだし」

 

 そして五車所属ではないが、ケイリー同様の米連傘下である防衛科学研究所(DSO)に所属している、機械仕掛けの義手義足を身に着けた風遁使いの“鋼鉄の対魔忍”、甲河アスカ。

 

 無論、小太郎のこの人選には狙いがあった。

 

 自他共に認める厄介事に巻き込まれ体質である彼は、時間の壁を飛び越えてやってきた「未来のゆきかぜ」と会ったことがあるのだ。

 

 次元侵略者・ブレインフレーヤーの出現によって荒廃してしまった、近代文明が遺された終末世界――タバサのいたケアンとはまた違う、まさに絵に描いたようなポストアポカリプス。そんな世界から来たというゆきかぜは、次元を超越して影響を及ぼすブレインフレーヤーの遺物、“テセラック”を破壊しに時間を飛んできたのだった。

 テセラックには様々な力があるらしく、その中の一つに対魔忍にとってエネルギー源ともいえる対魔粒子を弱体化させてしまうというものもあった。結果、その世界では多くの対魔忍が異世界の怪物とまともに戦えずに命を落としてしまったらしい。その犠牲者の中には小太郎や鹿之助も含まれていた。

 そんな未来のゆきかぜは、もう会えないはずの小太郎と再会出来たことを特に喜んでいた。そして未来の技術を駆使し、頻繁には無理ではあるものの、時間の壁を超えて互いに連絡を取る方法を確立したのだった。

 

 そこで小太郎は、未来の世界では今回呼んだ4人がそれぞれ“雷神”、“火神”、“氷神”、“風神”として名を馳せているということを知った。故に、将来は指折りの対魔忍になる強力な存在として、敢えてこの4人をタバサとの集団戦の訓練の仕上げに選んだという経緯があった。

 

「部外者って言ってもアスカは私とここで訓練したこともあるじゃない。それに最近はケイリーと一緒に五車に顔を出すこともあるし」

「まあ……それはそうなんだけどね」

 

 実のところ、今ゆきかぜに話しかけられて答えたアスカもまた、未来のゆきかぜと会っていた。テセラックの破壊の際、小太郎らと一緒にブレインフレーヤーとの戦闘に巻き込まれて協力することになったのだ。

 その時のゆきかぜの圧倒的な強さをアスカは忘れてはいない。

 

(……なんだろ、一見めちゃくちゃに見える組み合わせだけど、あいつのことだから絶対何かあるんだろうな。じゃないとわざわざ部外者の私を呼ばないだろうし。……未来じゃ私とゆきかぜが仲良くなってるんだっけ。だとすると、これ……もしかして未来のこと意識してるとか? この4人が未来じゃ強くなってるってこと?)

 

 考えても答えは出ないし、自分がその4人の中に入ってると思うと小太郎当人に聞くのも少しばかり憚られる。そんなわけでアスカはその考えを心にしまったまま、他の3人の他愛もない話に相槌を打ちつつ、ブースの外へと視線を移した。

 

 そこには当然のようにアサギとさくらと紫の姿がある。他には直々に見学したいと頼み込んできた凜子、ケイリー、孤路もいた。が、いるのはそれだけで、以前の舞華の昇任試験のように多くのギャラリーはいない。タバサの存在を大っぴらにしたくない、という意思の現れだろう。

 

 その中のアサギをチラリと見てから、アスカは小さくため息をこぼす。

 本来ならば自分は抜け忍。それも多少なりとも井河とは確執があった身だ。少々居心地の悪さもある。

 だが当のアサギ本人は特に気にした様子もなく、ここ1週間はアスカの地下施設への自由な立ち入りを許可していた。おかげで他の3人と連携の確認も取れている。小太郎がタバサと訓練した1ヶ月と比べると遥かに短いが、全員が実力者の対魔忍だ。どう動くかは大体把握しており、調整の期間としては十分であった。

 

「おっと、おいでなすったみたいだぜ」

 

 と、そこで聞こえてきた舞華の言葉にアスカのみならず、他の2人の視線も部屋の入り口の方へと注がれる。

 

