元人理救った人類最後のマスターその2、現在クリプター   作:Mr.ドリアン

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〜前回のちょっと続き〜



「神に?」

「はい」

「いやいや。そんなポンポン会えるものなんですか?神って」

「一柱だけ」

彼女は真剣な眼でそう言ってくる。

「富士の山はご存知ですか?」

「まぁ、はい」

「その近くにある浅間と呼ばれる場所の大社に大山津見神がいます。大らかで快活、大地のように広く寛大な心をお持ちのお方です」

彼女は何処から引っ張り出したのか、大雑把にではあるが、ここいらの地形がわかる手書き地図を引っ張り出してくると、俺の前で広げる。

「現在、貴方がいるのがここ。私達からは足柄山と呼ばれています。そしてここが浅間の大社。なので、山を二つ程越えれば、人里が見えるはずです。そこから更に一日程進めば見えてくる筈です」

現在の位置を指さし、そこから指を進めていく。直線距離で進めていき、途中で人里らしき開けた部分を通り彼女が指したのは、山の麓だった。

「ここが浅間の大社です。先程も申しましたが、大山津見神は寛大なお方です。献上品、簡単に言ってしまえば手土産です。それの一つでも持っていけば、急な訪問も許してくれると思います。ただ、山の神なので一応海の物は避けてください」

神様にしては珍しい部類の神様だなと思った。俺の中の神様なんて、終○のワルキューレのような神様(釈○は除く)しかイメージしかない。俺はポセ○ドンが好き。キャラとして。あんなん、リアルでいたらリアルで災害でしかないやん。

てか、ちゃんと海の物どうこうってあるんだな。なんか前、鉄○DASHかなんかで聞いたことあるわ、嫉妬するかわヤマオコゼかなんかを捧げるって。

「そうそう。山の中には魔獣がおりますので注意してください。出会うことなんて稀ですけど」

どうやら魔獣もいるらしい。いや、ここも山よな?その中に住んでるって、金太郎と一緒に住んでるとはいえ、八重桐さん何者?

俺はふと思ったその質問は言葉に出さずに呑み込んだ。なんか、聞いては行けない気がした。

「なんか、色々ありがとうございます」

「いえ、貴方の旅路が幸あるものになることを願っております」





神に会おう!(会えるとは言ってない)

 

 

「いやでも、神に会ってみないかって言われてもなぁ……」

 

「おじさーん!はやくー!」

 

俺は現在、金太郎と共に富士山へ向かっている。なんで金太郎がいるのかって?なんか、ついてきた。

 

訳を言うならば、朝に八重桐さんから弁当まで作ってもらって、いざ出発するときに金太郎に『私もいーくー!』と俺の足にしがみついてゴネだし、一緒に連れていく事になった。大丈夫なのかと八重桐さんに聞けば。

 

「金ちゃん。お侍さんよりも強かったりしますから」

 

そう返ってきた。いや、俺が心配してるのアンタの方なんだが。

 

金太郎の身体能力が異常なのは理解している。そもそも、本来の歴史では未来の英霊様だし、逸話上でも幼少期に熊と相撲取ってたりしているのだ。おかしくないはずがない。

 

実際、彼女はウ○娘ばりに山道を走れ、スーパー○○○人のように一飛びで端から端まで20mあるんじゃないかという崖を飛び越えるし。何気にそれについていってる俺の体凄くね?それに全然、疲れない。

 

「一応、手土産持ったが、これで大丈夫かね?」

 

俺は手土産として、どら焼きもどきを持っている。人里を出た際に小麦粉と卵、あんこを運良くが手に入ることができた為、砂糖抜きホットケーキを作ってそこにあんこ挟んだどら焼きもどきを作った。

 

ん?重曹?知らない子ですね。

 

 

俺の特典の内容は『魔術の才能』だったのだが、どうやら俺の魔術の適正は火と水でしかもかなり上等なものらしく、大気中の水素を操れたり、体を炎そのものにするといった何処かの『取り消せよ………。ハァ………、今の言葉ァ!』とか言ってそうな敗北者の息子みたいなことができた。ゲームに登場してたらきっと俺のあだ名は敗北者だったに違いない。

 

それのお陰で、川に落ちてた面積の広い石を鉄板代わりにしてホットケーキが焼けた。勿論、魔術使って石は洗浄したぜ?

 

味見に出来たうちの一つを半分にして、金太郎と食べたが、そこそこ美味しいものができたと思う。金太郎も美味しいって言ってくれた。

 

まぁ、神様相手に手料理を手土産にするなんておかしいけどな!

