元人理救った人類最後のマスターその2、現在クリプター 作:Mr.ドリアン
まだ、曇りません。
人理継続保障機関フィニス・カルデア
西経0度の地球最南端の標高6000メートルの雪山の地下にあり、時計塔において天体科を牛耳るアニムスフィア家が管理している国連承認機関だ。
2016年に突如として生まれた2017年までの空白の間に起こった事件、人理焼却。
魔術王ソロモンが引き起こしたものであり、地球の歴史を一度白紙にして、そのまま新しい惑星を作るというものだ。
彼等が成し遂げたことは、誰にも知られず、誰にも残らない。しかし、世界を救うという大義の元に人理修復を成し遂げた英雄達の集う場所だ。
そんな中、二人の男女が片付けている部屋が存在した。しかし、やっている事は、残すべき物と、捨てる物の選別をしているようだった。それもそのはず、この部屋の本来の主は世界を救った者達の中で、魔術王ソロモンを打倒するために唯一犠牲となり、帰らぬ者となってしまったとある男の部屋である。
「イアソン。これ、持ってなさい」
「イアソン。これも持っていろ」
「…………イアソン。これも持て」
「おい、イアソン。これとこれ。持ってくから手伝え」
「ちょっと待てお前等ァァァァっっっっ!!!!!!!」
その部屋にいるのは、ギリシャの神代においてコルキスの金羊毛を手に入れる為の旅に出たアルゴー船、その船長であったイオルコスの元王子のイアソンとその船員達、通称アルゴノーツの数名だった。
この部屋にいるのは、生前愛に溺れ、愛する者(小物)に裏切られた事でサイコパスからまともになったコルキスの元王女、メディア。月の女神アルテミスを信仰するギリシャにおいて随一の俊足を持つネコミミの自分より足の遅い男許さないウーマン、アタランテ。現代においても医療の神と信仰されており、偉業が偉業過ぎてゼウスに「ちょっwwおま、蘇りはやりすぎww」と殺され、その後に別の神が怒ったので蘇らせられて星座になるという矛盾に苛まれた男、アスクレピオス。男に愛され、神にも愛され(その後○○なことされる)、それが嫌で男になった筈なのにカルデアに召喚されたら女だった事に何気に不満を持ち、ボロボロになっているのが似合う女、カイニス。
そして、現在、そんな彼等の荷物持ちをしている金色の髪と爽やかな顔からぱっと見は好青年である彼は、その中身は傲慢不遜、英雄ヘラクレスの脛齧り、発言も行動も全てが小物の中の小物、小物オブ・ザ・イヤー受賞。しかしその素質は英雄そのものであり、怪物級のカリスマは持っている。しかし、仲間には恵まれず、真価を発揮させるタイミングに恵まれず、上記の性格から一部の上位の存在(プレイヤー及びFateファン)からは『成功しかけたワカメ』と言われている。このカルデアの医療部門トップのサボり魔ことロマニ・アーキマンからは、『色々とあれだった幼少期のメディアを現実的な女性に成長させたこと(過程等は除くものとする)は評価に値する』と言われるくらいだ。
「なんか俺だけ、説明長い割に悪口しかなくないか!?」
「イアソン、そんな大声を出してマスター達が来てしまったらどうする」
「あぁ、悪かった。…………ではない!!なんだ、この荷物の量は!?私は荷物持ちになった覚えはないぞ!」
「なに?文句あるの?」
「いえ、ありません」
イアソンはその場で自分の扱いに納得がいかず、その場で地団駄を踏む。しかし、メディアがイアソンを一睨みすると、すん、と何事もなかったかのように大人しくある。この姿がこそイアソンであり、カルデアに召喚された英雄の中でも弱く、普段の彼は格上には逆らえない情けのない男だ。流石小物である。
余談だが、女性に男が勝てないのは神代の頃からの決まり事のようなものであり、足の部位の名前にもなった程の俊足を持つギリシャの英雄アキレウスも彼が姐さんと慕うアタランテには逆らえない。
「しょうがないでしょ。ヘラクレスはここに入れないんだから」
このカルデアには、イアソンの友でありギリシャ一の英雄であるヘラクレスが存在するが、彼はあまりにも巨体なため、この部屋に入ることができなかった為に代わりにイアソンが荷物持ちをやらされている。
その事にイアソンは少なからず不満を覚えているが、今現在メディア達がしているのは、自分が手伝ってくれと頼んだものであり、それを行った手前、逆らうことができない。だが、それはそれとして彼のプライドがそれを許さない。しかし、彼にそれを言う勇気はない。
