“乗っ取られ”の少女、対魔忍世界に迷い込む   作:天木武

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Act80 センザキの街で光り輝くギャングスターとは俺のことだぜ!

 災禍からの頼み事としてタバサが首を突っ込んだ、淫魔族を巡る一件から約2週間。12月も第2週に入り、今年も終わりに近づいている。

 もっとも、異世界人であるタバサからすれば年の代わりなど特に関係もなく、ヨミハラも地下都市という立地のためにどうにも季節感は薄くなってしまっていた。

 

「うーむ……」

 

 そんなある日のこと。

 昼のピーク時を過ぎた、いわゆるアイドルタイムの味龍。春桃とタバサと扇舟が賄いを食べていた。が、春桃が自分で作ったチャーハンを食べながら、何やら唸り声を上げているようだった。

 

「どうかしたの? 具合が悪いとか?」

「チャーハンを作るのに失敗したのかもしれない」

 

 思わず扇舟と、続いてタバサが声をかける。

 

「あ、いや、どっちも違うんだが……」

「だよね。賄いの料理はおいしくできてるよ。相変わらずクセになる辛さでおいしい」

「そりゃどうも。……ただタバサ、お前が今食べてる麻婆豆腐は裏メニューにしてるレベルの痺れと辛さのはずなんだけどな」

 

 「ん?」とタバサが特に気にした様子もなしに麻婆豆腐を口に運び、それからご飯を食べる。が、その麻婆豆腐の湯気が顔付近に近づいただけで思わず扇舟は顔をしかめていた。つまり、湯気だけでもそれほどの痺れる辛さが伝わってきているのだ。にも関わらず、最近激辛料理にハマりつつあるタバサは「クセになる」と言って平然と食べているということになる。

 

「まあ……タバサの食事事情は今に始まったことじゃないから置いておくか。実は今ちょっと困っててな。予定ではとっくに届いてるはずの荷物が来ないんだ。今のところはいいけど、いずれは店の営業に関わるものだから放置しておくわけにもいかないし」

「それは……よろしくないわね。相手の……この場合運送会社かしら。そこに連絡は?」

 

 魔界産の肉と魔草炒めの定食を食べつつ、扇舟が尋ねる。このメニューもセンシュースペシャル同様、魔草を使えるようになった後に生み出されたメニューだ。

 

「当然した。だがもうちょっと待ってくれ、の一点張り。ここ1週間近く、1日おきぐらいに連絡してるけど向こうもひたすら謝るだけだし、こっちも催促するのが段々嫌気が差してきてさ。その上、ここは季節感がないからあまり実感が湧かないかもしれないが、地上はこの後クリスマスだのお正月だのってなってくると物流がさらに滞りかねない。その前にどうにかしたいんだよな……」

「営業に関わるって言ったよね? 料理のことはよくわからないんだけど、1週間も届かなくて材料は間に合ってるの?」

 

 やはり辛さを全く気にしていない様子で麻婆豆腐を食べつつ尋ねるタバサ。これだけ無反応だと本当に辛いのか、さらには辛くする必要があるのかも疑問に思う春桃だったが、ひとまずタバサの質問に答えるのを優先した。

 

「それは大丈夫。そういう生鮮食品の類じゃないんだ。ほら、ここって大衆食堂とはいえ中華料理屋だろ? だから、本場の味に近づけるためにあたしの本国から定期的に調味料を取り寄せてて、それが来ないんだ。今すぐに無くなるわけじゃないけど、年を越す前に補充しておきたいなって」

「調味料……」

「例えばお前が食べてるその麻婆豆腐。辛さを出すための豆板醤に、痺れを出すための花椒(ホアジャオ)、他にも豆鼓(トウチ)っていうのも使ってる。それら全部、本場から輸入してるってわけだ」

「へぇ……。下準備までは時々手伝うけど、味付けにそんないろんなものを使ってるんだ」

 

 タバサが感心したような声を上げる。

 一方、先程までの春桃同様に今度は扇舟が唸っていた。

 

