「ヘンタイ・プリズン」のSSです。
グランドルート後の花丸凛の様子を描いたお話です。

「ぬきたし」要素を含んでいます。

花丸悠(凛の弟)が登場しますが、ほとんどが作者の妄想です。
何卒ご了承のほどよろしくお願いいたします。

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花丸凛の清らかな一日

■時刻 AM 7:00

★場所:花丸家 凛の部屋

 

●SE:目覚まし時計が鳴る音

 

【凛】

「…………」

 

【凛】

「…………」

 

【凛】

「…………ふわぁ……」

 

【凛】

「……ちっ。まだ寝足りないってのに」

 

【凛】

「…………」

 

【凛】

「……今日で青藍島に戻ってきて3日目、ですか」

 

【凛】

「……さてと」

 

【凛】

「…………」

 

【凛】

「……と言っても、特にやることないんですよねぇ」

 

●SE:ドアノック+ドアが開く音

 

【花丸のお姉ちゃん】

「……凛、起きてます?」

 

【凛】

「……はいはい起きてますよなんですか姉さん」

 

【花丸のお姉ちゃん】

「朝ご飯できてますから早く来てくださいね。悠くんも待ってますから」

 

【凛】

「……先に食べてればいいじゃないですか。暇で死にそうな私と違って二人はクッソお忙しいようですから」

 

【花丸のお姉ちゃん】

「そんなこと言わずに。とにかくほら、3人で食べましょう」

 

【凛】

「…………分かりましたよ。今すぐ行きますから先に戻っててください」

 

【花丸のお姉ちゃん】

「はい。では後で」

 

●SE:ドアが閉まる音

 

【凛】

「…………」

 

【凛】

「…………」

 

【凛】

「……オ〇ニーでもしてから行ってやりましょうかねぇ」

 

【凛】

「…………」

 

【凛】

「…………」

 

【凛】

「…………けっ」

 

★場所:花丸家 リビング

 

【凛】

「…………」

 

【花丸の弟】

「あ。おはよう姉さん」

 

【凛】

「……おはようございます、悠くん。学校は大丈夫ですか」

 

【悠】

「まだ時間あるから」

 

【凛】

「……そうですか」

 

【花丸のお姉ちゃん】

「ほら凛! 悠くん! 早く食べちゃってください!」

 

【凛】

「へぇへぇ…………っ、また納豆と焼き鮭ですか。ワンパターンですねぇ姉さんは」

 

【花丸のお姉ちゃん】

「文句言わないでください。母さんがいないんですから仕方ないでしょう」

 

【凛】

「そう言えば出張で留守なんでしたっけ?」

 

【悠】

「父さんも母さんも本島の方に行ってる。あと1週間は滞在予定って昨日電話で言ってた」

 

【凛】

「じゃあまだしばらくは3人で生活ってことなんですね。風通しも良くなって最高じゃないですか」

 

【花丸のお姉ちゃん】

「またそんなこと言って…………それより、凛は今日どうするんですか?」

 

【凛】

「……私は」

 

【花丸のお姉ちゃん】

「また変なこと企んじゃダメですよ? いい加減懲りてくださいね」

 

【凛】

「まだ何も言ってないでしょうが」

 

【悠】

「大丈夫。姉さんはもう悪いことはしないよ」

 

【花丸のお姉ちゃん】

「……悠くん」

 

【凛】

「言い切るじゃないですか。そんな保証どこにもありませんよ?」

 

【悠】

「見てれば分かるから」

 

【凛】

「……大きくなったと思ったら随分と生意気にもなったんですねぇ」

 

【悠】

「姉さんの弟だし」

 

【花丸のお姉ちゃん】

「なるほど! 納得です!」

 

【凛】

「殴るぞお前ら」

 

【花丸のお姉ちゃん】

「そんなことより、凛。私たちが留守の間に掃除と洗濯しておいてくださいね。夕飯の支度もお願いします」

 

