沖野さんのセリフとか、地の分とかおかしかったらすみません。
私の誕生日から月日が経って今は5月初旬。相も変わらず私は自主トレーニングとトレーナーの勉強に勤しんでいる。少しだけ変わったことと言えば、トレーナーの勉強をしているおかげで比較的自主トレーニングの効率が上がって来たことぐらい。
特にストライドの幅を増やす為に股関節や膝、足首の柔軟に対する医学的知識からのアプローチを中心にやっているが、お陰で入学してから大分柔らかくなってきていると思う。まぁそれでもまだ始めて時間も経ってないから微々たるものだけどね。
本日は土曜日で学校の授業はお休み。今日は何時もと違って午前中に日課のトレーニングをしている。入念なストレッチから脚に負担の少ないウッドチップコースでフォームを意識した走りを行い、そこでレース中のストライドの変更を目標にトレーニング。
テンポイントさん曰く、私のレース中のストライドの変更は中々出来ないテクニックらしいので、この長所を伸ばすトレーニングを負担の少ないウッドチップコースで行う事で効率良く練習出来る。これをある程度やったら今度は踏み込みの練習。
アニメでもやってたタイヤ引きを数本ダートの練習場で行う。ターフだと芝が傷ついちゃうから仕方ない。ダートだから想像しているよりパワーがいるのもポイント高い。ナイスネイチャは末脚の爆発力が長所だから踏み込みにパワーを使うタイヤ引きはとても効率が良い。
ダートが使えない日はゴム紐を鉄柱に結び付けてそれを引っ張るトレーニングをしてる。効率はタイヤ引きより落ちるけど脚の負担的にはこっちの方が少ないので結構一長一短かもしれない。
それが終わったら最後に1600mを一本走って終わり。どんなに体力的に残っていてもそれでおしまい。クールダウンのストレッチをして、お風呂で汗を流して部屋で関節の柔軟ストレッチをして、トレーニングの記録をノートに纏めてからトレーナーの勉強をするのがここ最近のルーティーンだ。
因みに、トレーニングの結果を纏めているのもトレーナーの勉強の為、実はこうすると自分のデータを参考に勉強出来るのでかなり便利なのだ。最近じゃルドルフ先輩も私に倣って同じことを始めた。ルドルフ先輩はチームに入ってトレーナーさんが管理しているのに豆だなぁと感心してしまった。
そう、ルドルフ先輩がチームに入ったのだ。チームはお馴染みのリギルである。まぁ知ってたとしか言えないけど、そのお陰で此処が一応アニメ世界だと分かったし、スカウトされた日はルドルフ先輩とちっちゃいけどお祝いしました。
そして今日、なんとルドルフ先輩の紹介でチームリギルを見学させていただける事になりました。…………なんでや。
話を持ってきたルドルフ先輩曰く、リギルのトレーナーであるおハナさんに会話の流れで同室の私の話を言った所、ウマ娘でトレーナー志望という珍しさもあって興味を持たれたとの事である。因みに、この話を持ってきた時のルドルフ先輩はアニメのトウカイテイオーの様などや顔でした。可愛かったです(小並感)
午前中はチームのミーティングがあるので見学は午後からとの事。なので普段午後からやっている日課のトレーニングを午前中にしている訳です。
トレーニング最後の1600mを走り終わり、持ってきたタオルで汗を拭う。最初はフォームを意識しすぎてブレていたタイムも、最近は大分安定して縮んできたと思う。テンポイントさん曰く余計な力が抜けてきたからだと言われたが、最初の模擬レース以降私はレースをしていないので良く分からない。模擬レースの翌日、テンポイントさんからは模擬レースにエントリーするくらいならフォームを崩さずストライドを変更する練習をしろと言われたのだ。
私としても、まぁレース中の読み合いや仕掛け処等の勝負勘を養うのは後からでもいいかと思い、最初の模擬レース以降の模擬レースには出ていない。
模擬レースも2年から始まる選抜レースも、両方とも最初の1回は全員参加であるが2回目以降は参加したいウマ娘のみのエントリー制だ。でも大体のウマ娘は体調不良以外だと殆ど参加するんだけどね。
私はさっきも言った通り、テンポイントさんの指示に従ってレースには参加してない。
さて、今の時刻は丁度11時。待ち合わせは午後1時なのでお風呂で汗を流したり今日のトレーニング結果を記録したりお昼ご飯を食べたら丁度いい時間だろう。
タオルを首にさげ、私は練習場から立ち去ろうとした所で、ゾワッとした感覚が体を支配した。発生源は脚、誰かに触られてる様な物凄く不快な感覚である。
ギギギギギ…………と壊れたおもちゃの様にゆっくりと足元を見れば、私の両足をいやらしく触る手。