「……ねえ、春桃さん。輸入に頼ってるってことは、おそらくセンザキ経由よね?」

 

 センザキは貿易都市であり、国内最大級の港も保有している。そのため、海外からの海運はほぼここに集中していた。

 が、そんな金の匂いがするところには一儲けしようと良からぬ者たちも集まってくるもの。戦争難民や犯罪組織などが流入してきた結果、勢力拡大を狙う組織の抗争も相まって、今では闇の街であるヨミハラ同様、犯罪都市と呼ばれるようになってしまっていた。

 

「ああ、その通りだ。よく知ってるな、センシュー」

「あそこは場所によってはここと同じぐらい危険な治安の犯罪都市よ。もしかしたら、何かあの都市特有のトラブルに巻き込まれて荷物が届かない、ということもあるんじゃない?」

「確かにそれはあるかもしれないが……。それを言ったところでこちらとしては手の出しようもないし……。あ、そうか」

 

 不意に、春桃がポンと手を叩いた。

 

「センシュー、お前センザキに詳しいみたいだし、それ食べ終わったらでいいからセンザキに直接行ってくれないか? もしもの時のためにタバサも連れて行っていいぞ」

「え、ええ!?」

「こっちから直接顔を出せば向こうとしても無下に対応はできないだろう。さすがにちょっと待ってくれって言われるだけじゃ状況もわからないし、待つなら待つで具体的にどのぐらいかかりそうか、さらに言うなら何が起きてこうなってるかを突き止めてきてほしい。……うち以外にもセンザキからの流通が止まって困ってる街の連中もいるっぽいし、頼む!」

 

 可能なら断りたかった扇舟だったが、店長代理にここまで言われて頭を下げられては断りきれない。やれやれとため息をこぼすのが精一杯の抵抗だった。

 

「……わかった。個人的にあまりいい思い出がない街だけど、行ったことがあるのは事実だし。直接行ってみるわ」

「本当か!? 助かるぞ、センシュー!」

「私としてもありがたい。別な街にも少し興味はあったし」

 

 そして案の定タバサもこう言い出した。これは最初から断ることは出来なかったんだろうなと思いつつ、扇舟は賄いの料理を平らげることにするのだった。

 

 

 

---

 

 センザキの街はその物騒な前評判とは異なり、傍から見れば発展したベッドタウンというような街並みだった。

 ヨミハラと違って太陽の光があり、加えて、季節柄クリスマスを間近に控えていて街が飾り付けされていることも影響しているのかもしれない。

 

 タバサと扇舟の2人はそんなセンザキの中心街を歩いていた。とはいえ、基本何もわかっていないタバサは扇舟についていくだけという感じであり、春桃から手渡されたメモを見て扇舟が先導している形である。

 が、その扇舟は時折ため息をこぼしており、内面が読み解けるタバサはそれを少し気にかけてもいた。

 

「……ねえ、扇舟。春桃に頼まれた時に『あまりいい思い出がない』って言ってたはずだけど、大丈夫? 無理なら帰って無理って言ったほうがいいよ」

「え? ああ、そうか……。タバサちゃんは心の変化とかが読めるんだっけ。なら全部お見通しよね。……話したら少しは楽になるかな。愚かだった頃の私の話、聞いてくれる?」

「ん。いいよ」

 

 歩きつつ、扇舟は過去にこの街で犯した過ちについて語り始めた。

 

 ここセンザキは治安の悪さから警戒が必要な地域として対魔忍が拠点を置く場所である。同時に各地への通信網の中心を担う役割も果たしていた。

 かつて、まだ扇舟が井河長老衆の1人であった頃。五車決戦を間近に控えた時に、その通信網を断つためにここの拠点を潰したことがあったのだった。

 当然、拠点内部にいた対魔忍たちは全員死亡。扇舟が今も悔いている「同胞殺し」のひとつである。

 

「あの頃はアサギと、あと手を斬り落とした不知火に対しての恨みしかなかった。同時に、今度こそ母に認められたい、って気持ちかしらね。過剰戦力でここの対魔忍の拠点を落とし、それでいい気になっていた……。今にして思えば、愚かしいことこの上ないわ」