 普段どおり右目は閉じられたまま、しかしどこか自信ありげな様子を纏わせたふうま小太郎。

 いつもと変わらず、笑顔でブース内の面々へと手を振っている相州蛇子。

 見るからにビビりまくって震えている上原鹿之助。

 そして、クリっとした目こそ愛くるしさを感じさせるが、顔全体で見れば無表情無感情を思わせる能面っぷりで3人の後ろをついてくる、異世界からやってきた少女タバサ。

 

 傍から見る限りは普段どおりだ。だが、若干1名ビビりまくってるのはいるが、この4人を前にして普段どおりというのはそれだけ自信があるということの裏付けとも言えるだろう。

 

「来たわね。ギャラリーは入れないつもりだったんだけど、あの3人だけはどうしてもって頼み込んできたから。タバサとの面識もあるし、いいわよね?」

 

 アサギが凜子たちを指しながら小太郎に尋ねた。

 

「俺は構いませんよ。タバサもいいか?」

「ん。問題ない」

「そう、よかった。じゃあブースの中へ。……あの4人、相当気合入ってるわよ。でも……ふうまくんのその様子じゃ、自信はあるみたいね」

「ええ。タバサが『化けた』んで。元の世界に戻った時に戦い方に影響が出る危険性はあったんですが……。当人がいいと言うので、イセリアルのような本能だけで襲ってくるような相手と対人戦は全く別物だということと、集団戦について、この1ヶ月ほどの間、みっちり教え込みました」

 

 チラッとアサギがタバサへと視線を移す。それを感じ取ったようで、彼女もまた視線を返してきた。

 

「戦闘なんてただ突っ込んで斬ればいいと思ってた。でもふうまの話は説得力があるし面白い。戦うということがこんなに深いとは思わなかった」

「なるほど。これは明らかな変化ね。……相手に実力者ばかりを選んだのも頷ける。楽しみにしてるわね」

 

 アサギのその言葉を受けてから、小太郎たち4人は既に相手が待つブースへと足を踏み入れた。

 

 

 

---

 

「フフッ……」

「うわっ、ずっと無言だったのに急に笑わないでよ凜子。びっくりするじゃん」

 

 ギャラリー組であるケイリーが凜子にツッコミを入れる。ブース内の2組のやり取りを見ていたと思ったら、何の前触れもなく急に凜子が笑い出したことに虚を突かれた形だ。

 

「いや、すまない。ふうまの奴、相当に自信があるように見受けられたからな」

「そう?」

「(私もそう見える。あれだけのメンバーを相手にしても秘策あり、って感じだね)」

 

 孤路も相変わらずのボソボソ声ではあったが、凜子に同意する。

 

「数日前にゆきかぜに頼まれて稽古をしていたのだがな。ふうまの方の部隊に入れてもらえなかったと随分不貞腐れていたよ。絶対後悔させてやるとかなり意気込んでいた」

「確かに外から見ててもかなり気合入ってるのがわかるね。今すごい食って掛かってるし」

 

 少し離れたところからの見学のためにブース内の会話までは聞き取れない。が、格闘技のマイクパフォーマンスよろしく、ゆきかぜを筆頭として4人が小太郎に何か言っている様子は3人にも容易にわかった。

 

「そしてそれだけ詰め寄られてもふうまのあの様子……。やはり自信があるのは間違いないな」

「だとすると……やっぱ切り札はタバサ?」

 

 ケイリーの質問に対し、頷いて凜子はそれを肯定した。

 

「そう考えるのが妥当だろう。私と戦ったときも確かに強かった。事実、私は一本取られた訳だしな。だが捨て身の剣、同時に粗削りでまっすぐな戦い方は理解した。もう一度やれば遅れを取らないという心積もりはある」

「(実際タバサももう一度やったら間違いなく負ける、と言い切ったもんね。でも……)」

「ああ。……今同じ質問をしたら、タバサはその答えを撤回する可能性がある。そんな予感がしている」

「撤回って……。じゃあふうまと訓練した結果、また凜子に勝てるだけの何かを掴んだってこと!?」

「確証はない。しかしあの時のままのタバサだったとしたら、あれほどふうまが自信満々な説明がつかない。……稲毛屋のおばあちゃんが言った通り、『化けた』と考えられる」

 

