その鍛え上げられた肉体と、極まった上腕二頭筋から人々は彼女をこう呼ぶ……。
新時代の"腕"姫と……。
これは、歌ではなく『筋肉』で世界を救うと決意した少女の話。
短いんで頭に筋肉詰めて読んでください。
これはRED時空からウタが配信を始めるずっと前、幼少期にあの映像を見てしまった時に派生します(しません)。
まぁ難しいこと考えずに楽しんでくだされば幸いです。
ちなみに筆者はこのまえ遅刻しそうになって歩いて五分くらいのバス停まで走ったら筋肉痛になって死にかけました。
「〜〜♩」
夕暮れ時の海辺、そこでは1人の少女が散歩をしていた。
足取りは軽やかに、砂浜に足跡を刻んでいく。
彼女が歩く度、特徴的な赤と白の髪がぴょこぴょこと跳ね、可愛らしい軌跡を描く。
その口からは楽しげな鼻歌が、波の音と心地いいセッションを奏でていた。
その音は極上の調べ、まるで花畑で小鳥が歌っているかのような、優しい安らぎを聞くものに与えてくれる。
そして彼女の腰にはロープが1本結ばれており、その先を伝ってみると……そこには彼女の背丈の8倍はありそうな大きなタイヤが括り付けられていた。
「ふんふふ〜ん♫ やっぱり砂浜でタイヤ引きはいい負荷になるな〜。 筋肉が嬉しそうに歌ってるわ!」
彼女の名前は"ウタ"。
世界中の人々をその歌……ではなく"腕"、上腕二頭筋で救うと決めた、新時代の
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時は遡ること10年前……彼女がまだとある海賊団で音楽家をしていた頃に巻きもどる。
その頃彼女は世界一の歌姫になることを目指しており、途中立ち寄った"エレジア"という音楽の都で、その歌声が絶賛されそこに残るかまた海賊として旅を続けるかを悩んでいた。
「なぁウタ、お前は世界一の歌姫になるんだろ? だったらわざわざ俺たちに着いてこなくたっていいんだ。ここにいれば世界で一番の教育を受けれらる、お前なら間違いなく夢が叶うんだぞ」
海賊団の船長でもある父親にそう言われ、残ることを勧められる。
きっと彼は、私にここに残って欲しいのだろう。
しかしそれはきっと、別に私が要らないとかではなく、自分達と一緒にいると危険だがらとか、指名手配されてしまうからとか、そんな理由で……。
だから私は、そんな彼らとずっと一緒にいたいと思っていた。
「ううん、私は一緒に行く。だって私はこの船の音楽家だもん」
「……そうか、わかった。それじゃあ明日の朝、出発しよう」
私はこの時、心の底から幸せだった。
自分の歌声が世界一の音楽の都で認められ、大切な家族からも必要とされ、村に帰ればちょっとバカな友達もいる。
こんな幸せが、ずっと続くと……そう思ってた。
「どうしてよ!!!!!!! シャンクスぅぅぅぅぅぅぅ!!!」
深夜、目が覚めると……。
辺りは火の海に包まれ、沖には財宝や食料を抱え込み、楽しそうに宴をする仲間たちが見えた。
どうして、どうして、どうして!!
それだけが頭の中でぐるぐると渦巻き、ぐちゃぐちゃになっていく。
人っ子ひとりいない滅びた国に、私は置き去りにされたのだ。
そんな絶望のどん底にいた私を育ててくれたのは、ゴードンというこの国の元国王だった。
育ててくれたゴードンには申し訳ないが、あの頃の私は本当に厄介な子供だったと思う。
なにをしても無反応で、笑顔ひとつ浮かべない。
食事にもほとんど手をつけず、ただ無為に日々を過ごすだけだった。
それでも、ゴードンの甲斐甲斐しい世話と励ましの言葉のおかげで少しずつ気持ちも上向きになってきて、ゴードンの言う通り歌の稽古をしようと思っていた矢先、
廃墟になった街並みを散歩している時に偶然見つけた映像でんでん虫。
そこには事件のあったあの日、本当に何があったのかが記録されていた。
街を破壊する
なんだ、やっぱり彼らが街を破壊したわけじゃなかったんだ。
そう安心したのも束の間、私の中には1つの疑問が生まれる。
じゃあ、国を滅ぼしたこれは一体なんなんだ、と。
その疑問は、すぐにハッキリとすることになる。
船長の強烈な一撃を喰らった
そしてその少女は……間違いなく、私だった。
「くっ…………」
馬鹿みたいだよね、シャンクス達がエレジアを、滅ぼしたと思って、勝手に恨んで。
「ふふふ……」
きっとゴードンも、シャンクスも、私のために嘘をついて……。
「あはははははははははは!!」
私が! この国を滅ぼした!
歌は世界を救う? バカみたい!
むしろ逆だ。私の歌は、世界を滅ぼす!