【凛】

「はいはい。どうせやることないんでちゃちゃっとやっときますよ。今日もせいぜい汗水流して労働してきてくださいね」

 

【花丸のお姉ちゃん】

「SHOで働いていれば嫌でも汗を流すことになりますよ。特に最近はあの人を抑えるのに精一杯ですからね」

 

【悠】

「よく話してるSHOストライクフォースの隊長の人?」

 

【花丸のお姉ちゃん】

「えぇ。最近は事件が少ないことで戦闘の機会がめっきり減りましたからね。それで暇だ暇だーって職場で暴れ回ってるんですよ」

 

【悠】

「いいことだと思うけど」

 

【花丸のお姉ちゃん】

「おかげで何台デスクが犠牲になったことやら」

 

【凛】

「よくクビになりませんね」

 

【花丸のお姉ちゃん】

「大切な幹部候補ですからね。彼女は」

 

【悠】

「SHOの代表が変わってから特に平和になった感じする」

 

【凛】

「元々あそこの上層部は無能のクズしかいませんでしたからね。そいつらを一掃したおかげでしょう」

 

【悠】

「詳しいね姉さん」

 

【凛】

「SSにいた頃、一時期忍び込んでましたからね。今でも奴らの恥部は把握してますよ」

 

【花丸のお姉ちゃん】

「あなたが面倒を起こす度に火の粉が飛んできたので……あの頃は本当に苦労しましたよ」

 

【凛】

「そうでしたっけ?」

 

【花丸のお姉ちゃん】

「まったくもう…………。そう言えば悠くん、SSの方はどうですか?」

 

【凛】

「もう入隊したんでしたっけ」

 

【悠】

「うん。試験も一発合格」

 

【花丸のお姉ちゃん】

「さすが悠くんです!」

 

【凛】

「それくらいやってくれないと困りますよ。SSの入隊試験くらい一発で受かってくれないと花丸家の恥ですから」

 

【花丸のお姉ちゃん】

「…………」

 

【悠】

「姉さんも一発合格だったっけ」

 

【凛】

「えぇ。B等部1年のときに」

 

【悠】

「さすが」

 

【花丸のお姉ちゃん】

「たしか凛がSS歴代で二人目なんですよね。B等部1年での一発合格者は」

 

【悠】

「最初の一人目がさっき話したSHOストライクフォースの隊長さんなんだよね」

 

【花丸のお姉ちゃん】

「そうですよ。なんて言っても、SS歴代最強ですからね」

 

【凛】

「あの人をSSの猛将とするなら私はさしずめSSの知将、といったところですね」

 

【悠】

「なんかすごい」

 

【花丸のお姉ちゃん】

「……誇張してません?」

 

【悠】

「でも三人目がまだいないんだよね。姉さんたちの代って色々おかしいと思う」

 

【凛】

「はぁー……やれやれ。最近の若者はたるんでますねぇ。…………って、なんか年寄り臭いこと言ってますね私。あーやだやだ」

 

【悠】

「姉さんもまだ若者じゃん」

 

【凛】

「悠くんぐらいの歳の子たちからしたら、私たちなんておばさん同然でしょう。ねぇ、姉さん?」

 

【花丸のお姉ちゃん】

「頷きたくありませんけど…………そうかもしれませんね」

 

【悠】

「妙齢女子か」

 

【凛】

「あまり女性にそういうこと言わない方がいいですよ」

 

【花丸のお姉ちゃん】

「…………っ! 悠くん時間ですよ! 早く出ましょう!」

 

【悠】

「あ、うんそうだね。そろそろか」

 

【凛】

「洗い物はやっときますから、さっさと行けばいいでしょう」

 

【花丸のお姉ちゃん】

「それじゃあ凛! 行ってきます!」

 

【悠】

「行ってきます」

 

【凛】

「はいはい行ってらっしゃい」

 

●SE:玄関が勢いよく閉まる音

 

【凛】

「…………」

 

【凛】

「……けっ。まだ20代だっつーの」

 

【凛】

「…………」

 