「いやぁ~トモの筋肉も素晴らしいし、それを支える骨も頑丈。力を余すことなく伝えるバネの様に柔軟な関節。まだ本格化前みたいだがその状態で此処までの状態とは…………すげぇな!」
うん、何となくこのシチュエーションは覚えがある。というか、中央トレセン学園でこんな事する人はあの人しか居ないと思う。ゆっくりと振り返る私に気づいた人物は、足を触っていた事をまるで気にしていないかの様に私に笑顔で話しかけた。
「お前すげぇな!中等部でこんなトモを持ってるウマ娘は中々居ないぞ。」
茶髪の左側頭部を剃りこんで、残りの髪を後ろで結んでいる黄色いシャツに黒いベストを着た男性。どう見てもチームスピカのトレーナー、沖野さんである。場所は違うとはいえまさかアニメ1期の主人公、スぺちゃんことスペシャルウィークと同じ様な出会い方になるとはツイてない。もう少しマシな出会い方をしたかったと溜息が出る。
しかも、私が溜息を吐いた後、現在進行形で今も脚を触っている始末である。事前に知っていた事とは言え本能に任せて沖野さんを蹴らなかった私を誰か褒めて欲しい。
「お前名前は!というかどっかスカウト受けてんのか?良かったらウチのチームに入ってくれねぇか!!」
「…………えぇぇ(困惑)」
一気に捲し立てる沖野さんに、私はどうしていいか分からなかった。
沖野さんの手を払って呆れた目で見ている私に、沖野さんは慌てて自分の左胸につけているトレーナーバッチを私に見せた。
「大丈夫怪しい者じゃねぇ。俺はチームスピカのトレーナーで沖野ってんだ。なぁ嬢ちゃん?名前は?ウチに入らないか?」
いや十分怪しいんですけど…………と言えないのが私の悪い所。実際脚を触る癖以外はウマ娘に対する情熱も、触っただけでその脚の状態を把握できるトレーナーとしての腕も、沖野さんのトレーナーとしての実力をアニメで知っている分余計に強く言えない。
ダイワスカーレットにウオッカ、ゴールドシップにリギルからパクッ…………引き抜いたサイレンススズカにトウカイテイオー、メジロマックイーン。そして主人公のスペシャルウィークという史実を知っていたら厨パとしか言いようのないウマ娘達を育てる沖野さんは、本当に凄いのだ。…………脚を触る癖さえなければ。
脚 を 触 る 癖 さ え な け れ ば !
「で!名前は?」
「えっと…………ナイスネイチャ、です。」
「ナイスネイチャか!いい名前じゃないか!で、どうだ?入ってくれないか?」
ものっ凄くぐいぐい来る沖野さんに、沖野さんってこんな性格だったっけ?と内心思ってしまったが、そういえばゴルシを使ってスペシャルウィークを拉致していた事を思い出すとこんな感じだったかと納得してしまった。
「すみません、スカウトは無理なんです。」
「あぁ……もしかしてもうどっかのチームに入っちゃってる感じか?どうだウチに変えないか?今ならチームメンバーも居ないからマンツーマンで俺が指導できるぞ?」
いや沖野さん、もし私がどっかのチームに入ってたとしても引き抜きは流石に駄目でしょうよ?
「いえ、私まだ1年なのでスカウトは受けられないんです。」
「はぁ!?そのトモで1年ってお前!?嘘だろ?」
「いえホントなんですケド」
何故そんなに驚かれるのか私には分からない。確かに、トレーナーの勉強で学んだことを活かして同世代よりは効率良くトレーニング出来ているだろうけど、なんか私が老けてるみたいに言われてるようで物凄く心外である。
残念だけど正直待ち合わせまで時間が無いので、沖野さんには申し訳ないけどここでお別れさせて貰おう。正直もうちょっとお話したい所ではあるんだけどね。
「すみません、待ち合わせがあるので失礼します。」
「あ!ちょ!?」
沖野さんの返事も聞かず寮へと私は走る。ホントごめんなさい沖野さん。今度会ったらちゃんとお話ししますから。主にトレーナー関係について聞きたいです。
美浦寮についた私は急いで身支度を始めた。シャワー浴びて汗を流し、トレーニングの結果をノートに纏める。慌てていてもきちんとストレッチをして、念のため鞄にトレーニングノートとかメモ帳とか、筆記具なんかも突っ込んでおく。もしかしたら必要になるかもしれないからね。
食堂でパパッと軽めの昼食を済ませて予備のジャージに着替えて準備完了。
待ち合わせは美浦寮の玄関前なので何時でも問題無し。
「おハナさんにどんなお話が聴けるか楽しみだなぁ!」
気分は遠足前の小学生。ドキドキわくわくが止まらない。
「早く待ち合わせの時間にならないかなぁ。」
待ち合わせまで後30分。
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