元人理救った人類最後のマスターその2、現在クリプター   作:Mr.ドリアン

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どうも、FGOの二部六章がクリアできない果物です。

七章にORT出てきたって、マジ?


翁の飯は美味い

 

「………というわけで、送り届けに来たわけで、下心で言えば、ついでに一晩泊めてくれるっていう知り合いを紹介してくれるらしいってそれくらいで、アンタがいるなんて思いもよらなかったよ!」

 

桜に連れて行かれるままに家へと上がらされ、外は暗くなり、現在俺は自在鉤に鍋が吊るされている囲炉裏を挟んで、山の翁もとい竹取の翁ことハサン・サッバーハにここに来た理由を説明した。記憶喪失については、ある程度知識残してる状態の記憶喪失ということで説明した。

 

「……秘匿者よ。汝の事情は理解した。我とて、迷える者に手を差し伸べるのは吝かではない」

 

山のおき「竹取の翁だ」……翁さんは説明しおえた俺を訝しむように目を細めてしばらく見た後、ゆっくりとそう告げた。

 

「なぁ、桜。泊めてくれる知り合いって」

 

「ん。ジジ様」

 

「……………」

 

「どうした秘匿者よ。我では不満か?」

 

「いえ!そのようなことは全く!」

 

俺が右に座る桜に小声で話していると、先程よりも声を少し低くした翁さんに声をかけられ、咄嗟に背筋を伸ばす。びくびくしているようで申し訳ないが、藤丸立香でも緊張の走るような場面でもなければ、こんな感じになってると思ってしまう。

 

「秘匿者よ。そう身を固くする必要はない。今の汝から何かを聞こうとは思わん。更に言えば、今の我はただの竹取。桜達を養う故に野山の獣の首を狩りはするが、竹取の翁である今の我に晩鐘が何者を示することもあるまい」

 

恐らく、翁さんから今は暗殺者じゃないし、誰も殺すつもりないから気楽にしていいよ。とか言われているのだろう。目の前にいる竹取の翁の声は限りなく優しいものというのもわかる。

 

ていうか、狂信者のアンタに何があったらそんなこと(竹取の翁)になるん?対暗殺者の暗殺者じゃないん?死を馳走しに参ったグランドじゃないん?

 

「おじさん、おじさん。この桜ちゃんのおじいちゃん。怖い感じがあるけど、いい人そうだね」

 

「そ、そうだな」

 

金太郎は俺に顔を寄せてそう言ってくる。やはりこういう、善意や悪意といったものは、子供の方がわかるのだろう。ある程度人の顔を伺うようになれば、ぱっと見どころかガン見しても、翁さんに優しい雰囲気を感じることは中々にないだろう。

 

「じゃ、じゃあ。一晩お世話なりま――」

 

「つかぬこと聞くぞ、秘匿者よ」

 

俺が翁さんに世話になることを挨拶しようとすると、それを遮るように翁さんは言葉を被せてくる。翁さんの方を見れば、何やら目が赤く光っていた。

 

あれ?俺なにかした?

 

「汝は他の者の恩情に甘え、堕落し、怠惰に興じる者をどう思う?」

 

ガタタッ!

 

桜の後ろにある扉から物音が聞こえた。

 

「まぁ。流石にどうかと思うが」

 

「ふむ。では、そうなってしまった者を勤勉な者にするにはどうしたらよいと思う」

 

「……………………社会の波に揉まれる?」

 

ガタガタゴットン!ズッタンズタン!

 

桜の後ろから先程よりもヤベーイと思える物音が鳴り出した。なんか、ブラックなハザードが鳴り響いているが、気にしてはいけない。

 

時折、扉は何かを塞ぐかのように膨らんだり、建付けの悪い襖を無理矢理開けるかのように上下にガタガタと鳴ったりしている。

 

「ふむ。それが一番、手早というものか」

 

「まぁ、そういうやつは基本的に仕事しろって言っても仕事なんてしないからなぁ。それにもし、働けたとしてもだらけてたツケで周りについていけなかったりで、なんやかんやあって辞める。ってのもよく聞くからなぁ。取り敢えずは、最初の仕事先くらいは用意してやって、働かないなら野垂れ死ね、って言って働かせてみて、様子を見てみるとしか」

 

「むぅ。難しいものだな」

 

アンコントロールスイッチ!ブラックハザード!ヤベーイ!