 実際稲毛屋で凜子たちとともに戦った時のタバサは、明らかに集団戦に不慣れな様子であった。最低限の戦いはできていたものの、結局はそこまで。集団戦におけるポテンシャルを引き出せたとは言い難い。

 

「そしてそんな風に『化けた』のであれば、考え方や戦い方も変わる可能性がある。故に私はさっきまた負けるかもしれない、と思ったのだ」

 

 “斬鬼の対魔忍”をしてこの評価。いささか過大評価ではないかとケイリーは思わずにいられなかった。ともあれ、いずれにしてもその答えはこの後すぐに分かることだろう。

 

 両チームが試合前の舌戦を終えたらしい。互いに距離を取り、開始地点まで下がっていく。

 

「さあ、いよいよだ。ふうまの手腕とタバサがどう変わったか。折角直々に頼み込んでこの場に居合わさせてもらったんだ。面白いものを見せてくれると期待しよう」

 

 心なしか凜子の声がいきいきしているように感じる。これも剣士の(さが)なんだろうなと、少し呆れつつもケイリーもブースの中へと目を移していた。

 

 

 

---

 

「じゃあ最終確認よ。以前からの練習の通り、私と舞華、ゆきかぜとアスカのツーマンセルで行動。向こうには蛇子と鹿之助っていう索敵能力に長けた2人がいる。だからこっちの作戦としては下手な小細工なしに動くことで探索範囲を広げて、相手をさっさと見つけて力でねじ伏せる短期決戦狙いってことで。……まあとにかくうまくやって。あれよ、臨機応変に対応するってやつ」

 

 模擬戦開始直前、きららチームは年長者ということで仕切る形になったきららの元、最後の打ち合わせを行っていた。

 タバサの実力は未知数、蛇子も優秀な使い手であることは確かなものの、基本的に個でぶつかった場合は総合的に見て小太郎チームを上回っているとも言える。そのため、前衛のきららとアスカ、後衛の舞華とゆきかぜで役割を分け、苦手な距離を互いに補いつつ、迅速に行動が可能なツーマンセルで動く作戦を取ることにしていた。

 

 このコンビの分け方は「ゆきかぜとアスカは模擬戦で手合わせしたことがある」という経験からのものだった。

 夏に海にバカンスに行った際、たまたまアスカと会って意気投合したきららとしてはアスカと組みたかった気持ちがないわけでもなかったが、バランスを考えれえばこれが妥当だろうと判断していた。

 

 が、分け方は考えがあってのことだったものの、作戦については先程きららが述べた通り。要するに「力押しの行き当たりばったり」ということである。

 もっとも、きららチームが全員秀でた個の力を持っていることを考えれば、余計な画策をするよりも動きやすいように互いに動いたほうがより力を発揮できる可能性が高い。

 

 きららの説明にほぼ全員が納得していたようだった。が、唯一ゆきかぜだけがどこか浮かない表情をしている。それに気づいたきららが促すように問いかけた。

 

「ねえゆきかぜ、なんか不満そうだけど……。言いたいことがあるなら言っていいわよ」

「あ、ごめんなさい、そういうのじゃないです。……ただ、さっきふうまの奴が言ったのが不気味っていうか、なんか引っかかってて」

「あぁ……。確かに」

 

 ブース内での戦闘前の舌戦。ゆきかぜをはじめとして小太郎へと色々ぶつけたわけだが、最後に彼はこう言って締めくくった。

 

「忠告しておく。タバサを常識の範疇で捉えようとするな。……って言っても、仮想イセリアルとの戦闘の様子を見てたなら言われるまでもないと思うかもしれないけどな。それでも敢えて言わせてもらうが、あいつに常識は通じない。これからの模擬戦、それだけは忘れない方がいい」

 

 考えようによっては捨て台詞か何かと捉えられなくもない。だが、指揮官として一癖も二癖もあるふうま小太郎の言葉とあってはどうにも無視ができないというものだろう。

 実際、先程ゆきかぜが言ったことに対してきららは否定せず受け入れているし、今も全員が考え込む様子であった。

 

