扉を開けたその先は、宇宙空間が広がっていた。
恐る恐る部屋の中に入って見ると、ガラスのような透明な物が床になっているようだ。
部屋の中を見渡しながら、奥へと歩いていると、奥の方で椅子に座って腕を組んでいる白銀髪の男が居た。
「来たか小僧…」
男からとてつもない威圧を感じる。恐らく、あの男こそ、天照が言っていたゼウスで間違いないだろう。
「よくもこの儂、全知全能の神ゼウスから力を搾り取ってくれたな!」
ゼウスが叫ぶと、俺の目の前に雷が落ちた。
天照が言っていた通り、ご立腹の様子だ。
「大変申し訳ございませんでした…」
謝ることしかできない俺は、頭を下げて素直にゼウスに謝った。
これで少しは怒りを納めてくれればありがたいのだが…
「……儂がそれしきで怒りを納めると思っておるのか?」
再び俺の目の前に雷が落ちる。
素直に謝るのは、ゼウスの怒りに油を注ぐ行為だったようだ。
どうすれば…ゼウスを説得できる…?
「ほう、儂を説得するか」
「なっ!?」
思っていたことをゼウスに言われ、俺は動揺を隠せなかった。
「なーに、顔に書いてあったことを読んだだけじゃよ」
自慢げに話すゼウス。
俺が思っていたより、ゼウスは油断できない相手なのかもしれない。
「身体を返してほしかったら、儂と賭けをせい…」
「賭け?」
「その通り!ルールは簡単、儂が完全にこの身体の主導権を握る前に、儂に一発でも攻撃を当てれば貴様の勝ち…小僧が勝ったら身体を大人しく返そう…じゃが、儂が完全にこの身体を支配したら、大人しく身体を譲ってもらうぞ」
ゼウスからの賭けの提案を聞き、俺は生唾を呑んだ。
「どうする?小僧?」
ニヤニヤと笑みを浮かべているゼウスに、俺は胸を張って
「その賭け、受けて立つ!」
賭けに乗ることを宣言した。
●
体感で数十分経過した気がするが、俺まだゼウスに一発も攻撃を当てられていない。
「さっきまでの威勢はどうした?そろそろ儂も飽きて来たぞ…」
我武者羅にゼウスに殴り掛かったが、ゼウスは軽々と避け俺のことを煽って来た。
「このままだと儂に身体の主導権を握られてしまうぞ?」
苦虫を噛み潰したような表情を浮かべてゼウスを睨みつけた。
「さーーて!この身体を手に入れた暁にはキャバクラという場所で遊びまくるとするか!」
ゼウスがそう勝ち誇ろうとした時、
「ぬっ!?…博麗の巫女、中々やりおる」
一瞬ゼウスがフラつき、その隙を突いて俺は一気に距離を詰める。
「なんの!」
ゼウスは俺を食い止めようと雷を放つが、俺は姿勢を低くして雷を避け、そしてゼウスの股間に怒りを込めた右ストレートを繰り出した。
「はぅ!!」
俺の会心の一撃を食らったゼウスは股を両手で押さえながら、ヘナヘナとその場で座り込んだ。
「や、やややるではないか…儂の弱点の一つであるここを狙うとは…」
声を上げるのを我慢しているゼウスは、俺のことを褒めてくれたようだ。
「賭けは俺の勝ちでいいな?」
「う、うむ…」
流石は神様、約束は守ってくれるようだ。
もし、ここでごねったらもう一発股間に入れてやろうと思っていたが、その心配はなさそうだ。
「小僧…これを持って行くが良い」
ゼウスがそういうと、俺の目の前に一枚のスペルカードが現れた。
「それを使えば、儂の力を完全にコントロールできる…博麗の巫女と戦う時、それを使ってみるが良い!」
ゼウスの説明を聞き、俺はスペルカードに触れた。
スペルカードに触れたその時、俺の視界は真っ白になった。
●
「時間切れのようね…」
何処か聞いた事がある声が聞こえ、俺はハッと気が付く。
声がした方を見ると、ボロボロになっている博麗の巫女が息を切らしながらこちらを見ていた。
時間切れ?何のことだ?っと思ったが、恐らく博麗の巫女はゼウスに身体の主導権を握られている状態を時間制限がある強化フォームだと勘違いしているのだろう。
「そんなことより、続きをしようか…俺も異変を起こしながら戦うのは疲れるんだ」
悪役っぽい口調で博麗の巫女を煽る。
勿論、俺が疲れることはないので、これは建前でしかない。
俺の煽りを受け、博麗の巫女はお祓い棒と数枚のお札を俺はマグナムとスペルカードをそれぞれ構える。
「「
最後の第三ラウンドの火蓋が今切られた。