キラキラの一等星   作:ミヤフジ1945

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本日三話目!
ロイヤルビタージュース(モンエナ)の効果で無事睡眠不足です!
皆さんこんな駄文を見ていただきありがとうございます!


【挿絵表示】

あらすじにも張りましたが本作のネイチャをイメージしやすい様に拙いですがナイスネイチャを書きました。
アナログですみません。


第11話

 

 

私とマルゼンスキーさんが再びリギルの部室へと戻った時、まず目に飛び込んできたのはソファーにぐったりと座り込んでいる沖野さん。例えるならば『燃え尽きたぜ……真っ白にな』状態。

それだけならまぁ、良いのだけど(良くはないが)沖野さんの両頬に真っ赤に染まった手形が如何せんシュールさをかもし出している。正直言って凄く残念だった。

 

おハナさんはため息を吐きながら頭に手を当てていた。ルドルフ先輩は少しだけスッキリした表情で私に手招きをしている。

 

 

「お話は終わったんですか?」

 

 

「あぁ、直ぐに終わったさ。取りあえず話の続きをしよう、ネイチャはこっちのソファーに座ってくれ。」

 

 

ルドルフ先輩がポンポンと自分が座っている隣を叩く。私は促されるままルドルフ先輩の隣に座るのだが、何故マルゼンスキーさんは私の隣に座るんですか?

対面のソファーには例の沖野さん(白い燃えカス)が未だぐったりとしており、嫌々といった感じでおハナさんがその隣に座った。

 

 

「ネイチャ、まずはごめんなさい。こいつは何故か才能あるウマ娘のトモを触る悪い癖があるのよ。こいつから事のあらましは聞いたけど。いきなり触られただけでも不快だっただろうに、その上学年も考えずスカウトまでとは…………」

 

 

そう言いながら深々と頭を下げるおハナさんに私は焦ってしまった。

 

 

「そんな、おハナさんは何も悪くは無いですよ!」

 

 

「これはトレーナーとしてのケジメよ。トレーナーはウマ娘の為に存在すると言ってもいいの。貴女達を輝かせる為に居る私達が貴女達に下手をすればトラウマになってもおかしくない事をした。それはトレーナー全体の信用を堕とす行為と言ってもいいのよ。」

 

 

「ゆ、許しますから頭を上げて下さい!」

 

 

「本当にごめんなさいね。でも沖野の才を見る目は本物なの。こいつが凄いと言ったのならネイチャ、貴女は十分誇れる才能を持ってる。本当なら今日は貴方の夢についてお話するだけのつもりだったけど、もし良ければネイチャの走りを私にも見せて貰えないかしら?」

 

 

「私なんかで良ければ是非お願いします。」

 

 

漸く頭を上げてくれたおハナさん。私はおハナさんの態度を直に見て、本当に私達ウマ娘が大切なんだなぁと感じてしまった。

 

 

「さて、それじゃ本題に入りましょうか。一応ルドルフから簡単には聞いているんだけど、改めてネイチャから聞かせてくれる?」

 

 

そうして始まったおハナさんとの面談。面談?まぁ、基本はルドルフ先輩が話してくれているらしいので私は夢の原点からおハナさんに話し始めた。最初はウマ娘がキラキラしている姿が好きだった事。そこから私自身がウマ娘を支え、キラキラする為の手助けをして、叶える瞬間を最も近くで見ていたい事。

 

もしかしたらおハナさんやそこでぐったりしているトレーナー(沖野さん)からすれば青臭い夢物語に聞こえるかもしれない。トレーナーはそんなに甘いものじゃ無いと否定されるかもしれない。けど私はテンポイントさんに啖呵を切ったあの日から既に覚悟を決めているのだ。

必要なら三冠だってなんだって取ってやる。最後にそう口にして、私はおハナさんと復活していたトレーナー(沖野さん)の顔を見た。

 

意外な事に、2人とも笑顔で私を見ていた。後マルゼンスキーさん、私の頭を撫でるのは何でですか?ルドルフ先輩も、なんで私の手を握ってるんですかね?