「戦術タバサ……。タバサが戦っている様子を初めて見たときに、もしタバサと一緒に戦うことになったらどう指揮するかあいつに尋ねたときに返ってきた答えだ」

 

 と、不意に舞華がそう切り出した。

 

「戦術タバサ?」

「ああ。とにかくタバサを軸にして他は援護に徹する、っていう戦い方らしい。だがふうまはその後にこうも付け加えた。『格上の相手には通用しない』と」

「なるほど、言いたいことはわかった。ワンマンチームってことか。確かにそれだとそのキーマンを抑えられるようなことになったら圧倒的に不利になるわね。そして、こっちのメンツを考えたらその作戦は取りにくいと思う」

 

 答えたのはアスカだった。それを聞いてきららが少し難しい顔をする。

 

「じゃあタバサに頼り切るような戦い方はしないってこと? でもそれだとタバサを警戒しろ、みたいに言ってきたあいつの言葉と矛盾しない?」

「まあそれはそうだけど……。うーん……。完全に依存はしない、ってことかな……」

 

 結局答えは出ないらしく、皆黙り込んでしまった。

 

「……悪い。俺から振っておいてなんだが、もう勘繰るのはよそうぜ。こうやって俺らに考え込ませることこそがふうまの目的、って可能性もあるかもしれない」

 

 しばらく唸っていた雰囲気をかき消すようにそう言ったのは舞華だった。

 

「そもそも俺はそういうところまで頭が回らねえ。なら素直にあいつが言った通り、タバサに注意する、って考えりゃそれでいいだけの話だと思う。どうせ考えてもわからねえんだし」

「単純と言えば単純だけど……舞華の言うことも一理あるわね」

「んだとぉ!? おいゆきかぜ、一言多いぞ!」

 

 危うくヒートアップしそうな空気にきららとアスカがお互いの相棒をなだめた。重かった空気は軽くなったが、今度はこんな状態でやれるのかという不安も生まれる。

 

「そろそろ始めるわよ」

 

 しかしブース外からアサギの声が聴こえてくると、一気に全員表情が引き締まった。

 

「……なんだかんだ言って、やるとなったらその空気になるのはさすがね」

「へっ、なんて言っても対魔忍ですからね。……きらら先輩、前は頼みます。一応当てないように後ろから撃つつもりなんで」

「一応じゃなくて当てないでよね」

 

 そんなきららと舞華の様子を見ていたアスカゆきかぜコンビが思わず苦笑を浮かべる。

 

「あの2人、気づいたらいいコンビって感じになってるわね」

「そうだけど、私たちだってこの1週間でそれなりに形になったと思わない?」

「……最初の頃はフレンドリーファイアされたけど」

 

 痛いところを突かれ、FPSに詳しいゆきかぜが思わず「う……」と言葉に詰まる。

 

「ま、今はもう信じてるから。援護頼むわよ、相棒」

「はいはい。……まったく、アスカって結構調子いいわよね」

 

 ボソッとゆきかぜが呟いたところでブース内の風景が変わった。

 普段からよく見た街並み。どうやら、戦闘の舞台は五車町のようだ。

 

「それでは、始め!」

 

 アサギの声によって、模擬戦はスタートを告げた。

 

「よし、俺の爆炎が使えるステージだ。助かったぜ。じゃあ行くか、きらら先輩」

「ええ。あとはコンビ同士でうまくやって。とりあえず私達が先に……」

 

 そこまできららが言ったところで、だった。

 

 不意に、遙か前方からポン、ポンと何かを打ち上げたような音が聞こえてくる。

 

「ん? なんだ? 何の音……」

 

 直後、上空から何かが降り注ぐと同時。4人の前方で爆発が起きていた。

 

「な……! 爆発!? 一体何で……!」

「あの音と降り注いだのが砲弾と考えると……。まさか、迫撃砲!? 持ち込んだ気配なんて無かったのに! なんでそんなものが……」

 

 対魔忍とは異なり、近代兵器を利用した部隊と戦うことも多いアスカはその正体に思い当たったようだった。

 そして攻撃の正体を知ったゆきかぜはハッとし、先程の「タバサを常識の範疇で捉えようとしない方がいい」という小太郎の言葉と、稲毛屋でテルミットマインを見た時のことを思い出していた。