「でも、彼はイアソンなんかにこの部屋の処理を頼んだのかしら?」
「そこは信頼してのことだろう。マスター達の事を察することができ、迷いなく残った物を捨てられる。それから我々、というよりメディアに頼る事も織り込んだ上でのことだろう」
「………まぁ、そうね。確かにイアソンに任せた。というのは正解かもしれないわね」
この部屋の主はソロモンとの決戦前にイアソンにある頼みごとをしていた。それは、『自分になにかあったら、この部屋にあるものの処分』である。
頼まれたイアソンは、何言ってるんだお前と突っ返したが、ソロモンとの決戦後に部屋の主はそのまま帰らぬ者となってしまった為にイアソンは、アレが人に頼む程だからというのと、何気に仲は良好だった部屋の主の頼み事ということもあり、遺品整理としてここのマスターである藤丸立香に突入される前にこの部屋の片付けを始ることにした。
その際に部屋の主が現代において優秀な魔術師だったことから片付て欲しい物が魔術関連の物とあたりをつけ、あまり会いたくなかったメディアに頼みを入れ、部屋の片付けの協力を仰いだ。それを受けたメディアが話を受け、部屋を見た後に信頼できる人手が必要と言われ、アルゴノーツに招集をかけた次第だった。
「これと、これと、これ。あと、これもね」
「おい、それは普通のペンだろ………」
「そんなわけないでしょ?」
イアソンが持つダンボールの中に次々と物を放り込む。その中には使われていたであろう一部のペンやアクセサリーなども含まれていた。
流石に無駄な物も入っていると感じたイアソンがメディアに物申すが、メディアは呆れたように先程のペンを手に取り、蓋を取って、イアソンの方にペン先を向ける。
瞬間、ペン先から何かが飛び出し、イアソンの横に何かが通り抜ける。イアソンが自身の方に飛来したものが向かった先を見れば、壁が少し抉れていた。
「護身用のガンドが仕込まれてるペンよ」
「お、おま、お前!危ないだろ!?」
「これで死んでくれればよかったのに」
「おい!」
「………これは、他の人が間違えて使わないために回収するのよ。認識阻害の魔術もかけてあるから、普通の魔術師から見てもぱっと見は普通のペンですもの」
メディアはペンの蓋を閉めると再びそれをダンボールの中へといれ、ガンドが抉った壁を修繕する。
「メディア。ここら一帯の物は貰っていくぞ?処分する程の物ではないからな」
「構わないわ。それと、これも持っていっていいわよ」
「メディア。彼の使っていた玩具一式はどうする?」
「それはそのままこの部屋に残しておいて。遺品整理の時にマスターに回収させるわ」
「おい、メディア。ここらはダヴィンチの野郎に回すでいいか?」
「それと、これもね。よろしく頼むわ」
メディアが現在行っているのは、この部屋の主が残したものから処分すべき物と、処分しなくていいものの選別だった。彼が仕舞っているものの中には現代においてはあまりにも危険な研究データや研究成果が幾つか存在しており、それらの処分と、それとは別にこのカルデアの維持に役に立てる物は後々使える部署に回す予定だ。先程のペンは目印をつけた上で自身のマスターが信頼している医師のロマニ・アーキマンを経由してマスターに回す予定だ。
「よし、イアソン。持ってくからそっちの箱を持て」
「だからなんで俺はしれっと荷物持ちをされているんだ!?」
カイニスが素材が詰まった箱を持つと、持ちきれなかった箱をイアソンに持つように促される。それにイアソンは再び不満を垂れる。
「イアソン。正直、邪魔だからこれ持っていってちょうだい」
「はい、喜んで!」
しかし、メディアには勝てないイアソン。それを見たカイニスから「情けねぇ……」と言われるが、イアソンが今それを言い返そうものならメディアから何が飛んでくるのかわからないため、大人しく今持っている荷物を机の上において、素材の箱を持ってカイニスと共にこの部屋から出ていくことが最優先だった。
「あれ?イアソンにカイニス?」
「こんにちは。カイニスさん、イアソンさん。そちらの荷物は?」
「げっ、マスター」
カルデアの英霊召喚成功例の第三号であり技術局特別名誉顧問、レオナルド・ダ・ヴィンチの工房に二人が入ると、そこには部屋の主であるダヴィンチはおらず、彼等のマスターである藤丸立香と、彼の最初のサーヴァントであるマシュ・キリエライトがいた。
