この素晴らしいたゆんたゆんにたゆんたゆんを!   作:膝に矢うけたった

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色々な方に見ていただけて嬉しい限りです。ありがとうございます




 正門の前には一体の魔物、怒り心頭のベルディアと名乗ったデュラハンの姿があった。既視感のある光景に、カズマとしては首を傾げることになる。以前の襲撃以来、めぐみんは彼を連れて爆裂魔法を古城に撃ちに行っていない。

 だというのにベルディアは激おこスティックファイナリアリティぷんぷんドリームであった。しかも、人でなし呼ばわりまでしている。魔物に人でなしと言われてもちょっと、困ると内心思ってはいるが口にはしない。

 

「あれから、爆裂魔法も撃ち込んでないし、何を怒ってるんだ?」

 

 とりあえず訪ねてきた要件を聞こうと口にした言葉だったのだが、ベルディアは逆に怒りのボルテージを上げて、めぐみんを指さす。

 

「打ち込んでない、だと? そこの『頭のおかしい紅魔の娘』が毎日毎日、我が城に爆裂魔法を撃ちこんどるだろうがっ!」

 

 カズマがめぐみんに顔を向けると、彼女は顔を背けた。問い詰めてみれば、もじもじしながら『大きくて硬いものじゃないと満足できない』だとのたまう。だが、彼女一人では撃った後倒れてしまうわけで、共犯者がいるはずだとアクアを見る。

 そこには鳴らない口笛を吹くアクアの姿あった。しかも、理由は『ベルディアのせいでまともなクエストが受けられないから』といったもので、冒険者全体の生活に直結するだけに割とまともな理由だと言えた。やっていることは、一回お叱りを受けた嫌がらせでしかないのだが。

 

「それよりもだ! 俺が真に怒っている理由は他にある!」

 

 どす黒い怒りのオーラをまき散らしながら、ベルディアが言葉を続ける。そこから告げられたのは、ダクネスを騎士の鑑だとか――ドMに詰め寄られたのを忘れたのかな?――、彼女の死に報いる気概はないのかとか、全く身に覚えのない話だった。カズマの中ではアレは騎士の鑑などでは決してないし、なにより……

 

「騎士の鑑などとは、過分な評価をされると照れてしまうな」

 

 あのドMはそもそも生きているのだ。死の宣告で死んだと思っていた相手が、照れながら出てきて、さすがの魔王軍幹部も驚きを隠すことができない。城へは爆裂魔法を毎日ぶち込まれるし、ダクネスが死んだと思って元騎士らしく振舞えば見当違いだったり、なんというか可哀想である。

 

「ちょっとー、私があっさり呪いを解除されたことも知らずに待ってたとか、うけるんですけど。プークスクス」

 

 その挙句、アクアには大笑いされるわで散々である。

 

「うるさい! お、俺がその気になればこんな街……」

 

 彼が声を荒げて叫びを上げるが、その言葉は最後まで紡がれることはなかった。言い終わる前に、アクアがアンデットの癖に注目を集めて生意気だという理由でターンアンデットを発動したからである。

 アンデットを浄化する清浄なる光が彼と彼の馬を包みこみ、死の摂理に逆らう存在を消そうとする。確かに馬は浄化されて消滅したのだが、ベルディア本人は叫び声をあげて地面を転がり廻るだけですんだ。

すごく苦しそうではあるのだが、これは耐えたベルディアがすごいというべきか、魔王軍幹部をここまで苦しめるアクアがすごいというべきか悩むところではある。

 尚、アクアは自分の魔法が効いていないと思っているらしく、カズマに問いかけて呆れられていた。

 

「ここって、駆け出し冒険者の街なんだよな? いやぁ、魔王様に頂いた加護の宿るこの鎧には、神聖魔法なんて効かないけど、効かないけど本当にお前、駆け出し冒険者なのか?」

 

 ベルディアさん渾身の強がりである。気を取り直して自分の周囲に大量のアンデットを召喚する。配下を召喚し、それらに戦闘を任せるというのは幹部らしい行動に思える。

だが、アクアの魔法が思った以上にダメージがあったため、恐れを抱いているのではとカズマに指摘されてしまう。神聖魔法対策をぶち抜いてくる相手が怖くない訳もないのだが、そこは幹部としての意地もあって尚も強がっていた。

 

「セイクリッド・ターンアンデット!」

 

 まぁ、その強がりも再び話を聞かないアクアに邪魔されたのだが。再び転げまわるベルディアと、また効いていないと勘違いしているアクア。

 

(そういえば、サユキの奴遅いな……)

 

 ここまでサユキが一切言葉を発していないのだが、そもそもこの場にいないのである。カズマのパーティーは全員大至急とのことだったのだが、何故か彼女はここにはいない。どういうことかと、アクアとその他諸々を無視しながら考え込むカズマである。

 少ししてから思考を一旦中止して、状況に目を向ければ、女神故に救いを求めるアンデットの大群に一人追い回されるアクアの姿があった。

 

「え、なにこれ、どういう状況なの?」

 

「かぁじゅまさぁあん、助けてぇえ!」

 

 あろうことか、駄女神はカズマに向かって真っ直ぐに突っ込んでくる。慌てて逃げだすが、彼女が離れないため彼も一緒にアンデットに追い回されることになってしまう。逃げながら、必死に頭を働かせてこの状況を乗り切る方法を考える。

 視界にめぐみんの顔が映った時、彼の脳裏を電流が走った。走りながら、めぐみんにいつでも爆裂魔法が撃てるように指示をだすと、アクアと一緒にベルディアへ向けて猛ダッシュを行う。そして、寸でのところで横に大きく飛びのく。

