【俺にとっては朗報】家に戻ったと思ったら超絶美女と同衾してた件について【おまいらにとっては悲報】 作:クラウディ
特訓回(という名のゼ◯シィ回と惚気回)
1:仙衆夜叉の陽天
はい、よーいスタート(棒読み)
このスレは俺こと「仙衆夜叉の陽天(またはイッチ)」が出会った異世界からの来訪者に関しての相談をするスレである
荒らしは全スルー(もしくは俺が報告する)
初見さんは歓迎しよう!盛大にな!
ノリにノルのはおk(でも度が過ぎないように)
まとめるのはツンデレニキ(出張中)とスレ民に任せた
↓事の発端スレ
【俺にとっては朗報】家に戻ったと思ったら超絶美女と同衾してた件について【おまいらにとっては悲報】
最近驚きの連続で頭パーになりそうだから特訓して、肉体を苛め抜くゾー
2:名無しのネット民
待ってたゾ
3:名無しのネット民
今回は惚気から始まらねぇんだな
4:名無しのネット民
驚きの連続言うてもイッチ大分図太かったやろ
5:名無しのネット民
美女と同衾してることさらすくらいだからな
6:名無しのネット民
オパーイの大きい美女に抱き着かれても翌日にはスレ立てるくらいやろ
7:名無しのネット民
それなりのオパーイ顔面に押し付けられても自慢してきたやろ
8:名無しのネット民
なんか腹立ってきたな
9:名無しのネット民
あんなぐいぐい来る女神(比喩にあらず)と同居してんだろ?
今回はどんなことあったんだ?
10:仙衆夜叉の陽天
…………いや、今は関係ないだろ
それよりどんな特訓するか決めようぜ
11:名無しのネット民
……おい
12:名無しのネット民
ちょっと待てその反応
13:名無しのネット民
ま、まさか……!?
14:名無しのネット民
嘘、だろ……!?
15:仙衆夜叉の陽天
…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………さて、木刀振るか
16:名無しのネット民
ちょ
17:名無しのネット民
おい待てやゴラァ!!!!
18:名無しのネット民
ヤッたんだな!?
19:名無しのネット民
ヤッたんじゃねぇんだろなぁ!?
20:名無しのネット民
WRYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY!!!!
21:名無しのネット民
許さねぇ………!!
22:名無しのネット民
呪ってやるぅ!!!!
23:名無しのネット民
裏山すぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!
24:名無しのネット民
タピオカパァアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!
25:名無しのネット民
ちくわ大明ジィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイインン!!!
26:名無しのネット民
誰だ今のぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!
27:名無しのネット民
ファミチキプリィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイズ!!!!!!
28:名無しのネット民
こいつ直接口頭で!!!!????
29:ツンデレニキ
帰って来て早々なんだこれは……
30:変態評論家
ふむ……大体わかった
31:名無しのネット民
!!??
32:名無しのネット民
!!??
33:名無しのネット民
!!??
34:名無しのネット民
!!??
35:名無しのネット民
!!??
36:名無しのネット民
!!??
37:名無しのネット民
!!??
38:名無しのネット民
!!??
39:名無しのネット民
!!??
40:名無しのネット民
!!??
41:名無しのネット民
!!??
42:名無しのネット民
か、帰ってきたぞ!!
43:名無しのネット民
我らがツンデレニキと評論家ニキ!!
44:名無しのネット民
聞いてくれよぉ!
イッチがさぁ!!
45:名無しのネット民
美女とぉ!美少女とぉ!あんなことやこんなことをさぁ!!
46:名無しのネット民
ヤリやがったんだよイッチがぁ!
47:ツンデレニキ
……なるほど把握した
要はあれだろ
イッチが一線超えたから嫉妬してんだろお前ら
48:名無しのネット民
そうだけどさぁ!!
49:名無しのネット民
許されるわけねぇよなぁ!?
50:名無しのネット民
イッチ許せる奴いるゥ!?
