( 'A`)「ただの引きこもりなのにまた勘違いされてる……」 作:スレ主
第1話 引きこもっていたいのに世界がそれを許してくれない
( 'A`)「また今日も目が覚めたら太陽が沈んでる」
(っA`)「ねむい……」
僕は転生者だ。
前世は日本人をしていた。職業は引きこもり。
毎日ドアの前に置かれるご飯を、誰にも気づかれないように取り込んで、インターネットとかゲームをしながら食べる、うんこの生産を生業にしていた。
( 'A`)「ご飯」
今世でも同じだ。
異世界に生まれても僕は変わらず引きこもりを続けている。
('A` )「まだあったかい……」
子供の頃は物珍しくてよく外に出ていたけど。
成長するに連れて段々と無理になってきた。
もう無理なんだ。異世界も日本とあんまり変わらない。
外はこわい。どうしようもなく。
( 'A`)「ごちそうさま」
この世界にはネットもマンガも、ゲームも無い。
でも魔法があった。
( 'A`)「《ウォッシャー》」
('A` )「うん、綺麗になった」
部屋に一冊だけあった魔法の入門書。
そこから僕は色々なことを学んだ。
( 'A`)「昨日の続きしよ……」
本には指先に火を灯す程度のものしか書かれていなかったけれど、魔法とは時間さえ掛ければ誰でも簡単に作れるものだ。
幸いなことに僕は時間だけなら退屈なほどあった。
僕は部屋で新しい魔法を作りながら、毎日を充実して過ごしている。
ご飯は毎日用意されるし、誰にも会わなくて良いし。
快適な生活だ。
出来ることなら死ぬまでずっと、このまま過ごしたい。
そう僕は思っていたんだ。
〆
『大家さんが家賃を払えって言ってきた』
――トントン
(ぅA`)「ん……何だろ」
早朝、僕は何かが扉を叩く音で目が覚めた。
それは不思議な音だった。
まるで僕をお花畑へ誘っているかのような軽快なリズム。
僕は布団を畳むと、首を傾げながらふらふらと近付いて行った。
( 'A`)「……? 風かな」
――トントン、ドンドン
途端に強まる音。
(;'A`)「ひっ、だれかきてる……」
ここでようやく、僕はそれがノックの合図だと気が付いた。
いや、思い出したという方がこの場合適切だろうか。
もう何年も、これを僕の前で実行した者はいないのだ。
(*゚ー゚)「シューくんいますか?」
(∩A∩)「(いない……僕はいない……)」
僕は再び敷いた布団に急いで潜り込む。
こうしてやり過ごしていれば、そのうち母が対応してくれるだろう。
(*゚ー゚)「シューくん……」
シューくんというのは僕の名前だ。
呼んでいるのはたぶん幼馴染みの女の子。
子供の頃、外に出ていたとき一緒に遊んだ覚えがある。
引きこもりになってからもたまに誘いに来ていた女の子だけれど、大きくなって来なくなったからもう諦めたと思っていたのに。
(*゚ー゚)「ねえシューくん、そのままでいいから聞いてね」
(∩;'A`)「(アーアー聞こえない)」
いつまでも立ち去ろうとしない幼馴染み。
僕は咄嗟に耳を塞いで反撃に出る。
けれど指の隙間から流れ込む声は、防ぎ切れるものではなかった。
(*゚ー゚)「わたしね、家を継いで大家になったんだよ」
(*゚ー゚)「それで今日はね、家賃の取り立てに来たの」
(*゚ー゚)「もう三ヶ月も滞ってるから」
(∩;'A`)「(え……ここ借家だったの……)」
指の隙間から流れ込む言葉は無情だった。
それは非情とも言い換えられる。
生まれてから十数年もの間、ずっとこの部屋で暮らしている僕からすると、ここが借家であったことは衝撃だ。
そしてそれ以上に、母がもう三ヶ月も家賃を滞納している事実に驚かざるを得ない。
(*゚ー゚)「おばさん……シューくんのお母さんね、最近ずっと見かけないの。シューくんどこに出かけたか知ってる?」
(;'A`)「(え、母ちゃんいないの……? なんで……?)」
思考が話の流れに追い付かない。