 

「八重桐さんの話だとこの近くのは、ず………」

 

八重桐さんが示した場所の周辺まで来た俺はあたりを見渡し、絶句した。

 

「疲れてきた………」

 

「ここなら数日で会えそうだな」

 

「うぅ……。おみずぅ………」

 

「はいはい。それくらいはちゃんとしなさい」

 

「凄い行列だべ……」

 

「うぇーん!うぇーん!」

 

「おぉ、よしよし。泣かないで可愛いい坊や」

 

「………………………………あー、うん」

 

そこには長蛇の列があった。列の方を辿っていけば、長い長い石段があり、それは一つの大社へと繋がっており、そこにも何百の人間が並んでいた。

 

「寛大どうこうじゃないだろ、最早」

 

それは人気の新作ゲームを買おうとするバイヤーの列のように長かった。いや、それの比にならないくらいには長かった。

 

大山津見神って神様は、この人数を相手に相談やらなんやらを受けているようだ。恐らくだが、大山津見神さんはこれを商売にしてるんじゃないか?俺は訝しんだ。

 

「おぉー!凄いねおじさん!」

 

「凄いどうこうなのか?これは」

 

この人間の数からして、中には田舎から出てきて一目会いたいとか、そういうのもいるんだろう。最後の親子に関しては多分、子供に名前でも貰いに来たのだろう。神様から貰った名前とか御利益が凄そう(小並感)

 

「ちょっと考えればわかったんだけどな。並ぶんだったら生物はよくなかったな。しゃーない。出直そう」

 

「えー!ここまで来たのに!?もったいないよー!」

 

「近くに人里もあるだろ?今回は適当に宿を探そう。次はもっと日持ちのいいのを用意して並べばいい。ほら、もったいねぇから川の方でこれ食おうぜ」

 

「おじさん、遅いよー!早く早く!」

 

「現金すぎるだろ」

 

目の前にいたはずの彼女は既に来た道を戻り、川の方へと向かっている。彼女が子供なのは理解しているが、やはり山暮らしの彼女にはこういうものを食す機会は少ないのだろうと考える。

 

確か、あんこのお菓子がよく食べられるようになったのって、鎌倉からだったけか?なんか、小学校の時の自由研究でネタに困りに困って、俺の好きな和菓子のレポート(笑)を作った記憶がある。

 

俺は彼女を見失わないように駆け出す。そんな俺達を見ていた桜色のなにかは多分すぐに触れることになるだろう。

 

 

 

 

 

「お菓子♪お菓子♪」

 

「そう慌てるなよ」

 

人が見えなくなり、俺と金太郎は川岸にある大きな岩の上に座る。俺がどら焼きを包んだ葉っぱを剥がして、どら焼きを取り出せば、金太郎は目をキラキラさせて口から涎がダラダラを垂らしている。どうやら、この子はどら焼きが大層気に入ったようだ。今の彼女はオヤツを前に待てをされてる犬のようだった。

 

俺が一個、彼女にどら焼きを差し出せば、彼女は奪うように俺の手からどら焼きを受け取り、少しづつ味わうように食べ始める。それを見て、俺も一つどら焼きを手に取り、口に運ぶ。

 

「まぁ、なかなかに美味いものはできたろ」

 

あんこを包む生地もふんわりと焼け、あんこもそもそもが上等なものなのか、口に含めれば、主張しすぎないほのかで上品な甘み?ってやつが口の中に広がる。現代だったら普段なら高くて手が出ない有名な老舗和菓子店が使ってるようなあんこだと俺は推測する。

 

「お嬢ちゃんも一つどうだい?」

 

「びくっ」

 

俺がどら焼きを一つ取って、後ろの方でこそこそとこちらを見ている少女に声をかける。声でびくっを言うとは中々に面白い娘なのは間違いないだろう。

 

俺と金太郎が声がした方に顔を向ければ、パステルピンクの髪を腰まで伸ばし、前の髪を結んで垂らしている金太郎と同じくらいのジト目の少女がいた。

 

すると、金太郎は岩から飛び降りて、少女の方に駆け寄る。

 

「私、金太郎!あなたは?」

 

「さ、桜……」

 

「そっか!桜ちゃんって言うんだね!一緒に食べよ!おじさんの作ったどら焼き?美味しいんだよ!」

 

「う、うん」

 

桜と名乗った少女は内気な性格なのか、金太郎の押しに負け、そのまま手を引かれて先程まで座っていた岩の元まで連れてこられる。

 

金太郎が俺を見てくるので、俺はどら焼きを桜と名乗った少女に差し出す。彼女は恐る恐ると、どら焼きを受け取ると口に運ぶ。

 

「ッ!んま、んま」

 

「でしょでしょ!」

 

次の瞬間、彼女は目を輝かせて、夢中でどら焼きを頬張り始める。それを見て、金太郎も嬉しそうな顔をして手に持っていた食べかけのどら焼きを再度食べ始める。

 

川のせせらぎをBGMに俺は少女二人がどら焼きを頬張る姿を眺める。二人共、いい顔をしてどら焼きを食べてくれるので、作った身としても嬉しい限りだ。

 

今の俺がしている行動が現代でいうところでは幼女二人にお菓子を与えて、食べてる所を見ている変態不審者でしかないが、まぁそれは気にしないでおこう。うん。

 

 

桜の事を再度、ちゃんと見てみる。来ている服は薄く桜の模様が描かれた桜色の白衣に亜麻色の袴を着ており、先程見た行列の先にある浅間の大社の関係者なのは予測がつく。

 

「名前が桜で、浅間。………まさかな」

 

俺は取り敢えず考えるのをやめ、楽しそうにどら焼きを食べる二人に俺の手元に残っているどら焼きを差し出した。




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