“乗っ取られ”の少女、対魔忍世界に迷い込む   作:天木武

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Act54 一言殺せと言ってくれれば、私がそいつを殺すよ

「や、やった……!」

 

 思わず小太郎は歓喜の声を上げていた。

 タバサによる超アクロバット攻撃によって、フュルストの背中から生えていた緑色のイーサークリスタルは完璧に破壊されたように見えた。効果が間違いなくあることは、フュルストが上げる悲鳴からも明らかだ。

 

 同時に、彼自身も確実に空気が変わったことに気づいていた。

 

「おい、ふうま! これ……」

「ああ。頭の中をかき回されるような嫌な感覚が消えた。……あいつの背中の結晶が破壊されたおかげだろう。さすがはタバサ、期待通り全てをひっくり返すジョーカーってところか……!」

 

 顔色が戻りつつある鹿之助へと、小太郎も嬉しそうに答える。

 そうしつつもこの状況を作り出した功労者へ目を移したところ、休むこと無くフュルストへと斬りかかっていた。

 

 フュルストは悶えつつどうにか反撃をしようとしている。体から生えていた結晶を失ったことによるダメージは大きいようだ。

 しかし、タバサの攻撃は未だ厚すぎる装甲の前に通っていない。防御を固められた先程同様に胸元を一点狙いで斬りつけているが、効果があるか怪しいところである。

 

 そんな風に攻撃を続けながら、タバサは時折小太郎の方を確認するように顔を動かしていた。

 仮面越しであるために視線を合わせることはできない。だが、一ヶ月間共に訓練してきたために何を言いたいのか、今の小太郎には薄々想像することができた。

 

『ふうま、何か良い手はない? 時間なら私が稼ぐ』

 

 雰囲気がそう告げている。そんな彼女を安心させるためにも、小太郎は右手の親指をサムズアップしてみせた。

 

 それに気づいたのだろう。タバサは小さく頷き、攻撃へと集中する。

 

「この狂犬がぁ! 折角イセリアルの力を手に入れたというのに……! 魔人イセリアルスーパーフュルスト様に対してよくも!」

 

 ようやくフュルストが立ち直ったか、両手の触手をそれぞれまとめて剣状にし、タバサを斬りつけようと振り回し始めた。

 先程の再生力を見せつけられ、それが追いつかないように強力な一撃が狙いだろうか。が、タバサに当たる様子はない。

 

「もう一度言うが、お前は間違った獲物を選んだ。……この場に私がいたにも関わらずイセリアルの力に手を出し、それで圧倒的優位に立ったと思い込んだことが運の尽きだと思え」

「貴様ッ! ……まあいい。結局は元に戻っただけのこと。つまりお前は私に決定打を与えられない、違いますかな!?」

「そう思いたければ思っていろ。……間違いだったと気づくのはお前が死ぬときだ」

 

 攻撃も口撃も、タバサが圧倒的有利ではある。が、フュルストの言葉通り決定打には至らない。

 

 いつまでも任せっぱなしとはいかない、と小太郎は考えをまとめることにした。サムズアップしてサインを送った以上、早めに何か手を打つべきである。

 

(まず状況整理だ。一応最悪の状況は脱した。こっちが軒並み戦闘不能という状態からは回復、言ってしまえばフュルストがイーサーの力を使う前までは戻った。……いや、イーサークリスタルを失ったダメージ分を考えればより好転してるかもしれない。だが、とにもかくにもあの装甲をぶち抜く必要がある。今、この場でその一撃を放つことができるのは……)

 

 小太郎の視線が、かつて自分を裏切った幼馴染へと移される。

 

「骸佐! 動けるか!?」

 

 自分の周囲は静流の献身により、木遁の花の香りで気分を落ち着かせてもらっていた。だが、離れていた骸佐は違う。もしかしたらまだイーサーダメージが残っているのではないか。

 そんな風に心配しての声かけだったのだが。

 

「おい目抜け、誰に向かって言ってやがる……。あいつが使ってた異世界の力とやらが消えたんだ、動けるに決まってるだろうが!」

 

 彼の心配をよそに、骸佐はフラつきながらも既に立ち上がっていた。

 

「よし、なら“夜叉髑髏・累”でいくぞ!」

 

 言いつつ、小太郎はハンドサインを送る。それを見た骸佐は一瞬虚を突かれた後、獰猛な笑みを浮かべていた。

 

