牡蠣にあたって高熱吐き気の中お久しぶりです。
投稿間隔も空いてしまっているし、病状は違うけどなんか丁度ネイチャに近い状態だな!執筆の糧にしよう!
とか思ってましたが舐めてましたすみませんノロ様…………
短いし色々可笑しいかもしれませんが今後もよろしくお願いします。
闇夜も眠る丑三つ時。曇りの為に月明りも無く、カーテンの隙間から漏れる街灯の微かな明かりだけが暗く光を落した室内をぼかし照らす中で、私は自身のベッドの中で小さく膝を抱える様に横たわっていた。
「ぐ…………いっだぁ…………いなもぅ。」
ほんの少しだけ脚を動かしただけで全身に襲ってくる鈍くも鋭い強烈な痛み。その痛みはまるで全身の骨を砕かれた上で
最初に違和感を感じたのは病院から退院して2~3日たった頃。その時感じたのはほんの僅かな…………疼きに近い小さな痛みだったのだけど、一応念の為に翌日沖野さんに相談した上で再度病院へと検査を受けに行った。検査の結果は白。私の体には何の異常も見つからず、恐らくは沖野さんが予想した通り私のウマ娘としての本格化が来たことによる成長痛だろうというのがお医者さんの見解だった。
確かに、そう言われてみれば前世や今世を含め小さい頃に感じた事がある痛みだなぁと、その時は呑気に思いながら念の為にと痛み止めを貰ったのだけど…………私は正直に言ってウマ娘の本格化というモノを舐めていたのだ。
日に日に強くなっていく成長痛の痛みに、私は夜中に何度も起きては痛みに耐えながら無理やりにでも眠ろうとする毎日を送る事になった。痛み止めを飲めば少しは楽になるけれど、常飲による副作用が怖くてどうしてもという時にしか使わないから結果として私は夜は痛みで、日中は痛みは引くものの酷い寝不足とそこから来る倦怠感に悩まされてしまった。
それこそ今まで授業中一度も居眠りすることの無かった私(とはいっても今世になってからだけど)がいつの間にか人目もはばからず授業中に爆睡してしまう位には…………
幸いな事に、以前エアグルーヴに教えて貰ったメイクによって目の下に浮かんだ隈は隠す頃は出来たし、居眠りも上手くごまかせたので他の誰かに私の事はバレてはいないはずだ。
「さ……流石に今回はシャレになんない…………だけどッ! 」
隣のベッドで寝ているルドルフ先輩を起こさない様に小さく私はそう零した。昨日までも十分に酷かったけれど今夜の痛みは今までに比べて一段と酷かった。これは流石に痛み止めを飲むしかない。
動く度に感じる痛みに顔を顰め、さりとて寝ているルドルフ先輩を起こさぬようにと苦悶の声を我慢して震える腕をゆっくりと机の上へと伸ばしていく。
私の机は丁度私のベッドの隣、アニメ2期のテイオーの部屋や3期のキタサンブラックと同じ配置なので痛みで動けない状態である今の私でも手を伸ばせば何とか机の上に置いてある痛み止めの入った紙袋を取れる位置にある。
「も……もう少しぃ…………」
ゆっくりと震える腕をピンと伸ばし、机の上にある痛み止めを取ろうとするのだけど…………ベッドに入る前に痛み止めを置いた場所が悪かったのかあと少しが届かない。
痛みを堪えながら僅かに体を捻ると指先に感じた硬い感触とカサッと紙独特の乾いた音が聞こえた。どうやら今私が触れたのが痛み止めの入った紙袋なのだろう。何とか取ろうと更に体を捻った所で私は運悪く思いっきり体のバランスを崩してしまった。
ズルッとベッドの縁から滑ったかと思えば、私の体は床へと叩きつけられた。勿論、叩きつけられたと言っても僅か数十センチの高さなのだけど、忘れないで欲しいのは私の体は今少し動かしただけでも激しい痛みが奔る状態だという事。
ドサッと落ちた衝撃とそれによって全身を駆け巡った激痛は、多分前世において麻酔無しで顎を縫った時よりもめちゃくちゃに酷かった。
激痛によって洩れそうになる声を寝巻を噛んで必死に抑え、だらだらと溢れ出す嫌な汗を背中に感じながら私は再び机の上へと腕も伸ばした。端から見れば、這いつくばりながら必死に手を伸ばす私の姿は暗闇の時間帯も相まって化け物とかホラゲーに出てくるソッチ系の生き物に見えたかもしれないけれど、残念ながら今の私はそんな事を考えられるほど周りが見える状態では無かった。
ベッドから落ちた事で先ほどまでより手が机の上へと届かなくなってしまった。痛む体を歯を食いしばって耐えながら、なんとか椅子を支えに立ち上がろうとしても上手く力が入らず立つ事さえ出来ない。
