同じ世界に移動した。
異世界おじさんを二次創作してみたらめっちゃ難しいという問題に激突した。探しても探しても二次創作が見つからないので補給用に書きました。

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実体験に基づくジレンマ

異世界――それは甘美な文字。

誰しもがファンタジーに憧れ、その世界に思いを馳せる。

しかし、その世界が自分の知る価値観と違った時、憧れは◯◯に変化するだろう。

 

ぱたん。

 

新しい紙の匂いがするそれを閉じた。

この世界、いや、自分の暮らす世界と融合したこの国で暮らすこと一年。

今まで生きてきたこの場所はなにも変わらないのに、唯一自分だけが知る違和感を得てから何度も悩んだ。

何故、彼らがここに居るのだろう、と。

 

コンビニで偶然見かけて、いやいや、たまたまだろうと首を振った視界の端に今まで見たこともない程柄の悪い外見の人が居た。

あんな人が居たら近所で噂になってしまう。

それくらい、ビジュアルが変というか、避けていくだろうもの。

 

不良が急に増えたの?

外見だけ急激に変わったかのような人たちがちらほら。

二度見して、三度見して。

変わらぬその光景。

じゃあ、さっき居たのは『たかふみ』だったか。

何度も自問自答して、無駄に何度もコンビニへ行く。

 

近くにある病院に向かうのをコソコソついて行った。

良く見てみるとたかふみと見られるその子は嫌に殺気立っていた。

設定では確か一家離散しているとはあったが、まるで作品とは似ても似つかぬ雰囲気に尾行を中止すべきかと思ったが、ついに病室を付き当てた。

 

自分なりにあの人が居るかもしれないと病院で探したのに何故か全く見つからなかったのに。

これが噂の強制力というものか。

 

「風の精霊よ」

 

(あああー!)

 

声に出さないように叫んだ。

心の叫び。

実在していた。

扉越しだけど聞こえていた。

 

(おじさん!居た!)

 

異世界おじさん、居たよ。

 

そうして、思った事を言おう。

 

私も魔法を使いたい。

 

 

 

***

 

 

 

深呼吸して落ち着いた。

お近づきになりたいなぁ、と詮無いことを思う。

 

魔法を使いたい、嘘偽りのない気持ち。

もう一つは、おじさんピュアだから友人としてぜひ話したい。

って気持ち。

あんなピュアなおじさん世の中ではかなりのレア。

そう思ったら精霊というのは強力なセキュリティではなかろうか。

 

どうやって会おうかなと思っているとおじさんが公園に居る事も思い出してダッシュした。

おじさんが公園デビューする前に日課にしよう。

あと、おじさん用に美味しい今のお菓子も買おう。

わくわくしてその時を待つ。

 

「き、きた、来ちゃった」

 

どもりながら石像の如く据わっているとおじさんが少し向こうに座る。

私と言えば、携帯機を手になにかをしているフリをした。

なにもしてなかったら変だから。

 

「…………」

 

おじさんはなにも言わぬまま。

かくいう私も。

 

沈黙の公園。

 

「……」

 

兎に角、なにか行動に移すべきかとソワソワ。

 

(おじさん、本物だよね)

 

横目でチラッと見た。

 

「ははは」

 

一人でぶつぶつなにか言っている。

ここって現代だから逮捕されないかヒヤヒヤする。

精霊と話しているのだろうか。

 

おじさん……話題が全く見つからない。

おじさん例のゲーム会社の激烈なファンを通り越した人間だから話は合わないのは最初からわかりきっていた。

でも、それでも取っ掛かりになるかなって少し勉強してきた。

 

話しかけられぬまま、一ヶ月が経過した。

 

「あ、おじさんのアカウント出来てる」

 

なんの進展もなく、遂に異世界おじさんが始まった。

 

「はぁ、私、まんべんなくゲームする方だけど偏ってるし、ライトゲーマーだからなぁ……」

 

いっそこの中途半端な異世界?の移動、ガッツリ変えて欲しい。

こうなったら、とおじさんが来た時に挨拶してみた。

 

「こ、んにちわ」

 

ぎこちなくも済ませると相手も軽く返してくれた。

 

「若いのに毎日来るなんて健康に気を使ってるんだね」

 

「え、あ、まぁ、はい」

 

公園なんて小学校まででやめてたんだけど。

 

それだけのごく短い会話だったけど、凄く嬉しかった。

ちなみにおじさんの動画を見て魔法だと感動もした。

いつか眼の前で見たいなー。

 


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