「フン、お前の策に乗ってやるよ、()()()! ……邪眼っ! “夜叉髑髏・累”!」

 

 骸佐が手に持つ“猪助”から瘴気が吹き出す。斬れば斬るほど、恨みを取り込めば取り込むほど強力になっていく妖刀だ。

 さらに、怨念を身に纏って強化する骸佐の邪眼・夜叉髑髏によって彼自身の姿も異形のような鎧を纏って変貌を遂げていく。

 

 その様子を目にしつつ、小太郎は今度は骸佐同様に静流のサポートを受けられなかったリーナの様子を伺った。

 

「リーナ! そっちはどうだ!?」

「私は大丈夫だ! だが……おい、お前たち、どうだ?」

「申し訳ありません、リーナ様……。動けそうな者と無理そうな者、半々といったところですかね……」

 

 リーナの部下と思われるノマド兵士の1人がそう報告した。

 

「だとすると危ないな……。この状態で援護を任せると同士討ちの危険性がある。お前たちは無理せず休んで回復に努めておけ。……ふうま、動けるのは私だけだが、それでもいいか?」

「十分だ。リーナはタバサの援護に回ってほしい。スピードでフュルストを撹乱、できるか?」

「了解した! 行くぞ、チェーンジ、百花繚乱!」

 

 サクラブロッサムの力によって衣装が変わり、力を解放したリーナがタバサとフュルストの元へと飛び込んでいく。

 敵が倍に増えたことでフュルストも対応に追われているようだ。相変わらずダメージを受けている様子は無いが、攻撃に粗が出始めている。

 

「よし、これでタバサの負担も減らせた。……こっちは静流先生以外全員いけるな?」

「さっき無理して動いたからちょっときついけど……。でもタバサちゃんを見てたらそんなこと言ってられないもんね!」

「俺のタケミカヅチがカギを握るんだろ? ここまで来たらやってやる、お前の指示に従うぜ、ふうま!」

「私も問題ありません。御庭番として、最後まで戦いますよ」

「ここまでいいところ無しで挽回したいと思っていたところです。若様、ご指示を」

 

 蛇子、鹿之助、ライブラリー、災禍と、静流を除く全員からの返事を受けて、小太郎は満足そうに頷いた。……のだが。

 

「ちょっと待ちなさい、ふうまくん。いざ決着をつけようって場面で、私だけ呑気に見てろって言うのは無しよ」

 

 静流が不満そうに口を尖らせて抗議をしてきた。しかし、イーサーによる攻撃から解放されて顔色が戻った他の面々と違い、サポートのためにずっと木遁の術を使い続けていた彼女だけはまだ苦しそうな様子が窺える。

 

「先生はここまで十分やってくれました。無理をすることは……」

「ここでしないでいつするっていうの? ……とはいえ、元々力不足気味な上に、今本調子じゃないのは事実だけどね。それでもまだ戦える。あいつの動きを一瞬ぐらいなら止められるわ。だから仲間外れは無しでよろしくね」

 

 ここまで言われては断ることもできない。小太郎はありがたくその申し出を受け入れることにした。

 

「じゃあ静流先生も入れて、皆よろしく頼む。……骸佐、準備は!?」

「とっくにできてる! 早くしやがれ!」

「よし……。やるぞ!」

 

 小太郎がハンドサインで全員に指示を出す。

 それを受け、最初に動いたのは蛇子だった。

 

「タコ墨煙幕! ブシュウウウウウウ!」

 

 骸佐とフュルストの間に煙幕が展開される。その動きにフュルストも気づいた。

 

「む……? 何かを仕掛けてくるつもりですか? しかしどんな攻撃であっても私には……」

「リーナ、一旦離脱して」

 

 タバサがリーナに離れるよう言いつつ、立ちはだかるようにフュルストの真正面に陣取った。

 

「……業腹だな。でもふうまの指示だ、仕方ない。ここまでお膳立てしてやるんだからしっかり決めろ、三下」

 

 高速の連撃(アマラスタのクイックカット)を叩き込んだ直後、タバサの姿がフュルストの視界から消える。身をかがめて横へと飛び退いていた。

 逃げようとする相手へ攻撃をしようとしたフュルストだったが、直後、正面から殺気の塊が迫っていることに気づく。

 

