「ヘンタイ・プリズン」のSSです。
LALEの4人がご飯を食べて、千咲都・ノア・妙花が料理バトルをするお話です。

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LALEはいつでも腹ペコ

★場所:LALEオフィス

 

【ノア】

「……あ、そこです! そこ! そこに祠(ほこら)ありますよ!」

 

【柊一郎】

「……え、どこ?」

 

【伊栖未】

「微妙に暗くて、わ、分かんないぞ…」

 

【ノア】

「そこのわきのとこです! 氷あるでしょう? 溶かせば出てくるはずです」

 

【柊一郎】

「氷デカくて……溶ける気がしない」

 

【ノア】

「薪の束と炎のチン剣もってるでしょう? それで火をつけて氷付近に配置しておけば、あとは勝手に時間経過で解けますよ」

 

【柊一郎】

「なるほど」

 

【伊栖未】

「でも時間かかりそう」

 

【妙花】

「ふぅ……ただいま戻った……ぞ、ん? 手前ら、ゲームやってんのか」

 

【柊一郎】

「うん。仕事終わってしばらくは余裕あるから」

 

【妙花】

「まぁ、そうだな。でけぇ山場は超えたからな」

 

【ノア】

「で、久々にエロゲでなく普通のゲームをしてるんです」

 

【妙花】

「へぇ……で、そのゲームのタイトルは?」

 

【ノア】

「『ブレブレスマター御チン〇ンブラブラザ猥ルド』」

 

【妙花】

「…………」

 

【ノア】

「…………」

 

【妙花】

「……普通のゲーム?」

 

【ノア】

「やりこみ要素が尋常じゃないぐらい多いんですよね。何百時間でも遊べるので楽しいですよ、ブレ猥」

 

【伊栖未】

「最近のゲームは、面白い……! ふすぅ……!」

 

【柊一郎】

「言うほど最近でもないと思うけど」

 

【妙花】

「訴えられねぇように頼むぞ……。ところで手前ら、腹減らねぇか?」

 

【伊栖未】

「そ、そういやもう昼時だな……」

 

【ノア】

「ゲームしてると食事忘れますね」

 

【柊一郎】

「わかる」

 

【妙花】

「リリース終わったとこだからな、豪勢にいきてぇ……ところだが」

 

【伊栖未】

「金が、ない」

 

【柊一郎】

「まず、外食自体が難しいんじゃないの」

 

【妙花】

「あぁ、その通りだよ……。だから仕方ねぇ、今日の昼もオリーブオイルをかけたパスタ食うぞ」

 

【ノア】

「涙の素パスタ」

 

【柊一郎】

「せめて、ペペロンチーノが食べたい……」

 

【伊栖未】

「…………」

 

【妙花】

「贅沢言うんじゃねぇぞ。背に腹は代えられねぇ。じゃあ、さっそく」

 

【伊栖未】

「まぁ、待って!」

 

【柊一郎】

「?」

 

【妙花】

「どうした、伊栖未。気持ちはわかるがよ」

 

【伊栖未】

「こ、この前、お作法の先生が、コンソメとツナ缶……くれたんだ」

 

【ノア】

「めちゃいいの持ってるじゃないですか」

 

【伊栖未】

「そんで、これら使った、コスパ良し味良しの超お手軽パスタ料理も、教わった」

 

【柊一郎】

「すごく良い人」

 

【妙花】

「そこまでしてくれるとは……感謝の極みだな。しかし、随分とタイミングがいいじゃねぇか。わざわざパスタ料理教えてくれたんだろ?」

 

【伊栖未】

「う、うん。手元不如意なときはよくパスタにしょうゆかけて食べてるって話したら、先生、泣きそうな顔して必死にレシピ書いて、渡してくれた。材料といっしょに」

 

【妙花】

「…………なんか、すまねぇな」

 

【柊一郎】

「なんにしても、少しは美味しそうなのが食べれそうだ」

 

【伊栖未】

「冷蔵庫ん中見たら、キャベツあったから、これも使う」

 

【ノア】

「では昼食は鐘さんに任せてもいいですか?」

 

【伊栖未】

「お姉さんに、任せなさい……! ふすぅ……!」

 

【妙花】

「アタシもちっとは手伝うよ」

 

【伊栖未】

「あ、じゃあ妙花はキャベツ切って、ね」

 

【妙花】

「あいよ」

 