思わず、顔を顰めてしまうイアソンだったが、すぐに顔を元に戻す。
「アイツが貯めていた素材達だよ。別の場所に保管してたらしくてな、ダヴィンチに持ってこいって頼まれたんだ」
「先輩の……?」
「あぁ。恐らくは、魔術の研究にでも使う予定だった物たちだろう。使う予定だった人間がいなくなったんだ。ダヴィンチも使える物は使うべきという考えなのだろう。全く、この私に使いっ走りのようなことをさせるとは、あの女、男?まぁ、いい。アイツも随分と偉くなったものだな」
「お前にはお似合いだろ」
「おい!」
こういう場面だけは口が大道芸の傘回しレベルで回る口にカイニスは呆れる。しかし、こればっかりは立香達を理解させる事に成功させている。
因みにだが、ダヴィンチやロマニ、所長のオルガマリーといったカルデアの上層部の面々は立香達が入る前に部屋の片付けをすることに関しては、了承している。オルガマリーはかなり渋っていはしたが、危険物を置いておくわけにもいかないため、と渋々ながら了承した。
「おや、イアソンとカイニス?なんのようだい?」
すると、二人が入ってきた扉からこの部屋の主であるレオナルド・ダ・ヴィンチが入ってくる。彼女は特殊なタイプの英霊であり、生前は男だったが、自身がタイプの女性(モナ・リザ)になることだ……!とモナ・リザの姿となり召喚された英霊だ。ゲームでよく見る、実は女だったということにして女体化させることではなく、まさしく自分から女体化するという方法を取った変態だ。取り敢えず、一般的なソシャゲにおいて、取り敢えず織田信長を女体化させるのはやめよう。
「馬鹿を言え。アイツが素材を仕舞っていた場所から素材を持ってこいと言ったのはお前だろう」
「………そうだったね。いや、失敬失敬」
イアソンの話を聞き、奥の方に立香とマシュの姿を確認したダヴィンチは、即座にイアソンの話を合わせる。
ダヴィンチはそのまま、まずイアソンから荷物を受け取ると、部屋の中を進んでいき、奥の部屋の扉を開けて、扉の奥へと消えていく。カイニスはダヴィンチについていき、律儀に扉の前で待機していた。
「そういえば、お前たちは何用でここに来たんだ?」
「え?あ、えっと。先輩の部屋、なんていうかその、掃除がしたくてさ……」
立香は恐る恐ると言った感じで答える。イアソンは内心、やっぱりな、としか思わなかったが、それなのにダヴィンチの部屋に来ているということは、許可を貰わないと入れない部屋だというのは理解しているようだ。
「それなら、勝手に掃除の一つでもしてやればいいだろう?態々許可を貰いに来る必要が何処にある」
勝手に掃除されたならされたで困るのはお前だろうと言われるであろうイアソンは、それとは別に態々、ダヴィンチに許可を貰いに来たのであろう二人に疑問を覚えた。
「あの人の部屋は工房にもなっていたので、先に入室の許可を頂かないと、触っていいものと悪いものがわかりませんので」
すると、マシュがその疑問に答える。一応、あの部屋が危険物や見てはいけないものだらけなのは理解しているようだった。
「おや、彼の部屋の掃除をしてくれるのかい?」
そこに素材の山たちを仕舞って戻ってきたダヴィンチとカイニスがおり、三人の会話に混ざってきた。
「はい。許可をいただきたく」
「だめ、ですか?」
「んー。難しいなぁ……」
すると、ダヴィンチはわざとらしく悩むように顎の下に手を持っていき、思案しているように見せる。
しかし、ここでダヴィンチが許可を出すことはない。なぜなら、許可を出せば二人は直接部屋に向かう可能性が高く、そうなれば選別しているメディア達と鉢合わせてしまう。
すると、ダヴィンチはいいことを思いついたとでも言うように目を開く。
「それならまずは、自分の部屋の片付けからどうだい?彼もまずは自分の周りからやれ、というだろうからね。それと、彼の部屋を掃除するときに私とロマニの監督の元、というならいいよ」
「っ!はい!ありがとうございます!」
「ありがとうございます!」
「あ、くれぐれも勝手に部屋に入らないでくれたまえよ。危険な物があるかもだからね」
立香とマシュは嬉しそうに頷いて部屋から退出していく。それを見て、ダヴィンチは少しだけ申し訳ない、と言いたい顔になる。