『骸佐の一発のためにフュルストの注意を惹いてくれ』

 

 小太郎からハンドサインで受けたその指示の通り、タバサは相手の注意を惹きつけていた。さらには迫る骸佐の姿を隠すために、自身をブラインドにもしている。

 結果、煙幕の中から禍々しい鎧に身を包んだ骸佐が現れたことに対し、フュルストは認識が僅かに遅れた。

 

「骸佐! 狙うのは奴の胸部、やや左寄り! タケミカヅチで『視る』限りではそこに1番今までのダメージが集中してる!」

 

 そこで叫んだのは鹿之助だった。今、彼の傍らには神霊であるタケミカヅチが少女の形を取って具現化されている。その力を使ってフュルストへのダメージが集中している部分を見抜いたのだ。

 

 すなわち、ここまでタバサが執拗に狙い続け、ダメージを蓄積させていた胸部である。

 

 さらに――。

 

「木遁・茨姫!」

 

 静流も最後の力を振り絞って忍法を発動していた。フュルストの足元からツタが伸びて絡みつき、動きを封じようとする。

 

「こんなものでこの私を止められるとでも!」

「そうね、これが精一杯……。でも、これで十分でしょう?」

「ハッ……!?」

 

 先程の骸佐への認識の遅れ。今の静流の木遁を引きちぎる時間。どちらもほんの一瞬だった。

 だがそれらは、骸佐の必殺となるであろう一撃へのサポートとして完璧に働いていた。

 

「うおおおおおおおおおおッ!」

「ぬうっ!?」

 

 ついに骸佐が間合いに入った。

 大太刀の切っ先が怪物の胸部の装甲とぶつかり、ギャリギャリと耳障りな音を辺りに響かせる。

 

「俺がここまで背負ってきた怨念をぶつけてやる! くらいやがれ!」

「馬鹿が! 貴様程度の小物が背負った怨念ごときでこの魔人フュルスト様の装甲を貫けるとでも思ったか!」

「うるせえェッ!」

 

 無理矢理にでも刀を押し込もうとする骸佐。それを串刺しにしようと、フュルストは両腕を剣状にしたが――。

 

「今だ! 災禍! ライブラリー!」

 

 小太郎が家臣の名を叫ぶ。本来ならばふうま家当主の傍らに控えているであろう2人。だが、今そこにその姿はなかった。

 

「絶・無影脚!」

「はああああああっ!」

 

 2人が現れたのはフュルストの両脇――つまり、骸佐を攻撃しようと、剣に変化させた腕を狙っての攻撃だった。

 災禍は新装備の対魔忍スーツの機能で、ライブラリーは珪遁の術でステルス化しつつ気配を殺して敵のそばへと近づき、サポートのチャンスを待っていたのだ。

 

 鋼鉄の義足による必殺の蹴りと、珪遁の術により強化されたブレードの斬撃。イーサーの影響下から解放された両者の攻撃は、フュルストが変化させた腕の剣の部分をへし折っていた。

 

「お、おのれええええええ!」

「クソハゲが、いい加減にくたばりやがれ!」

 

 骸佐が叫ぶ。だが、まだ攻撃は装甲に阻まれて届かない。

 

(クソッ……! もうひと押しのはずなのに……)

 

 思わず小太郎は内心で独りぼやいていた。

 

 ここまで的確に指揮を執り続け、狙い通りの展開になっている。

 タバサとリーナの撹乱、蛇子の煙幕、攻撃場所を見抜く鹿之助のタケミカヅチ、静流の回避妨害、そしてステルス化したライブラリーと災禍の奇襲。

 この中で最高火力を一撃を持つ骸佐の攻撃を活かすために、打てる手を打ち、見事に的中している。にも関わらず最後のひと押しが決まらない。

 

(……いや、違う! タバサには怒られるかもしれないが……もう一手ある!)