 

「もしかしてこれもタバサの能力ってことじゃないの!? あの子、私の目の前で火炎放射地雷を召喚したっていうか作ったこともあるし、同じ要領で迫撃砲を作ったのかも!」

「ハァ!? 嘘でしょ!? 兵器を作り出せるってこと!? それで迫撃砲を作り出して撃ってるなんて聞いたことがない!」

「でもあいつの言葉を信じるなら……ううん、タバサが異世界の人間で、この世界の常識が通じないって考えればそれしか思いつかないのよ!」

 

 その予想通り、これはタバサの“乗っ取られ”としての能力による攻撃であった。

 

 “モータートラップ”。エンジニアであると同時にソーサラーでもある能力を駆使し、テルミットマイン同様、迫撃砲を生み出したのだ。

 

 相手を倒すことだけを考えていたタバサが、「効果がない」とこれまでは完全に切り捨てていた能力のほんの一面。小太郎の指摘によって「化けた」結果、相手を倒すため以外の目的――撹乱のために放った攻撃であった。

 

 予想外の先制攻撃を受け、4人は完全に浮足立っていた。小太郎の言葉がこうも早く現実として目の当たりにするとは思ってもいなかったのだ。

 

「とにかく一旦落ち着こうぜ! 確かに驚いたが、砲撃の間隔はそこまでじゃない。それにこちらを正確には狙えてもいない。当てずっぽうに撃ってると思える。だとするならば……」

「狙いはこちらの撹乱ね! ここで怖気づいてたらふうまの思うツボ、ってことか!」

 

 舞華ときららが相手の意図を読み取ったことで、4人が次第に落ち着きを取り戻していく。それから、覚悟を決めた様子できららが「よし!」と気合いを入れた。

 

「あいつの思い通りにやられてたまるもんですか! 行くわよ、舞華!」

「よっしゃあ!」

「ゆきかぜ、アスカ、あんたたちも続いて! とにかくふうまたちを見つけ出すわよ!」

「了解!」

 

 4人が行動を開始する。

 降り注ぐ砲弾の中、いよいよ本格的に模擬戦の火蓋が切られたのだった。




モータートラップ

マスタリーレベル25で解放されるデモリッショニストのスキルで、射程内に敵が入るとオートターゲットで物理と火炎ダメージの砲弾を発射し続ける迫撃砲を一定時間設置する。通称モタトラ。
迫撃砲はいわゆるプレイヤーボーナス型ペット扱いになる。
マスタリーレベル32で解放される後続スキルの「ヘビーオードナンス」を取得すると雷ダメージが追加、さらに割合で物理・火炎ダメージが強化され、確率による標的気絶が付与される。
さらにマスタリーレベル50で解放される「ザ・ビッグワン」を取得すると通常の砲弾に混じって一定間隔で超威力の物理・火炎・燃焼ダメージと総合速度低下が乗ったロマン砲弾を発射するようになる。
設置してから発射するまでに若干ラグがあるために人によっては使いにくい印象を受けるかもしれないが、設置スキルとしての威力はかなりのもの。
スキル変化で属性を揃える、設置数を増やす、リチャージ時間を短縮する等の工夫が必要ではあるが、特化してポテンシャルをうまく引き出せればダメージソースをほぼこれ1本に頼って乗り切れるほどになる。
大量に設置されたモタトラから発射された砲弾が雨あられと降り注ぐ様はまさに圧巻。おまけでメテオなんか降らせたりすると派手さがさらに増す。
逆に言うと特化しない場合はお察しであり、1回設置すればしばらく撃ってくれる点を利用して星座スキルのアサイン先に使えなくもないという程度でしか無い。
ちなみに以前はビッグワンが設置後最初の1発しか出てくれないために冗談抜きのロマン砲だったのだが、アプデによって発射間隔が設定されたことで劇的に使い勝手が良くなった。
本編中では模擬戦において初手の撹乱用としてタバサが使用しているが、元にした本来のビルドでは当然スキルポイントに余裕が無いので取得を見合わせている。
なお、さすがにオートターゲットは卑怯すぎると思ったので変更してある。
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