【凛】

「……洗い物済ませたら久々に走ってみますかねぇ」

 

 

 

■時刻 AM 10:00

★場所:島内街路

 

 

 

【凛】

「…………」

 

【凛】

「…………」

 

【凛】

「…………はぁっ、はぁっ……」

 

【凛】

「…………」

 

【凛】

「…………ぜぇっ、ぜぇっ……」

 

【凛】

「…………」

 

【凛】

「…………くっ!」

 

【凛】

「…………はぁっ」

 

【凛】

「……ちっ。この程度で息切れとは……」

 

【凛】

「……SSにいた頃はこの程度のランニング余裕だったんですけどねぇ」

 

【凛】

「…………」

 

【凛】

「プリズンにいる間に本当におばさんになっちゃったんですかねぇ。やれやれ」

 

●SE:近づいてくる足音

 

【背の高い青年】

「……あの、大丈夫ですか?」

 

【凛】

「…………」

 

【凛】

「…………げっ」

 

【背の高い青年】

「!! お前……もしかして、花丸妹か?」

 

【凛】

「……えぇ、お察しのとおり。みんなのアイドル花丸凛ちゃんですよ。お久しぶりですねぇ。島の英雄さん」

 

【背の高い青年】

「いつの話してんだ……。それより、こんなとこで何してたんだ? 監獄にいるって聞いてたが」

 

【凛】

「ようやくお勤めを終えて島に戻ってきたんですよ。やることなくて暇だったんでその辺走ってただけです」

 

【背の高い青年】

「にしても汗すごいぞ。大丈夫か?」

 

【凛】

「あなたに心配されずとも平気です。体がなまってるだけなので」

 

【背の高い青年】

「監獄では運動してなかったのか?」

 

【凛】

「頭の悪い囚人たちから金を巻き上げるのに忙しくて、運動なんてやってる暇ありませんでしたよ」

 

【背の高い青年】

「捕まっても相変わらずだなお前は……。お互いいい歳なんだから、これ以上姉さんに迷惑かけるんじゃないぞ」

 

【凛】

「余計なお世話です。……それより、姉さんとまだ交流あるんですね。あの人SHOですよ」

 

【背の高い青年】

「仕事の都合上たまにな。お前らの弟くんがSSに入るかもしれないって話を少し前に聞いたよ」

 

【凛】

「……ったくあのバカ姉は。べらべらとなんでも喋りやがって」

 

【背の高い青年】

「別にいいだろそのくらい。SSなんてあまりにも懐かしくてな……育児で疲労中の身にはすごく染みる話だったよ。おかげで少し元気が湧いたぐらいだ」

 

【凛】

「……育児?」

 

【背の高い青年】

「そういや言ってなかったか。最近な、俺たちの第一子が産まれたんだよ。女の子だ」

 

【凛】

「…………」

 

【背の高い青年】

「……どうした?」

 

【凛】

「……いえ、なんでも。それはそれは、誠に孕めでとうございます」

 

【背の高い青年】

「そんな祝言ある?」

 

【背の高い青年】

「……でも、ありがとな。そのうちお前にも会わせてやるよ」

 

【凛】

「じゃあその時に出産祝い金でもお渡ししてあげますよ」

 

【背の高い青年】

「……いいのか? ……見ないうちに随分と変わったな。お勤めの効果か?」

 

【凛】

「姉さんの懐から」

 

【背の高い青年】

「お前ってそういう奴だよな」

 

【凛】

「……ところで、あなたの方こそこんなところで何を?」

 

【背の高い青年】

「備品の買い出し。ちょうど今全員出払ってるからな」

 

【凛】

「……全員?」

 

【背の高い青年】

「俺たち6人で仕事してるんだよ。起業したんだ」

 

【凛】

「起業…………出資、というよりそもそも元手あったんですか? あなた方に資本があるようには思えませんけど」

 

【背の高い青年】

「うちの食いしん坊が昔YoukakuTubeに投稿した動画がバズりにバズってな。その収益を使わせてもらってるんだ」

 