【伊栖未】

「まず、フライパンにオリーブオイルを引いて、ツナを入れる。本当はここで、にんにく入れた方がもっと美味いらしいけど」

 

【ノア】

「なんかそれっぽいですね」

 

【伊栖未】

「んで、水入れて、塩入れて、コンソメ加えて、沸騰」

 

【柊一郎】

「いい匂い」

 

【ノア】

「これだけで普通に美味しそうですね」

 

【伊栖未】

「ここで、食べる分だけのパスタを投入」

 

【ノア】

「そのままフライパンでパスタ茹でるんですね」

 

【伊栖未】

「そのほうが、麺に味が染みるし、茹で上がるのも早い」

 

【妙花】

「おい、伊栖未! こっち、キャベツ切り終わったぞ!」

 

【伊栖未】

「あ、あんがと妙花。そんで、数分パスタ茹でたら、切ったキャベツを投入、あとはふたして煮込む」

 

【片割れと片割れ】

「「おぉ……」」

 

【伊栖未】

「ほいで、いい感じになったら、そこにしょうゆを加えて、混ぜ合わせる」

 

【妙花】

「ほれ、皿持ってきたぞ」

 

【伊栖未】

「うん、じゃあ盛り付けて……最後にあらびき黒こしょうを振ったら、完成!」

 

【次女と三女と末っ子】

「「「ちゃんとした料理だ………!」」」

 

【伊栖未】

「名付けて、伊栖未特製コンソメパスタ! えへん……!」

 

【妙花】

「もらったレシピ通りに作っただけだろうが」

 

【ノア】

「すごいですよ鐘さん! これ料理! 料理ですよ! 人が作ったもので"料理"と言えるものを久々に食べれますよ……!」

 

【柊一郎】

「言い方失礼じゃない」

 

【妙花】

「ここ最近は料理ってもんでもねぇのしか食ってなかったからな……」

 

【伊栖未】

「とにかく食べよう…………う、美味っ」

 

【ノア】

「結構やさしめの味ですから、いくらでもいけますね」

 

【妙花】

「ツナの旨味とキャベツの甘みって案外相性いいんだな……食べてみねぇとわかんねぇもんか」

 

【柊一郎】

「おかわり」

 

【伊栖未】

「もうない」

 

【ノア】

「手元不如意って話忘れました?」

 

【柊一郎】

「伊栖未、美味かった……また、作ってくれ」

 

【伊栖未】

「…………♡」

 

【ノア】

「!! ……まぁ、私も材料さえあれば、きちんと美味しいの作れますけどね」

 

【伊栖未】

「――っ!」

 

【ノア】

「とにかく今は金がありませんからね。金があればいい材料を手に入れて、柊一郎を満足させられ――」

 

【伊栖未】

「き、聞き捨てならないぞ、ノア! 後出しだ、後出し!」

 

【妙花】

「おい、ノア。滅多なこと言うもんじゃねぇぞ。”たられば”の話したって手元にねぇことは」

 

【ノア】

「――……妙花は腕に自信ないほうですか?」

 

【妙花】

「…………あ゛ぁ゛?」

 

【柊一郎】

「…………」

 

【柊一郎】

「(※↑どうしてノアがこんなに喧嘩腰なのかよく分かってないがなんか面白そうなので傍観を決め込んでいる)」

 

【ノア】

「ヤクザの組長でしたもんね? 組長の立場なら、そりゃあ料理の上手な組員に任せてればいいですから。少しは修業かなにかしてるかもしれませんが、所詮は付け焼き刃程度でしょう」

 

【妙花】

「…………言いてぇことはそれだけか? レッドの嬢ちゃんよぉ」

 

【伊栖未】

「ノア、お前は……言ってはいけないことを、言ったぞ……!」

 

【妙花】

「このアタシを誰だか分かってねぇようだな……その気になりゃあな! 柊一郎を心底惚れさせる料理ぐれぇいとも容易すく作れんだよ!!!」

 

【伊栖未】

「げ、現に、柊一郎は私の料理を美味い、と言ってくれた。まだ料理を作ってないふたりより、私の方が、一歩リード……!」

 

【ラーレディス】

「「「…………」」」

 

【柊一郎】

「…………」

 

【柊一郎】

「(※↑雲行きが怪しいと思いはするものの特になにかできるわけでもないので沈黙を決め込んでいる)」

 