「それは確かにいい思い出じゃないね。でもまあ母親に呪縛されていた時の話なんだろうから、しょうがないといえばしょうがないよ。起きてしまったことはどうしようもないんだし、扇舟自身も心から悔いてるみたいだし」

 

 相変わらずドライな言い方ではあるが、これがタバサなりの気の使い方というのもここまでの付き合いでわかっている。扇舟は素直に「……ありがとう」と感謝の言葉を口にしていた。

 

「おかげで少し楽になったかも。……それじゃ、気を取り直してメモにある業者さんのところに行って話を聞きましょうか」

「ん、良かった。……扇舟がいないと私だけじゃどうしようもなかったから」

 

 確かにそれもそうである。その辺りまで含めて打算的に自分を立ち直らせたのかもしれない。とはいえ、言っている事自体は事実だから仕方ないかと、扇舟は苦笑を浮かべて先を歩き始めた。

 

 

 

---

 

 結論から言えば、扇舟とタバサはたらい回しにされていた。

 

 春桃から渡されたメモにあった配送業者を当たったが、向こうも困ったように答えていた。

 

「わざわざ来てもらって申し訳ないけど、どうしようもないかもなあ……。実は品物を受け取るはずの倉庫側からもうちょっと待ってくれってずっと言われてて……。運びたくても運べないんだよ。品物が無いとか言うんだから」

 

 仮にも犯罪都市と呼ばれる場所だ。相手が交渉を渋ってきたり、こちらを見下して話に応じてこないという可能性もある。

 そのため、場合によってはこの前アサギに「もうやるな」と言われたタバサ式交渉も必要かと思っていた扇舟だった。が、それは杞憂だったようだ。向こうはギャングやマフィアとは関係のないカタギらしく、不都合も真摯に隠さずに答えてくれた。

 

「悪いけど、港から上がった品物を保管する倉庫業者の方を当たってみてくれ」

 

 そう言われて今度は倉庫業者の方へ。

 ところが、ここでも返ってきたのはまたしても渋い返事と悲痛な泣き言だった。

 

「うちも被害者なんだよ……。ここに無いんだから、そりゃ待ってくれって言うしかないでしょ? ……もっと上の方の問題なんだ。元々は輸送の遅れで昨日ぐらいには荷物が届くって話だったはずが、いつの間にか『もう少し待ってくれ』に変わっちゃったし。どういうことか直談判に行きたいのは山々なんだが、この街はギャングやマフィアが取り仕切ってる。幸いこの地区は話がわかる人ではあるけど、せっつくようなことをするのは気が重いんだよ。この街の住民じゃないあんたたちに頼むのは心苦しい。でも、代わりに行ってくれるって言うなら助かるのは事実だ。……ただ、無理はしないようにな」

 

 そんな感じで、実質通関を担当している組織を紹介してもらっていた。

 さすがにこれ以上のたらい回しは無いだろう。そう思って扇舟は連絡を取ってみたのだが。

 

「この街にカンザキ食堂という店がある。そこで待っていて欲しい。そちらのことを把握している使いの者がそこに行く」

 

 こうして、夕暮れ時の食堂に2人は行くこととなってしまったのだった。

 

「待ち合わせが食堂って何なのよ、もう……。しかも使いの者って言ったけど、向こうはこっちをわかっててもこっちはその相手がどんな風貌か、何人かもわからないし……」

「でもヨミハラよりは治安はいいね。何人か……斬ったらまずいだろうから張り倒すつもりでいたけど、そんなことも無かった」

「……タバサちゃん、そういう物騒な考え方からはもう少し離れましょう?」

 

 ともかくタバサが暴れるような事態と、懐に忍ばせていた戦闘用義手を使うようなことにこれまでのところはなっていないのはよかったと扇舟は考えていた。

 そうこうしながら歩いているうちに指定されたカンザキ食堂が見えてくる。まだ夕食の時間には早い。それでも既に客は入っている状態だった。

 

「いらっしゃい。空いてる席座って」

 