 

 小太郎は右目に意識を集中させた。

 

「おい、フュルスト! 俺を見ろ!」

 

 その声に、フュルストは思わず声の主を見てしまった。

 開かれた小太郎の右眼から、漆黒よりも深い闇が蠢く。それは魔性の力による刃となってフュルストを斬り裂いた。

 

「ぐがあああああっ!?」

 

 ライブラリーと災禍にへし折られ、再生しようとしていた両腕が飛ぶ。同時に、フュルストの装甲についにヒビが入り始めた。

 

「馬鹿な!? このスーパーフュルスト様の装甲に傷が……!?」

「俺の怨念でてめえを殺す! とっとと死にやがれ!」

「き、貴様ごとき小物に……! こうなったら……!」

 

 フュルストに怪しい動き。小太郎もそれを察知した。

 右眼をどうにか制御しようとしつつ、鹿之助に声をかける。

 

「くっ……! 鹿之助、あいつ何か狙ってやがる!」

「わかってる、タケミカヅチ! ……クソッ! 魔術か何かを発動させるつもりだ! あのままだと……え!?」

 

 間の抜けたような鹿之助の声に、右眼を抑えつつ、小太郎の反射的にその視線の先を追っていた。

 

 そこには、愛剣を2本まとめて左手に持ち、無造作に骸佐に歩み寄るタバサの姿があった。

 

「は……!? な、なんだ、てめえ!」

「ひとつだけ聞きたい。さっきから怨念怨念と言っているが、その剣は怨念が強ければ強いほど斬れ味を増すってことで合ってるか?」

「いきなり何を……」

「死にたくないなら答えろ。時間がない。こいつは何かをしようとしてる。さっさと息の根を止めないと巻き込まれる」

 

 持ち前の直感と、相手の心の内面を読み取る特有の能力。鹿之助のタケミカヅチとは違うアプローチで、タバサもまたフュルストが最後の反撃に出ようとしているのを見抜いていた。

 

「確かに怨念を力に変える刀だが……だったら何だってんだ! お前も手伝ってくれるってか!?」

「ああ、手伝ってやる。……そうとわかっていれば、最初からこうすればよかった」

 

 タバサが骸佐の妖刀“猪助”に手を触れる。その瞬間――。

 

「なっ……!?」

「ひぃっ……!?」

 

 持ち主の骸佐が驚愕の声を上げ、フュルストでさえもが思わず戦慄の声をこぼすほど。

 

 妖刀はもはや刀とも呼べないほどに禍々しくその姿かたちを変え、おびただしい量の瘴気を放ち始めていた。

 それまで苦労していたのがまるでウソのように、熱したナイフがバターを斬るかのごとく。スッと切っ先がフュルストの体へと吸い込まれていく。

 

「どういうことだ!? どうなってやがる!?」

「あ、ありえん! こんな馬鹿な……! どうしてこんなことが……!」

「簡単な道理だ。殺せば殺しただけ怨念は強くなる。ならば、今までただひたすら殺すこと(ハックアンドスラッシュ)しかしてこなかった私が触れれば、こうもなる」

 

 “乗っ取られた”器(イセリアル)異世界の化け物(クトーニック)、狂った人間、暴れまわる獣、妄執で留まった亡霊、その他数多の怪物共に加え、異界のボスに忘れ去られた太古の神まで。

 

 数え切れないほどの命を奪ってきた。そうすることでしか生き残る術を知らず、そうしなければ終末の異世界(ケアン)では生き残れなかった。

 

 背負ってきた怨念の量だけでいうならば、“乗っ取られ”の少女の体に染み付いたものは測り知れない。

 

「な……なぜだ……。この世の理に触れ、異世界の力を手にした……この私が……なぜ……」

「ふうまに拒絶され、私が憎む敵の力を使った。お前が死ぬ理由はそれで十分すぎる」

「わ、私は……ブラック様を正しい輪廻に戻して……イセリアルの力も我が物に……」

「黙れ。死ね」

 

 切っ先が背中まで貫通し、それからフュルストの体が内側から爆ぜた。

 床に落ちた肉片が塵のように消えていく。

 

 小太郎と骸佐にとって共に宿敵と呼べる相手。ノマドの元大幹部とは思えない、フュルストの呆気なさすぎる最期であった。

 

「お、終わった……のか……?」

 

 タケミカヅチによってフュルストの反撃に備えようとしていた鹿之助が呆然とした様子で声を上げる。

 

「フュルストは消えちゃったし……終わり……で、いいんだよね、ふうまちゃん……?」

「あ、ああ……」

「……気配はありません。完全に消滅していますね。こんな終わり方は想像していませんでしたが……」

 

 ライブラリーのその言葉で、ようやく全員が終わったと実感できたらしい。辺りに弛緩した空気が漂い始める。

 