【ノア】

「こうなったら仕方ありませんね……では、ここにいる三人で料理の腕を比べることとしましょう」

 

【伊栖未】

「してルールは」

 

【ノア】

「――――順番に料理を作って柊一郎に食べさせ、一番美味いと思ったものを勝者とする!!」

 

【伊栖未】

「これ以上ないぐらいシンプル」

 

【柊一郎】

「オレの意志はないんだ」

 

【妙花】

「上等じゃねぇか……と言いてぇが――――だから! 金ねぇっつってんだろうが! メシ作るための金がまずねぇじゃねぇか!」

 

【ノア】

「ではお姉ちゃんにお金振り込んでくれないか今すぐ電話で頼んでみます!」

 

【妙花】

「えぇ……」

 

【柊一郎】

「なんか以前と立場が逆転してるような……気がする」

 

【伊栖未】

「こんなことで、ふ、振り込んでくれるか……?」

 

【妙花】

「あのなぁ、ノア。いくらお前に甘いソフりんとはいえ、そう簡単に――――」

 

【ノア】

「――……いくらか振り込んでくれるそうです!」

 

【柊一郎】

「まじで"最高の女"じゃん」

 

【伊栖未】

「"最高の女"だ」

 

【妙花】

「…………今度ソフりん来たら、本格的に一度頭下げねぇとだな」

 

【ノア】

「というわけで、あとでお金渡すので、明日の昼までに各自材料を用意すること! 柊一郎はきちんと腹を空かせておくこと! 以上!」

 

【妙花】

「一丁やってやろうじゃねぇか…!」

 

【伊栖未】

「勝つのは、私……! ふすぅ……!」

 

【柊一郎】

「まぁ食えるからいいや」

 

 

 

   ◆

 

 

 

【ノア】

「――……さて、準備はいいですか」

 

【妙花】

「あぁ、さっさと始めんぞ」

 

【伊栖未】

「柊一郎、待ってて。また、美味しいの、作ってあげる!」

 

【柊一郎】

「仕事のとき以上の気合を感じる」

 

【ノア】

「で、順番どうしましょう」

 

【妙花】

「プリズンにいた頃、収監されてた房の位(・)がでけぇ順ってのはどうだ?」

 

【柊一郎】

「斬新な決め方」

 

【伊栖未】

「あ、じゃあ『更生不能房』にいたわたしからか。よし……」

 

【ノア】

「鐘さんは何を作るんですか?」

 

【伊栖未】

「いぃ、イカ墨ラーメン!」

 

【ノア】

「……え?」

 

【妙花】

「初っ端からすげぇ変わり種出すじゃねぇか」

 

【伊栖未】

「海近いからか、ヤリイカが、い、いっぱい売ってて、安かった」

 

【柊一郎】

「わりと楽しみ」

 

【ノア】

「はい、クッキングスタート」

 

【伊栖未】

「よし、じゃあまずは、鶏ガラと玉ねぎと白菜を鍋に入れて、沸騰させて……」

 

【妙花】

「けっこう本格的じゃねぇか」

 

【伊栖未】

「スーパー行ったら、お作法の先生のお仲間の人? にお会いして、茶髪のすごい美人さんなんだけど、そこでダシの取り方とか、教わった」

 

【ノア】

「人脈ってすごいですね」

 

【柊一郎】

「もう期待できる」

 

 

 

   ◆

 

 

 

【伊栖未】

「――……最後に、しょうゆを少し加えて、具を入れて、完成!」

 

【妙花】

「こいつはすげぇな。イカの香りが濃厚だな……真っ黒だけど」

 

【ノア】

「ですね。海鮮特有の塩臭さが逆に相まっていい感じですね……真っ黒だけど」

 

【柊一郎】

「いざ実物を目の前にすると……なかなか怖い」

 

【伊栖未】

「い、いいから……! 味は保証、する……!」

 

【柊一郎】

「じゃあいただきます」

 

【伊栖未】

「…………」

 

【柊一郎】

「……美味い。クセになる味」

 

【伊栖未】

「……ほっ」

 

【柊一郎】

「鶏のダシに野菜にイカ墨の旨味が混然一体となっている」

 

【ノア】

「なんか審査員みたいなこと言いだしましたよこいつ」

 

【妙花】

「一応審査員だけどな」

 

【柊一郎】

「………ごちそうさま。美味かったよ、伊栖未」

 

