ある夏、友達と共に母校の小学校に向かう事にした。

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リハビリも兼ねての簡単な短編です。

とはいえ話の内容は薄くN番煎じなものですが、それでもよければお目通しいただければ幸いです。


動く二宮金次郎像

 ある男の話だ。

 

 それは男が20代半ば程度になる頃だった。

 あくる日、まだ疫病が続く日の中であるが昔の友達が帰ってくるという話を聞き、久々に連絡を取る事にした。

 暫く日が経った夜、その友達と家で飲んでいる事であった。

 

 時期は夏はまだまだ盛りの夜である。

 近況や恋愛云々の会話が続いた後で怪談話になるのも自然と言える時期であった。

 そういえば昔の学校の怪談って、何処も聞いた事ある話だな。と。

 

 そうして続くのはトイレの花子さんだの誰もいないのに響くピアノだの、たわいもない話が続いた。

 そして夜と酔いが深まってくる中、それなら行ってみようじゃないかという話が出た。

 男たちが飲んでいる家からは、子供の脚ではそこそこ遠いものの大人になってからは数分で着く場所に母校があった。

 とはいえまだ時期は夏休み前。小学生はいないだろうが教職に就く存在はまだいるはずだ。

 しかし酔いが回り切った男たちはそんな事を思いもせずに学校に向けて歩く事にした。

 外に出れば湿気と暑さを含んだ空気を包み込み、顔を歪めたそうだ。

 

 そして馬鹿話を続けながらついた小学校。

 どうやら新調したらしい校門は閉められている様であるが、小学生の背丈を考慮して作られたソレは大人である彼らにとっては関係ないと言わんばかりによじ登って超えたそうだ。

 さて最初はどうしようか、と考えると友達が近場から探そうじゃないかといった。

 

 近場と言えば校舎からは程遠く、校門にほど近い所に立つ二宮金次郎の像である。

 曰く夜になると動き出す。曰くグラウンドを歩いていた。曰く目が赤く光り視線が合った物を仕留めに掛かる。

 曰く曰く曰く、などと子供の頃からふざけた噂が1人歩きするあの二宮金次郎の像である。

 

 それじゃ早速行くかと先導する友達の背を追い、多少の木々に囲まれた所にそれはあった。

 卒業する前に見て居た時よりも酷く苔むして彫りが浅くなっている印象もあるが、確かに二宮金次郎像である。

 とはいえそんな噂なんてものは当然当てにならないだろう。今も手元の本に目を向けながら歩く姿の像が動く様子は微塵もなかった。

 

 ──それじゃ、馬鹿な事でもしたら怒って赤く目を光らせて動くんじゃないか? 

 そんなバカな事を行った友に何故か賛同し、2人して珍妙なポーズと共にタイマーを切ったスマホで写真を撮る事にした。

 中には像に登って叫んだ離、像の脛を蹴るような仕草をしたポーズのまま撮っていたりする事もあった。

 

 

 

「そこで何をやっている!」

 

 突然男たちを光が包んだ。

 それも当然、馬鹿騒ぎをし大声がグラウンドに響いていたのだ。

 それを不審者かと仕事を残し、見に来た教職者が声を上げただけである。

 

 ──あ、オカ先生久々っすー! 

「オカ先生って、なんだお前らか。何のようで来ていたんだ?」

 

 顔を出したのはかつての担任。

 相手も多少の問題児であった男たちの面影と言動で何となく心得が付いた様子であった。

 そうして酔った勢いで馬鹿正直に学校の噂を思い出して来てみた、と言う事にした。

 その様子にかつての担任は酷く呆れたような表情を浮かべ、大きくため息を吐いた。

 

「まったくお前らときたら……成人したのになんで子供じみた事をしているんだ」

 

 おっと、これは長くなりそうだ。

 かつての担任による説教話はかなり長く、授業が終わってもまだ続く事があり不評だったことを思い出した男たちは話題を変える事にした。

 

 ──ところで先生、この二宮金次郎の像、大分ボロボロになっているんすけど修繕とかしないんすか? コケも大分ひどいっすしちゃんと綺麗にしてあげてくださいよー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何を言っているんだ? 金次郎の像は3年前の校舎の建て替えの時に撤去しているわい。今は面倒な世論もある上、子供たちも有難る様子無く気にもしない。それなら邪魔だし退けるかって話になって、そうしたんだぞ?」

 

 

 訝しむような担任の言葉で首を動かせば、先まで背後に居たはずの二宮金次郎の像は無かった。

 鬱陶しく感じていた空気は、いつの間にか冷たさを含んでいた。


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