とあるフェンサーの日常の一コマ

1 / 1
脚の速い細剣使い

 

 《浮遊城》64層

 

 うっそりとした木々が生え茂り日があまり入らぬ森の中、フードを被り一振りの細剣を身に帯びた細身の男が息を潜め鍛えに鍛えマスタリーまで至らせた《隠蔽》スキルを発動させながら一匹の獲物を追っていた。

 

 (あれはS級食材【ラグーラビット】今日の自分は運がいい是非とも捕まえたいなあ)

 

 S級食材【ラグーラビット】小柄な小さい兎で戦闘力は皆無と言っても等しいモンスターだがその敏捷値はこの【SAO】の中でも随一を誇りその上小さく捕獲が困難であるためS級食材に認定されているモンスターである。基本的には《投剣》などで遠距離から一気に仕留めるのだがこの男はそのようなものは持っておらず細剣一本しか構えていない。なぜそのようなことをするのか、それはこの男が【ラグーラビット】同様にトップクラスの敏捷値を持つプレイヤーだからでありよしんば逃げられたとしても捕まえる自信があったからである。男は息を潜めラグーラビットに近づき‥‥‥

 

 ‘ トスっ’

 

 レイピアを突き刺した。そのレイピアは【ラグーラビット】を地面に縫い付けポリゴン片へと変化させた。

 

 (よっしゃああついに手に入れた【ラグーラビット】食べるのが楽しみだ……)

 

 男はフードの下で満面の笑みを浮かべ今にもスキップしそうになっていたその時 ‘ガサッ’と音がした。男が音の方向を見るとなんとそこには【ラグーラビット】がもう一体、男は驚き《隠蔽》を解除してしまった。その瞬間…… ‘ビュン’と【ラグーラビットが駆け出しもの凄い速さで逃げて行った。はっとした男はすぐに初期スロットから入っていてマスタリーの敏捷値上昇スキル《疾走》を発動させ追いかけた。

 

 「ちょっまってよ」

 

 そう言いながらも両者はとんでもないスピードで森の中を駆け回りついに男が片手細剣単発下段ソードスキル[オブリーク]を【ラグーラビット】に当てポリゴン片へと変化させた。

 

 (ふー大変だった‥‥‥でも【ラグーラビット】の肉が二体分も一体は自分で使うとしてもう一体は‥…うんエギルとこでも持っていきますか)

 

 ゼエゼエと息をしながらもどこか充足感がある男、手に入れたものをどうするか考えながら森をさっていった。

 

 

 ‥‥‥……………………………………………

 

 

 《浮遊城》第50層 アルゲート

 

 そこでは一人の大柄な男がうなだれていたそれもそうである【ラグーラビット】と言う超希少品を目の前で見せびらかされた挙句食べれるかなと思いきやとあるギルドの副団長様にかっさらわれたからである。

 

 「はあ〜そりゃないぜキリト〜」

 

そう言いながら「感想文は送ってやるよ」と言ってきたあの黒ずくめの野郎を思い出していたエギル、とその後ろから

 

 「落ち込んでるねエギルさん」

 

突然後ろから声が上がったものだから‘ビクッ’っと体を跳ねさせたエギル

 

 「なんだsuuか驚かすなよてかどこから入った」

 

 「ついさっきだよ、ところで【ラグーラビット】食べたかったのかい」

 

 「店の中での《隠蔽》は毎度毎度やめて欲しいもんだがな。ああそれにしても食べたかったよ‥‥‥」

 

そう言いながらションボリするエギル。そんなエギルの前に一筋の光明がさした。

 

 「さてエギルさん僕実はこんなもの二つも手に入れたんだよ」

 

suuの示したもののアイテム名は【ラグーラビットの肉】、エギルが欲してたまらないものである。

 

 「んなっ!?それは【ラグーラビットの肉】それに二つもあるなんて一体全体どうしたんだ??」

 

驚き慄くエギル

 

 「実はたまたま二匹見つけて僕は敏捷が高い上《隠蔽》もマスタリーだから」

 

 「それでこれを売ってくれるのか!」

 

 「うんいいよ一匹は一緒に食べて一匹は売ろうじゃないか」

 

 「お前さんは神かsuuいやsuu様よ」

 

そういいながら興奮するエギル、それもそのはずこんなことは二度と起こらないかもしれないからだ。

 

 「てかsuuよお前《料理》マスタリー持ってるのか」

 

 「うん持ってるよ結構前にね」

 

 「マジかよ」

 

あの【閃光】の副団長様でさえ最近マスタリーになったばかりだと言っていたからかエギルは二倍マシで驚いた。

 

 

 

 ‥‥‥…………………………………………………

 

 

 《浮遊城》55層

 

 suuとエギルは一軒の住宅についていた。

 

 「ようこそ」

 

 「おお、ここがsuuの家か」

 

 「いいでしょ?静かな場所でメニューはどうする?」

 

 「任せるぜ」

 

 「OK。じゃあ折角二匹あることだしステーキとシチューにしよっか」

 

 「聞いただけでうまそうだぜ」

 

 …… 数分後スキルによって加速された調理によって素早くできた料理が食卓に並んだ。

 

 『いただきます』

 

 一口ステーキを口に含んだだけで肉汁がジュワッと出て

 

 「うめえええ」

 

 「これはうめえ、S級食材というのも納得だぜ」

 

 それ以降お互い黙りながら一心不乱に食し、数分後には完食しきっていた。

 

 『ご馳走様でした』

 

 「いやあうまかった」

 

 「そうだなじゃあ俺はそろそろ帰るぜ」

 

 「OK気をつけて」

 

 そう言ってエギルは自分の店へと帰っていった。

 

 

 ‥‥‥…………………………………………

 

 後日 《浮遊城》 50層

 

 街の中にある古物商店に黒ずくめの少年と亜麻色の髪をした副団長様が訪れていた。

 

 「やあやあエギル【ラグーラビット】の肉は美味かったよ」

 

 「キリト君嫌みったらしいわよ」

 

 「そうかいそれはよかったな」

 

 「あれ?エギルあんま悔しがらないな?」

 

 そう言うキリトに対しエギルは勝ち誇ったような表情で

 

 「おうとも、なぜなら俺はお前とは違う心優しい友人によって二匹分も食べられたからな」

 

 「なんだって?」

 

 「それはすごいわねちなみに調理もその人が?」

 

 「おうよ、そいつは《料理》スキルマスタリー持ちだったからな」

 

 「へえそれは興味あるわね」

 

 「お前も知っていると思うぞキリアスよ、ほらたまに攻略に参加するいつも黒いローブ羽織ってるフェンサーだよ」

 

 「ああ、あいつかでもたまに見るな」

 

 「誰がキリアスよ」

 

 キリトはぼんやりと思い出したような表情でアスナはエギルの言葉に対して憤慨する様に答えた

 

 「まあいずれにしても興味あるな今度紹介してくれよ」

 

 「私も興味あるわ」

 

 「おう、まあ機会があったらな」

 (suuよご愁傷様)

 

 とそのような会話をしていたのであった。その瞬間とあるところでは黒いローブの青年がくしゃみをしていた。

 

 「ハックション!」

 (なんか誰か噂でもしてるのかな)

 

そんな一場面があったそうな。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。