【伊栖未】

「…………うん!」

 

【妙花】

「さぁて、お次は『重大犯罪房』のアタシか」

 

【伊栖未】

「た、妙花は、何つくんだ」

 

【妙花】

「くっくっ……日本人なら誰もがうめぇと口にするアレだよ」

 

【柊一郎】

「アレ?」

 

【妙花】

「あぁ、それに、どうやら柊一郎は生魚が好きらしいからな」

 

【ノア】

「…………え。てことは……まさか」

 

【妙花】

「そう、寿司だよ」

 

【柊一郎】

「マジで」

 

【伊栖未】

「本気で勝つつもりだ、妙花」

 

【ノア】

「し、しかし、寿司といっても素人が握った寿司なんて大した味じゃないでしょう。修業してはじめてようやく美味いと言える寿司になるはず」

 

【妙花】

「まだ組にいた頃な、いろいろ付き合いがあって、修業って程ではねぇが何度か寿司を握る機会があったんだよ」

 

【ノア】

「ぐっ……ヤクザの人脈ってもんは……!」

 

【伊栖未】

「で、でも、そんだけの寿司ネタ、どうしたんだ? もらった金だけじゃ、買えなくないか?」

 

【妙花】

「そこはあれだよ、小沢にちょいと手を回してもらってな」

 

【伊栖未】

「ず、ずる……」

 

【柊一郎】

「小沢ってまだ修業中の身だから、そんな手配できるとは思えないけど」

 

【妙花】

「そこは、な。アタシらは元ヤクザだからなぁ……なんとかなるんだよ」

 

【ノア】

「これは詳しく聞かない方がいいやつですね」

 

【伊栖未】

「な」

 

【妙花】

「さて、じゃあ始めんぞ」

 

【柊一郎】

「…………え、それトロ?」

 

【妙花】

「ああ」

 

【伊栖未】

「よ、よく買えたな……」

 

【妙花】

「いや、小沢のとこのだ」

 

【伊栖未】

「…………」

 

【妙花】

「…………」

 

【ノア】

「イクラもあるんですね。安い筋子でも売ってたんですか?」

 

【妙花】

「いや、小沢のとこのだ」

 

【ノア】

「…………」

 

【妙花】

「…………」

 

【柊一郎】

「こっちの鯛とかスーパーで」

 

【妙花】

「いや、小沢の」

 

【ノア】

「もういいですよ」

 

【伊栖未】

「他力本願」

 

【柊一郎】

「ぜんぜん自分で買ってないじゃん」

 

【妙花】

「んなことはねぇ。そこらのマグロの刺身、エンガワ、赤貝とかは魚屋で買ってきたもんだよ」

 

【柊一郎】

「そういやチラシの安売り項目にあったような……」

 

【ノア】

「こういうところは抜け目ないですよね」

 

【妙花】

「――……よし、ほら出来たぞ。妙花特製握り寿司だ。味を御覧じろ」

 

【ノア】

「回らない寿司屋で見るやつ」

 

【伊栖未】

「す、すごい綺麗に揃ってるな……」

 

【柊一郎】

「いただきます」

 

【ノア】

「心なしか、鐘さんのときよりガッついてるような」

 

【伊栖未】

「!!  ……しゅ、柊一郎は、生魚好きだから。そういう意味では、私のイカも、劣ってない、はず」

 

【妙花】

「で、どうよ柊一郎。味の方は」

 

【柊一郎】

「超美味いよ、妙花」

 

【妙花】

「……だろうな。寿司に間違いはねぇんだよ」

 

【伊栖未】

「妙花照れてる」

 

【ノア】

「顔が赤いですよ」

 

【妙花】

「~~~! わりぃかよ! ……だが、惚れた男のために作るメシってのも、いいもんだな」

 

【柊一郎】

「…………でも」

 

【妙花】

「?」

 

【柊一郎】

「いや、なんでもない。ごちそうさま」

 

【妙花】

「ん、あぁ」

 

【妙花】

「(一瞬首を傾げたような……気のせいか?)」

 

【ノア】

「最後は『わいせつ房』の私ですね」

 

【伊栖未】

「ノアは何を……って、と、鶏肉多いな……?」

 

【ノア】

「お察しの通り……唐揚げです」

 

【柊一郎】

「…………」

 