【凛】

「だったらそっちで食ってけばいいじゃないですか。バカなんですか?」

 

【背の高い青年】

「やかましいわ。俺たちの成すべきことはそんな矮小じゃない。もっと高尚な──」

 

【凛】

「あぁはいはいその辺詳しく聞く気ありませんし聞きたくもないです聞いてないことをべらべらと話そうとしないでください頭姉さんですか?」

 

【背の高い青年】

「うちの妹並に早口じゃん…………いい時間だし、俺はそろそろ行くぞ」

 

【凛】

「はいはい。倒産なんて間抜けな真似はしないようせいぜい足掻いてくださいね」

 

【背の高い青年】

「無職に言われたくないわ」

 

【背の高い青年】

「……今度うちの会社に遊びに来いよ。茶くらいは出してやる」

 

【凛】

「それはありがたいですね。願ってもいない展開です。金庫の在り処でも探ってやりますよ」

 

【背の高い青年】

「…………」

 

【凛】

「冗談ですよ。ほら、さっさと行ってください。私も暇じゃないんで」

 

【背の高い青年】

「冒頭で暇って言ってただろ…………それじゃあな。姉さんと弟くん大事にしろよ」

 

【凛】

「はいはい分かりましたよ今度こそさようなら」

 

●SE:遠ざかっていく足音

 

【凛】

「…………」

 

【凛】

「…………」

 

【凛】

「…………ったく。どいつもこいつも……」

 

【凛】

「…………」

 

【凛】

「……島の英雄様にもついに赤ん坊ですか。きっとクソ生意気なガキに育つんでしょうね」

 

【凛】

「…………」

 

【凛】

「……けっ。不愉快ったらありゃしない」

 

 

 

■時刻 PM 1:45

★場所:花丸家 洗面所

 

 

 

【凛】

「……さて、お昼も済ませたことですし。愛する家族のために洗濯でもしてやりますかねぇ」

 

【凛】

「えっと、洗濯カゴは…………あぁあったあった」

 

【凛】

「姉さんのは……どうでもいいや。こっちのが悠くんのですかね」

 

【凛】

「…………」

 

【凛】

「えっと……シャツ、下着、ズボンに……あっ、靴下は分けといて……」

 

【凛】

「……にしても、どれもサイズ大きいですね。もう私のよりデカいですね、これ」

 

【凛】

「ま、成長期ですからねぇ。体もチ〇ポもデカくなるわけですよ。幼少期以来見てないので知りませんけど」

 

【凛】

「…………」

 

【凛】

「……で、こっちがパンツですか」

 

【凛】

「……へぇ。昔はちっちゃい白ブリーフだったのに、今は一丁前にボクサーパンツですか。やっぱ生意気ですねぇ」

 

【凛】

「夢精跡は…………ついてないか。ちっ、帰って来たらからかってやろうと思ったのに」

 

【凛】

「…………」

 

【凛】

「…………」

 

【凛】

「(※↑前開き部分の臭いを嗅いでいる)」

 

【凛】

「…………」

 

【凛】

「……精液の臭いが少ししますね。愛液の臭いは…ない、ってことは昨日部屋でオ〇ニーでもしたんでしょう。おそらく4回はやってますね」

 

【凛】

「……学園でハメればいいものを、わざわざオ〇ニーで済ますとは。悠くんも酔狂ですねぇ」

 

【凛】

「…………」

 

【凛】

「…………こんなこと言ってたら私も"その気"に……。ちっ、プリズンではまったくできなかったのできっとその弊害でしょう」

 

【凛】

「…………」

 

【凛】

「…………弟のパンツを嗅いで、ってのはさすがに姉としての矜持が……くっそ……」

 

【凛】

「…………」

 

【凛】

「…………」

 

【凛】

「…………」

 

【凛】

「…………」

 

【凛】

「…………っ」

 

 

 

■時刻 PM 3:45

★場所:花丸家 リビング

 

 

 

