キラキラの一等星   作:ミヤフジ1945

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スランプで精神不調、おまけにお腹の調子も絶不調。どなたかロイヤルビタージュース(カップケーキ付き)を下さい。





第17話

 

 

長くうっとうしい梅雨がようやく明け、久方ぶりの青空を楽しむ事ここ数日。夏近づく6月末の気温は日に日に高くなってきており、しっかりとした熱中症予防が必要になって来た。

熱中症予防にスポーツドリンクを複数バッグへと詰めて、私は美浦寮を後にした。

 

実は前日、私は沖野さんに今日の予定を空けて練習場へと来るように頼まれていた。普段そう言った私に何かをさせるといった行為を避けている沖野さん(トレーニングをさせていると思われ無い様にとの事らしい)が珍しく頼んで来たので、私は2つ返事で了承して今現在へと至る訳で。絶賛指定された練習場へと私はのんびり向かっている所である。

 

梅雨明けからのびのびと育っている青草や道端に植えられた木々の独特の匂いが鼻腔をくすぐる。暑くなってきた気温と遠くの空に見える入道雲と共に、実に夏を感じさせる感覚だ。

 

 

(龍の巣だ!…………なんちって。)

 

 

入道雲を眺めながら、私はつい内心でそう呟いた。ラ〇ュタは本当にあったんだ!とかも一緒に。一応この世界にもジ〇リはある。前世で同期と紅〇豚で熱く語り合ったのが懐かしい。おハナさんも沖野さんも〇ブリは好きらしいので何時か語り合いたいと思う。

 

感慨深い懐かしさに心揺らしながら、私は目的の練習場へとたどり着いた。

沖野さんに頼まれたからてっきり沖野さんしか居ないと思っていたんだけど、沖野さん以外にもおハナさんやルドルフ先輩、マルゼンスキーさんにカツラギエースさん。遠くにはテンポイントさんにグリーングラス先輩にトウショウボーイ先輩も居る。

トレーナーらしききっちりとスーツを着た男性と上半身裸でパーカーを羽織っただけの男性2人が沖野さんやおハナさんと話している事を見るに彼らも関係者なのだろうか?というか少しだけ見覚えがあるが…………

もしかして私遅刻したのだろうか?というか何でこんなに沢山人がいるの?頭が混乱しながらも左腕の腕時計(安心と信頼のG時計)を見ても集合時間の5分前。ますます訳が分からない。

 

 

「すみません…………もしかしてお待たせしちゃいました?」

 

 

念の為小走りで沖野さんに近づいて私はそう確認した。私に気づいた沖野さんは笑顔を私に向けてサムズアップ。

 

 

「お?流石ネイチャ集合時間の5分前とはきちんとしてるな!」

 

 

どうやら私が集合時間を間違っていた訳ではなかったらしい。それには私も安堵したが、途端に今度はこの人数に疑問が湧く。

 

 

「なら良かったけど…………そこのお2人は沖野さんのお知り合いで?」

 

 

近くに来て見れば更なる既視感を感じる。というか絶対そうだろって感じのトレーナー(仮)2人に視線を向けながら沖野さんに質問した。

 

 

「そうだな、先に紹介しておこう。おハナさん!先に紹介だけしとこうか?」

 

 

「そうね。簡単な事から先に終わらせましょう。ネイチャ、この2人が貴女に協力してくれるトレーナーよ。ほら、私が伝手を当たってみるって言ったでしょ?」

 

 

 

沖野さんに呼ばれてこっちに合流してきたおハナさんに言われて、私は漸く合点がいった。というか完全に忘れてた。

 

 

「その顔は忘れてたって思ってるわね…………まったく。まぁ良いわそれじゃ自己紹介でもしましょうか。」

 

 

おハナさんにちょっと呆れられつつ私は改めて2人のトレーナー(確定)に向き直った。

 

 

「えっと、ナイスネイチャです。ご無理を言って申し訳ありません。」

 

 

