結局4000文字超えて8000文字近く書いてしまい昨日のうちに投稿出来ませんでした。
難しい知識と、何とか早めに投稿しようと徹夜で執筆したので目がチカチカしていますが私はきっと大丈夫です。
PS.RTTTはイイゾ
コトコトコトと電気ケトルが奏でる水を沸かす小さな音を聴きながら、私はせっせと鞄からノートや筆記具などを机の上へと並べていく。折角黒沼さんに気を使って貰ったのだけど、結局の所小さな折り畳み傘を2人で共有するのには無理があって、私は黒沼さん共々雨でずぶ濡れ…………とまでは行かないまでも、着ていて不快感を感じる位に制服が濡れてしまった。
なので今の私は上下共に運動用のジャージを着て、制服は黒沼さんのパーカー共々何故か部屋に置いてある乾燥機の中へボッシュート状態。件の黒沼さんも予備のパーカーに着替えて今は体を温める為のコーヒー待ちタイム。
お湯が沸いたのか、カチッというスイッチの切れる音が聞こえ、その音を合図に私はそっと席を立った。事前にマグカップとコーヒーの粉は黒沼さんが出してくれているので、私は準備してくれた2つのマグカップにコーヒーの粉を入れて、ゆっくりとお湯を注ぎこむ。
白い湯気と共にコーヒーの粉が渦を巻きながらお湯と混ざり合い、コーヒーの鼻腔をくすぐる香ばしい香りが一気に室内を包んでいく。だまが残らない様にスプーンでゆっくりとコーヒーをかき混ぜて、私は片方を黒沼さんへと差し出した。
「すまないな。」
「良いですよ。これ位はさせて下さい。」
そう言って笑い合って、お互い一口だけコーヒーを口にした。入れたばかりで熱々のコーヒーは舌が火傷しそうなほど熱かったけど、雨に濡れて冷えた体にはそれが存外心地良かった。
ただちょっと粉を入れ過ぎたかな?少し濃いめで思わずんべっと舌を出してしまった私を黒沼さんは少しだけ笑っていた。
「んじゃ、コーヒーも出来たしさっさと始めよう。」
「はい、今日はよろしくお願いします。」
少しだけ電気ケトルからお湯をマグカップにつぎ足しながら、んじゃそろそろ始めようと話しかけた黒沼さんに私は頭を下げてそう返事をする。教えて貰う身としてはきちんと礼儀は守らないとね。
「俺がお前に教えるのは前にも言ったがウマ娘の距離適性をどう改善し伸ばしていくかだ。」
「はい!」
「さて、お前さんならどうする?聞く前に自分で考えてみろ。」
そう黒沼さんに言われてて、私はどうすれば良いのか考えてみる。アプリで距離適性を変えたい場合、因子継承で適正Cを適正Bへ、適正Bを適正Aへといった形継承元のウマ娘から距離因子を貰い改善していくのだけど、勿論この世界でそんなシステマチックな事が出来る訳無いので却下。
それじゃあ現実的に考えてみた場合アプリの様に因子継承以外で距離適性を改善するとなるとなれば、それこそ史実馬やアニメのウマ娘のミホノブルボンの様に、鬼の様にひたすら坂路トレーニングを繰り返して走れる距離を延ばす方法しか私は思い当たらない。
けど、それじゃあ何で坂路トレーニングを行えば走れる距離が延びるのかと聞かれれば、その理由に前世を含め調べた事が無かったからさっぱり分からないとしか言い様がない。
単純に考えれば、私としてはより長い距離を走る事を考えればスタミナトレーニングを行って心肺機能の向上を図るのが良いのではないかとも思う。けどアプリだとスタミナトレーニング枠はプールトレーニングだけで、ミホノブルボンがやっていた坂路トレーニングはアプリだと根性トレーニング枠に入っているから一概にどっちが良いと決めるのは早計だとも思ってしまう。
「分からないなら今はそれでも良い。何より重要なのは分からない事をそのままにせず、考え、学び次へと成長していく事だ。」
うむむ…………と頭をひねっている私に黒沼さんはそう語って来た。確かにただ言われた事をこなすよりも自分で考えて意識して行う方が成長出来るとは何処かで聞いた事がある。