【凛】

「……ふぅ。さてと、洗濯物も干して、やることもやったので、あとは掃除でもしときますかねぇ。やらないと姉さんがうるさいですし」

 

【凛】

「……ったくうちのリビングは無駄に広いですねぇ。自分の部屋しか掃除したことないんで面倒ったらありゃしないですよ」

 

【凛】

「えっと、たしか掃除機は…………多分これですね」

 

●SE:掃除機が鳴る音

 

【凛】

「……だるいし適当でいいでしょう」

 

【凛】

「…………」

 

【凛】

「…………」

 

【凛】

「…………ん? この写真は……」

 

【凛】

「…………まだ私がB等部3年のときの……花丸家全員で撮ったやつですかねこれ」

 

【凛】

「…………なんでバブみ幼稚園の前で撮ったんでしたっけ……。まあどうでもいいか」

 

【凛】

「……あ、よく見たら悠くん膝のとこ怪我してますね」

 

【凛】

「…………」

 

【凛】

「そうだ思い出した。園内で追いかけっこしてて、私が少し本気出したら悠くんコケちゃったんでしたっけ」

 

【凛】

「それで大泣きして……あやすのに苦労したもんですよ」

 

【凛】

「あのとき姉さんって何してたんでしたっけ……おぼえてないしいいか」

 

【凛】

「…………」

 

【凛】

「…………あれから何年経って……」

 

【凛】

「…………」

 

【凛】

「……本当に大きくなりましたねぇ。悠くん」

 

 

 

■時刻 PM 4:30

●SE:玄関が開く音

 

 

 

【悠】

「ただいま」

 

【凛】

「…………」

 

【悠】

「……? 姉さん?」

 

【凛】

「……いえ、なんでもないです。それより随分と早かったですね」

 

【悠】

「今日はSSの仕事なかったから」

 

【凛】

「そうですか」

 

【悠】

「明日から体イク祭の準備ってことで各隊の隊長たち以外は全員帰っていいって」

 

【凛】

「まだそのイベントやってたんですね」

 

【悠】

「水ノ月名物だから。今年もOGの人が特別ゲストとして来てくれるらしいし」

 

【凛】

「OGって誰のことです?」

 

【悠】

「昔、伝説(レジェンド)ビッチって呼ばれてた人」

 

【凛】

「まだ駆り出されてんですかあの人」

 

【悠】

「やっぱ姉さんも知ってるよね。茶髪の綺麗な人」

 

【凛】

「私の記憶では金髪だったと思いますけど」

 

【凛】

「……それより、悠くんって何番隊に入ったんです? 私と同じ二番隊ですか?」

 

【悠】

「まだ正式には決まってない。でも今のところは一番隊かな」

 

【凛】

「一番隊? あそこアホばっかの集団ですよ。やめといた方が──」

 

【悠】

「それは昔の話。今はそうでもないよ」

 

【凛】

「……そうなんですか? 正直信じられませんけど」

 

【悠】

「姉さんたちの代が卒業した後、このままじゃまずいってことに気が付いて意識改革に取り組んだとかなんだとか」

 

【凛】

「気づくの遅すぎませんか?」

 

【悠】

「だから今はすっかりまともな人たちでいっぱいだよ。一番隊は変わったと思う」

 

【凛】

「……それは良かったです。だったら入ってもバカになることはなさそうですね」

 

【悠】

「まず一番隊は背番号入りの専用ユニフォームを着ることになった。隊員個人をきちんと識別できるようにするためにって」

 

【凛】

「変わってないじゃないですか」

 

【悠】

「それとSHOストライクフォースの隊長さんを毎日みんなで崇め奉って礼拝することになった。SS歴代最強の人ってことで、水ノ月の毘沙門天って呼ばれてるから」

 

【凛】

「むしろ悪化してません?」

 

【悠】

「隊長さんのユニフォームも改めて作って生徒会室に飾ってる。背番号は『195』。もちろん永久欠番」

 

【凛】

「悪いことは言いませんから別の隊に入ったほういいですよ」

 