「ゴードン! ねぇゴードン! 起きて!」
先程おやすみをしたばかりのゴードンの部屋に戻り、彼を叩き起す。
「この国を滅ぼしの、私だったんだね! 私の歌が! 人を不幸にしたんだね!!」
「なっ!? それは……そのっ!」
「いいんだ、ゴードン。きっとシャンクスと一緒に私を守ってくれたんでしょ?」
「いや、私は……」
「でも、もういいよ。
「そんな!? しかし私は赤髪と約束したのだ! 君を世界一の歌姫にすると!」
「だからいいって、もう私、歌いたくないの」
その日、私は歌うのを辞めた。
自分の歌が、人を不幸にした。そしてなにより、シャンクスやゴードンに嘘をつかせてしまった。それが耐えられなかった。
それからしばらく、ゴードンと一緒に日々を面白おかしく過ごした。
歌うことの無くなった私だけど、それでも彼は私に優しく接してくれて、そんな彼を悲しませたくなくて、必死に喜びの仮面を身にまとった。
我ながら上手く取り繕えていたんじゃないかと思う。
それでも、いくら楽しそうに演じれたところで心に空いた大きな闇が晴れることはなく、どんどんとそれは大きくなっていった。
1年ほど経った頃だっただろうか、自分が生きている意味があるんだろうか、なんてふと思った。
大勢の人を殺して、国1つを滅ぼして、生きる意味も見つけられずなにをのうのうと生きてるんだろうと。
もう私、死んじゃおっかな……等と思いながら夕暮れの浜辺を歩いていると、見たことないでんでん虫が流れ着いているのをみつけた。
これが、私の人生を変える出会いになったのだ。
それは、世界中に自分の姿を発信できるでんでん虫で、逆に世界のどこかの配信を見ることもできた。
それがわかったのは、よくわからずボタンをポチポチ押していたら、急に筋肉ムキムキの男が画面いっぱいに現れたからだった。
『やぁみんな! 今日も一日お疲れ様! 最近、悩んでること、辛い事、ないかい?』
少しびっくりしたが、特にすることもなかったため画面をボーッと眺め続ける。
『なにか大きな失敗をしたりして、もう生きてる価値なんてない……そんなことを思う時もあると思うんだ』
「生きてる価値なんて……ない……」
なんとなく、自分に向けて言われているような気がした。
気分が、少し落ち込む。
『でも大丈夫! そんな時こそ体を動かそう! たとえ世界中が、君自身が君を裏切ったとしても……筋肉だけは! 君を裏切らないからね!』
「筋肉は……裏切らない……」
すごくくだらないことを言っている。頭ではそう分かっていたけれど、なぜか心の奥にその言葉はスーッと染みていった。
『生きる希望を見い出せないそこの君! その心が悲しみに満ち溢れているなら、筋肉の喜びの声で、心を満たしてみないかい?』
「筋肉の喜びの声……」
思えば最近、夢の中では怨嗟の声ばかり聴こえてきた。
お前に殺された、お前さえいなければ、お前の歌さえなければ。
それらからすこしでも逃げられるなら、やってみようかな。
「さぁそれじゃあ一緒に! レッツバルク!」
それが、私と筋肉の出会いだった……。
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あれからずっと、筋トレを続けてきた。
筋トレをしている時は、何も考えずにいられたから、嫌なことも忘れられた。
毎日毎日体を虐め続け、その筋肉と共に成長し、年を重ねて早10年、その体はほぼ完成へと辿り着きつつあった。
身長! 239cm! 体重! 乙女の秘密! 驚きの18頭身!!
そしてかつて私を救ってくれた筋肉男のように自分も誰かを救える人間になりたいと思い、例の映像でんでん虫を通して筋トレの様子を世界に配信し始めたのだ。
すると『必死に頑張ってる君の姿を見たら元気が出た!』『僕もウタみたいな身体になりたい!』と言ってくれる人がどんどん増えていき、瞬く間に有名になることが出来た。、
そうして彼私のファンになってくれた人はみんな、人々を救いたいという強い思いや鍛え上げられた私の上腕二頭筋から、私のことを"筋肉の救世主"、"新時代の腕姫"と呼ぶようになった。
そして私自身も筋トレで爽やかな汗を流し、そしてなにより筋肉がついたことで自身もつき、ゴードンとの関係も良好になり、嫌いだった歌もまた好きになれた。それに愛娘の頑張ってる姿に心打たれたのかシャンクスもわざわざ私に会いに来てくれて、なんとあの日のことを謝ってくれたのだ。
もちろん私はもうその事は一切気にしていないし、そもそも私がやった事だ。シャンクスは何も悪くない。
その後赤髪海賊団のみんなと一緒に筋トレをしひとしきり汗をかいてから笑顔で別れた。
あと
あの子もずっと兵器だと恐れられて地下の奥深くに封印されて寂しかっただけみたいだったからわたしが友達になってあげたら泣いて喜んでくれたよ。
なんだか体が震えてた気がするけど嬉しかったのかな?
いやー筋肉筋肉、やっぱり筋肉は最高だね!
そして今日……ついに初めてのリアルイベントがある。
いつもは私の筋トレ姿を配信し、見ている人が一緒に筋トレをするだけだったが、今日は実際にみんなと一緒に筋トレをするのだ。
「ふふ、大腿筋ちゃんも上腕二頭筋くんも期待で筋繊維がはち切れそうみたい」
ここはライブの舞台裏、既に表では筋肉コールが会場を埋めつくしている。
待っててねみんな、汗と涙と筋肉で、一緒に新時代を作ろう!
「みんな! やっと会えたね!! ウタだよ!!!」
私たちの