取りあえずもう少し考えよう。何で坂路トレーニングが根性トレーニング枠なのか?スタミナトレーニング枠でも良いのではないかとも思ってしまうけど逆に、坂路トレーニングで何が鍛えられるのかを考えてみるのはどうだろうか。
坂路トレーニングの利点は同じ距離で走った場合に比べ平地でトレーニングした時よりも効率が良い事。坂路の長さが決まっている為必然的にインターバル形式になりウマ娘にあった負荷で反復トレーニングが行いやすいこと。
実習中に教官が言われていた話では、一般的に用いられている傾斜3~4%の坂路コースでは、平地に比べてハロンタイムで2~4秒遅いタイムで、平地と同様の負荷を得られるらしい。速度が遅いという事はそれだけ脚の消耗が少なく故障や病気のリスクを減らせるという事でもあり、私達ウマ娘にとってリターンしかない様に思える。
しかし、本格化前で身体的に未熟、もしくは経験の無いウマ娘がきちんとした指導者、この場合は授業の実習で立ち会う教官や担当トレーナー無しで坂路トレーニングを行ってしまうとペース配分をミスしたりフォームが崩れたりして逆に故障や病気のリスクが伴ってしまう場合があるとの事。
そもそも、坂路トレーニングは平地トレーニングより効率が良いとはいえそのキツさは同じ距離でも平地以上。キツい、辛いといった弱音がウマ娘の精神をゴリゴリと抉って来るのでそれこそミホノブルボンの様なトレーニングに従順なウマ娘以外あまりやりたがらないトレーニングメニューなのだけど。
待てよ…………確か前世でウマ娘にはスタミナ値と根性値が計算式に入っているって聞いた事があった様な…………
そんなものがあるんだ~とその時は右から左へ聞き流していて詳しい事は殆ど覚えていないけど、それなら多少合点がいくのでは?
プールトレーニングで心肺機能…………スタミナを鍛えて、坂路トレーニングで負担を減らしつつ効率良く身体を鍛えて、そのトレーニングのキツさでレース中の勝負根性を養っていくのであれば自然と納得出来る点も多い。
「黒沼さん。」
「何か思いついたか?」
「坂路とプールトレーニングっていうのはどうでしょうか?」
「何故そう思った?」
「脚質を伸ばす、つまり走る距離を延ばすという事でプールトレーニングは心肺機能を伸ばし長く走る為のスタミナを、坂路トレーニングはより平地よりも効率良く負荷をかけてる事で踏み込みやそれに付随するスピード、根性を延ばす事が出来ます。
2つともきちんとしたメニューで行なえば過度な負担を身体に与える事無くトレーニング出来るので選びました。」
「悪くない判断だ。それぞれのトレーニングの長所をきちんと把握している。だが、お前のその判断はトレーナーでは無く競争ウマ娘としてのトレーニングの選び方だ。トレーナーを目指すとなればもう少し視点を変えなければならん。」
「視点…………ですか?」
黒沼さんの言葉に私は思わずオウム返しの様にそう返してしまった。視点を変えるとは一体どういう事なのだろうか…………
「医学的なアプローチは南坂の分野だからな。もし詳しく知りたかったら今度アイツに聞いてみるといい。取りあえずこれを見ろ。」
そう言って、黒沼さんは私に1枚のプリントを手渡してきた。受け取って中身を見れば描かれているのは多分ウマ娘の脚だと思うイラスト。ただ普通のウマ娘の脚のイラストではなく、そのイラストはイメージするなら人体模型の様な感じの…………筋肉や神経を太腿の付け根から足先まで緻密に描かれた医学書とかに載ってそうなイラストだった。
「そいつは医学書に載ってるイラストのコピーだが、説明に使うのに最適なんでな。改めて聞くが、お前さんはまだ筋肉の種類とかは南坂から教えられているか?」
「筋肉ですか?いえ、喫煙所でも言いましたけど感冒とか身近な症状を中心に南坂さんからは教わってます。」
「だったらこれは南坂とこの予習も兼ねるか…………まず筋肉ってのは大きく別けて3つに別けられている。何か分かるか?」