いねぇよなぁ!!
51:名無しのネット民
然り!!!然り!!!然りィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!
52:名無しのネット民
ツンデレニキだって許せねぇよなぁ!!??
53:ツンデレニキ
いや、俺はそうでもないぞ
54:名無しのネット民
あるぇ!!??
55:名無しのネット民
なぜだぁ!!??
56:名無しのネット民
そんなこと言ってたってぇ!!
ツンデレニキだってうらやましいんだるぉ!!??
57:変態評論家
そうでもないと思うんだがねぇ……
そもそもツンデレ君は既婚者……それも娘さんのいるパパさんだ
58:名無しのネット民
ファッ!?
59:名無しのネット民
既婚者ぁ!?
60:名無しのネット民
何でここにいるんだよ!?
61:ツンデレニキ
そりゃ、なんか面白いことがねぇかと思ってたからに決まってるだろ
62:名無しのネット民
娘さんと遊んでもろて……
63:ツンデレニキ
絶賛反抗期中だ
64:名無しのネット民
悲しいなぁ……
65:変態評論家
さて、皆も落ち着いてきたころだと思うんだが
66:名無しのネット民
!?
67:名無しのネット民
い、いつの間にか落ち着いていた……!?
68:変態評論家
落ち着いてくれたようで何よりだ
それで、イッチ君はどこへ行こうとしているのかね?
69:仙衆夜叉の陽天
ギクッ……
70:名無しのネット民
あ
71:名無しのネット民
逃げるな卑怯者―!
72:名無しのネット民
キリキリ吐けや!
73:名無しのネット民
ナニしたんだろぉ?
男として逃げようとするのはダサくねぇかぁ?
ンン?
74:仙衆夜叉の陽天
………………わぁったよ、正直に言う
この間のピクニックで鍾離にキスされた
75:名無しのネット民
……
76:名無しのネット民
……
77:名無しのネット民
……
78:名無しのネット民
……
79:名無しのネット民
……
80:名無しのネット民
……
81:名無しのネット民
……
82:変態評論家
ほぉ……
83:ツンデレニキ
あー……こういう時にはおめでとうっていうんだっけな
84:名無しのネット民
……
85:名無しのネット民
……
86:名無しのネット民
……
87:名無しのネット民
……
88:名無しのネット民
……
89:仙衆夜叉の陽天
ツンデレニキ、素直に受け取っとく
そしてお前らいつまでフリーズしてんだ
90:名無しのネット民
ハッ!!
91:名無しのネット民
き、記憶が飛んでた……
92:名無しのネット民
えーっと……畑に生えてるキス取りに行ってその場で食べたんだっけ?
93:名無しのネット民
おかしいおかしいww
いや、草生やしてる場合じゃねぇわ
94:名無しのネット民
おい、イッチ
どっちからした
95:仙衆夜叉の陽天
……鍾離から
96:名無しのネット民
……どんな感じのを?
97:仙衆夜叉の陽天
……ピクニックではソフトのだけど、家帰ったら今度は舌を絡めるディープなやつされた
98:名無しのネット民
……告白されたか?
99:仙衆夜叉の陽天
………………
100:名無しのネット民
………………
101:仙衆夜叉の陽天
………………
102:名無しのネット民
………………
103:仙衆夜叉の陽天
……されました
104:名無しのネット民
よし極刑
105:名無しのネット民
ギロチン用意しろ
106:名無しのネット民
惜しいやつをなくしたよ……
107:名無しのネット民
さぁて、今回はここで終わりにするかぁ~
108:仙衆夜叉の陽天
待ってぇ!!
せめて弁明させて!!
109:名無しのネット民
遺言あるなら今残せ
110:仙衆夜叉の陽天
鍾離を嫉妬させたウェンティが悪い
だから俺は悪くねぇ!!!
111:名無しのネット民
おいマジかよこいつ
美女とキスした挙句、その罪を美少女に擦り付けたぞ
112:名無しのネット民
何度罪を重ねればいいのか……
113:名無しのネット民
とりあえず、ギロチンの後は磔な?
