キラキラの一等星   作:ミヤフジ1945

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思ったより前話の反応が良くってびっくりしました。
流石に批判来るかなぁとびくびくしていたので好評で良かったです。


誰かアロマシガーを吸ってるネイチャさん描いて(失敗した人感


第13話

 

 

沖野さんと共に私達が喫煙所から戻った時ルドルフ先輩が何故か不機嫌だったものの、特にトラブルに見舞われる事も無く私たちは体験入部が行われている練習場へと到着した。

おハナさんを先頭に練習場に入って行った為リギルのチームメンバーや体験入部の1年生から私は変な目で見られた。確かに誰とも知らないウマ娘が自分のトレーナーと歩いてたら気になっちゃうよね。

 

 

「おハナさん遅かったですね。体験入部の娘、皆待ってますよ?

あと、そちらの方は?」

 

 

アニメにも出ていなかった知らない上級生がおハナさんに話し掛けてきた。多分リギル所属なんだろうけど見たことは無い。

 

 

「私の知り合いトレーナーのスカウト候補よ。今回の展示レースで特別に出走してもらう事になったわ。」

 

 

「そうなんですね。展示レースの参加者は全員アップを済ませていますので何時でも行けます。」

 

 

「分かったわ。有り難うカツラギエース。」

 

 

いえいえ~と言いながら離れていくウマ娘。いやちょっと待てよなんでそんなヌルっと名バが出てくるんだよリギルは!そう心の中で叫ばずにはいられない。

 

 

「そういう事だからネイチャ。貴女は展示レースで1年生代表で走ってもらうわ。」

 

 

「わかりました…………因みにアップの時間とかは?」

 

 

「10分上げるわ。なるべく早く済ませてね。」

 

 

「了解です。」

 

 

体験入部だからリギルのトレーニングを見させて貰えると思っていたのだけど。まさか初手に展示レースとは…………

距離は一年生にも分かりやすくする為に1600mとの事だけど、まぁ上級生に何処まで戦えるか知れるし良いかな。沖野さんは思いっきり私にサムズアップをしてくるし、ルドルフ先輩は私を応援するかリギルのチームメンバーを応援するかで迷ってるみたい。

いや、そこはチームメンバーを応援しましょうよルドルフ先輩?

 

ジャージを脱いで手早くアップを済ませようと体を動かしていると、後ろから私の方に近づいてくる足音が聞こえた。おハナさんかと思って私が振り返るのと、近づいて来たウマ娘が声をかけて来たのはほぼ同時だった。

 

 

「すまない。少し良いだろうか?」

 

 

「集中している所ごめんなさい。1年生代表で走るって聞いて同級生として応援したくて…………」

 

 

鹿毛と栗毛の2人のウマ娘。そうでしたね、スぺちゃんより前ならそりゃ貴女達も入学してますよね。

 

 

「確か、エアグルーヴさんとサイレンススズカさんで合ってましたか?」

 

 

「話したことは無かったが知っていて貰えるとは光栄だ。私もナイスネイチャの事を応援したくてな。」

 

 

そりゃ、貴女達の事は前世から知ってますとも…………とは流石に彼女達には言えないが、実際問題エアグルーヴさんもサイレンススズカさんも最近の模擬レースで1着常連となっていて同世代では有名だった。

 

 

「この前の模擬レース、お2人共凄かったです。あれ、でも私って自己紹介してませんよね?」

 

 

「ナイスネイチャさんは私達よりも有名ですよね?」

 

 

「え?なんで私が有名なんですか?」

 

 

「「え?」」

 

 

「え?」

 

 

何故か2人から私が有名人扱いされ困惑する。私は最初の1回以外模擬レースに出場していないのに何故?

