元人理救った人類最後のマスターその2、現在クリプター 作:Mr.ドリアン
11月末までリアルが忙しく、12月はモチベが上がらず、好きななろう作品がアニメ化し、それの二次小説を衝動書きしていたら年が明けてしまいましたm(_ _)m
「……ッ!」
「はははっ!待て待てー!」
金太郎と桜が森の中を駆ける。
桜が木と木の間を縫うように走り抜けていくなか、金太郎が森の木を折らないように加減しながら、木の太い枝などを足場にして直線的に飛ぶようにして桜を追いかける。
「つかまえ、た!………ほよ?」
追いついた金太郎が桜を背後から枕抱きで捕まえたかと思うと、途端に金太郎が抱えた桜が人型の木へと変化し、パラパラと朽ち落ちる。
「残念。こっち」
「あ!待てー!」
「うわ、木遁分身とか使えるのかよ」
そして背後から桜が現れ、金太郎は崩壊している木をそのままに桜を追いかけ始める。
俺はちらっと、先程まで桜だった木を見る。木は既に唯の木へと戻っているが、よく見ればその木には神秘の残滓があり、それが魔術的な物ではないことが経験(体の覚えてる勘に近いそれ)でわかる。
「もう!逃さない、よ!」
「……ッ!?……『おねがい』!」
「ほよっ!?」
金太郎の体に金色の雷が迸る。すると、先程とは比べ物にはならないスピードで桜に接近していく。しかし、最低限の制御しかできないのか、彼女が通った場所にあった木が風圧やら彼女に直接当たったりで所々抉れていた。
桜は突然の金太郎の変化に驚くが、すぐに冷静さを取り戻し、誰かに向かって叫ぶと、地面から一本の蔓が金太郎の足へと伸び、金太郎を掴む。そしてそのまま遠くへと金太郎を投げ飛ばす。
「『隠して』」
桜はそう言うと、次は地面から大量の根が伸びて桜を覆うように囲むと、そのまま地面へと潜っていき、盛り上がった地面が自然と元の位置に戻っていき、最初から何もいなかったようになる。
「やったなー!……………あれ?」
遠くへと飛ばされた金太郎が元の場所へと戻ってくるが、そこに桜がいないことに困惑したように周りをキョロキョロする。どうやら薄っすらと気配は感じているようで、それなのに何処にも見当たらないので戸惑っているようだ。
何度か周りを見回していた金太郎の動きが止まる。
「…………よっ、と!」
そして数歩、その場から動いたと思うと、地面に拳による大振りの一撃を見舞う。瞬間、周辺一帯が大きな縦揺れに襲われ、木に止まっていた鳥たちが一斉に空へと逃げていき、鹿といった動物達が何事かとピョンピョンその場で跳ねると、野生の勘からか金太郎がいる方向とは逆方向へと走っていった。そして、地面から追い出されるように桜を囲った木の球体が飛び出して来る。
「……!」
「あっ!待て待てー!」
地面から追い出された球体はそのまま金太郎から離れるようにゴロゴロと見た目からは考えつかない速度で転がっていく。金太郎はそれを確認すると、声を上げ、再び追跡を開始する。
木と木の隙間を、時より方向を変え、時には高低差のある場所を転がっていき、確実に金太郎の体力を削りながら木の球体は進んでいく。しかし、金太郎には体力の限界がないのか、未だに息を切らすようなそぶりは見せない。
「………?!………!?」
「よーし、追い詰めたぞぉ……」
ついに逃げ場所のない壁際へと木の球体は追い込まれてしまう。
金太郎はジリジリと球体の距離を詰めていく。それに対して球体は中の桜の感情が現れているかのように逃げ道は無いかと見回すように世話しなく回っている。
「捕まえ――」
金太郎が球体に飛び掛かった瞬間、球体がガバッと開く。なんか、爆○を思い出した。
「――たぁっ!?」
そして、金太郎はそのまま為す術もなく球体に捕食された。中ではガンガンと金太郎が球体が外に出ようと暴れているのがわかる。すると、一仕事終えたとでも言うような顔で桜が球体の影から出てくる。
「……あ、おじさん」
「随分と、まぁ。凄いな、それ」
桜は俺を見つけると、とてとてと近づいてくる。俺は横目で金太郎の入っている球体を見る。
球体は時折、金太郎のパワーに負けて罅が入り変形するが、一瞬にして修復され、元の球体へと戻っている。
因みにだが、先程から彼女たちがやっているのは基本的になんでもありな"鬼ごっこ"だ。
なんでそうなったか?本人達曰く、食後の運動らしい。
「………『クク』と『カヤ』のおかげ」
「『クク』と『カヤ』?」
「ん。友達」
ぱっと見で桜の周りにはそれらしき姿は見えない、そのため、少し目を凝らせば彼女の周りに軽くほわほわした何かが見えた。恐らくアナスタシアのヴィに似た何かなのだろう。
今、しれっと能力ぽいもの使ったけど、気にしないで欲しい。うん。なんだこれ。キモッ。
「日本で有名な樹木系の妖精って、キジムナーくらいしか知らないからなぁ……」
俺は桜の言う『クク』というものがなにかを考えるが、あまりそれ系の話は詳しくない。こういう時、時折ある転生ものでいう掲示板とかがあれば絶対は一人いる有識者ニキに巡り会えたかもしれない。
しかし、俺にそんな能力はないため、それに詳しい人間を探すしかない。まぁ、神様に会えればなんとかなるはず。
「本来は、トト様の兄弟?らしい」
「兄弟?」
「ん」