【妙花】

「……ここまで海鮮ものが続いて、最後に唐揚げって胃にこないか?」

 

【伊栖未】

「い、いくらなんでもこれは」

 

【ノア】

「鐘さん、妙花。肝心なことを忘れてますよ」

 

【炭〇郎カラー】

「「?」」

 

【ノア】

「――――男という生き物は……決まってこういうのが好きなんですよ!」

 

【紅〇華】

「「……!!」」

 

【妙花】

「た、たしかに! 美味な料理を作るという点に眼目を置きすぎて”男”が喜ぶメシってもんを考えてなかった!」

 

【伊栖未】

「む、無念……」

 

【柊一郎】

「みんなテンション変」

 

【ノア】

「でも柊一郎? 唐揚げ、好きでしょう?」

 

【柊一郎】

「かなり好き。超好き」

 

【残響〇歌】

「「!!!」」

 

【ノア】

「どうやら私の勝利は決まりみたいなものですね。さて、作りますよ」

 

【伊栖未】

「す、すごい……おろしにんにくに、おろししょうがに、ごま油。下味の用意が完璧だ……!」

 

【妙花】

「ん? ノア手前、天ぷら鍋をなんでもう一個買ってきて……ま、まさか!」

 

【ノア】

「そう、二度揚げ用です!」

 

【伊栖未】

「プ、プロだ」

 

【妙花】

「熱量がちげぇ」

 

【柊一郎】

「専門店で働いてたのかな」

 

 

 

   ◆

 

 

 

【ノア】

「さ、完成です! 食べてみ、あ……おあがりよ!」

 

【妙花】

「マジで訴えられそうだからやめてくれねぇか」

 

【柊一郎】

「ノアのテンション高かったのってそういうこと」

 

【伊栖未】

「ノアはおそらく敵側」

 

【ノア】

「食戟の話はいいので冷めないうちに早く食べてください」

 

【妙花】

「(言いやがったこいつ……!)」

 

【柊一郎】

「……すっごいジューシー、美味い」

 

【ノア】

「でしょう。使ってる衣から違いますからね」

 

【伊栖未】

「でもこんだけの材料、よ、よく揃えたな。どれも高そうってわけじゃないけど、簡単に手に入りそうには、み、見えないぞ」

 

【ノア】

「あぁ、私の知り合いに唐揚げを数百個食べてから気絶するように眠るドカ食い気絶が趣味の有能運転手がいるので、一部分けてもらったんです」

 

【妙花】

「手前も人のこと言えねぇじゃねぇか」

 

【伊栖未】

「あ、あの人か」

 

【柊一郎】

「化け物みたいな知り合いがいるんだ」

 

【ノア】

「さて、結果発表の時間です。勝者を決めてもらいましょう。ま、私でしょうが」

 

【妙花】

「おい、柊一郎。"美味"ってのが何たるものか分かってんだろうなぁ」

 

【伊栖未】

「頼むぞ、柊一郎……!」

 

【柊一郎】

「…………」

 

【柊一郎】

「……圧倒的に美味いと思ったのは妙花、いくらでも食べれそうと思ったのはノア、発想と独創性で一番驚いたのは伊栖未」

 

【長女次女三女】

「「「…………」」」

 

【柊一郎】

「正直、どれも甲乙つけがたい」

 

【ノア】

「……おい! それはないでしょう!」

 

【妙花】

「勝者は常にひとりだろうが! なめてんのか! ア゛ァ゛!?」

 

【伊栖未】

「は、はっきりしろ……柊一郎!」

 

●SE:チャイムが鳴る音

 

【LALE一同】

「????」

 

【ソフりん】

「…………ソフィーヤだ。みんな、いるか?」

 

【柊一郎】

「……え」

 

【ノア】

「――――お姉ちゃん! やっと来てくれたんですね! 会いたかったです~!」

 

【妙花】

「……ソフりん? ……おいノア、どういうことだ。何も聞いてねぇぞ」

 

【ノア】

「言ってませんでしたっけ? お金を振り込むよう電話した時にこっちに遊びに来てくれるって」

 

【伊栖未】

「き、聞いてない……」

 

【ソフりん】

「え……なんか私、邪魔だったか?」

 

【ノア】

「違うんです違うんですごめんなさいごめんなさいお姉ちゃんが来ることを私がみんなに伝え忘れてただけなんですお願いですから帰らないでください!!」

 

