退職手続きや年末で忙しいのですが、何とか今年中に後一話は投稿したかったので普段の半分と短いですが投稿しました。
別にルドルフの両親出すと長くなりすぎて今年中の投稿が面倒だったとかそんなんじゃないですよ?
……ほんとですよ?
あた~らし~いあっさが来た~きぼ~の~あさ~が~♪
なーんて、寝起きそうそう呟いてみたのだけど、目を開けたら目の前には小さく寝息を立てるルドルフ先輩の顔が私の間近に見える。
いやまぁ、昨日一緒に同じベッドで寝たので近くに居るのは分かるんですけどね?カーテンの隙間から差す太陽の光でキラキラ輝く鹿毛の髪の毛とか、寝ている今だからこそ見れるだらしなく緩んだ笑みを浮かべる寝顔とか…………
確かに寮でも一緒の部屋で寝起きしてますけど、それはお互い別々のベッドで寝ているのでこんな間近でルドルフ先輩の寝顔を見たことは無いので実に起き抜けには心臓に悪い訳でして。
取りあえず、ルドルフ先輩を起こさない様に静かにベッドから出て、私はベランダの外へと向かった。
パタパタとスリッパの奏でる軽やかな足音を鳴らしながら、ベランダへと続く窓を開ける。
空は雲一つ無い快晴。東から太陽がゆっくりと顔を出す中で、夏の朝特有の暑すぎない心地よい風が寝起きの私の肌を優しく撫でた。
大きく息を吸って、吐く。私が何時もやっている寝起きのルーティーン。そしてベランダに出る前に手にしたアロマシガーを一本箱から取り出してジッポライターで火を着ける。
アロマシガーの甘い香りが私の鼻腔を擽り、未だに少し寝ぼけていた頭がしゃっきりと切り替わる感覚が分かる。
前世からのこのルーティーンは未だ私の中で染み付いている。不満があるとすれば前世では職業柄嗅ぎ慣れていた潮風のあの独特の香りが感じられない事だろうか…………
朝焼けに染まる黄金色の海原を眺めながら吸う煙草は格別以外の何物でも無かった。それこそついついカッコつけて飲めないコーヒーを飲んでしまう程に。
まぁその後は飲めないコーヒーを飲んでお腹壊して、上司に呆れられるまでが前世のテンプレだったんだけどね…………
(まあ、不満は無いけどね。)
折角の夏休みだし、何処かのタイミングで海でも見に遠出しに行っても良いかもしれない。暇そうなら沖野さんでも誘ってみようか?
案外、あの人もそう言うのが好きかもしれないし。そう思いながらまた一息、白い煙を口から吐き出した。
朝日を浴びて鈍く輝く沖野さんから貰ったジッポライターを眺めながら、この一服の時間をのんびりと至福の一時を過ごす。
少し灰が出ればこれまた沖野さんから貰った携帯灰皿にチョイチョイとタップして灰を落とし、ベランダを汚さない様に気を付ける。
「おや、おはようございますナイスネイチャ様。」
そうしてのんびりとアロマシガーを半分ほど吸っていた頃、下から私を呼ぶ声が聞こえた。ちらりとそっちを向けば、ジャージ姿のセバスさんが少し汗をかきながらこちらを見上げている所だった。
「おはようございますセバスさん。セバスさんは運動ですか?」
「はい。やはり健康に生活するには適度な運動が一番ですから。おっと、ナイスネイチャ様はまだ身だしなみを整えていらっしゃらないご様子で……これは大変失礼いたしました。」
そう言って私を見ない様にささっと後ろを向くセバスさん。うん、凄く紳士。
「あはは…………これはすみません。ですけど別に気にしないで下さい。」
「そうは参りません。ナイスネイチャ様はよろしくとも、これは男性のエチケットでございます。」
うん、やっぱセバスさんは滅茶苦茶紳士である。
「朝食は後一時間ほどで準備が整うと思われます。本日は旦那様と奥様もいらっしゃいますがお二方共とても今日を楽しみにしておられました。」
う…………そう言えば昨日そんなこと言っていた気がする。私は上流階級のマナーとか挨拶の仕方とか何にも知らないんだけど大丈夫だろうか……
「ナイスネイチャ様がご緊張なさるのも分かりますがご安心下さい。お二方共お優しい方でございます。」
首にかけたタオルで顔を拭いながら、セバスさんはそう言ってくれた。がやはり緊張するものは緊張する。苦笑いしか出ない自分に内心溜息を吐きだすしかなかった。
「それでは、私も仕事に戻らねばなりませんのでこれで失礼します。よい一日をお過ごし下さい。」
「えっと、セバスさんもお仕事頑張って下さい。」
小さく一礼して、セバスさんはお屋敷の中へと消えて行った。さて、私も準備するとしますか。
もうなるようにしかならないんだから。そう気合を入れて、燃え尽きたアロマシガーを携帯灰皿へと入れて私も室内へと入った。
カーテンをシャッと勢いよく開けて、薄暗かった室内に日の光を入れる。と同時にもぞもぞと日の光から逃れる様に布団に隠れるルドルフ先輩。
ルドルフ先輩のそんな姿を見て私はついつい苦笑を浮かべてしまった。
「ルドルフ先輩朝ですよ。起きてください。」
優しく肩をゆすってそう喋りかける。しかしルドルフ先輩は更に深く布団に包まってしまった。
『ん~』という返答なのかただの唸り声なのかよく解らない声を上げて布団に包まるルドルフ先輩に、私は優しく声を掛けつつづける。
「ルドルフ先輩。今日は練習場を案内してくれるんですよね?ほら、起きないと朝ごはん食べれなくなっちゃいますよぉ?」
まぁ、朝ごはんうんぬんは嘘だけれどもね。
暫くそうして声を掛けていると小さく『ん』と言って手を私に差し出してきた。どうやら起こしてくれって意味らしい。
手を取ってゆっくりと引っ張ると、まだ半分以上頭が寝てしまっているのかふらふらしながらも起き上がってくれた。
「…………あsごはんたべりゅ」
半開きの目を眠たげに擦りながら、呂律もまだ上手く回らず小さくそう言ったルドルフ先輩。
(可愛い。)
成程、これが前世のネットのイラストで良くあったルナちゃんモードってやつですかぁ、と内心1人で役得………いや納得してしまった。
何となく下らない事を考えてしまったけど、そんな私を余所にまだルドルフ先輩はふらふらと舟をこぎながら必死に寝ない様にしていた。どうやらまだ眠気から覚醒するまで時間がかかりそうだ。
先に洗面とか色々済ませてしまおう。昨日の内に場所は教えて貰っていたから問題ない。
開けたカーテンの外は太陽が昇り、少しづつ気温は上がり始めている。
遠く、山の影から現れ始めた入道雲が目に入った。
どうやら今日も暑くなりそうだ。
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