114:名無しのネット民
さて、木を削りだして槍作るか……
115:名無しのネット民
ユダがそもそも裏切るほど信じていないもとからクズのイエスキリストとか日本の恥だな
116:名無しのネット民
評論家ニキレベルの画力あるなら最後の晩餐描いてみてぇなぁ……
117:変態評論家
流石に今描こうとは思わないね
まだイッチ君は死にそうにないからね
118:名無しのネット民
ま、それもそうだな
119:名無しのネット民
まぁ、ネタに走るのはさておき(ギロチンポーイ)
120:名無しのネット民
それもそうやな
(どこかで見たような巨大な槍が木材から削りだして作られている写真)
121:名無しのネット民
>>120 いつ作ったんだよ……
122:名無しのネット民
>>120 なんでこうも技術力の高い人が集まるのか……
123:仙衆夜叉の陽天
た、助かった……
124:ツンデレニキ
首の皮1枚つながったなイッチ
まぁ、幸せにしてやれよ
125:名無しのネット民
もし「イッチ×鍾離」として結ばれたら教会造るか
126:名無しのネット民
現役サーカス団員のワイ、出席して大道芸するわ
127:名無しのネット民
漁師のワイ、イッチと鍾離さんが結婚したら3桁キロクラスのマグロ持っていくことを決意
128:名無しのネット民
ピアニストのワイ、真っ黒○イトオブ○イツ弾いてみるわ
129:名無しのネット民
バイオリニストのワイ、>>128とデュエットを提案
130:名無しのネット民
金管楽器大体吹けるワイ、参加希望
131:名無しのネット民
このスレをバンドメンバーと見てるワイ、盛大に盛り上げてやるために今日から特訓期間に入るゾ
132:名無しのネット民
三ツ星シェフのワイ、仲間と協力すれば満漢全席作れる
133:名無しのネット民
暇人のワイ、宝石加工の免許持ちだから結婚指輪の依頼受け付けとるで
134:名無しのネット民
コーディネーターのワイ、女性だから鍾離さんのドレス作りたい
135:名無しのネット民
クレイジーなタクシー乗りのワイ、全員目的地まで送ってやるから言ってくれ
136:名無しのネット民
なんでこんなに逸材が紛れてるんディスかね?
137:仙衆夜叉の陽天
おいおいおいお前ら!?
俺まだ結婚する気はねぇぞ!?
138:名無しのネット民
「まだ」ってことはいずれ結婚するんだろ
139:名無しのネット民
すぐそばにクッソ美人の前世から追っかけてくれるほど愛が重い人がいるじゃろ?
140:名無しのネット民
据え膳食わぬは男の恥
141:名無しのネット民
こちらも(下半身の刀を)抜かねば不作法というものだイッチ
142:名無しのネット民
腹くくって答えてやれ
143:仙衆夜叉の陽天
……1年以内には決めるよ
144:名無しのネット民
んー……少し長いがよう言うた
145:名無しのネット民
それでこそ男や
146:名無しのネット民
盛大に幸せになれよクソァ
147:名無しのネット民
絶対にするって言わないあたりまだヘタレ
148:名無しのネット民
さぁて、ひっさしぶりに働くか
149:名無しのネット民
やる気出てきたぜぇ!
150:名無しのネット民
やっぱね、美女がうれしそうな顔を思い浮かべるだけで男ってのは動けるもんよ
151:ツンデレニキ
それが自分ではない誰かだとしてもな
まぁ、自分が嫁さん受け入れてもらえた時の嬉しさはその比じゃねぇけどな
152:名無しのネット民
お、経験者は語るってか?
153:名無しのネット民
結婚云々で困ったらツンデレニキに聞けよイッチ
154:名無しのネット民
んじゃ、俺は落ちるな~
155:名無しのネット民
乙~
156:仙衆夜叉の陽天
……今回のスレの目的、特訓なんだけどなぁ……
157:名無しのネット民
サイタマ式トレーニングやっとけば?