「いえいえ、最初はおハナさんのお願いでビックリしましたが、理由を聞いて納得しました。将来の後輩になるかもしれないんですからね、微力ながら協力させていただきます。

私はチームカノープスでトレーナーをしている南坂です。これからよろしくお願いしますね。」

 

 

「寧ろおハナさんのお願いじゃなきゃ普通はやらないんだがな…………俺は黒沼だ。チームは持ってない。」

 

 

スーツを着た優しい笑顔の好青年といったいで立ちの南坂さん。そして上半身裸パーカーに真っ黒いサングラスを身に着けた黒沼さん。はいどう見てもアニメでネイチャが所属していたチーム、カノープスの南坂トレーナーとミホノブルボンをスパルタトレーニングで育てた黒沼トレーナーですね有り難う御座います。

 

 

「南坂のチームは無故障で引退を主目標として中央トレセン学園で唯一『無事是名バ』を達成しているスゲー所だ。南坂はネイチャにはこの故障しにくいトレーニング法や怪我のケア方法を学ばせてくれるらしいから真剣にな?」

 

 

「反対に黒沼はウマ娘にひたすらスパルタトレーニングを課す事で距離適性や脚質適正を改善する事に長けたトレーナーよ。彼のトレーニングは確かにスパルタだけど、逆に言えば何処までなら故障しないか、疲労が抜けれるか見極める事が出来なきゃスパルタトレーニングなんて出来ないからネイチャの目標に必ず糧になるわ。」

 

 

南坂さん、黒沼さん、沖野さん、おハナさんの順番に言われ、私の頭は宇宙猫状態である。何このトレーナーの厨パ?おかしない?

いや、嬉しいですよ?アニメキャラに会えた事と素晴らしいトレーナーに勉強させて貰えるって事の二重の意味で…………でもおかしいやろ!

 

というか、黒沼さんの言い分だとやっぱり原因はおハナさんじゃないですか。普通はやらないって言ってますよ?どんな魔法を使ってこの2人を協力させたんですか。

 

 

「黒沼は沖野みたいにツケがあったから協力させたわ。南坂は普通に協力してくれたわね?」

 

 

「そうですね。私はこの中では一番若輩なので…………やはり後輩って良いですよね。」

 

 

「…………ツケなんてするもんじゃねぇ。ネイチャ絶対誰からも金を借りるなよ?」

 

 

三者三様で答えるトレーナー達に私は苦笑いを隠せない。口元が引くついてないか心配である。

同様にひきつった笑いを浮かべる沖野さん。まさか沖野さんもアニメ同様おハナさんにツケて貰っているのだろうか?ジト目で沖野さんを見る私に気づいた沖野さんは慌てて両手を眼前で振りながら違う違うと否定する。

 

 

「まさか…………」

 

 

「ち、違う!ネイチャ!?俺は借りてない、借りてないからそんな目で見るな!」

 

 

「…………本当に?」

 

 

「本当に!」

 

 

「ネイチャ、その男は俺と同様におハナさんに呑み代をツケにして貰っているぞ?」

 

 

「な!?黒沼てめぇ!」

 

 

「おいそこのダメンズ2人。」

 

 

道連れとばかりに沖野さんの秘密をばらす黒沼さん。それに焦る沖野さんに私は思わずそう言ってしまった。いや、これは仕方ないと思う。

 

私のダメンズ発言で爆笑するおハナさん、マルゼンスキーさんを含めた女性陣。どうやら笑いのツボに嵌ったらしい。

逆に困り顔で苦笑するのは南坂さん。まぁこんなダメンズなトレーナーが先輩だと苦労するだろうな…………将来のカノープスでも苦労人だし、私くらい優しくしよう。

 

 

「それで…………私はなんで呼ばれたんでしょうか?南坂さん達の紹介ならスピカの部室でも良かったのでは?」

 

 

未だターフの上で言い訳を続ける沖野さんを呆れた目で見ながら、私はおハナさんにそう問いかける。

 

 

「まぁそうよね。紹介するだけならスピカの部室でもリギルの部室でも、カノープスの部室でも良かったわ。でも今回のメインは紹介じゃないのよ?」

 

 

私の質問にそう答えたおハナさん。確かに沖野さんも簡単な物から済ませようとか言ってましたね。

 

 

「私達はついでですよネイチャさん。」

 

 

おハナさんの言葉に補足するように告げる南坂さん。いや、貴方達をついで扱いって普通出来ませんからね?