 

 

「いい夢だ。俺達トレーナーが、1番トレーナーをやってて良かったって思える瞬間はネイチャ達が夢を手にした瞬間の笑顔だ。

ネイチャ風に言うなら最高にキラキラした状態ってやつさ。」

 

 

沖野さんが良い笑顔で私の夢に対して答えてくれた。本当にあの癖さえなければかっこいいトレーナーなのに。

 

 

「でもねネイチャ、夢を見るだけじゃダメよ。ちゃんと自分から手を伸ばさなくちゃ。」

 

 

そう言っておハナさんはソファーから腰を上げるとトレーナー用のデスクから何枚かの写真を持ってきて私に見せてきた。

写真はウマ娘の脚のレントゲン写真。更に追加で幾つかの論文が書かれた資料も私に見せた。

 

 

「これが何か分かるかしら?トレーナーは何もただ貴女達を指導している訳じゃないわ。脚の負担を少しでも軽減させたり、少しの不調でも見逃さない様な知識も必要よ。」

 

 

一緒にレントゲン写真をのぞき込むルドルフ先輩も、マルゼンスキーさんも写真の内容に関しては分からない様で首を傾げている。沖野さんはレントゲン写真を一目見て何か分かったようでちょっとニヤついていた。

 

 

エビですよね。それも極初期の症状で合ってますか?」

 

 

エビ、もしくはエビハラとも呼ばれる病気。正式名称は屈腱炎である。

前世の競走馬において屈腱炎は、上腕骨と肘節骨をつなぐ腱である屈腱(大きく外側の浅屈腱(せんくっけん)と内側の深屈腱(しんくっけん)の2つからなる)の腱繊維が一部断裂し、患部に発熱、腫脹を起こしている状態のことで、前肢に起こる場合が多く、また深屈腱より浅屈腱に発症例が多い。

詳しい発症の原因は現代医学ではまだ不明であるが、継続的・反復的な運動負荷によって起こると推定されている。

ナリタタイシンやウイニングチケット、ビワハヤヒデ、ナリタブライアンにフジキセキ等多くの名馬達の引退に追い込んだ『不治の病』『競走馬のガン』なのだ。

 

ウマ娘においては主に脚首で発症する。足首の腱が炎症を起こし、最悪の場合断裂してしまう者も居るほどだ。レントゲン写真は極初期の症状で腫れ等は見て取れないが、良く見れば腱部に僅かな膨張が見て取れる。

そしてこの論文。ドイツ語なので全てを読む事は出来ないが、要所要所の単語などは参考書や辞書で調べた事があるので大まかな内容自体は分かる。

 

 

「…………良く分かったな。」

 

 

沖野さんが唖然とした表情で私を見ている。おハナさんもルドルフ先輩も、そしてマルゼンスキーさんも言葉には出していないが驚いている様子だった。

 

 

「トレーナーになると決めた日から主に医学系を中心に参考書を買いました。トレーニング系は最悪サブトレーナーとして勉強すればいいと考えていたので。」

 

 

「確かにそれは屈腱炎のレントゲン写真だ。新型の装置を使って初めて超音波測定以外で発見出来たヤツでトレーナーの間じゃちょっとした話題になった。上手く行けば治療法が確立できるかも知れねぇからな。」

 

 

どさっとソファーに深々ともたれかかり、沖野さんは私に呆れた様に言葉を続ける。

 

 

「お前本当に中等部か?新人トレーナーでもコレは多分分かんないぞ?」

 

 

「病気が最大の障害になると思っていたので重点的に勉強しました。最近はネットでも論文なんかは閲覧出来ますし、脚部に関してはルドルフ先輩が協力してくれたので比較的理解しやすかったのもあります。

こんな感じで毎日のトレーニングの結果も纏めているので。」

 

 

そう言って私はドヤ顔しているルドルフ先輩を無視してバッグからトレーニングノートを取り出して2人に手渡した。沖野さんもおハナさんも、私のノートの内容を確認してから溜息を吐いた。

 

 

「明確な目的とそれによる日々の変化。数字で視覚化してグラフを作って問題点を明らかにして課題を選出する…………ネイチャ、貴女今からでもウチでサブ張れるわよこれ。」

 

 

「これを中等部が自主的にやってるって、正直化け物だなこりゃ…………イデッ!!」

 

 