158:仙衆夜叉の陽天
……やっとくわ
その前にウェンティと鬼ごっこしてくるわ
んじゃ、行っとく
159:名無しのネット民
おう行ってら~
160:名無しのネット民
なんだかんだ言って、イッチはやる男だからな
161:名無しのネット民
イッチと鍾離さんとの間に生まれる子ってなんだろうなぁ……
162:名無しのネット民
ウェンティちゃんも入れた両手に花型ハーレムも捨てがたい
163:名無しのネット民
純愛が一番ダルルォ!?
164:名無しのネット民
男のロマン、ハーレムだ!
165:寒中水泳
ただいま
俺はイッチならどっちも選びそうだぞ
あとこれお土産
(河童の衣装を着た目元に規制線の入った男が触手の塊のようなナニカと水中で戦っている写真)
(セクシー網タイツを穿き、バニー服を着た男がヨツンヴァインしている写真)
(ご丁寧に枯れ木と雪を集めた場所で「ウゾダドンドコドーン!!」と言っている動画)
(崖の上でペンギンの子供を手に持ち、ライ○ンキングのワンシーンを再現している写真)
(白い光を放ち、空に浮かぶナニカを撃ちぬくネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲の横で、白い着物を纏って腰に木刀を提げた男が飴を舐めてる写真)
166:名無しのネット民
ちょww
167:名無しのネット民
帰って来て早々ヤベェもん投下すんなよ寒中水泳ニキww
168:名無しのネット民
テラワロスww
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「むすぅ……」
「あ、あのなウェンティ……あれは不可抗力だって……」
「……むすぅ……」
「ウェンティも大切だけど、鍾離も大切なんだよ……。それにあれめっちゃ不意打ちだったからさ……」
「……じゃあ、僕にも深めのキスをしてくれる……?」
「イエ……ソレハ……ソノ……」
「無理なんだね……フーン……」
「ちょ! 風強くすんのやめてくれ!」
「特訓のためには強い方がいいでしょ? だからさ! このくらい乗り越えてよ!」
「強すぎてもはや台風なんだけどうおぁあっ!?」
燦々と輝く太陽の下、青年とウェンティは外出していた。
目的としては、青年の肉体改造。
規格外の重りなどで強烈な負荷をかけ運動をし、肉体をさらに強靭にすることだった。
武術で名を馳せた求道者の子孫である青年の祖父(青年曰く「脳筋クソジジイ」)から幼少の頃より叩き込まれた武術の数々、それらを使いこなすためにはそれこそ並みの鍛え方では足りないのだ。
いつもなら、丘の上にある実家から麓の村に降り、そこである程度の食料や物資を揃え、そのあとは足を止めることなく全力疾走するというなかなかにイカれたトレーニングをしていたが、それでもある程度すれば慣れてくる。
そんな時に、環境を激変させるような存在――鍾離とウェンティが来たことで、少しだけ内容を変え始めたのだ。
その一つが今やっていることである。
捕まるところのない平原で、ウェンティと鬼ごっこをするということ。
もちろん、ただの鬼ごっこではなく、ウェンティはその風の神としての力を行使し、盛大に突風を滅茶苦茶に吹かせていた。