 

「カズマっ! なんという絶好のシチュエーション、感謝します! 我が名は(以下略)、エクスプロージョンッ!」

 

 満面の笑みでベルディアに突っ込んでくるアンデット達へ魔法を放つ。爆裂魔法は膨大な魔力を消費する大魔法であり、生まれながら魔法の才を持つ紅魔族、その中でも成績優秀だっためぐみんですら日に一度しか撃てない程である。

 それ故、放たれる魔法は尋常ではない魔力の渦を巻き起こし、凄まじい勢いでそれを爆発という一つの現象へと変換していく。そうして一つの形に結実した魔法は、最強の魔法の名にふさわしい大爆発を起こすことになった。

 アンデットは全滅、爆心地を中心に巨大なクレーターができあがり、その威力の凄まじさを物語っている。周囲もあまりの威力に口を開くことができなかった。

 めぐみんはそれを誇らしげに眺めたあと、気持ちよかったと感想を残してその場に倒れこんだ。いつも通りカズマにおぶられての退場である。

 

 周りが状況を飲み込み始めると、ぽつりぽつりと歓声が上がり始める。『頭のおかしい紅魔の娘』がやっただとか、『名前と頭のおかしい紅魔の娘』はやればできるだとか、やたらと『頭のおかしい紅魔族の娘』推しの歓声である。めぐみんはカズマにそれを言った連中の顔を覚えておくように伝えると、顔を彼の背中に埋めて休息に入る。

 

「フフッ、ハハハッ、面白い、面白いぞ! まさか、配下を全滅させるとはな! ならば、今度はこの俺、自ら貴様らの相手をしてやろう」

 

 ベルディアがクレーターの中から立ち上がり、声をあげた。めぐみんは魔力切れ、アクアは決定打にならず、あとはここにいないサユキしか攻撃手段がないが、いない人物は勘定に入れられない。

 

『すぐにこの街の切り札がやってくる!』

 

 冒険者達の誰かが、そう口にした。カズマは誰のことかと疑問に思うが、その答えを得る前に冒険者の内数人がベルディアに向けて走り出していた。自身を取り囲む冒険者達を前にして、自身の頭部を直上へと放り投げる。

 何かに気付いたカズマが止めようと声を上げたが、冒険者達は止まることなく全方位から攻撃をしかける。しかし、相手はそれが全て見えているかのように防ぎ、いなし、攻撃の切れ目の瞬間に剣を両手で握って、薙ぎ払う。

僅か一瞬の攻防、たった一撃の攻撃、それだけで、周りを囲んでいた冒険者達は倒れ、その命を散らしていった。こと、ここに至って、カズマはようやく魔王軍の幹部というのがどれほどの存在であるのかを認識させられる。

 カズマ達、そして冒険者達の間に広がる絶望、そんな中声を上げる者がいた。

 

「『ミツルギ』さんが来たら、あんたなんか一撃なんだから!」

 

 勇気を振り絞った声だった。カズマの顔色が悪くなる。『ミツルギ』、そう『ミツルギ』である。昨日グラムを奪って、今朝グラムを売り払った。その持ち主だった男である。つまり、彼は今グラムを探して街を彷徨っているため、来ることはできない。

 彼に勝ったサユキならばとも思うだろうが、彼女が勝てたのは街中で相手が人間だったため、グラムの本来の力を使わず、ただのすごい剣として扱っていたからである。

 ベルディアが一歩、また一歩と近づいてきて、剣を振り上げる。対峙するのは一人の聖騎士だ。彼が剣を振り下ろしたその時、その聖騎士は己が剣でその攻撃を見事に受け止めてみせた。

 衝撃が僅かに周囲を揺らし、鍔迫り合いが始まる。カズマがそれを止めようとするが、彼女がその言葉に応じることはなかった。

 

「護ることを生業にするものとして、引くわけにはいかない時があるっ! た、たとえ、公衆の面前で、魔王軍による淫らな責め苦をうけるとしてもだ! さぁ、やってみせろぉっ!」

 

 少し格好いいかなとも思ったが、結局これである。ベルディアさんもあまりの言いがかりに怒り気味だった。

 

「んっぐ……。ふぅん、ダクネス結構やるじゃない。私の浄化が効かない相手にあそこまで粘れるなんて大したもんよ。あ、これ結構おいしいわね。今度はもっとたくさん作ってもらおうかしら」

 

 いつの間にかカズマの横に来ていたアクアが何かを頬張りながら告げる。手には少しだけ大きめの包みが一つ。反対の手には美味しそうなクッキーが握られていた。

 

「お前、何喰ってんだよ。サユキもいなくて、今、ピンチなのわかってんのか?」

 

「何って、『サユキにもらった』お菓子だけど? あんたも食べる? それにサユキなら……」

 

 その言葉を聞いて、カズマが急いでベルディアに視線を向けようとした時だった。

 

「チェェエエストォオオッ!!」

 

 平原に声が響き渡る。顔を完全に向けた瞬間襲ってくる、何かを砕く爆音と凄まじい衝撃。視線の先にいたのは、ダクネスとベルディアの間で刀を振り下ろし、小さめのクレーターを作り出したサユキの姿だった。

 

「火の後始末してたら、遅れちゃいました」

 

 そう告げた彼女の顔は、実にいい薩摩スマイルだった。

 




ちなみにサユキの服はノーブラ、ローライズスパッツ直ばき痴女スタイルです
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