【悠】

「ううん。それでも一番隊に入るつもり」

 

【凛】

「……なんでそこまでして? 頭青藍島民になっちゃいますよ?」

 

【悠】

「強くなりたいから」

 

【凛】

「……はぁ。悠くんもやっぱ男の子ですねぇ。動機が幼稚というかなんというか」

 

【悠】

「そうかな」

 

【凛】

「……ま、それより。これから夕飯の支度するので悠くんも手伝ってください」

 

【悠】

「了解。だからさっきからエプロンしてるんだ」

 

【凛】

「どうです。似合うでしょう」

 

【悠】

「あんまり」

 

【凛】

「ホント誰に似たんですかねぇその性格」

 

【悠】

「ツッコんだ方いい?」

 

【凛】

「いいからさっさと手洗ってきてください」

 

 

 

■時刻 PM 5:00

★場所:花丸家 台所

 

 

 

【悠】

「それで何を作るの」

 

【凛】

「とろろ入りの漬けマグロ丼です。悠くん好きでしょう。私からの入隊祝いってことで」

 

【悠】

「ありがとう姉さん」

 

【凛】

「漬けマグロはもう作っておいたので、悠くんは自然薯をすり下ろしてください。私はサラダでも用意しますから」

 

【悠】

「わかった」

 

●SE:水道から水が流れる音

 

【凛】

「手際いいですね」

 

【悠】

「…………」

 

【凛】

「……悠くん?」

 

【悠】

「……姉さんがいない間よく料理してたから」

 

【凛】

「……そうですか。立派に育って姉としては喜ばしい限りですよ」

 

【悠】

「いいから姉さんも取りかかって」

 

【凛】

「はいはい。…………悠くん? 皮を剥いてから擦らないと」

 

【悠】

「これ無農薬だから皮ごと使えるよ」

 

【凛】

「……へぇ、そうなんですか。これって──」

 

【悠】

「姉さん危ない。素手で触っちゃ駄目」

 

【凛】

「は? なにが…………っ、もしかしてさっきからゴム手袋してるのは」

 

【悠】

「うん。自然薯ってそのまま皮膚に触れると炎症を起こすことあるから。すごく痒くなるらしい」

 

【凛】

「へぇ。料理なんて全然しないので知りませんでしたよ」

 

【悠】

「とろろはこっちに任せて姉さんは早くサラダ作ってよ」

 

【凛】

「はいはい分かりましたよ。ほんっとに生意気になりましたねぇ悠くんは」

 

【凛】

「…………」

 

【凛】

「…………」

 

【凛】

「…………逞しくもなって当然か」

 

【悠】

「姉さん包丁の持ち方違う。親指は刃元に添えて、人差し指は包丁の峰に置いて。正しく持たないと怪我するよ。あとレタスを洗うときは芯が上になるようにして──」

 

【凛】

「小姑か?」

 

 

 

■時刻 PM 8:00

★場所:花丸家 玄関前

 

 

 

●SE:玄関が開く音

 

【花丸のお姉ちゃん】

「ただいま帰りましたよー」

 

【凛】

「やっと帰ってきましたか。もう夕飯できてるんでさっさと食べますよ」

 

【花丸のお姉ちゃん】

「作ってくれたんですね。ありがとうございます。悠くんは?」

 

【悠】

「リビングで宿題しながら待ってます。もうすっかり待ちくたびれてうつらうつらと舟を漕いでますよ。姉さんのせいですよまったく」

 

【花丸のお姉ちゃん】

「ごめんなさい。少し話し込んでしまって」

 

【凛】

「……はい?」

 

【悠】

「おかえり姉さん」

 

【花丸のお姉ちゃん】

「普通に起きてるじゃないですか」

 

【悠】

「これから夕飯なんだからそりゃ起きてるよ」

 

【花丸のお姉ちゃん】

「あぁいえ、こっちの話です。すぐ着替えてきますね」

 

【悠】

「……何の話してたの」

 