 店内に入るとまだ子供といえる外見の少年が声をかけてくる。

 

「えっと、待ち合わせをしているんだけど……」

「相手は?」

「いえ、ここで待ってろってしか言われてなくて……」

「あー、そりゃこの店で飯を食って待て、って意味だな。……ってわけで客だ。いらっしゃい。空いてる席座って」

 

 最初と同じセリフを少年は繰り返し、扇舟とタバサは顔を見合わせるしかなかった。こんな子供にも関わらず、したたかさを持っていることに驚きを隠せなかったからだ。

 

「……どうする? なんかもうお客にされちゃったけど……」

「少し早いけど夕飯ってことでいいんじゃない? 待ってろって指示らしいし。それにこの店の味も気になる。味龍と似た感じだから、なおさら」

「タバサちゃんがそう言うなら。……ねえ、オススメはある?」

 

 手近な席に腰掛けてメニューを開きつつ、扇舟は給仕をしている少年へと尋ねた。

 

「おやっさんの料理は絶品だからなんでもうまいよ。でも強いて言うなら……カニチャーハンは結構出るね」

「なるほど……。じゃあ私はそのカニチャーハンで。タバサちゃんは?」

「普通のチャーハン」

「カニチャーハンとチャーハンね。んじゃ料理できるまで待ってて」

 

 少年はオーダーを取ると厨房の方へ小走りで駆けていった。

 

「普通ので良かったの? チャーハンはカニ以外にも色々種類あったみたいだけど」

「もっともシンプルなチャーハンを食べれば、その店のレベルがわかる。……って、春桃が言ってた」

「確かに余計な具材で隠しようがないから店の腕前がそのまま出るって聞いたことはある。でも……。まあいいか。何でもない」

 

 元の世界の食事事情があまりにも悲惨すぎたタバサだ。そのために「食べたところで味の違いがわかるの?」と言いかけた扇舟だったが、本人がやりたがっているのだからいいかと続きを言うのをやめていた。

 

 それから改めて店内を見渡してみる。誰かを探している、という様子を見せれば、もしかしたら相手が先に来ていてそれに気づくかもしれない。

 だが、目が合うような相手はいなかった。皆思い思いの様子で食事を楽しんでいるようである。

 

「人間しかいないね」

 

 と、タバサも周囲を見渡す扇舟に気づいたようで、そう言ってきた。

 

「普通はそうなのよ。魔族だ何だを関係なしに受け入れているあのお店……というか、あの街が異常なの」

 

 ガラが悪そうな人間はいくらか目に入るが、少し話す声は大きいかもしれないが暴れるようなこともなく食事をしている。パッと見で印象に残るのは、テーブル席に座っているスキンヘッドに、同じテーブルにいるモヒカン。あとはカウンターで1人食べているド派手な金髪ぐらいか。

 いずれにしろ、いかにも街の食堂といった様子だった。

 

「はいお待たせ。カニチャーハンとチャーハンだよ」

 

 と、そうやって店の中を観察しているうちに早くも料理が出来たらしい。先程の少年がチャーハンを2つ運んでくる。

 片方はネギと少しの角切りチャーシューが入ったシンプルな黄金色のチャーハン。もうひとつは同じチャーハンの中にカニが混ざり、さらにはその上にもカニが乗った見た目にも豪華なチャーハンだ。

 

「……完成までの時間は春桃と同じぐらい」

 

 なぜか分析モードに入ったらしいタバサがポツリと呟く。

 

「中華は火が命、と考えると期待できそうね。さあ、早速食べてみましょう」

 

 いただきます、と2人がそれぞれのチャーハンを頬張る。同時に、思わず目を見開いていた。

 

「おいしい……!」

「むう……。これは春桃といい勝負」

 

 ヨミハラで評判の中華料理店と同レベル、というのだから、街の食堂とは馬鹿にできない。2人とも自然とチャーハンを乗せたレンゲが口へと進んでいた。

 と、タバサがその手を止めて扇舟のチャーハンを見つめている。

 

