ラジオなので、あえてラジオ回は情景描写をほぼカットしてセリフ劇のようにしてみました。
こちら、ニコニコ海上放送局
「あー、あー、テステス。ワドちゃん、オンエアお願いします」
ワドルディがホヨッと音を立て、でんでん虫のスイッチを押した。ワドルディという生き物は一挙手一投足に伴ってかわゆい音が鳴るのである。無口だが、賑やかな子なのだ。
そのままワドルディはトイピアノを演奏し始める。
「にっこりにこにこんにちはー! せーやに届けー!」
「ニコニコ海上放送局、今日もグランドラインよりお送りします。本日の担当は、ミノリと」
「ひなが担当でーす。今日も30分お付き合いください。緊急連絡が必要なひとは右にダイヤルを一回転すると接続が切れるよ!」
ワドルディが演奏を終わらせ、マイクの音量調節に移行する。そして、今度はちっちゃな木琴の前へ。マトンを4つ持ちして柔らかい、可愛い音を鳴らし出す。
「バックミュージックは今日も我らがワドルディがお届け。今日もこの後15分後くらいに、ワドちゃんの音楽タイムがあるよ」
「ハルは俺たちのご飯を作ってくれてるので今日はおやすみです。パエリア作ってくれるそうです」
「楽しみだねぇ。この前寄ったドレスローザ産のレッドシュリンプを全部使うんだって」
「あれ絶対美味いって、漁港のおっちゃんイチオシだもん。プロの言うことに間違いない。見た目もなんか凄かった。1番触角も長くて、エビの王って感じ」
「エビの王。でも、かっこよくて大事に取ってたら傷み始めちゃったね」
「なー。なんか、勿体なくてな」
「悪くなる前に美味しく食べます。優しくしてくれたおじちゃんに感謝! 食べたら明日また宣伝しておくねー!」
「超楽しみ。親切にエビの見方を教えてくれて、楽しかったもんな。また行きたい国だな」
「玩具が動いて働いてる夢の国だったね。浪漫しかない! 素敵だった! みんな優しかったね。 八百屋さんのブリキのロボットさんも親切だった」
「また行こうぜ、次はセイヤも一緒にな」
「ね。では、ここでお便りのコーナーに移りますよ」
「今朝もたくさんお手紙が届きました。ありがとうございます。おいで、ワドルディ」
「当局ではありがたいことに沢山頂いたお便りから、番組内で読むお便りをワドちゃんに選出してもらいます」
「もちろん、頂いたお手紙はこの後全部読ませていただきます。いつもセイヤを探すハイジャック放送を応援して下さりありがとうございます……お、決まったか?」
「今日も3通ご紹介していきますよぅ。選ばれた方には、ノベルティとして我が船で採れた花の種を記念品として送らせていただいています」
「では1通目。ニコニコネーム、そげキングさん。『ハルくん、みのりん、ヒナちゃん、ニッコリにこにこんにちは。』にこにこんにちわ」
「こんにちはー!」
「『いつもハイジャック放送楽しみにしてます。』ありがとうございます」
「ニコニコ放送だもん」
「はは。まぁ、ハイジャックしてんのは事実だろ。『皆さんは新世界からの放送とのことですが、東の海の方に来る予定はありますか』東の海かぁ、実はですね。俺たちの目的地ですね」
「目指してます!」
「『いつも立ち寄った国のお話をしてくれるので、楽しみにしています。東の海方面にお越しの際はぜひ私の育ったシロップ村へ立ち寄ってください。みんな優しくて、温かいとこです』素敵だな」
「村のお名前も可愛い! 穏やかで暮らしやそうだね」
「『勇敢な海の戦士に憧れる、皆さんと同年代の子供達がいます。その時には話で聞かせてやってください』わ、それなら喜んで貰えそうな話が幾つかあります」
「んー海の戦士かぁ、いいね。かっこいい響きだと思います! そうだなぁ海の冒険なら海王類から逃げ回ったのは1番怖かったぁ。二度と怒らせたくないなと思いました」
「あいつら何を考えてるか分からないから、沸点も分からんもんな。話せたらいいのに」