「いいのかよ?もう、俺等に殆ど整理はされちまってるぜ?ちっとは生活感を残すってことはしてるがよ」
「うん。しょうがないね。彼の研究成果は以前見せてもらったことがあるが、あれを他人に掠め取られるというのは納得いかない。時計塔の使節団が来るという話が出ている。それより前には早々に処分しておきたかったんだ」
ダヴィンチは彼の研究成果が現代の魔術から数歩先のものと言えるものだと理解しているが、それ以前に研究者として、共に世界を救った友人の研究成果が、他人に掠め取られる事が明白なのにそれを見逃せというのも納得がいかないのだ。ダヴィンチ自身にも生きていた証拠を消している、という自覚はあるが。
「まったく。世界を救ったのだからもう少し胸を張れってものだ!」
「………難しいんじゃないかな。彼はあの子達の精神的支柱だったからね」
立香は戦いを終えて落ち着いた頃から明らかに沈んでいることが多く、マシュは普段通りに見えるが、カルデアのスタッフ達や英霊達から見れば、自分の心が壊れないように自分自身を守るために心に蓋をしているようにしか見えない。
そもそもの話、立香達の旅は人任せを主義とするイアソン以外の英霊達から見ても、特に立香の境遇から考えれば、過酷としか言いようのない旅だった。
巨竜ファブニール、強力な毒を吐くことのできたラシアの竜となってしまった元ローマ皇帝ディオクレティアヌスを筆頭とした竜の軍勢を率いる竜の魔女ジャンヌ・ダルクとのフランス、オルレアンでの戦い。
神祖ロムルス=クィリヌス、文明を破壊するフンヌの女王アルテラが目の前に立ち塞がったセプテムでの死闘。
ギリシャ神話において、アーチャーとして顕現したヘラクレスを筆頭に当時最強の英傑達の乗る船アルゴノーツにトロイア戦争の英雄ヘクトールが加わった面子と経験のない海の上で相対することとなったオケアノスでの航海。
突如として強力になった毒の霧の中、殆どが毒への耐性が並ほどしかない英霊たちと共に駆け抜けた死界魔霧都市ロンドン。
ケルトの大英雄、クー・フーリンが真の姿で女王メイヴに召喚され、クリミアの天使、ナイチンゲールと共に少数でケルト陣営と相対する事となり泣きそうになったイ・プルーリバス・ウナムでの戦争。
女神ロンゴミニアドの加護が乗った一人一人が大英雄レベルのサーヴァントレベルの粛清騎士が立ち塞がるという鬼畜仕様な神聖円卓領域キャメロット。
英雄王が賢王として健在する時代、しかし、かの黄金の英雄王は社畜王へと姿を変えてしまっていた。更に重なる金星の女神のうっかりの応酬により事態が悪化していき、そんな中でビーストⅡの進行を食い止める事となったバビロニア。
そして、魔術王ソロモンとの最終決戦、冠位時間神殿での戦い。
英霊達の中で彼等が歩んできた旅路を全て知る者は少ない。全ての知っている者は、秘密を明かせぬまま終わってしまった英霊召喚成功例1号くんと、レオナルド・ダ・ヴィンチ、人理修復の前から医療機関の手助けの為に召喚されていたカルデアの英霊召喚成功例4号であるアスクレピオスくらいである。勿論、彼共の仲は大変良好だった。
しかし、そんな彼等でも当初は疑問に思っていた。なぜ、人理修復において、藤丸立香とマシュ・キリエライトの同行を彼は提案したのか、と。
ソロモンでさえ、藤丸立香とマシュ・キリエライトがいなければ、もっと簡単に人理修復を終えていた、と彼の強さを評価していた。
元々、当初の予定では立香をスペアに彼に人理修復をさせる予定になっていた。しかし、それを否定したのが、彼自身だった。自分だけでなく、彼等も連れて行くべきだ、と。最初は周り、特にロマニ・アーキマンは酷く反対していた。魔術の“ま“の字も知らなかった同郷の学生を巻き込むのか、と。英霊の一部たちにもその点においては、疑問に思っていた。
しかしそれは、人理修復の後になり、それが答えが正しかったと証明され、それがソロモンの唯一の誤算であった。
冠位時間神殿ソロモンにおいて、彼の自分の命と引き換えに放った決死の攻撃は確かにソロモンに“決定打“を与えた。しかし、その攻撃を受けたソロモンは、“立っていた“。
そこで、ダヴィンチは理解した。彼にとって、藤丸立香は、人理修復の、人類に残されたとっておきの“切り札“だったのだと。
今思い返せば、旅の途中で彼は、指示側に立つことなく、前線で英霊と肩を並べることの方が多かった。その代わりのように立香に指示を仰ぐ姿がよく確認されえいた。