 

例の扉からは、なんなら変身を終えて、真っ黒いのが飛び出てくるんじゃないかって音が聞こえてくるが、無視だ無視。多分、触れてはいけないものなんだろう。金太郎はソワソワと扉の方を見てるが、ここの住人である桜と翁さんは気にしてすらいない。しかし、触れなければ恐らく話は進まない。

 

「…………なぁ、翁さんよ。多分、その話って、そこの扉の先にいる奴だろ?どんだけ働きたくないんだよ」

 

「…………山の翁として生きてきた故、このような者を真っ当な人間に育てる事をしていなかったのだ」

 

「というか、どういう出会いがあって、アンタが面倒を見ることになったんだよ」

 

「簡単な話よ。その親と呼ぶべき者に託されたのだ」

 

翁さんが話すには、働きたくないとゴネている扉の先にいる人物の親が翁さんを召喚したらしい。なんでも、その人物の親はあまり表に出てこれるような状況ではなく、しかし、扉の先の人物は、この世界に必要らしい存在らしく、守ることも目的として翁さんにその扉の先の人物を託したらしい。そのため、怠けてる→首を出せをすることができず、真っ当な人間、せめてマトモな人間に育てる為に預かったはいいものの、翁さん自身はそもそもが暗殺者集団の首領であり、そこに大義があったとしても、真っ当な人間ではないため、真っ当な人間の育て方(更に言えば日本の為、倫理性の観点でいっても若干違ってくる)が分からなく四苦八苦しているというもの。桜に関しては、それ繋がりで預けられたらしい。

 

「しかし驚いたものよ。召喚され、目の前には光る竹。その横には神がおり、この者を託したい、そう言われ、割った竹の中には戯れ言のみを口にする姫君。頭を悩ませたものよ」

 

「同情するよ。うん」

 

つまりは、目上のような存在にニートを押し付けられたようなものだ。敏腕の人事部長が他社の社長に娘の面倒を見てくれって、頼まれて、会ってみたら引きこもり気質の子供。更にこの子の存在は、経済全体に影響するからか、断るにも断れないものだったということだ。

 

「というか、なんで竹?」

 

「手続きのようなものと説明された」

 

「えぇ……」

 

竹といわれ、なんとなく察することはできたが、有名な昔話の序盤のシーンを手続きと説明されたのは、なんか感じるものがある。

 

その時、グゥ〜と腹の虫が鳴く音が聞こえる。音がしたほうを見れば金太郎が少し顔を赤くして、気まずそうにしていた。

 

「ふむ。話過ぎたな。腹をすかせた客人に夕餉を出さなければな。そろそろ頃合いであろう」

 

翁さんが鍋の蓋を開ける。鍋の中には、野菜と肉が入っており、グツグツと煮立つ音が聞こえ、嗅いだことのない肉の臭いが鼻孔を刺激する。金太郎は、目を輝かせて口から涎を垂らしていた。

 

「旬の野菜と良い鹿肉が手に入った。鍋で煮込んだ簡易的なものだが、味は保証しよう」

 

翁さんは、木の椀に鍋の中身をよそって、此方に木のスプーンと共に椀を差し出す。椀を受け取って、肉を口に運んで見れば、鹿特有の臭さが口に広がる。しかし、不快感を与えない臭いであり、野菜にもその旨味が染み込んでいた。ここからも翁さんの調理技術の高さが伺える。

 

一通り椀によそわれた中身を食べきり、金太郎と共に数杯お代わりを頂いた後、俺は椀とスプーンを膝下のあたりに置く。

 

「アンタ。料理できたんだな」

 

「秘匿者よ。己の食事すら用意できぬような軟弱者が『山の翁』を名乗るなど、そのような者がいれば、既に我が首を落としている」

 

どうやら、最低限の自炊能力は山の翁のデフォ技能として必要らしい。まぁ、堕落した瞬間に首出せしてくる人が、旅館とかそういう所以外で誰かに飯出させるとかイメージつかないから当たり前なのかもしれない。もしかしたら、彼自身は食事が必要ではなかったりして………一応、枠組みは人間だからないか。枠組みは。

 

「ネネ。食事」

 

ふと、桜が鍋の中身の入った椀とスプーンを例の人物のいる扉の前に置いているのが、目に入る。瞬間、扉が腕一本分程の隙間が開くと同時に肌色の残像が椀を掴み取って中へと入り、再び扉が閉まる。所要時間、僅かのコンマ5秒である。

 

「増長の原因に桜もあると思うぞ」

 

「むぅ……」

 

「ッ!?」

 

俺がそう言うと、翁さんは否定出来ないのか唸り、桜はそれを初めて言われたのか、心外とでも言うように顔をこちらへと向ける。因みに金太郎は、こくりこくりと舟を漕いでいる。

 

「………心外」

 

「じゃあ、桜は姉ちゃんの事なんて思ってる?」

 