「お友達になりたい」
「それは、まぁ、浪漫はあるけど。また別の争いが起きそうで嫌だな。シロップ村、航海地図に書き足しときます! そげキングさんお便りありがとうございました。そげキングさんがこの海のどこかでニコニコ笑ってますように!」
「ますように! 次のお便りは、私の街の美味しいご飯! のコーナー! 世界中の美味しいを募集してます」
「美味しいガイドブック作って、いつかセイヤと回ります」
「『ニコニコネーム、みのりんママ』え、ママから届いたよ」
「ママ?? 身に覚えがないけど、……うん、いいよ。続けてくれ」
「『みのりん
「俺なんかを子供にしても毎日大変すよ……」
「 『みのりん
「……ちわ」
「声ちちゃっ 『いつも元気で可愛い放送ありがとう』わーい、ママぁー! こちらこそ聞いてくれてありがとー」
「ありがとうございます」
「『みのりくんがみんなのお兄さんなのかな?』ちがいます、1番わたしがお姉さんです」
「ダウト」
「なんか弟分が言うとりますが」
ガチャっとキッチンの扉が開いて、ひょっこりハルトが顔を出す。それから
「ダウトー!」
「ハルっ、ふふ、ログインしてきたふふ」
ひとこと叫ぶと引っ込んでいった。ヒナがお姉さんなのは余程ままならないことなのだろう。
「民主制に基づき、2票が入りヒナはお姉さんではない事が決定しました。ありがとうございます」
「黙れいっ、わたしがお便り呼んでるので今はひなが王様です。『面倒見が良くて、元気いっぱいのふたりを見守ってる感じがします』ほらぁ! やっぱりひなのことじゃん」
「あー。ちょっと何言ってるかわかりませんね」
「なんでさ! わかってよ! 『そんなみのりくんを応援してるうちに、なんだか最近は、あれ、実は私が産んだかな? って思い始めてきました』私がっ、ふ、産んだかなってふふ」
「ママさんみたいな暖かい母さんがいたら、アホ2人の世話も楽になりそうです」
「ちょっとぉ? みのりー? 『みのりくんは、ママの手料理の紹介した方が嬉しいかなとも思うけど』んふふ。わたし好きだよ。ふふ」
「お袋の味っすね、絶対美味しいですよ」
「『うちの近くにある、レストラン、ミロ・レーテの紹介します。私の村は酪農、牛さんや羊さんが沢山います。なので美味しいチーズが有名です』わ、美味しそう!!」
「牛かぁ。いいですね、牛肉とかなかなか食べれなくて恋しいっす」
「『肉厚で柔らかいカットステーキの上に、ラクレットチーズをとろーりかけてくれます』ら、ラクレットチーズ? みのり、わかる?」
「んー本で見た事あるよ。なんか、ヒナの頭くらいある半円形のチーズ」
「おっきい!」
「そ、おっきいの。それを熱したチーズスライサーで削ぎ落とす……とか。実物は俺も見たことないから、食べてみたいな」
「『食事だけじゃなくて、チーズの買い付けも出来ます』わ!!! じゃあラクレットチーズ買いに行こう!!」
「冷蔵庫上段半分が埋まっちまうよ、ご利用は計画的にな。ステーキにチーズはぜってぇ美味い。美味くない訳が無い」
「ねー。『ココナッツ村付近においでの際には、食べに帰って来てみてくださいね』はーい! ママさん耳より情報ありがとう! 村に帰ったら一緒に食べに行こうねー!」
「待て、帰るってなんだ帰るって」
「みのりんママさん、お手紙ありがとうございました! みのりんママさんがこの海のどこかでニコニコ笑ってますように!」
「聞け。……次が今日最後のお便りです。最後はこのコーナー、俺の悩みを聞け!! 普段言えずに溜まってる鬱憤を吐き出して、少しでもスッキリしようというコーナーです」
「モヤモヤしてる気持ちは紙に書くと、スッキリするしね。今日はわたしとみのりで、お悩み吹き飛ばすよー!」
「今日の悩めるリスナーはこの方。ニコニコネーム、しがない補佐官さん……」