藤丸立香と彼を明確に分けるもの。それは、“運命を味方にできる力“を持つかいなか、である。
確かに彼は強大な力を持っていた。英霊に匹敵するほどの。しかし、彼には“運命を味方につける力“を持っていなかった。そして、藤丸立香に眠るその力を見出したのだろう。現に特異点修復において、運が良かったと思う事が彼等には度々あったのだ。
彼は、人理修復をするつもりなど端からなかったのだろう。自分の旅がゴールの手前で終わることを理解していたのだろう。だからこそ、彼は自分に出来ることをしたのだ。“藤丸立香“を、“人類最後のマスター“をゴール近くまで導く、ということを。“藤丸立香“に人理修復という偉業を成させる為の礎となったのだ。
ソロモンの唯一の誤算はそこであり、自身の元まで到達できていたのが、全て彼の功績であり、藤丸立香がいる事のはデメリットにしかなっていないと考えたことだった。
それはそれとしても、彼の功績は大きい。
五代目ローマ皇帝、ネロ・クラウディウスはいった『よく、神祖様に打ち勝ったものだな』と。
アルゴー船船長、イアソンはいった『理性持ったアーチャークラスのヘラクレスに勝つとかお前等ヤバくね?』と。
ケルトの大英雄、クー・フーリンはいった『あの姿の俺に勝つたぁ、大したもんだ。それはそれとして、手合わせしろ。今すぐでいいぜ』と。
英雄王、ギルガメッシュはいった『あのうっかり女神が特大のうっかりを繰り返す中、あのティアマトを討ち取ったのは見事であり、尊敬に値しよう』と。
神祖としてのロムルスは元々は冠位クラスの英霊であり、それを呼ぶために無理矢理に格を下げた状態であった。アーチャークラスとして顕現していたヘラクレスはカルデアに“試練“という形で立ち塞がっていた面が大きかった。女王メイヴのわがままが強すぎてクーフーリンが頭を悩ませていた事が多く、だから勝利できたと言えた。うっかり女神?あれは、あかいあくまが女神よりも主張しすぎただけだ。
それでも、この旅は彼がいなければ、藤丸立香とマシュ・キリエライトだけの旅では、きっと乗り切るのは不可能だったと言えよう。なぜか我々が知っているような人理修復よりも、ソロモンのクソ野郎は難易度高め殺意マシマシで設定していたのだ。うわマジかソロモン最低だな。
そんな人理修復の旅で藤丸立香とマシュ・キリエライトを支えていたのは、間違いなく、彼なのである。
ソロモン、いや、敬意を持ってクソ野郎と呼ぼう。あのクソ野郎の言葉を真に受けている立香とマシュの心の傷は計り知れないだろう。
「ダヴィンチちゃん!自分の部屋の掃除終わりました!」
「マシュ・キリエライト、先輩と同時刻に自身の部屋の掃除を終わらせてきました!」
そんな事をダヴィンチが考えていると、飛んで来るように部屋に入ってきたのは、先程にこの部屋を出ていった筈の立香とマシュだった。
それには、ダヴィンチもカイニスもイアソンも目を見開いて驚いた。
「え?も、もう終わったのかい?流石に適当は駄目なんじゃないかな?」
「そんなことないですよ!一度、部屋を確認してもらってもかまいません」
「右に同じく、です」
「お、おぉ………」
立香とマシュのあまりの力強さにダヴィンチは気圧され、立ち退いてしまう。
「よ、よーし。なら、ロマニを呼んで、部屋のチェックをさせてもらおうかな?」
「「はい!」」
ダヴィンチはそのまま二人に引っ張られるように部屋を出ていく。
「…………あいつ等、ヤバすぎだろ」
「まぁ、アイツの能天気さが移ったって考えればいいだろ」
それを見て、残された二人は若干引いていた。
「ん?ということはあいつ等、すぐにアイツの部屋行かないか?」
「……………あ」
次の瞬間、二人は急いで彼の部屋へと戻っていった。
俺なんで、コイツ中心で書き始めたんだろう。
それは別として、投稿する前に新しく書かれた感想を見に行くんですが、いつ掲示板のこと言われるかハラハラしてたらついに言われてて笑いましたww。
一応、この話を作ったきっかけが特異点を鬼畜にしよう!って所から始まって、オリ主が物語を円滑に進める舞台装置として生まれたものです。
え?じゃあ、なんで第一部を書かないんだ?
攻略がこじつけになりかねないから。
因みに現在の主人公の状態は、「落ち込んでばかりじゃいられない。先輩の意思を受け継いでがんばろう」という状態です。