そんなこと言われても俺はあまり日本神話の神様に関しても詳しくない。正直、モン○トに実装されてたらわかるかもしれない。流石にリ○ラガチャとかいうガチャのはよくわからないが。
「トト様も、ククも、カヤも、なにも教えてくれない。なぜ?」
「………さぁな。取り敢えず、喋ってくれるの待ったらどうだ?」
「………うん」
まぁ、子供の頃からよくいる友達って、わかるようで存外わからないことのほうが多いからしょうがないと思う。特に自分と出会う前の過去なんかは。なんだったら、成人間近くらいにできた友達の方が相手の過去に詳しかったりする。よくあることだ。きっと。
「…………なぁ、それはそうとさ。金太郎の入ってた球さ。穴空いてね?」
「え?」
ふと、金太郎が閉じ込められている筈の球体に目をやると、そこには爆発でもしたかのようにぶち破られた球体があった。
「――――――ッ!」
「「あ」」
瞬間、目の前には漫画だったら顔が目以外が影で表現させるような怖いくらい真顔の金太郎がいた。
「何かが見ていた、熊さんだー♪」
「殺られる前にやっちまえー♪」
「頭をかち割れ、このナタでー♪」
「逃げるな獣よ、首を出せー♪」
「物騒すぎるだろ、その歌」
通常の人間じゃ、目で追うことが出来るかも怪しいようなかけっこは最終的に金太郎の勝利で幕を閉じた。
一回、子供という概念を学び直したくなる一時でこそあったが、観戦していた俺もかなり楽しめた。
帰る事になり、桜が一晩泊めてくれる知り合いがいるというので、桜を送るついでにその恩恵にあやかろうと、一緒に山道を歩いていた。
「誰だよ。そんな歌教えたの」
「ネネ」
「桜ちゃん。おねーちゃんいるの?」
「ん。ネネが、ジジ様をイメージして、作った、言ってた」
「お前の爺ちゃん何者だよ」
桜が楽しそうに語るが、内容が内容なだけにこっちは笑える要素がない。
取り敢えずモデルになっているジジ様とやらもかなりイカれた奴なのはわかった。
「そういや、お前はなんで彼処にいたんだ?」
「トト様に、会い、来てた」
「お父さんに?」
「ん。トト様、忙しい。たまにしか、会えない」
桜はしょんぼりしたように頷く。
金太郎はその姿に心配したのか、桜に寄り添うと、背中を宥めるように撫でだす。俺は、普通にこういうことが出来るから、英雄とか言うのになれるのかもしれないな。と、どこか他人行儀に考えてしまう。
「だったら、お前の姉ちゃんと爺ちゃんのこと聞かせてくれよ」
「!!ん!」
俺がそう提案すれば、桜はパッと顔を上げて、目をキラキラとさせる。
「ネネは、面倒くさがりで、いつも、ぐうたらしてる。食べ物はジジ様が持ってくるのが当たり前って思ってて、私は本当はお姫様ーって言ってて、いつも、ジジ様に呆れられてる」
ただのニートやん。
「ネネは、れんあいもの?っていう本が大好きで、いつも横になってそれ読んで、時々バタバタって暴れてる」
めっちゃニートやん。
「ジジ様は、真っ黒で、大きくて、声が怖くて、何言ってるか、難しいから、よくわからなくて、でも、すごく強い!大きな熊を、こう、スパーン!って、大きな剣で、首を、こう、こう」
なにそれ怖い。
「ジジ様、急にうしろに、出てくるから、ちょっと怖い。大きな熊の、前に立ってたのに、気付いたら後ろにいて、そのまま、首を、こう、こう」
熊に恨みでもあるのかな?
「へぇ!素敵な家族だね!」
うん。そうだね。素敵だね。
「うん!」
ハハハッ。おじさん、ちょっと分からないや。
「金太郎の、家族は?」
「私の?私のおっかぁは凄いんだよ!」
金太郎と桜がワイワイと家族の自慢を言い合う。その姿は微笑ましいモノを感じるのだが、先程の桜の家族構成が、少しばかし彼女の将来を少し心配してしまう。ニートな姉と、熊に恨み持ってそうな爺ちゃん。
二人の幼い少女が話す姿を眺めながら少し後ろを歩く成人男性。完璧な事案だが、それを取り締まる法のワンちゃんやそれを案じるような怖い人たちもこの世界には存在しない。しかし、まぁ、うん。これは事案だな。
「あ、ここ」
段々と赤い空が暗くなっていき、月が見えてくるようになった時、小さな山道の入口の前に止まり、その方向へと指を指す。
しかし、その山道は明らかにただの山道には見えず、仄暗い雰囲気があり、入ったら帰ってこれないと思える程には恐ろしい何かを感じてしまう。漫画だったら、ジョジョのゴゴゴゴという効果音が付きそうだ。
「こ、ここ進んだ先に家があるのか?」
「ん」
俺は信じられず、思わず桜に聞き返してしまう。桜は平然と頷く。
「あ、ジジ様」
「………へ?」
「彷徨える秘匿者よ。何用でここに参った」
「……………」
感じる重圧に俺は息ができなかった。
あまりにも知っている声だった。そう、この声は、緑色のカエルの宇宙人が主人公に登場する伍長の声だ。
俺は恐る恐る後ろを見る。そこには、頭に角のある骸骨の被りモノをし、巨大な剣を持ち、黒い外套に身を包んだ男が立っていた。
「………暗殺集団の頭目が、なんでここにいるんすかね?」
「否。我は今、山の翁にあらず」
「我は竹取の翁。ハサン・サッバーハである」
先輩のサーヴァントが判明したら、第一部を始めるかもしれません。
今年もよろしくお願いします。