それも、人なんて軽く吹き飛ぶような勢いだ。
ウェンティがその手に元素で固めた竪琴を引く度、風速3桁メートルは出てるのではないだろうか、あまりの勢いに大地はめくれ上がり、風が運んだ土や石が礫となって青年に襲いかかる。
いつもならもう少し弱めなのだが、今日のウェンティはご機嫌斜めなのを隠そうともせず、全力で力を行使していた。
「だぁっ! 流石にやりすぎだぞウェンティ!」
「ふんだ! 気の利かない陽天にはこのくらいがちょうど良いんだよ! 僕の気持ちを知ろうともしない! 聞こうともしてくれない! それなのに爺さんのことばかり考えてる! 僕は君を愛してるのに!」
「こんな風起こしながら告白されてもなぁ!! がっ!? つぅ……! 石ころ程度がこんな痛てぇのかよぉ……」
風にあおられるどころか空を飛び始める程の風に吹き飛ばされ、身動きのとれないところに飛翔した石が体に直撃する。
その威力はトタン板程度なら容易く貫通しかねないものだった。
それを筋肉を引き絞ることで耐えるという離れ業で難を逃れた青年は、風に巻き込まれ、上下感覚が狂いながらもウェンティから目を離したりはしない。
それが余計にウェンティの癪にさわった。
「ッ! ほら! こうでもしないと見てくれない! 爺さんにはいつだって今とは違う視線を向けるのに!!」
殴り付けるような風を竪琴を荒々しく弾く度に吹き荒れさせるウェンティ。
正直に言えば、このときのウェンティは正気ではなかった。
『自分は何歩もリードしている』
『彼を縛り付ける爺さんより、自由な僕のところの方がずっと良い』
『彼は僕を見失わずにいてくれる』
そう思っていたからこそ、以前まではあっけらかんとした吟遊詩人のウェンティとしていられたのだ。
だが今のウェンティは、そんなことなど考えていない。
ただひたすらに嫉妬心をむき出しにした子供のようであった。なまじっか力がある分、余計にタチの悪い酔っぱらいとも言える。
「僕は……! 僕は……! 君だけを見つめているのに……君に受け止めてもらいたいだけなのに!」
「ッ!」
「僕を見てくれた! 友人として見てくれた! それだけで好きになったんだ! 好きになったら止まれなくなったんだ! 僕は恋に落ちたんだよ! おかしくなりそうなほど胸が苦しいんだよ!」
「ウェン、ティ……!」
「君が好きだ! 誰にも渡したくない! 僕という嵐の中にずっといてくれ! 退屈はさせないからぁ! ヒック……僕を、満たしてくれよぉ……!」
懇願するように、すがるように、泣き叫ぶように言葉を紡ぐウェンティ。
その姿はあまりにも痛々しかった。
「クッソォ……!」
それを見た青年の心にわいたのは、子供の相手をしている時のように面倒なという感情……ではなく、ましてや彼女を傷つける鋭い感情なんてものでもない。
それは怒りだ。
自分という腑抜けに対する怒りだ。
彼女の好意から目をそらしていた自信への憤怒だ。
だからこそ、
「試したことねぇけど、即興だ!」
彼女の想いに応えたいと思った。
(集中しろ! これは瞬間的に空気を蹴ることで『空を歩く』バカみてぇな技だ! これやれとか頭イカれてンのかあのジジイ! ……だけど、今だけは感謝だ!)