先ほどまでよりも小さく、今度はペタンと床に倒れてしまった時、カーテンの隙間から漏れる街灯の微かな明かりしか無かった部屋が唐突に明るくなった。
「ネイチャ!? どうしたんだ!」
急に明るくなったことで眩む視界。そして私の耳から聞こえるドタドタと焦った様な足音と不意に体を誰かに支えられる感覚。
椅子に倒れこむ様に蹲っていた私を抱え込む様にして抱きしめたのは先ほどまで規則正しい寝息をたてていたはずのルドルフ先輩だった。どうやら私が考えていたよりも大きな音出してしまって先輩を起こしてしまったのかもしれない。
焦った様に私を抱きしめるルドルフ先輩に私は申し訳無さを感じつつも、震える手で机の上に置いてある痛み止めを指さした。
「すみません…………薬を……薬を取ってください……」
「薬だな! 分かった、任せてくれ。」
ルドルフ先輩は私を優しくお姫様だっこでベッドへと運ぶと、寮に備え付けられている水道からコップに水を汲んで机の上にある痛み止めと共に差し出してくれた。
ゆっくりと、痛み止めをルドルフ先輩が持ってきてくれた水で流し込んでいく。途中一気に飲み過ぎたのか少し咽てしまったけど、ルドルフ先輩は嫌な顔せず汗で湿気っているはずの私の寝巻の上から背中を優しくさすってくれた。
「…………ありがとうございますルドルフ先輩。」
「なに…………君の為ならこれ位なんということはないさ。」
どれくらいの時間が過ぎたのかは分からないけれど、即効性の痛み止めの効果で少しずつ痛みがマシになって来た私は申し訳無さで小さくそうルドルフ先輩にお礼を言った。そんな私の声に、ルドルフ先輩には柔和な微笑でそう返してくれた。
正直に言って、普段なら申し訳無さの方が出るのだけど今だけは素直にルドルフ先輩の言葉が嬉しかった。
「大丈夫か? 」
「まだ痛みますけど、さっきまでよりも大分マシになりました。」
「そうか…………それで……すまないがどうしてこうなっているのか、私にも教えてくれないだろうか?」
私の手を握りながら、努めて優しく話すルドルフ先輩に私は全てを話した。既に本格化が始まり成長痛があること自体は先輩には伝えていたのだけど、ここ数日は痛みが尋常ではない事や殆ど眠れていない事。日中は目の隈をメイクで隠している事など、本格化の痛みに耐えられない情けないウマ娘だと思われたく無くて隠していた事を素直に告げた。
隠していた事を責められるだろうか…………
はたまた情けないウマ娘だと思われただろうか…………
話すごとに思わず顔を俯かせてしまった私に、「…………そうか。」ルドルフ先輩は一言だけ返してくれるだけだった。
私もルドルフ先輩もそれから一言も口を開くことは無い。10秒か、1分か…………はたまた10分も経ったかもしれない。
沈黙が部屋を支配する中で唐突に、私はルドルフ先輩に抱きしめられた。
「話してくれてありがとうネイチャ。大丈夫だ…………私も君の友人もその様な些細な事で君を嫌いになったりしない。むしろネイチャに頼られて嬉しいくらいだとも。」
「ルドルフ先輩…………」
「大丈夫、本格化に伴う体の変化はウマ娘それぞれだ。君の……ネイチャの本格化は人よりもキツイものだっただけ。何も恥じる事など無いんだ。」
ルドルフ先輩は私を抱きしめながら優しい手つきで私の頭を撫でながらそう励ましてくれた。ウマ娘特有の人より高い体温が温かく、私は今だけその温もりに甘えていたかった。
「…………はい。ありがとうございます。」
「さて、落ち着いたのなら着替えなければな。そのまま寝てしまっては風邪をひいてしまうかもしてないから。」
そっと私から離れながら、ルドルフ先輩はそう笑いながら指摘して来た。確かに…………私の寝巻は汗でぐっしょりと濡れているし風邪云々を抜きにしてもこのまま寝るのは不快感があった。
「そうですね。一度きが「ネイチャはそこで安静にしていると良い」…………はい。」
「トレセンのジャージで良かったかな?それとも私の予備を貸そうか?」
「う…………私のジャージでお願いします。」
「…………そうか。」
私の代わりに着替えを持ってきてくれるのはありがたいのだけど、ルドルフ先輩は私の返答に少しガッカリした様な、少し残念そうな顔を一瞬浮かべた。