「えっと確か…………速筋と遅筋と…………すみませんあと1個は忘れてしまいました。」
「さっきも言ったが何より重要なのは分からない事をそのままにせず、考え、学び次へと成長していく事が大事だ。お前さんの言った2つは正解、他に中間筋と呼ばれている筋肉がある。」
黒沼さんは1本のボールペンを取り出すと私に渡してくれたイラストの白い筋肉の部分にまず丸を付けた。
「最初に説明するのは白筋、別名速筋だ。その名の通り白い筋肉で筋繊維が太く、筋の収縮速度が速いから瞬発力はあるが、持久力は無い。」
「なるほど…………」
「そして赤筋、こいつの別名は遅筋だ。白筋と同じく赤い色をした筋肉だから赤筋だ。こっちは白筋ほど筋繊維が太くはない。だから瞬発力は速筋より圧倒的に劣るが有酸素代謝だから白筋よりも圧倒的に持久力がある筋肉だ。」
「ゆ、有酸素代謝ですか?」
今度は部屋に置かれているホワイトボードに『白筋』『赤筋』『中間筋』『有酸素代謝』など説明しながら文字を書き始めた黒沼さん。私はホワイトボードに書かれている文字をノートに書き写しながら、黒沼さんの説明を忘れない様に疑問に思った事は質問する事にした。
「そうだ。白筋と赤筋では使用するエネルギーが違う。赤筋はさっきも言った通り有酸素代謝、つまり脂肪や炭水化物を酵素で消費してエネルギーにするが白筋は解糖系代謝、グルコースをピルビン酸などの有機酸に分解してエネルギーにする。」
「筋肉でエネルギー源が違うんですね。」
「そうだ。良くダイエットなどで有酸素運動とか言われるのはこの赤筋を使う運動の事を言う。もっとも、この辺の事は俺より南坂の方が詳しいから詳しく知りたかったらアイツに聞け。」
「分かりました。」
「ん…………因みに赤色の理由だが、ミオグロビンという赤い色をした酸素を運ぶ赤色タンパク質が赤筋の方が多いからだ。血液も赤色だがそっちはヘモグロビンで全く違う物質だから覚えておいて損は無い。」
詳しくは南坂さんに聞けと言いながら、ちょっとした知識を教えてくれる黒沼さんの言葉に私は思わずほっこりしてしまった。
「…………さてと中間筋はまた後で説明するとして、ネイチャ…………此処までで何か気づくことは無いか?」
つらつらとホワイトボードに文字を書きながら説明してくれていた黒沼さんが一旦ペンを戻してそう私に質問を投げかけて来た。
ここまでで何か気づく事……と言われたが、黒沼さんの説明の中にあった瞬発力や持久力という説明で何となく私は黒沼さんが聞いてきた事は分かった気がする。
「白筋の瞬発力はスプリンター向き、赤筋の持久力はステイヤー向きという事ですか?」
「そうだ。だが勘違いはするな?スプリンターに持久力が要らない訳でも、ステイヤーに瞬発力が要らない訳でも無いからな。」
「大丈夫です、そこはきちんと理解しています。」
「ならいい。続きだがこれら白筋と赤筋の筋繊維の本数、それに伴う割合には個人差があり生まれつきほとんど決まっている。これはお前達ウマ娘や俺達ヒトも変わらない。」
「うぇ!?そうなんですか!?」
「そうだ。つまり極端な話長距離で走るステイヤー型のウマ娘は白筋よりも赤筋が多く存在し、逆に短距離で走るスプリンターのウマ娘は赤筋が少なく白筋が多い傾向にある。」
黒沼さんの説明に私は思わず驚きの声で返してしまった。確かに筋肉の付きやすい人付きにくい人みたいな話は前世で聞いた事があった気がするけど、まさか生まれつき決まっているとは思わなかった。
けど、そうなると黒沼さんの言う距離適性を伸ばす方法というのは殆ど不可能に近いのではないのだろうか?生まれつき決まっているのなら、より長く走る為の赤筋をそれ以上増やす事なんて出来ないはずなのだから。
「ゲームを例えに簡単に説明するとキャラクターを決めてスタートした時、そのキャラクターに白筋と赤筋それぞれ2つの装備枠があると想像してみろ。その2つの装備枠にはランダムにスロットが与えられる。
スプリンターなら白筋の装備枠に10個のスロットがあり、赤筋の装備枠に5個のスロットがあるとする。