 そのタイミングでタバサは骸佐の妖刀から手を離した。刀は元の形状へと戻り、骸佐が体に纏っていた鎧も消えようとしていた。

 

「ぐっ……」

 

 だがタバサが上乗せした分の反動が襲ってきたのだろう。思わず骸佐は数歩よろめいて後退してから、大太刀に体重を預けつつ膝をついていた。

 

「骸佐!」

「来るんじゃねえ!」

 

 それでも、心配そうに声をかけてきた小太郎に対し、精一杯の虚勢を張ってそう返す。

 

「共同戦線はここまでだ……。俺とお前は互いに袂を分かった存在。もう……戻れねえんだ」

 

 タバサはそんな骸佐を仮面越しに冷たい眼で見ていた。

 

(そう、こいつの言う通りだ)

 

 周囲の緊張が解けた空気には似つかわしくなく、今彼女は己の気配を消している。

 空いた距離はよろめいた数歩分。左手にまとめていた剣を両手へと持ち直し、人知れず骸佐との間合いを詰め直そうとしたところで――。

 

「待ちなさい、タバサ。何をするつもりだ?」

 

 その数歩分の距離の間に割って入ってきたのはライブラリーだった。

 

「……さすがライブラリー。気配は極限まで殺したつもりだったのに見抜かれたか」

「いや、逆だ。フュルストは倒した。ならば緊張を解いてもいいはず。にも関わらず、そんな状況で異様なほど気配が薄い。そのことが引っかかった」

「なるほど。気配を殺すこと自体は自信があったんだけど……。この場合それが裏目に出たってことか」

 

 ふう、と自嘲的にタバサが息を吐く。

 

「おい、タバサ……。お前……」

 

 ようやく右眼を制御しきれたのだろう。普段どおり右眼を閉じた小太郎が驚愕したようにタバサの名を呼んだ。

 

「……確実に殺せる状況を作ってからにしたかったんだけど、まあいいか。ふうま、二車骸佐の件について、改めてもう一度だけ忠告させてほしい。ふうまが解決しなくちゃいけない問題、それはよくわかってる。でもこれは先延ばしにすべきじゃない。フュルストも片付けたのだから、まとめて今すぐにでもケリをつけるべき問題だ。ふうまが手を汚すことに抵抗があるって言うなら代わりに私がやる。だから……」

 

 人間が発していると思えないような冷たい声色で、タバサはその先を続けた。

 

「一言殺せと言ってくれれば、私がそいつを殺すよ」




ベルゴシアン

アサシンといった出で立ちのテクニカルなイメージが強いナイトブレイドにおいて、力こそが正義を貫き通した異端のマスター。
ゲーム中には登場せず、名前が使われたアイテムやスキルがあるだけだが、フレーバーテキストのせいでやたらと存在感が濃い。
「ナイトブレイドの標準からは過度に筋肉があって遅い」「雇い主を不安にさせるほどの無謀な虐殺と血の渇望で悪名高い」など、これだけでも既にヤバさがひしひしと伝わってくる。
実際彼が関連しているスキルは
・ベルゴシアンの大ばさみ:両手の武器を挟み込むように力任せに叩きつける
・ブレスオブベルゴシアン:その体格に物を言わせて呼吸量を増やし、より多くのプネウマを吸収する
・ブレイドバリア:ファンタズマルブレイドをうまく飛ばせないから、気合で自分の周囲に大量に一定時間召喚して盾にする
と言ったザ・脳筋というものばかりである。
これだけマッチョなら実はソルジャーだったのではないかとまで言われており、そのことを証明するかのように彼の名を冠したセット装備である「ベルゴシアンの屠殺セット」は、ソルジャーとナイトブレイドを組み合わせたクラスの「ブレイドマスター」向けの装備となっている。
彼自身も異端であることは自覚していたようで、「ベルゴシアンの修羅道」というレリックのフレーバーには「わが兄弟のナイトブレイドたちには彼らのやり方があり、私には私のやり方がある」とあくまで己を貫き通した旨が書かれている。
というか、ナイトブレイドは他の有名なマスターが「クイックカットやブレイドバーストにも名を使われており、ナイトブレイドの王道をひた走った女マスター・アマラスタ」や「毒を得意としたために同業者からも忌み嫌われていた女マスター・ニダラ」など、設定だけでかなり濃いキャラが揃っていたりする。
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