ゆっくりと、汗で濡れた寝巻を脱いでいく。痛み止めが効いて大分楽になったとはいえそれでもやはり体を動かすと痛みが来て少しだけ億劫になったけど、何とか上を脱いで寝巻を床へと放った。
あまり褒められた行為ではないのだけれど、それ以上動くのは私の体の調子から躊躇われたし何よりルドルフ先輩が素早くてきぱきと私のジャージを持ってきてくれたのでベッドの上から動く必要が無かった。
「着替える前に少しでも体を拭いた方が良いだろう。ネイチャ少し触るが我慢してくれ?」
ルドルフ先輩はそう言って私の体に濡らしたタオルを宛がった。少しくすぐったいけれど、水で濡らしてひんやりと冷たいタオルが汗でべた付く私の肌を拭っていく感覚が心地よい。
「んぅ…………ふぅ………」
拭われる度に思わずくすぐったさでそんな声が出てしまった。
「そら、これで終わりだ。体を冷やさない内に早く着替えると良い。」
「あはは…………すみません、こんな事までして貰っちゃって。」
いそいそと体操服、ジャージと順番に着替えながらそう呟いた私に、ルドルフ先輩はただ一言「気にするな」と言ってくれた。
そんなルドルフ先輩の気遣いが有難くて、私の脱いだ服を洗濯カゴへと入れる為に私から離れて行ったルドルフ先輩の背に小さく頭を下げた。
「着替え終わったなら電気を消すが良いかな?」
「あ、はい! 大丈夫です。」
ルドルフ先輩の問いかけに私がそう答えたあと、少しの間を置いて再び私達の部屋は暗闇へと世界を移した。電灯によって明るさに慣れていた私の目は一瞬にして何も見えなくなり、ぼんやりと明るい窓際とカーテンだけがうっすらと見えるのみだった。
ゆっくりと、私はベッドへと起こしていた体を預けた。薬を飲む前と比べれば遥かに楽になった体に、これならば少しは眠れるだろうと少しだけ安堵の溜息を吐いた時、私の纏っていた掛布団が少しだけ捲られた。
「ネイチャ…………すまないが少しだけ詰めて貰えるかな?」
「えっと…………先輩?」
「ん…………これ位でいいかな。」
てっきり自分のベッドへと戻ると思っていたルドルフ先輩が私のベッドへと入って来たのだ。思わず体を起こそうとしてしまった私をルドルフ先輩は優しくベッドへと押し倒し、そのまま私の隣へと横に…………所謂添い寝の様な状態になった。
「る、ルドルフ先輩?」
「なに、私が小さい頃にお母様にして貰った事を思い出してね。」
ルドルフ先輩はそう言って私を優しく抱きしめると、空いていた手で私の頭をゆっくりと撫で始めた。
「私が熱を出すと何時もこうして添い寝してくれてね…………風邪だと移るかもしれないというのに…………」
「…………良いお母様ですね。」
「まったく…………だが不思議とどんなに辛くてもこうやって抱きしめられるとぐっすりと眠れるんだ。」
少しだけ嬉しそうに話すルドルフ先輩に、自然と私も笑みが零れた。
「明日は選抜レースだ。ネイチャは出れないかもしれないが、見るだけでも十分に糧になるだろう。」
「そうですね。」
「あぁ。だから今のうちにしっかりと休んで疲れを取ると良い。」
そう言って優しく撫で続けるルドルフ先輩に甘える様に、驚いて思わず強張っていた体から力を抜いた。ウマ娘特有の人より高い体温が心地よく私の体を包み込んで、それでいてルドルフ先輩が普段使っている柔軟剤のふんわりとした香りも相まって私の体はすっかり安心しきっていた。
「♪~~♪~~♪~~」
まるで子守歌の様に、小さく歌うルドルフ先輩の歌声が私の耳を甘く揺らし、私はゆっくりと瞼を落した。
穏やかな眠気が私の意識を包み込んでいく感覚を確かに感じながら、しかし私はその感覚に抗うことなく身を任せた。
本当に、この心地よさに抗えな…………い…………
「ふふっ…………おやすみネイチャ。」
結局、私もルドルフ先輩もそのまま一緒に眠ってしまい寮長のモンテプリンスさんに遅刻寸前に起こされたのはまた別の話としておきたい。
笑いながら起こすモンテプリンスさんに、お互いに抱き着いて眠っていた私とルドルフ先輩という構図はめっっっっちゃ恥ずかしかった!
PS.人間ってマーライオンになるんですね…………
いや、マーライオンさんすみません。あと出来れば励みになるので感想下さい……
シガーネイチャのジュニア期以降の進路
-
ルドルフ先輩に続け無敗三冠
-
いやいや、トリプルティアラこそ至高
-
もっと上を目指そう海外クラシック挑戦
-
良いパワーしてるね?国内外ダート挑戦
-
その他