「何? どうかした?」

「……カニ、ケアンにいたのはとても食べられそうになかったけど、この世界のはおいしそうだと思って」

「おいしいわよ。……だから普通ので良かったのか、って聞いたのに。カニまだ残ってるから、少し持って行ってカニチャーハンにしていいわよ」

「本当? ……ありがとう、扇舟」

 

 タバサは遠慮なく上に残っていたカニの半分を自分のチャーハンへと持っていき、即席のカニチャーハンにして口に運ぶ。

 

「おお、カニおいしい」

「でしょう? ……ところで、さっきチラッと言ったけど、タバサちゃんの世界にもカニっていたの?」

「いた。星座にもある。……でも人間を襲ってくるあいつらは臭くて食えそうにない」

 

 この世界でも節足動物であるために、嫌悪感を示す人は少なくない。それよりおそらくさらに見た目が悪く、臭いもきつい、その上人間を襲ってくるとなると、食べるのは難しいのだろうと扇舟は勝手に想像した。

 

 そうこうしているうちに2人とも完食。皿は綺麗になっていた。

 

「ふう、おいしかった。タバサちゃんは満足?」

「ん。味龍といい勝負だと思った。……帰ったら負けないように春桃に喝を入れないと」

「そんな、別に競い合ってるわけじゃないんだから……」

 

 そんな風に2人が話している、そこへ。

 

「よお、おふたりさん。この店の飯、うまいだろ?」

 

 浅黒い肌にド派手な金髪、よく見ると外見もシャツの上からコートを肩にかけだけという、見るからに軽薄そうな青年が話しかけてきていた。確かカウンターに座って食事をしていた男だ、と扇舟は気づく。

 

「俺もこの店を気に入っててね。チラッと話が聞こえてきてたけど、あのヨミハラの味龍と謙遜ないと言われたら、俺としても鼻が高いってもんよ」

 

 店の中の治安は味龍とは比べ物にならないほどいいと思っていたが、この手の輩はどこにでもいるらしい。女2人と見てナンパか、あるいはからかいに来たのだろうと、ため息混じりに扇舟が答えた。

 

「ええ、確かにおいしかったわ。……あとはその余韻を消されなければもっと嬉しいけれど」

「おっと。こりゃきついね、姐さん」

「ナンパなら別な相手を選んだほうがいいわよ。こんなオバサンと女の子よりもっといい人たくさんいるでしょ? ……それに、この子は嫌な空気に対しては敏感なの。面倒を起こしたくないから構わないで頂戴」

「まあそう堅いこと言わずに……」

 

 なおも引こうとしない男に対して、扇舟が少しきつく言おうとした、その時。

 

「んー……。扇舟、多分だけど。さっきの電話で言ってた使いってこの人だよ」

 

 不意にそう切り出したタバサに、扇舟も男も面食らったようだった。だが、直後に男の方はニヤリと不敵な笑みを浮かべる。

 

「……へぇ?」

「どういうこと!? なんでそう言えるわけ?」

「こいつはカウンターで1人で食べてたけど、この店の中で唯一、ずっとこっちを気にしてるような雰囲気があったから気になってた。そこで声をかけてきたから、もしかしたらそうなのかなって」

 

 その言葉に、男は笑い出していた。それから、店員の男の子に声をかける。

 

「ハッ! 薄々思ってはいたが、案の定只者じゃなかったか。……おいハルト。この2人は俺の客だ。2人の分も俺がまとめて支払う」

「なんだ、やっぱりか。銃兵衛(じゅうべえ)兄ちゃんはイタズラ好きだから、どうせそうだろうと思ったんだ」

 

 店員の男の子――ハルトと呼ばれた少年に、銃兵衛と呼ばれた男がそう話しかけていた。

 

「じゃ、じゃあ……。あなたが連絡した時に言われた使いの者……」

「使いっつーか、まあ俺が頭なんだけどな」

「頭!? それってもしかして通関関係を仕切ってる……ボス!?」

 

 驚いた扇舟を見て、男が得意げな笑みを浮かべる。それから、指2本を立ててポーズを決めつつ、意気揚々と自己紹介を始めた。

 

