日照りによって被害を受けていたレミリア・スカーレットと、異常気象によって食材を調達することができず困っていた魂魄妖夢を援軍として呼んだ霊夢は、妖怪の山の山頂に立っている美少年を視界にとらえる。
「アレね…」
レミリアがそう呟き、霊夢は魔理沙から聞いた情報と、今見える者の特徴を照らし合わせる。
一束に纏めた綺麗な青色の髪、幻想郷では見慣れない服装、そして片手に銃と呼ばれる武器を持っている。
永遠亭に運んだ魔理沙から聞いた黒幕の特徴と一致している。彼女こそが今回の異変の元凶だと確信した霊夢は、一枚のお札を出す。
そして、美少年も霊夢たちの姿を見て、銃口を向けた。
「先ずは私が!」
最初に出たのは妖夢だ。
刀を構え、スペルカードを発動した。
「獄界剣 『二百由旬の一閃』」
青い球を周囲に放った後、妖夢は自身の刀で青い球を斬り、無数の赤い球に変えて美少年にぶつけようとする。
「日符 『天陽拡散弾』」
銃口から無数の火の玉を放ち、妖夢の弾幕を相殺しようと試みた。
だが、火の玉が数発当たってようやく球を一つ相殺できる程度に火力が落ちており、それを見た美少年の顔に少し焦りの表情が浮かぶ。
「案外大したことないのかしら…?神槍 『スピア・ザ・グングニル』」
美少年が焦る様子を見て、レミリアは余裕そうな表情を浮かべ、一本の紅い槍を作り出した。
レミリアは余裕そうにしているが、魔理沙が無残にやられたことを知っている霊夢は警戒心を緩めなかった。
それが功を奏し、美少年が次に放つ攻撃が耐えることができた。
「水符 『プリミラ』」
次の瞬間、大量の水が三人に降り注ぐ。
「っ!夢符 『二重結界』」
警戒していた霊夢が結界を張り、間一髪で水を防ぐことができた。
もし霊夢も油断して居たら、流水が弱点である吸血鬼のレミリアが重症を負うことになっていただろう。
「霊夢助かったわ」
「言ったでしょ!アイツは魔理沙を倒したって!」
レミリアは助けてくれた霊夢に礼を言い、霊夢は油断していたレミリアを注意した。
「中々やるな、博麗の巫女」
「当たり前でしょ?博麗の巫女を舐めないで頂戴」
水が全て流れ切った後、美少年は霊夢の強さを称賛したが、霊夢には嫌味にしか聞こえなかった。
「なんで今回の異変を起こしたのよ」
お祓い棒を持ちながら、霊夢は異変を起こした理由を美少年に問いただす。
霊夢からの質問に、美少年は少し考えた後答える。
「そうだな…自分の能力を試したかった…って所かな?」
「嘘ね…」
明らか適当に考えただろう理由に、霊夢は呆れかえる。
「なら、本当のことを言うまで痛めつければいいじゃない!」
レミリアは美少年の出方を警戒しながら、グングニルを投げ飛ばした。
「おっとあぶねぇ」
美少年は軽々とグングニルを避け、銃口をレミリアに向ける。
「させません!幽鬼剣 『妖童餓鬼の断食』」
美少年がトリガーを引く前に、妖夢は横一文字に空間を斬り、その剣閃から放射状に大量の楔弾を放った。
「風符 『ブレードウィンド』」
飛んでくる楔弾に、美少年は無数の風の斬撃を飛ばし、相殺し続ける。
「隙ありよ…天罰 『スターオブダビデ』」
「不味っ!」
美少年の隙を突き、レミリアは普通の弾とリング状の弾を美少年に浴びせた。
美少年が居た山頂は砂煙が立ち込め、視界が悪くなっていた。
「やったかしら?」
反撃がないのを見て、レミリアは自分達の勝ちを確信する。
だが、霊夢は直感的にまだ終わってないことと、そして大変なことが起きると感じる。
「レミリア、妖夢!そこから離れて!」
「「?」」
霊夢の警告に最初二人は疑問を抱いたが、すぐに理解した。
姿こそ見えないが、砂煙の中からとてつもないオーラを感じる。
オーラを感じた二人はすぐにその場から離れた。
砂煙が徐々に晴れていく中、満月は突如現れた黒い雲によって隠され、妖怪の山全体に広がっていく。
そして黒い雲から出た雷が、砂煙を吹き飛ばしながら美少年が居るはずの場所に落ちる。
「流石は博麗の巫女…勘が優れておるな!」
全身に雷のような稲妻を走らせてながら、男らしい声が霊夢のことを褒める。
男らしい声の主は先程まで中性的な声でしゃべっていた美少年。
美少年は声の他に、髪の毛が青から白銀に染まり、瞳は黄色に変わり、身長も伸びているようだった。
「儂の力、その目に焼き付けるがいい!!」
こうして、妖怪の山での戦いは第二ラウンドへ突入した。