 

 

「だって何時もテンポイント生徒会長と親しげにされてますよね?」

 

 

「テンポイント会長がトウショウボーイ副会長とグリーングラス副会長、1年生の君以外で笑って自分から話しかける所を見たことが無いんだぞ?」

 

 

「そうなんですか?テンポイントさんは何時も私の作ったクッキーを美味しそうに食べてくれますけど…………」

 

 

しかし、確かに思い出してみればテンポイントさんが私とトウショウボーイ先輩とグリーングラス先輩以外の人との会話で笑っている所を見たことが無い。また生徒会の仕事の話かなとその時々で思っていたけど、まさか仕事以外でもそうだったのか。

 

 

「何となく分かりましたけど、それだけでエアグルーヴさんとサイレンススズカさんより有名になりますか?」

 

 

「たわけ。ナイスネイチャは何時も休み時間に論文を読んでいるではないか。授業以外にも難しい外国語の論文を読んでいるのをクラスメイトが見ていたのを知らないのか?」

 

 

はい、すいません知りませんでした。というか私ってクラスメイトと殆ど会話したこと無いんです。休憩時間は論文か参考書読んでるし、昼休みは昼食がてら生徒会に遊びに行っているので…………そこ、ボッチとか言うな!

 

 

「私達実はナイスネイチャさんがレースで走っている所を見たこと無いんです。だから頑張ってって応援したくて。」

 

 

サイレンススズカさんが両手を胸の前に持ってきてグッと握ってそう言ってきた。サイレンススズカさんの隣でうむ、と頷いているエアグルーヴさんもサイレンススズカさんと同じ感じらしい。

仕方ない、これは全力で走らねばいけない。いや最初から走るからには全力でやりますけれどもね?

 

 

「有り難うございます。あ、私はネイチャと呼んでもらって大丈夫です。敬語も無しで良いですよ!」

 

 

「そうか、ネイチャも敬語じゃなくても良いぞ。」

 

 

「私もスズカと呼んでください、ネイチャさん。」

 

 

そう返してくれる2人。アップも終わったので私は2人に『勝ってくる』とだけ返して、おハナさんの所まで戻ることにした。

既にゲートが設置され、リギルの参加者が体を冷まさない程度に集まっていた。

 

 

「おハナさん、お待たせしました。」

 

 

「時間ピッタリね。それじゃ始めましょうか。」

 

 

私にゼッケンを渡してくるおハナさんにお礼を言って、何時でもゲートイン出来るように心を切り替える。

幸いな事に私は枠は大外枠。これは距離のロスという点では確かにデメリットだけれども、現段階で2400mを走り切れる私のスタミナなら1600mでのロスなど些細な問題だ。

むしろ大外からブン回せる訳で、下手にバ群に囲まれる心配が無い分メリットの方が大きいとさえ言える。

 

 

「ネイチャ、俺はまだお前のトレーナーじゃないしお前の走りを見た訳でもないが、少なくとも今回出走するウマ娘の中じゃダントツの才能だと思ってる。」

 

 

内枠から順番にゲートインしているので、順番待ちをしている私に外ラチから沖野さんが私に話しかけてきた。そういえば、第一印象が強すぎたせいで忘れてたけど沖野さん私の走りを見た事が無かったのか。

 

 

「公式レースじゃないし、まだ本格化前だ。あまり脚の負担になるような走りをして欲し「違うでしょ沖野さん」ん?」

 

 

「まだ沖野さんは私の担当じゃないし、私は沖野さんに走りを見せても居ないけど、これからの愛バがレースに出るんだから言う言葉、分かってるでしょ?」

 

 

「そうだな。そうだった…………ネイチャ。」

 

 

 

『勝ってこい』

 

 

 

「はい、勝ってきますよ沖野さん。」

 

 

私は沖野さんにそう返して丁度私の番となったゲートインを手早く済ませる。レース自体はこれで2回目だけど、誰かに勝ってこいと応援されるのは凄く熱くなるね。

今回の作戦は前回と同じで差し。今までのトレーニングの成果をフルで生かせる作戦だ。

走る体勢になり、極限まで集中力を研ぎ澄ます。差しだから出遅れても多少問題無いとはいえ、それでもしない方が良いのは当たり前の事。

 

 

ガコッ!!

 

 

という音と共に、開いたゲートを駆け抜ける。出遅れは無し。やはり上級生は1年生よりもレース経験がある為そう易々と出遅れはしないのは流石の一言。

9人立てのレースで序盤の位置争いに参加せず、現在私は8番手。リギルは先行差しの作戦を好む為に逃げは無し。事実上先行が逃げの様な形となっている。

 

序盤のストライドは少し広め。ピッチを落してスタミナの消耗を抑える巡航ストライドで最初のコーナーまで走る。ストライドは一歩一歩が広いので脚の消耗が多いが、その分歩数が少ないのでスタミナを温存しやすい。