「…………私や、ジジ様いないと、ダメな、人?」

 

「じゃあ、そんな人をどう思う?」

 

「人、それぞれ。でも、頼ってくれるのは、嬉しい」

 

「うん。手遅れ」

 

「!?!???!!?」

 

思わず頭を抱えたくなった。というか抱えた。目の前の幼女がダメ人間製造機の気質を備えていたとは驚きである。

 

「いっそのことだ。翁さんよ。ハサン達と接する時みたいに扉の先の奴にやってみたらどうだ?厳しすぎるのは駄目だが、甘やかしすぎるのも駄目だろ?」

 

「ぬぅ………」

 

「もうこの際、飴は桜がやればいい。鞭をアンタがやれば万事解k「それは困るわ!」」

 

瞬間、スパンッ!と音を立てて開いた例の扉から女の声が俺の声が遮る。そちらの方を見れば、思わず固まってしまう。

 

目の前に現れた女が絶世の美女とも呼べるような顔立ちをしていた。艶のある黒い髪を足首程まで伸ばし、白磁のように白い肌にくりくりとした大きな瞳。思わず魅入ってしまったが、瞬間、頭を殴られた感覚があり、正気を取り戻す。大きな音により、飛び起きた金太郎は今尚、その女に魅入ってしまっていた。俺の考察であるが、恐らくこの女には聖杯に呪いあれでお馴染みディルムッド・オディナの魅了に似たタイプのスキルであろう。しかも両性に効くタイプの。

 

俺が固まっているのを見て、女はふふんと鼻を鳴らす。

 

「あら、見惚れてるの?まぁ?当然っちゃあ、当然よね!なんてったって、月一番の美貌だもの!見惚れるのは、自然の摂理。惚れちゃった?」

 

「…………はっ」

 

「おい、テメェ。今、どこ見て笑った」

 

取り敢えず、ウザい人物なのはわかったので、なんとなく下を見れば可哀想な程なまな板が目に入り、思わず鼻で笑ってしまう。恐らく、デカかったらデカかったらで良いのだろうが、恐らくまな板が丁度いいのだろう。日本で言うところの大和撫子というものだろう。コレの性格的に程遠いであろうが。

 

「いや?魚が捌けそうだな、と」

 

「よし。その喧嘩買った。表出なさい。相手してや、ぷぎゃっ!」

 

意気揚々と歩き出した女は、二歩目にして木製の床に盛大にキスをかました。

 

翁さんは、またやってるとでも言うように目を細めて、女を眺めており、桜はとてとてと、女へと心配するように近づいていった。

 

「ネネ。大丈夫?」

 

「え、えぇ。大丈夫よ。お姉ちゃん、この程度でへこたれるものですか!」

 

「良かったじゃねぇか、翁さん。どうやらコイツには働く気概が「言わせるかこの野郎!」アッツァッ!?」

 

先程まで桜に見栄を張っていた女は気付いたら俺の顔目掛けて椀をぶん投げて来ていた。しかも、中身が僅かに残っており、その中身が俺の顔へとかかる。

 

「なにしやがるテメェ!」

 

「アンタこそ!なんて、ことしようとしてるのよ!せっかく、お爺ちゃんを言いくるめてこれまで働かないでこれたのに!」

 

「そんな努力する暇があるんだったら、別の事に労力を使えや、ニート!」

 

「うるさいわね!私の座右の銘は『働いたら負け』!なにがあろうと!例え、明日、死ぬとしても、私は、働かない!」

 

「滅茶苦茶なこと言ってんじゃねぇぞ!いい歳して、幼女に養れるとか、生き恥晒してんじゃねぇっ!」

 

お互いはぁはぁと息を切らす。目の前にいる彼女があまりにも手遅れなことに段々と翁さんへの同情心が強くなってきた。

 

「アンタねぇ……っ!このアタシを誰だと思ってるのよ!」

 

「知らねぇよタコ!偉いんだったら、名前の一つでも名乗ってみろ!」

 

「…………良いわよ。名乗ってやろうじゃない」

 

目の前の女はすぅーっと大きく息を吸う。

 

 

 

 

 

 

「私は『月神の姫』。『輝夜』!さぁ、恐れ、敬い、崇め奉りなさい!」

 

「騒がしいぞ。輝夜。首を出すか?」

 

「ぴぃぃっっ!!!!!!」

 

 

 

 

 

 




オリ主の準備期間が終わらないよぉ……(血涙)

あと四、五話くらい投稿できたらきっと二部の冒頭に入れるんじゃないかなぁ(願望)

訂正しました 猪肉→鹿肉
ご指摘ありがとうございます。無知を晒しました。
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