ますます深まる疑問。練習場って事は誰か走るんですかね?だとすれば誰が走るんだろうか?

此処に居るウマ娘は私を含めて7人。私、ルドルフ先輩、マルゼンスキーさん、カツラギエースさん、テンポイントさんにグリーングラス先輩とトウショウボーイ先輩の7人。

テンポイントさん達生徒会は練習場の外に居るから走らないだろう。という事はルドルフ先輩とマルゼンスキーさん、カツラギエースさんと私。

 

私以外リギルのメンバーだからつまり、ルドルフ先輩達3人で並走トレーニングでもするのだろうか?

それで私にケアの練習をかねて同席させたと。こんな感じかな?

 

 

「つまり、ルドルフ先輩達3人が並走トレーニングするから私にケアの練習も兼ねてやってみろって事ですか?

えっと、私今冷却スプレーとかケア用品持って来てないんで一度取りに帰っても良いですか?」

 

 

1人納得した私の言葉に、復活した沖野さん(ツケ魔妖怪)を始め、おハナさんや黒沼さん、果てはルドルフ先輩やマルゼンスキーさん達まで呆れた目を向けて来た。南坂さんは再び困り顔。

…………解せぬ。

 

 

「並走トレーニングっつうか、走るのは正解なんだが…………なんでそこでネイチャ自身が走る事を入れてないんだ…………」

 

 

「おい沖野、大丈夫なのかコイツは?」

 

 

「え?だって今回はリギルのトレーニングですよね?」

 

 

呆れたように言う沖野さんに若干心配そうな目を向けてくる黒沼さん。私が心外だとそう答えても返って来る言葉は無く、私の言葉は虚しく静かなターフに吸い込まれているだけ。

 

 

「それだったらお前に運動出来る服装で来させる理由がねぇじゃねぇか…………」

 

 

そう言って頭を抑える沖野さんを後目に、私の頭の中は疑問符でいっぱいだ。走る?私が?誰と?

辺りを再度見渡してもリギルメンバー以外周りには誰も居ない。ライアンもエアグルーヴやスズカ、果てはリギルの他のメンバーすら…………

 

 

「走る相手は私だネイチャ。」

 

 

そう言って来たのはおハナさんの後ろに控えていたルドルフ先輩が一歩前に出てきておハナさんに並びながらそう言った。私が?ルドルフ先輩と?

 

 

「えっと…………私がルドルフ先輩と並走トレーニングをすれば良いんですか?」

 

 

「いや、並走トレーニングじゃない。」

 

 

そう言って、ルドルフ先輩の雰囲気が変わる。今までのちょっとテイオー感のある雰囲気から一転、私のよく知るあの皇帝(無敗の三冠バ)に近いあの雰囲気へと。

ターフの芝が騒めく様な雰囲気。ヒリつく感覚が私の体をまるでヤスリの様に体を撫でていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ネイチャ…………レースをしようか?

 

 

威圧感のある笑みを湛えつつ皇帝(ライオン)が静かに、しかしこの場の全員に聞こえる声で私に向かって吼えた。

 






画力が無さ過ぎて最後のルドルフの挿絵が書けませんでした。私の数時間を返して…………カエシテ

シガーネイチャのジュニア期以降の進路

  • ルドルフ先輩に続け無敗三冠
  • いやいや、トリプルティアラこそ至高
  • もっと上を目指そう海外クラシック挑戦
  • 良いパワーしてるね?国内外ダート挑戦
  • その他
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