逆にピッチは歩幅が狭い分脚の消耗は少ないが、回転数を上げないと加速できずスタミナの消耗も多い。

 

私はこのストライドとピッチの回転数をレース中に変えるトレーニングをしてきたので最初の模擬レースより多少はスムーズに出来ているが、余裕の出来た頭でしっかりと周りを観察することも忘れてはいけない。

最初のコーナー、脚のストライドを落しピッチを上げる。ピッチを上げた事でスタミナの消耗が増えてしまうが、歩数を稼いで脚の接地回数を増やすことで前までの強引なコーナリングからよりスムーズに、ロス無く曲がれる様になってきた。

体を可能な限り内ラチへと傾けて、遠心力に負けない様に走る。遠心力で脚への負担が増える事も、歩数を稼ぎ一回の接地時間を減らす事で少しでも減らせた。

ピッチを増やしたことで少し荒く乱れる呼吸。大丈夫、まだ問題にするほど消耗していない。

まだまだスタミナは残っている。私のポジションは陸上で言えば1レーン外で走っているような感じ。一目でロスの大きい走りだと分かるが、だからこそ妨害なんて一切ない。

2コーナーを抜け直線へ、コーナーストライドから巡航ストライドへと戻して一息つく。差し処は4コーナーから最終直線の入り際。そのギリギリで一気に末脚による加速を狙う。

 

 

(全体のペース自体は逃げが居ない分遅いけど、逆に言えば全員最後で加速出来るスタミナと脚が残っているという事!)

 

 

最初の模擬レースでは逃げウマが居た事、皆入学後初めてのレースという事もあってハイペース(それでも上級生から見れば遅いが)だった。けど今回は前回みたいに甘くはない、何せ相手は全員上級生なんだから。

 

 

(スタミナはまだまだ残ってる。少し早いけど3コーナーから仕掛けよう。)

 

 

私は少しだけピッチを上げた。ゆっくりと加速していく私は、1人2人と少しずつ順位を上げていく。勿論中には抜かせまいと加速してくるウマ娘も居るが、それはそれで勝手に多くスタミナを消費してくれるのだから私としてはありがたいだけ。

現在の私の順位は5番手、前4人はほぼ一直線で並んでいる状態で第3コーナーへと入っていく。

 

 

(よし!ここだぁ!)

 

 

残して置いたスタミナに物を言わせて一気にスパートストライドへとフォームを変える。体を前に倒し、ストライドを広げてピッチを限界まで上げる。

コーナーで使うと外に外にと遠心力で流されてしまう欠点はあるけれど、最終直線の短い今回では少しでも最高速まで加速する距離を取りたかった。

 

タイヤ引きで培った踏み込みのパワーが、芝で覆われた土をまるでダートの様に蹴り飛ばしていく。先頭との距離は4バ身、先頭のウマ娘も最後のスパートをかけ始めたけどもう遅い。

もうそこは私の射程圏内だ。

 

4番手のウマ娘を抜かし、3番手を抜かした所で4コーナーを曲がって最終直線へ。

遠心力が無くなって更に前へと加速していく。2番手まで半バ身。先頭とは残り1バ身半。

 

大外とまでは言わないけど、遠心力で外へと膨らんでいる私の前に障害となるウマ娘(2番手、1番手)は居ない。後は末脚任せの根性勝負。

 

ゴール板まで残り50mで私は先頭を躱す。負けじと抜き返そうとする先頭だったウマ娘も、加速する距離の無い今では抜き返せない。

 

そのまま誰も抜かせぬまま、一気に私はゴール板を走り抜けた。

 

確定のランプと共に電光掲示板に映る1着の数字は私のゼッケンと同じ9番。2着との差は1バ身半だった。

 

 

 

(私が1着……初勝利………ヨシッ!)

 

 

速度を落としながら、私は誰にも見えない様に小さく小さくガッツポーズをした。

 

公式戦でも何でもない。ただの展示レースである。けど日々のトレーニングの成果が出た、私にとって人生初の勝利したレースとなった。

 

 

 

 

シガーネイチャのジュニア期以降の進路

  • ルドルフ先輩に続け無敗三冠
  • いやいや、トリプルティアラこそ至高
  • もっと上を目指そう海外クラシック挑戦
  • 良いパワーしてるね?国内外ダート挑戦
  • その他
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