【凛】

「気にしなくていいですから。宿題は終わったんですか?」

 

【悠】

「とっくに」

 

【凛】

「じゃあさっさと席ついてください。早く食べちゃいましょう」

 

【悠】

「そうだね。さすがに腹減った」

 

■時刻 PM 8:30

 

★場所:花丸家 リビング

 

【花丸のお姉ちゃん】

「……そうですか。お元気にしてましたか。お子さんが誕生してからほとんど会えてなかったので、どうしてるのかと少し心配だったんですよ」

 

【凛】

「えぇ。さすがは島の英雄様。一児の親になってもあの頃と変わらないウザさでしたよ。チ〇ポしか取り柄のない男ってのはみんなああいう感じなんですかねぇ」

 

【悠】

「姉さん食事中」

 

【花丸のお姉ちゃん】

「そうですよ凛。それに、親になってからよりお仕事に淫するようになったんですから、そういうことは言っちゃいけませんよ」

 

【凛】

「その言い方もどうかと思いますけど」

 

【悠】

「今の条例に変えた集団のリーダーだっけその人」

 

【花丸のお姉ちゃん】

「はい。お姉ちゃんの同級生です。昔は鋼鉄の6人とか呼ばれてましたね」

 

【凛】

「ありましたねぇそんなのも。島民から『ドスケベジャンヌダルク』の愛称で呼ばれてた人もいましたね、たしか」

 

【悠】

「それは愛称って呼んでいいの」

 

【花丸のお姉ちゃん】

「ご本人は気に入ってましたよ?」

 

【凛】

「ちなみにその方が島の英雄の細君になります」

 

【悠】

「えっそうなんだ」

 

【花丸のお姉ちゃん】

「いいですよねぇ新婚生活。正直羨ましいです」

 

【凛】

「相変わらず頭お花畑ですねぇ。育児中なら過酷に決まってるでしょうに。どこが羨ましいんですか」

 

【花丸のお姉ちゃん】

「それはそうですけど。でも、赤ん坊というのは親同士の愛の結晶なんです。どんなに大変でもそこを乗り越えていくところに愛があって──」

 

【凛】

「聞いてもいないこと勝手に話さないでくれませんかねぇこのバカ姉は」

 

【悠】

「姉さんたちも結婚適齢期だもんね」

 

【凛】

「いきなりぶっこんできますねこの弟」

 

【花丸のお姉ちゃん】

「でも悠くんの言うとおりです。早くいい人見つけたいなぁ~……」

 

【悠】

「SHOにいないの」

 

【花丸のお姉ちゃん】

「いなくもないですけど…………あっそうでした。凛、ちょっとお話が」

 

【凛】

「なんですか急に」

 

【花丸のお姉ちゃん】

「あなた、これからどうするつもりですか?」

 

【凛】

「明確には決まってませんが、しばらくしたらまた適当にアホ共から金を──」

 

【花丸のお姉ちゃん】

「また違法なことをするのはダメですよ。そのせいで捕まったことを忘れてはいないでしょうね?」

 

【凛】

「冗談ですよ。なに本気にしてんですか。お望みどおり求人でも探してまっとうな職に就いてやりますよ。なんか文句ありますか?」

 

【花丸のお姉ちゃん】

「そこで少し提案があるんです」

 

【凛】

「……なんですか。宗教絡みとかなら勘弁ですよ」

 

【花丸のお姉ちゃん】

「凛もSHOで働きませんか?」

 

【凛】

「…………」

 

【凛】

「…………」

 

【凛】

「…………はぁ? SHO? なんで今更、というか前科持ちを受け入れてくれるわけ──」

 

【花丸のお姉ちゃん】

「現SHO代表は問題ないと仰ってますよ?」

 

【凛】

「…………」

 

【凛】

「…………もしかして、帰ってくるのが遅かったのは」

 

【花丸のお姉ちゃん】

「えぇ。その件で代表と話し込んでいたんです。どうにかしてSHOで凛を雇えないかって」

 