ステイヤーならその逆。白筋の装備枠に5個のスロットがあり、赤筋の装備枠に10個のスロットがある。」
「ふむふむ。」
「総スロット数は同じだが、筋肉の割合は真逆の設定だ。そして、それぞれのスロットに白筋と赤筋が装備出来る。」
「でもスロットが決まっているならそれ以上成長出来ないんですよね?」
私の質問に黒沼さんは少しだけ笑い、唇を湿らす様に一口だけコーヒーを飲んだ。
「なんの為に装備スロットって言ったと思ってる。最近のゲームだと装備も強化出来るらしいじゃないか?」
「つまり、そのスロット内のそれぞれの筋肉を強化してレベルアップする感じですか?」
「そうだ。それぞれのスロットにただ筋肉が装備されている状態を丁度本格化を終えたばかりのウマ娘だと思え。そこからトレーナーと協力して装備されている筋肉のレベルアップを行っていくのが今のウチのシービーだったり、来年のお前さんだったりする訳だ。」
まるでゲームのステータス画面の様な絵をホワイトボードに書きながら説明する黒沼さん。
「そして、もし筋肉のレベルが10で上限だったとしよう。スプリンターの赤筋スロットは5個。最大までレベルアップさせたとしても合計で50までしか上がらない。これが例えるならHPやMPの様にスタミナ値と仮定しよう。
ステイヤーの赤筋スロットは10、最大まで上げて合計でスタミナ値は100だ。コンディションやら勝負根性やらで多少変動するが、スプリンターとステイヤーのスタミナ値の差は50もある。」
「これってムリゲーなのでは?」
「そうだな、全く同じ速度で走ったとしてどうあがいてもスプリンターがステイヤーと同じ距離を走る事は出来ない。」
そう言って、黒沼さんは今までホワイトボードに描いていた絵の上から大きくバッテンを書いた。
「だがネイチャ。お前さんは1つ存在を忘れている。」
「?」
「それがこいつだ。」
グリグリと黒沼さんが何重にも丸で囲んでいるホワイトボードに書かれた『中間筋』の3文字。
「さっきも言ったが筋肉の割合は生まれた時から決まっている。だがこの中間筋、正式にはピンク筋だったか…………どっちでもいいがこいつは本来ミオグロビンが不活発状態であるはずの白筋がトレーニングによって変異してミオグロビンを持つ様になった変異筋だ。ミオグロビンが活発状態になった事で赤みが付いてピンク色になるのが名前の由来だ。
そして、変異した中間筋の特性は白筋と赤筋それぞれの特性を合わせ持つ点にある。」
一部を消して新たにホワイトボードに色々と単語やそれに付随した説明を書いて行く黒沼さん。私も慌ててノートに新たに書かれた言葉を書き写していく。
「えっと、つまり白筋が中間筋になって、それを強化していくことで赤筋になるという事ですか?」
「残念だが中間筋が赤筋になる事は無い。あくまでも中間筋は白筋が変異した筋肉であって、使わなければ白筋に戻る訳でも無い。」
「あぁ…………そうなんですね。」
「そしてなにより重要なのが両方の特性を併せ持つと言っても白筋と赤筋それぞれの力と同等の瞬発力や持久力を持てる訳でも無い事だ。さっきのゲームの例でいうなら中間筋レベル10のうち、瞬発力にレベル5、持久力にレベル5といったふうに真ん中の性能の筋肉になる。」
「つまり、見方によってはオールマイティーにも器用貧乏にもなる筋肉って訳ですね。」
「そう言う事だ。例えばさっきのスプリンターのうち、白筋スロット10個の中の半分、5個が中間筋になったとする。白筋の合計は100から5個×レベル5で25ポイント引かれて合計が75になってしまったが、持久力は瞬発力とは反対に赤筋の合計値50に中間筋の25が合わさって合計75まで上昇する。そうなるとステイヤーとのスタミナ値は前の50から25まで縮める事が出来る訳だ。
此処まで縮めることが出来たなら長距離は難しくとも、スプリンターがマイル戦線や中距離戦線で十分戦えるとは思わないか?」