家賃を滞納していた。
もう三ヶ月にもなる。
母がいない。
行方不明。
失踪した。
どうして。
どうして……。
いつの間にか手は耳から離れ、力なく冷たい床を撫でていた。
(*゚ー゚)「……うん、知らないよね」
(;'A`)「ご飯……ご、ご飯作ってくれてるから、いるはず……」
僕は喉から声を振り絞って話しかけた。
昨日の夜も食べたばかりの、ドアの前にしれっと置かれる食事が、何よりも雄弁に母の存在を証明しているはずだと。
混乱した僕の思考が、かろうじてその事実を繋ぎ止めたのだ。
(*゚ー゚)「それわたしが作ってるんだよ、三ヶ月前からずっと」
(;'A`)「え……」
茫然自失、そんな言葉が自然と浮かんだ。
そして途端に憤る感情。
――あの食事は母が作っていたのではなかったのか。
――いつも定刻通りに用意される、温かいご飯が、母の変わらぬ愛情を示していたのではなかったのか。
(;'A`)「母ちゃん……どこ行ったの……?」
(*゚ー゚)「分からないんだよ。ずっと探してるんだけど」
思い返せば味が変わったような覚えもある。
当時は気にも留めなかった些細な変化。
それが今になって湧き上がるのはどうしてだろう。
( 'A`)「(母ちゃん……)」
前世の記憶がある僕にとって、母はどこか他人のような存在だった。
生まれた頃から意識が、自我があった弊害なのだろうか。
いつ見てもただ美人な人だとしか思えなくて、叱られるときも褒められるときも余所のお姉さんが世話をしてくれているだけとしか、どうしても思えなくて。
(*゚ー゚)「でもほんとおばさんどこに行っちゃったんだろ。心配だよね」
そう、心配なんだ。
もし本当に他人であるならば――
こうまで憂う気持ちが込み上げて来るものだろうか。
。゚(゚'A`゚)゚。「(母ちゃん……)」
思わず涙が、床を濡らした。
零れ落ちたしずくが一滴、二滴と床板を色濃いものへと染め上げる。
居なくなってからようやく気づかされた。
あの人は紛れもなく、自分の母親なのだと。
(*゚ー゚)「シューくん……大丈夫?」
(。'A`)「だいじょうぶ……」
震える声で何とか返事をした。
(づA`)「だいじょうぶ」
(*゚ー゚)「……シューくん、シューくんには二つの道があります。一つはお金で家賃を納めること。もう一つは、外に出てわたしの仕事を手伝って体で家賃を払うこと」
(;'A`)「し、仕事って、何をするの?」
(*゚ー゚)「わたしは普段宿屋をやってるから、そこの見習いとして働いてもらいます」
絶対に無理だ、と僕は確信を持って言える。
こうして扉越しに話しているだけでも声が震えるのだ。
面と向かって接客なんて、とんでもない。
(;'A`)「む、無理だよぉ……」
(*゚ー゚)「大丈夫だよ」
有無もなく返される言葉に僕は考え込む。
……お金は無い。
……外に出たくもない。
けれどどちらも嫌では話にならない。
僕は、どちらかを選ばなくてはいけない。
(;'A`)「(家賃払わなかったらどうなるんだろ)」
前世の知識に照らし合わせるなら強制退去。
おそらくは家賃代わりに荷物は全て没収され身ぐるみ一つで放り出される。
住む場所もなく、着る服もなく……ご飯は二度と作ってもらえない。
ご飯……
('A` )「(母ちゃんの料理、また食べたいな……)」
(*゚ー゚)「…………」
扉越しに無言の圧力を掛ける大家さんを前に。
僕は第三の選択とともに決意を固めた。
(;'A`)「あの、しばらく待って……」
僕の全てを懸けて――
行方不明になった母を必ず捜し出して見せる、と。
('A` ) ←シューくん
前世から引きこもってるうんこ製造機。
子供向けの絵本を読んだだけで古代の超魔法を会得したりする奴。
(*゚ー゚) ←マカロンちゃん
幼馴染みの大家さん。
家賃を取り立てに来るが部屋に入ったりはしない。
ほっぺの米印が関係を表わしている。