【凛】

「…………」

 

【凛】

「…………どうして」

 

【花丸のお姉ちゃん】

「凛が将来について悩んでいるのは分かってたので、こちらでも手を打とうと思って。どうせ目星はついてないのでしょう?」

 

【凛】

「…………そうですね。てか、どれも興味が湧かないので途中から探すのやめてたんですけどね」

 

【花丸のお姉ちゃん】

「だったらちょうどいいじゃないですか。それに──」

 

【凛】

「……それに?」

 

【花丸のお姉ちゃん】

「SSの頃のように、また凛と一緒に働きたいなと思ってて」

 

【凛】

「…………」

 

【凛】

「…………散々手を焼かされたとかボヤいてたくせに、よくもまあ」

 

【悠】

「良いと思う。いい機会だし、SHOで働いてほしい」

 

【凛】

「……なんですか悠くん。やっぱり姉が無職だと恥ずかしいですか? だったらどこぞのブラコンみたいに一日中家に引きこもってあげましょうかねぇ」

 

【悠】

「夕方にSSの話したでしょ。一番隊がどうのこうのって」

 

【花丸のお姉ちゃん】

「そういえば悠くん一番隊に入りたいって言ってましたね」

 

【凛】

「……それが?」

 

【悠】

「一番隊に入る理由、なんて言ったかおぼえてる?」

 

【凛】

「強くなりたいから、でしょう。どうせ現実と二次元の区別もつかない男子特有の浅い願望と思って本気にしてませんでしたけど」

 

【悠】

()()()()()()()()()()()()()()()()から強くなりたいんだ」

 

【凛】

「…………え」

 

【花丸のお姉ちゃん】

「…………悠くん?」

 

【悠】

「将来SHOで働くつもりなんだ。3人で一緒にSHOで仕事できたらなって、ずっと思ってた」

 

【悠】

「年が離れてるせいもあってか、今までは姉さんたちに守られて育ってきたから、大人になったら今度はこっちが姉さんたちを守る番だって」

 

【花丸のお姉ちゃん】

「…………」

 

【凛】

「…………悠くん」

 

【悠】

「SHOで働く以上は誰だって戦闘に遭遇することがあるから、姉さんたちが危険に晒される可能性は十分にある」

 

【悠】

「と言ってもSHOストライクフォースがあるし、それにあの最強の隊長さんもいるから、それなりに安全かもしれない」

 

【悠】

「ただ、ずっと近くにいる保証がなければ確実に守ってくれる保証もないでしょ」

 

【花丸姉妹】

「「…………」」

 

【悠】

「でも"弟"だったらうまく理由を付けてずっとそばで姉さんたちを守れるって考えてた。今の代表の人だったら、きっと話せば分かってくれるはずだ」

 

【悠】

「だから、そのための力を身につけるために一番隊を志望してる」

 

【花丸のお姉ちゃん】

「…………そうだったんですね」

 

【凛】

「…………」

 

【悠】

「もし今後危ない目に遭いそうになったら……"オレ"を頼ってほしい」

 

【凛】

「…………」

 

【花丸のお姉ちゃん】

「…………っ、まったく。お姉ちゃんを泣かせるのは感心しませんよ。ねぇ、凛?」

 

【凛】

「…………何がですか? 私の周りはシスコンばっかだなって呆れてたところでしたが?」

 

【凛】

「…………」

 

【凛】

「…………でも、立派な心掛けだとは思いますよ。どうやら、大きくなったのは体だけじゃないようですね」

 

【悠】

「……姉さん」

 

【凛】

「よくわかりませんが悠くんは私たち専用の盾になってくれるらしいので今後SHOは安息の地となりますねぇあーこれで労働がだいぶ楽になって一安心ですよ」

 

【花丸のお姉ちゃん】

「だそうですよ悠くん。凛お姉ちゃんはSHOに入ってくれるようです」

 

【悠】

「そのようで」

 

【凛】

「は? 事実陳列罪で訴えますよ?」

 

 

 

 


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