【ソフりん】

「わ、わかったから……で、お前たちは何を……って、すごい料理の数だな」

 

【妙花】

「アタシら三人の中で誰が柊一郎の胃袋を一番につかめるかって勝負をしてたんだよ」

 

【ソフりん】

「……それで、金が欲しいってことだったのか」

 

【伊栖未】

「ご、ごめんなさい……」

 

【柊一郎】

「オレは巻き込まれただけなので何も悪くありません」

 

【妙花】

「マジか手前」

 

【ノア】

「あ、そうだ! お姉ちゃんもよかったら参加しませんか!?」

 

【ソフりん】

「……え?」

 

【ノア】

「今誰が一番か、柊一郎が決めあぐねているところなので、お姉ちゃんの料理でリフレッシュを、と思って」

 

【ソフりん】

「お前が食いたいだけじゃないのか……。まぁ、別にいいけど」

 

【ノア】

「やった!」

 

【妙花】

「なんかすまねぇな、来てもらったばっかりだってぇのに」

 

【ソフりん】

「いいや、構わないさ。それじゃあ、ちょっと買い出しに行ってくるから」

 

【伊栖未】

「ソフりん、参戦」

 

【ノア】

「これは熱い展開になってきましたね……!」

 

【柊一郎】

「オレもうお腹膨れてるんだけど」

 

 

 

   ◆

 

 

 

【ソフりん】

「…………さ、ほら、できたぞ」

 

【ノア】

「こ、これは!!」

 

【ソフりん】

「……『しらす丼』だよ」

 

【柊一郎】

「これが、噂の」

 

【ソフりん】

「そんな大層なものじゃない。いいから食べてみろ」

 

【柊一郎】

「…………!!!!」

 

【妙花】

「どうだ、柊一郎」

 

【柊一郎】

「これだ」

 

【伊栖未】

「え?」

 

【柊一郎】

「卵黄と煎り胡麻の味わいに加え、生姜醤油が利いてる。こう、家庭的で安心する味というか。そう、姉さんと食事をしていた頃を思い出す……」

 

【ノア】

「……あれ、柊一郎? ちょっと泣いてます?」

 

【柊一郎】

「オレが欲してた味というのは、"うまい"というのは……これのことだったのかもしれない。ありがとう、ソフりん」

 

【ソフりん】

「……そ、そうか。作った甲斐があるよ」

 

【伊栖未】

「じゃあ勝負の判定は」

 

【柊一郎】

「ソフりんの勝ち」

 

【ノア】

「おめでとうございます。むしろ当然の結果です」

 

【妙花】

「ま、涙見せられちゃ仕方ねぇな」

 

【伊栖未】

「おめでとう……! ソフりん……!」

 

【ソフりん】

「あ、あぁ……ありがとう?」

 

【妙花】

「しかしすごい幕切れだったな。途中参加のソフりんが勝利をかっさらうとは」

 

【ノア】

「たまにはこういうのも悪くありませんね」

 

【伊栖未】

「またやろ、な」

 

【柊一郎】

「来てくれてありがとうございます。ソフりん」

 

【ソフりん】

「ああ、お前たちが相変わらず元気そうで安心したよ」

 

【柊一郎】

「いきなり呼びつけた上に料理までさせちゃったし疲れたでしょう。オレが一品……ソフりんに振るいます」

 

【ソフりん】

「え、湊が?」

 

【柊一郎】

「少々お待ちを」

 

【ノア】

「なんか材料ありましたっけ」

 

【妙花】

「いや、ほとんど使い切ってもう残ってねぇはずだが……」

 

【伊栖未】

「米が少しあった気……する」

 

【柊一郎】

「はい、ソフりん。お(・)茶(・)漬(・)け(・)」

 

【ソフりん】

「おお、疲れた体にちょうどいいな」

 

【妙花】

「……茶漬け?」

 

【ノア】

「……あっ」

 

【ソフりん】

「どれどれ……――っ!! ま、まずっ!!」

 

【柊一郎】

「…………え?」

 

【ソフりん】

「……あっ、ごめん! つい、その……ごめんな……?」

 

【柊一郎】

「…………」

 

【妙花】

「あいつが一番料理を練習した方がいいんじゃねぇか?」

 

【ノア】

「お茶漬けで駄目ならもう無理だと思います」

 

【伊栖未】

「さわさり」

 

 

 

 


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