「うおらぁっ!!!!」
一世一代の奇跡を起こすため、青年は――
――空を跳ねた。
「え……」
「ちょぉっ!? 足いたぁッ!?」
「空中を蹴って移動する」というあまりに意味不明な現象にウェンティは呆け、青年は一発で足がつるという反動に焦る。
しかし、ウェンティの感情のままに荒れ狂っていた風は、ウェンティが呆けたことで勢いが弱まる。
遮るものがなくなったため、勢いそのままに青年はウェンティへと突っ込んでいく。
「ちょちょちょ!? わひゃっ!?」
「ぐおっ!?」
しかし、なんとかそのままウェンティを抱き締め、彼女を怪我させないように慣れ親しんだ技術「受け身」をとって衝撃を逃す青年。
そのまま転がっていき、ある程度して二人は止まった。
「ハァッハァッハァッハァッ……」
「いっつぅ……だ、大丈夫かウェンティ……?」
「う、うん……ってそうじゃなくて、っていたっ!」
「落ち着けっての。それとあんまり暴れんな。俺な足つってるんだから」
青年の胸に抱かれていることに安心感を覚えかけるも、まだ自身が怒りを抱いていたことは解決してないと叫ぼうとしたウェンティの額を弾いて黙らせる青年。
「あのなぁ……鍾離とはまた違う感じで嫉妬してんのかぁ?」
「……いいじゃん。嫉妬くらいしてもさ。それが人間でしょ、バカ陽天……」
「おう、分かってんなら話が早い。嫉妬はして良いけどさ、溜め込みすぎなんだよウェンティ。お前はさ」
少しは落ち着いたウェンティへと話しかける青年。
ウェンティもやりすぎたと思ってるのか暴れだしたりはしなくなった。
これでようやく話ができる。
「……俺はさ、前世の俺がどんな感じの立場で、どう思ってて、どんな感情をもってたのか分からねぇんだわ。ウェンティも鍾離も、俺のことが大好きって言ってくれてるけど、俺にとっては初対面だからなんのこっちゃ状態なんだわ」
「…………」
「でも、心のどこかでは二人のことを好ましく見てるし、懐かしいとも思ってる。でも思い出せないからぐちゃぐちゃになる。だから、少し二人から離れてたんだ」
「……そうだね。僕が好きなのは陽天であり君でもある。でも、陽天はいなくなっちゃって、ここに生まれ変わっていた。僕は嬉しかったんだよ? 死んだと思ってた君がこの世界でとは言え、生きていてくれたの。でも、そんな君は僕たちのことを全く覚えてない……」
「薄情者だよな……女になるほど惚れ込ませておいて、勝手に死んだ挙げ句、生まれ変わったら記憶全部トんでるとかさ」
二人は互いの心の内を吐き出すように言葉を紡いでいく。
それは一種の懺悔であった。
「俺、正直嬉しいんだぜ? ウェンティと鍾離みたいな美女美少女が俺を好きだと言ってくれるの。でも、いきなりすぎてまだ整理がついてないんだ」
「……君にとっては数日でも、僕たちにとっては数十、数百数千年前からの恋なんだ。重みが違うんだよ。……でも、だからかな? 最初はすごく不安だったんだ。全部忘れてしまって、本当に別人になってるのかもって……」
「…………」
「だけど、君は僕たちを覚えていなくても、どこかで懐かしさを感じてる。だから、今度こそ好きになってもらいたかったんだ。多少強引でもね」
青年の胸に顔を埋めながら、醜いと思う自身の本性をさらしていくウェンティ。
「でも、少し焦りすぎたのかな。いつの間にか爺さんに唇は奪われて、僕は分かってくれない君に鬱憤をぶつけた。傷つけたんだよ」
「…………」
「だから、僕は諦めるよ。こんなことして、僕は君に顔向けできない。僕のことなんて、忘れてくれていいから。だから――」
「アホかウェンティ」
「ふぇっ?」
「ほら、泣いてんじゃねぇか。我慢しすぎだっての。子供みてぇな見た目なら、それ相応にわがまま言って良いっての。俺はもう二十歳過ぎてるし」
涙をはらはらと流すウェンティの目元を幸い無事であったハンカチで拭い、背中を優しくさする青年。
その行動に訳が分からない唖然とした表情になるウェンティ。
次の言葉が、彼女の迷いを吹き飛ばした。
「前世の俺どころか、今の俺も好きになってくれたんだろ? それも何千年と恋い焦がれるレベルで。なら我慢するな。最初は俺だって困惑したけど、俺の心は納得してる。迷惑かけるの上等。受け止めるのが俺だからな」