「お、思います。」
ホワイトボードからペンを離し私に向き直ってそう語った黒沼さんに私はそう返すしかなかった。これがトレーナーと競技者としてのウマ娘の視点の違いって事なのだろうか…………
「…………勿論欠点はある。中間筋は白筋に戻る事は無い。つまり瞬発力の総合値が減っているのだからスプリンターとしての才能が無くなってしまう可能性もある。」
小さく溜息を吐きながらそう溢す黒沼さんの言葉にはまるで実体験であったかのような静かな、けど確かな重さが籠っていた気がした。
「勿論、お前さんが言ったプールトレーニングだって重要な要素だ。ウマ娘の体、筋肉というエンジンを動かす燃料は酸素だ。その酸素をエンジンに送る肺や心臓と言ったポンプが貧弱じゃ、どんな1級品のエンジンだってそのポテンシャルを十全に発揮する事は出来ないからな。」
「あ…………有り難うございます。」
「次回から、今日みたいに雨じゃ無ければ実際に坂路でどれだけの運動でどの部位にどれくらいの負荷がかかるのか、今の体で何処まで負荷をかけていいのか見極める点も教えていく。雨だったら今日みたく座学だ。」
「ハイ!よろしくお願いします。」
「言っておくが、実際に走るときはウォームアップから見るから自分でやるなよ?お前さんは本格化もまだなのに下手に事前に負荷を掛けられて坂路トレーニング中に
「はい、分かりました。」
先ほどまでの重い雰囲気は何処へやら。そう面倒くさそうにそう話す黒沼さん。というか、此処には私と黒沼さんしか居ないから良いけど、受け手によってはまるで私が黒沼さんの担当ウマ娘になっている様にも聞こえるのだろうが黒沼さんは気づいているのだろうか?
やれやれといった表情でコーヒーを飲む黒沼さんを見るに多分気づいていない気がする。私の立ち位置が担当の居ない他のウマ娘だったら絶対勘違いしてしまうだろうね。
アプリのトレーナーもそうだけどどうして男のトレーナーって変にウマ娘を勘違いさせる言動をするのかなぁ…………
いや…………アプリのトレーナーや沖野さんが変過ぎるだけか。RTTTの沖田トレーナーとか普通に良い人だった記憶があるし。
内心そんなどうでもいい事を思いながら黒沼さんに視線を戻すと既にホワイトボードを消したりペンを戻したりと片付け始めていた。どうやら今日はこれでおしまいらしい。
私もノートや筆記用具を鞄の中に仕舞って、最後にマグカップに残っていたコーヒーを一気に飲み干した。
薄めたとはいえまだ少し濃い中途半端に冷めてしまったコーヒー。
正直余り美味しい出来では無かったコーヒーを飲み干して私と黒沼さん、2人分の飲み干したマグカップを流し台へと持って行った。
「コップは俺が洗っておくから、お前さんは早めに帰れよ。」
黒沼さんの言葉に、私は漸く暗くなり始めている事に気づいた。始めた時間も時間とはいえ、どうやら大分長い時間黒沼さんの話を聞いてしまっていたらしい。
「すみません。今日は有り難うございました。」
「おう、じゃあな。」
「はい!次回もよろしくお願いします。」
私は黒沼さんに深々と頭を下げて、未だ雨の降る外を鞄を傘に寮へと向けて走って帰った。
…………大急ぎで寮に帰ってから、私が制服を黒沼さんのトレーナー室の乾燥機にぶち込んだままだという事に気づいてしまいルドルフ先輩に呆れられながら再度雨の中走ったのはここだけの話にしておいて欲しい。
私の知識不足、説明不足の所もあると思いますが、意図的に黒沼トレーナーは説明を簡略化しています。
何故かというと、詳しく知りたいなら南坂トレーナーの方が詳しいからそっちに聞けってスタンスだからですね。
なのでネイチャになるべく分かりやすく説明しようと黒沼トレーナーなりに工夫してやってます。まあ完全に私の妄想なので皆さんの想像する黒沼トレーナー像と違ったらすいません。
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