序幕
春は別れの季節でもあり、出会いの季節でもあるとよく言う。
そんな陽気で暮らしやすい春空の中、俺は一人山沿いの道を歩いていた。
「……ん? あそこに祠なんてあったか?」
ふと、山の中に続く道を見つけて、その先を見てみる。
街道から少し先にある一番奥の場所には、小さな祠と鳥居がひっそりと建っていた。
「……賽銭もあるし、折角なら入れていくか」
ポケットから偶々入っていた五円玉を取りし、祠の賽銭箱に入れるために祠へと歩み出した。
「うおっ!」
突風が吹き、俺は咄嗟に目を瞑ってしまい、目を瞑りながら鳥居をくぐった。
鳥居をくぐった瞬間、少し違和感を感じたので目をゆっくりと開けた。
目を開けた俺の視界に入って来たのは、見惚れる程美しい大自然だった。
「何処だここ…!?」
先程までの森の中とは明らか違う光景だったので、俺は目を見開いて驚いたが、すぐに冷静になって後ろを振り向いた。
本来なら歩道が見えるはずだが、見えたのは少しばかり古びた大きな神社だった。
何が何だかさっぱりの俺は、頭を抱えて状況を整理しようとしたその時だった。
「えっ…?」
俺の足元に穴が現れ、俺はなすすべもなくそのまま穴に落ちて行った。
穴に落ちると、そこには目のような模様が大量にある空間が広がっていた。
「っ!いったぁ~…!」
上手いこと着地をすることが出来なかった俺は、腰を地面のような場所にぶつけてしまい、声を上げた。
「ようこそ、私のスキマに…」
後ろから声が聞こえたので、俺は声がした方を顔を向けた。
俺の目線の先には、何処かのキャラと同じような服を着ている金髪の少女が、大きな扇子を仰ぎながらソファに寝転がってこちらを見ていた。
「……誰だ?」
俺は軽く少女を睨んでは問いただした。
「そう警戒しないで頂戴…私は幻想郷の管理者である八雲 紫…貴方をここに呼んだ張本人よ……呼んだ理由は簡単、貴方に異変を起こしてほしいのよ」
「異変…?」
紫から言われたことを俺は復唱した。
「そうよ、貴方の実力を見込んで頼んでいるのよ…勿論、拒否権はないわよ」
紫の眼差しや声のトーンから、本気というのが伝わってくる。
「…じゃあ、1つ聞かせてくれ…なんで管理者が、管理を滅茶苦茶にする出来事を起こそうとしてるんだ?」
俺の質問に紫は溜息を吐いては、
「……貴方に答えるつもりはないわ」
一瞬背筋が凍るような声で質問に答えた。
「…ここ以上話す時間も勿体ないわね…さっさと異変を始めて頂戴」
めんどくさそうに言いながら紫は指を鳴らした。
紫が指を鳴らすと、俺の手元に、子供の時からある玩具マグナムと短冊状の白紙の束が現れた。
「白紙のスペルカードと…貴方の愛用武器よ…これで頑張りなさい」
淡々と説明した紫は再び指をパチンと鳴らした。
「うおっ!」
また俺の足元に穴が開き、俺はその穴に落ちて行った。
「あっ、言い忘れてたけど、貴方の能力は
紫はさらっと凄そうな能力を言っては、俺をどこかの山の上に飛ばしてスキマと呼ばれる場所に戻れないように、穴を閉じて行った。
「……はぁ、やるしかないな…」
さっさと帰りたい俺は異変と言うのを始めるために、能力の確認や異変の準備などを始めた。