最後にここ全体を見るために、俺は山に向かっていたのだが、途中で見かけた大樹に吸い込まれるように歩み進めた。
大樹の根元には一本の刀と鬼のお面がポツンっと置かれていた。
「…紫が用意したのか?」
そう思いながら、ポツンっと置かれている刀とお面に手を伸ばした。
『オマエカ』
「っ!」
背筋が凍るような不気味な声が聞こえ辺りを見渡してみるが、人の気配はしない。
紫ならこういうことをやりそうだが、どうも引っかかる。
疑問を抱きつつ、お面を後ろ向きに付け、刀を片手に持ちながら山を登り始めた。
●
山を登り続け、山頂まであと少しと言った所で、俺の目の前に白髪で大剣を持った獣人のような少女が立ちふさがった。
「
大剣を俺に向けながら、獣人の少女は睨め付けて来た。
「だったらどうする?」
獣人の少女に、俺は少し煽りながらマグナムを向けた。
「倒して異変を解決させます!山窩 『エクスペリーズカナン』!」
スペルカードという物を発動させた獣人の少女は、のの字の形をした弾幕を俺に目掛けて飛ばして来た。
弾幕に対抗するべく、俺もスペルカードを発動させる。
「風符 『テンペスト』」
掌を弾幕に向け、スペルカードの名を宣言する。
その瞬間暴風が吹き荒れ、風の影響を受けて、のの字の形を維持していた弾幕は互いにぶつかり合い相殺していった。
「嘘っ!?」
目の前の光景に驚いている獣人の少女に、俺は容赦なく攻撃を仕掛ける。
「日符 『天陽拡散弾』」
銃口付近に太陽のような球体になるよう炎を凝縮した後、トリガーを引く。
放たれた炎は炸裂し、無数の火の玉となって獣人の少女に降り注ぐ。
爆発音と共に砂埃が舞い上がり、砂埃が晴れると獣人の少女は前のめりになって倒れていた。
「ま、まだで…す!」
ここの連中は耐久力凄いな…
まだ立ち上がろうとする獣人の少女に、先程の戦った魔法使いの姿を重ねながら、俺は手刀を首に打ち込み獣人の少女を気絶させた。
気絶させた獣人の少女を安全そうな場所に移動させた後、俺は山頂を目指して再び歩き始めた。
●
ようやく山頂につき、俺は座り心地がよさそうな石の上に座った。
辺りはすっかり真っ黒で、空を見上げると美しい満月が地上を照らしていた。
満月を見ながら、紫から支給されたおにぎりと竹でできた容器に入った水を飲み食いしていると、
「あら、もうすぐでクライマックスなのに、悠長に月を眺めている暇があるの?」
全ての元k…紫がスキマから顔だけ出して現れた。
「クライマックスねぇ~…俺を倒そうと人が集まってるのか?」
「その通りよ…博麗の巫女が人を集め、貴方の元に向かっているわ」
扇子で口元を隠しながら、紫は俺の質問に答えた。
「あの子相当怒ってるわよ…何せ、貴方があの子の親友である霧雨魔理沙を倒したからね…簡単には勝てないと覚えときなさい」
紫からの忠告された。
霧雨魔理沙って子が直感的に魔法使いの方だと思いながら、博麗の巫女が激怒している理由に納得した。
俺だって、親友達を傷つけられたらそりゃあ怒る。実際、似たような理由で大乱闘を起こしたことがある。
「そろそろあの子達がここに来そうだし、私はここら辺でお暇させて貰うわ。間違っても私の名は出さないで頂戴」
紫は俺に自身の名を出さないように釘を刺した後、スキマを閉じて帰っていった。
辺りを見渡してみると、二人の少女と一人の幼女がこちらに向かって来るのが分かった。
三人を撃退すべく、満月を背に銃を構えた。