私を化け物呼ばわりした沖野さんは直後にテーブル下でルドルフ先輩の脛蹴りを喰らった。女の子を化け物呼ばわりするからだ。

 

 

 

「医学系に偏ってる気はしなくもないけど、知識も十分。ネイチャの覚悟は見せて貰ったわ。結論としては、私は貴女の夢に何の疑念も無いし、幾らでも協力してあげられる。

けど残念だけど、リギルとしては貴女が2年になってもスカウトすることは出来ない。」

 

 

「な!?何でですかおハナさん!!」

 

 

なんで私じゃなくてルドルフ先輩が一番驚いてるんですかね?いや私も驚いてはいますよ?けど私以上に驚くルドルフ先輩を見ると何というか、そっちの方が驚きな訳で。

 

 

「リギルは管理主義。そこはネイチャとは似ているわ。」

 

 

「だったら!」

 

 

「だからこそよルドルフ。リギルに居てはネイチャの技術は上がっても才能は伸びないの。リギルはウマ娘の能力を均一に上げていくトレーニングが主よ。勿論個人によって最適なトレーニングを選んでいるけど、言ってしまえば長所を生かしつつ短所を埋めてバランスよく安定した戦術を得意としているの。だからネイチャの様な特化型の才能を持つウマ娘を成長させてあげるには十分な環境じゃないのよ。」

 

 

「だからこそ俺の出番って訳だ!リギルが管理主義ならうちは言ってしまえば放任主義。最低限のトレーニングで基礎を抑えつつ長所を徹底的に伸ばすやり方がスピカだ。特にネイチャの場合はトレーナーの勉強もしたいだろ?トレーニング時間に拘束されやすいリギルとは違ってスピカは最低限俺の指示したトレーニングをやってくれたら後は自由だ。」

 

 

「遺憾なのだけどね。こんな良い才能を変態(沖野)にみすみす渡さなきゃいけないなんて。」

 

 

こう言われては流石のルドルフ先輩でも黙るしかなかったのだろう。悔しそうに俯いていて、マルゼンスキーさんに慰められていた。

 

 

「トゥインクルシリーズとしてはスピカに任せるしかないけど、トレーナーの勉強については私も面倒を見るわ。ネイチャの場合は多くの指導者から様々なトレーニング法や指導方法を学ぶことが重要だから、私と沖野以外にも信用できそうなトレーナーに相談して持ち回りで面倒を見てあげる。」

 

 

「いいんですか!?」

 

 

「もちろん。将来の後輩になるかもしれないのよ?ビシバシ鍛えてあげるから覚悟しなさい?」

 

 

「有り難うございます!」

 

 

まさかおハナさんからそう言って貰えるとは思ってもみなかった。しかも複数人の現役トレーナーから指導して貰えるチャンス、めちゃくちゃ嬉しい。

 

 

「それじゃあネイチャ。来年からはスピカで宜しく頼むぞ。その代わり俺のトレーナー知識も教えてやるからな。それまでは今の様にお前自身でナイスネイチャをトレーニングしてみろ。」

 

 

「はい!よろしくお願いします!」

 

 

ルドルフ先輩はまだ落ち込んでいるのか…………後で慰めてあげようかな。

 

 

「そんじゃおハナさん。ネイチャのウマ娘としての実力を見るか?せっかく体験入部なんだしよ。」

 

 

「そうね、他の体験入部の娘は先に練習場でウチの娘とやってるから急いで行きましょうか?ネイチャ、行けるわね?」

 

 

「はい!行けます!」

 

 

話し合いと今後の予定も決まった。カノープスではなくスピカに入部することになるとは思わなかったけど、既にアニメと違う以上とやかく言っても変わらない。

今は貴重な体験入部を経験させて貰おうかな。

 

 

沖野さん私、ルドルフ先輩、マルゼンスキーさん、最後におハナさんの順で部室から出る。そういや、今のリギルメンバーって誰なんだろう?

ちょっとだけ興味を持ちながら、私たちは練習場へと歩いて行った。

 

 

 

シガーネイチャのジュニア期以降の進路

  • ルドルフ先輩に続け無敗三冠
  • いやいや、トリプルティアラこそ至高
  • もっと上を目指そう海外クラシック挑戦
  • 良いパワーしてるね?国内外ダート挑戦
  • その他
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