「おう。改めて自己紹介させてもらうぞ。俺の名は金崎(かねざき)銃兵衛。センザキの街で光り輝くギャングスターとは俺のことだぜ!」




チラ裏投稿した作品でも似たような感じでセンザキに行ってるんですが、まあ銃兵衛は出したいキャラだからいいかってことで……。
ちなみに対魔忍RPG攻略wikiやpixiv百科事典では、銃兵衛の名字の読み方が「かんざき」になっているんですが、メインチャプター14「その名は峰舟子」の2つ目のストーリーで「かねざき」と書かれていたので、そっちに従うことにしました。
……ただ、画像検索すると「かんざき」だった時もあったようです。とりあえず現時点の図書館で見られるストーリーに従って「かねざき」にしておきます。



蟹(星座)

Tier2に位置する星座。カニの話題が上がったことでタバサがこの星座のことを思い出している。
完成に5ポイント必要。必要親和性は紫6白4、完成ボーナスは紫3。
実質紫3と白4を他で稼げていればこの星座を完成させることで必要親和性を満たせることに加え、5ポイントで完成ということもあってハードルは低め。
名前の通り蟹の姿を描く星座。豊漁の季節の始まり、同時にそのために海の大型のものが近づく危険な季節を表すものとされている。
星座ボーナスは体格、活力、物理・体内損傷ダメージ、エレメンタル・燃焼・凍傷・感電ダメージ、OADA、刺突耐性、エレメンタル耐性と、星座だけを見れば物理かエレメンタル系のビルド向け。
しかしこの星座の最大の特徴は3ポイント目に星座スキル「アルケインバリア」が存在することだろう。
常駐スキルを含むバフスキルにアサイン可能で、被打時に30%の確率で発動、毒酸・生命力・エレメンタル・イーサー・カオスのダメージを一定量無効にするバリアを張る。
無効化する量はさほど大きいわけではなく、一旦バリアが剥がれないと次のバリアを張ってくれないが、自動発動でリチャージも3秒と短いために使いやすく、対象となる属性の攻撃のダメージを確実に軽減してくれるためになかなか優秀。
昔は「エレメンタルバリア」という名前で、その名の通り対応していたのはエレメンタルだけだったのだが、対象にイーサーカオスが追加されて名前が変更、さらにその後発動率が上昇して対象に毒酸と生命力まで追加されて派手に強化された星座スキルのひとつ。なにげに星座自体も以前より強化されている。
紫6白4を他で稼いで3ポイントだけ割いてスキルだけを取る、という方法を取ることも可能ではある。が、ビルドを選ばないOADAとエレメンタル&刺突耐性は後半2ポイントに割り振られているため、できるなら全部取りたいところ。……どうせ紫なんてそこまでポイント割きたい星座が多いわけでもないし。
星座を紫方面に取っていった場合は防御が手薄になる傾向があるように思えるため、紫の親和性を稼ぎつつ5ポイントで完成できて防御面の強化も図れるという便利な星座である。



カニ(敵)

主にAct5の森と沼の地帯・ウグデンボーグに登場する敵全般。
明確に蟹という名称がつく敵は「取り憑かれた蟹」や「ウグデンボーグ蟹」といった辺りであるが、同じ姿をしているモンスターは多数存在する。
本編中でタバサが敵のカニのことを「臭い」と言っているが、これは「悪臭のキャラクサス」という名前からして臭そうなカニのボスモンスターを指している。
クエスト進行でウグデンボーグの中に拠点を構える魔女団と交渉をするために、こいつの心臓を持っていくというクエストがあるのだが、クエストアイテムのこいつの心臓にもご丁寧に「海藻の悪臭を放っている」と書かれるほど。
一方でソルジャー+1、またはインクィジター+1のMIベルトをドロップしたりもする。
それぞれのマスタリーの得意属性への変換も備えた有用なベルトだが、購入可能で厳選がしやすいためにこれを目的でカニ狩りはあまり行われない気もする。
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