「……ア、アハハッ……フフッ、クッフフ、アーハッハッハ! なに言ってるの陽天! 悩んでた僕がバカみたいじゃん!」
「ふぅ、やっと笑ってくれたな。やっぱ鍾離もウェンティも笑顔なのが良いわ」
「む、僕といるのに別の女の名前出さないでよね」
「わりぃわりぃ。今度埋め合わせするからさ」
「ふーん……? 言ったね? 約束だよ?」
「おう。任せとけって」
「なら、期待して待ってるよ。陽天?」
もうウェンティの顔は曇ってはいなかった。
青年という風が雲を吹き飛ばしたからだ。
「ほら、空見てみろよ。めっちゃきれいだぜ。飛行機雲もかかってるし、あれは近くの空港に降りそうだなぁ……」
「へー。あれが飛行機か。大きいねぇ」
「いずれは海外とかにもいけたら良いんだけどな」
「ハネムーンとしてかい?」
「…………それはまだちゃんとした思い出を作ってからで……」
「フフッ、追加注文しておくよ♪ 楽しみにしてるからね?」
空は、彼らを祝福するようにどこまでも青く広がっていた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「さてと、それじゃお仕置きの時間だよ?」
「……ウェンティさんや、なんで俺の腹に跨がるんですかね?」
「こうすれば、元気になるでしょ? 僕のお尻の柔らかさとか分かるみたいだし」
「いや、別の意味で元気になりそうなんディスが……あ、ちょ、やめ」
「いやん♪ 陽天のエッチ♪」
「やめてくれますかウェンティさん!? こんなところ鍾離に見られたら――」
「私に見られたら、何が起きるんだ陽天?」
「……スーッ、違うんすよ鍾離、いや、鍾離さん。これは特訓の結果こうなっただけでして……」
「ほう? 特訓というのは、そこの雌を跨がらせている状態のことなのか? さぞかし良い特訓になりそうだな。禁欲にはもってこいだ」
「禁欲ってひどいこと言うね爺さん。むしろ発散させようとしてるんだよ?」
「ガソリンにグレネードぶちこむ発言はやめてくれますかウェンティさん!? あ、違うんすよ鍾離、これは不可抗力というものでして、その、空に岩元素の塊造るのやめてもらえまs――」
「天動万象!!!」
※後書き※
令呪をもって命ずる
爆ぜろイッチ
※登場人物紹介※
・イッチ
今回もスパダリに慣れたやつ
肝心なときにしか役に立たないけど、まだ橘さんみたいな格上キラーは備えてない
祖父から叩き込まれた武術の数々+無意識的な陽天としての戦闘経験+いずれ手に入る神の目(色が混ざってる)を手に入れて「エェックストリィイイイイイイイイイイム!!」になるかもしれない
まだ二人には勝てない
・TS鍾離先生
今回のオチ担当
みんな大好き天丼を生身のイッチと飲兵衛にぶっぱなした
でも、晩ご飯抜きにはしなくて、その代わりディープなやつをした後に、イッチに抱きついて一晩過ごした
・TSウェンティ
飄々としてる子が、実はクッソ愛が重いっていいよね
天丼食らって固められてる間にイッチとられて、ディープなやつを見せつけられたが、自分もさらにディープなやつをした
寝るときの定位置はイッチの上
・ツンデレニキ&変態評論家ニキ
帰ってきたまとめ役
イッチの結婚には肯定的(というかはよくっつけと思ってる)
実は、ツンデレニキと評論家ニキは既に顔合わせが済んでる
ツンデレニキは寝るときに嫁さんと共に寝るが、評論家ニキはペットと寝る()
・寒中水泳ニキ
スレ民の無理難題を全て達成(+α)してきたヤベーやつ
なんかやばそうなやつと戦ってたが、本人はいたって普通の人間()
最近の目標は宇宙遊泳()すること
寝るときはスクワットしながら寝る
・スレ民
多彩な人間が集まってる
イッチが結婚してもたぶんみんな祝ってくれると思う
それはそれとして中指はスタンドアップさせる
前回と同じような内容になってしまったかも( ;´・ω・`)
もうちょっとネタがあればなぁ……
そんなこんなで今回はここまでです
感想や高評価、ここ好き等々、たくさんしてもらえると作者のモチベが爆上がりしますので、ドシドシ送ってきてください!
それでは皆様、また次回~
(・ω・)ノシ